1980年代から活動する英国ロック〜ポップスの人たちの久々の作品が続々と登場中! ここら辺の人たちの作品は昔から買っているので、出たらやっぱり買っちゃうシリーズで、 それほど期待もしていないし、別に聴きたくなくても惰性で購入シリーズでもあります。 その中にはホントに全然良くないヤツもあり、ガマンして聴いているシリーズや 耳をふさいで聴いているシリーズ、聴いているふりをして聴いていないシリーズなど 様々なシリーズ化が行われ、最終的にはそんなクソ・アルバムなど処分シリーズですね。 今回登場の作品はどれも良くて、処分しないで聴き続けるシリーズなので安心、安心。 おかげで1980年代英国ロックの青春が再びよみがえるシリーズになりました。 |
THE PASTELS 「SLOW SUMMITS」 (2013) 欧 DOMINO WIGLP185 (LP)
|
パステルズの1980年代といえば典型的なへなちょこギター・ポップで、聴きようによっては、何だこれ?金返せ! レベルのヒドい音ですが、2013年作「スロウ・スミッツ」は金返せ!の返金騒動は起こらない名盤ですよ! 女性ヴォーカル、カトリーナ・ミッチェルが囁くように歌うミドル・テンポのA面1曲目から、何でしょう、この美しさは! 管楽器類が程よく優しく入る綺麗なメロディーのフォーク・ロックですが、涙が溢れそうになる程感動的に美しく、 テニスコーツと共作の前作「トゥー・サンセッツ」も強力な名盤でしたが、その良いところを凝縮したような曲です。 男性ヴォーカル、ステファンが歌うA2、A4、B2はへなちょこギター・ポップ路線だけど、やはり綺麗なメロディーと 管楽器類のナイスな絡み、ステファンのヨレヨレで優しげなヴォーカルの存在感が感動を呼び起こします。 カトリーナが歌うA3、B4は、このアルバムの中でも最もバタバタとした印象のパステルズらしいギター・ポップ。 バタバタしているのにやはり美しく響いて、B4の出だしの「イエー、イエ、イエ、イエー、オー、イエー」の フレーズの切り込み方なんか・・・こんなの思いつくんだ、凄ぇ!状態で、もう感動のヨダレが止まりません。 A5、B3はインストで、インストといえば2003年のサントラ盤「ラスト・グレイト・ワイルダーネス」を思い起こさせ、 特にA5などはホントにパステルズなの?状態のしっかりした演奏で、そしてやはり、ひたすら美しくて絶句・・・ とにかく、とにかく、このアルバムは全編に美しさが溢れる名盤ですが、各楽器やヴォーカルの音色が美しい という次元の美しさではなく、音楽に対する姿勢の美しさが出てくる音に反映されているという次元の美しさで、 これは聴く側の意識によって聴こえ方が変わるので、理解できない人は、永遠に理解できない美しさなのです。 なおこのLPは封入されたダウンロード・コードでMP3音源をダウンロードすると、本編の9曲に加え シングル「Check My Heart」のB面曲「Illuminum Song」(凄く良い曲!)もダウンロードできる事になってます。 「Illuminum Song」はカジヒデキが作曲していますね。 カジくんヴァージョンも彼のアルバムに入ってますよー。 パステルズを書いた過去のページにリンク! EP「Songs For Children」・・・第16号 2000/6/18 奥さん!あなたのお子さんは大丈夫ですか? 1st〜7thアルバムをレヴューしたページ・・・第64号 2003/2/26 パステルズ栄光の20年 サントラ盤「The Last Great Wilderness」・・・第80号 2004/1/11 流行語大賞とる勢いでフォロー沙汰 Pastels/Tenniscoats 「Two Sunsets」・・・第158号 2010/1/20 史上最速の新譜LP情報 |
DEXYS 「ONE DAY I'M GOING TO SOAR」 (2012) 英 BMG RIGHTS MANAGEMENT 538002002 (CD)
|
デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズが1980年代の英国を代表する素晴らしいバンドの内の1つであり、 大ヒット曲「カモン・アイリーン」が1980年代の英国を代表する決定的な名曲である事は全員知っていますよね。 となると、デキシーズとバンド名を短くしての復活も全員承知だろうし、スタイル・カウンシルのミック・タルボットが メンバー入りして1980年代の青春プレイバック状態である事とかも、当然全員知っていますよね。 そんなこんなで期待大で、さっそくデジパックのジャケットを開いて、CDを取り出して聴いてみるとしますか。 おっとー出たぁ! 1曲目からホーンとストリングスが活躍するソウル・ナンバーでデキシーズらしさ全開だあぁ! ・・・と思ったら2曲目以降は落ち着いた感じになり、何だかアダルト・コンテンポラリー度高くないかい? その原因は1980年代の彼らにあったロックっぽさやカントリー〜トラッド風味が薄いためかなぁ。 まあ、みなさん歳を重ねて若いヤングから老いたアダルトになったから、それに伴って音もアダルトになった という事なのでしょう。 ただ基本的なサウンドはソウル・ミュージックの味付けのポップスという事に変わりなく バンドの中心人物、ケヴィン・ローランドのソウルフルだけど鼻詰まり気味な為それ程ソウルフルに聴こえない という特殊な歌声も健在だし、印象的なフレーズのホーンが随所に入るし、やっぱりデキシーズなのですよ! アルバム前〜中盤は落ち着いた曲が多いけど、後半に勢いのある曲が並び、コブシが回る演歌女が登場して ケヴィン・ローランドと一緒に歌う8曲目や、全曲中最もキャッチーな10曲目なんかとても良いですねぇ。 最後の11曲目が終了した後に、10曲目のメロディーがリフレインで現れ、ああ、このパターン、デキシーズが 得意としていたパターンだよなぁ・・・ニヤリ。 そんなこんなでニヤリとしながら繰り返しよく聴いている作品です。 デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズ及びケヴィン・ローランドを書いたページへリンク! このCDを購入した時の感動秘話・・・2012年8月28日更新の表紙 Dexys Midnight Runners 「Don't Stand Me Down」・・・第179号 2011/12/7 カス盤ハンドブック出版に向けて Kevin Rowland 「The Wanderer」・・・第145号 2008/11/21 明らかに今ちょいワルおやじが静かなブームの予感 Kevin Rowland 「My Beauty」・・・第26号 2000/12/14 ナルシスト・オヤジのジャケットを見て興奮しろ |
PHIL WILSON 「GOD BLESS JIM KENNEDY」 (2010) 米 SLUMBERLAND SLR 128 (LP)
|
フィル・ウィルソンは1980年代に活動したギター・ポップ・バンド、ジューン・ブライズのヴォーカルだった人。 ジューン・ブライズ解散後はソロでシングルを数枚出していましたが、2010年に完全復活だぁぁぁぁ! 当然ダウンロード・コード付きのLPをゲットだぁ!・・・確かディスク・ユニオンのアウトレット・コーナーでね! ジューン・ブライズ唯一のアルバム「There Are Million Stories...」(1986)は8曲入り、収録時間23分位で、 ミニ・アルバムっぽいので、ジューン・ブライズ〜ソロを通して、彼のアルバムらしいアルバムはこれが初! つまり、2010年代に再びフィル・ウィルソンの青春がよみがえり、炸裂し、駆け抜けるのだぁぁぁぁ! ジューン・ブライズはガチャガチャとギターがかき鳴らされるスピード感のある曲にフィル・ウィルソンの 情けなく響くへなちょこ系のヴォーカルが乗っかり、トランペットとヴィオラが入るというサウンドでしたが、 本作でもスピード感のある曲が連発され、相変わらずへなちょこなヴォーカルも情けなく響くのだぁぁぁ! そしてびっくりするのが、本作でもトランペットとヴィオラが全面的に入り、1980年代中頃に鳴っていた ジューン・ブライズと同じようなサウンドが飛び出してくるのですよ。 ・・・実はこのトランペットとヴィオラは ジューン・ブライズでも演奏していた2人が参加しており、プチ再結成といってもいいような状態なのだぁぁ! 哀愁のメロディーを持ったA面1曲目から飛ばす、飛ばす。 ガチャガチャやってるリズム・ギターの感じが まんまジューン・ブライズなA4とかホントたまらんねぇ。 前奏のトランペットの入り方にネオアコ・ファンが 喜びそうなB2も良いねぇ。 そしてA1と同じ感触の哀愁のメロディーのブッ飛ばし曲B5がぁぁぁぁ! しかし、ここら辺の人になると、フィル・ウイルソン・・・誰だそれ?状態は否めず、ジューン・ブライズや クリエイション・レーベル時代のフィル・ウイルソンが好きだった人しか購入しなさそうな作品ですよね。 そんな一部の人の耳にしか届かないというのはもったいないけれど、確かにジューン・ブライズを 知っている人であればより一層楽しめるタイプのアルバムなので、それで良いのだぁぁぁぁ! |
RED BOX 「PLENTY」 (2010) 英 CHERRY RED CDXRED 471 (CD)
|
レッド・ボックスはサイモン・トゥールソン・クラークという男性のソロ・プロジェクト色強いグループで、 2人組だった頃の1986年の1st「The Circle & The Square」は全ポップス・ファン必聴のスーパー大傑作でした。 本作は突然復活し発表された作品で、アルバムとしては3rdになりますが、これがよくできたポップス・アルバムで まあ、よくできていると言ってもそこまで大騒ぎする程ではありません・・・が、でも、やっぱりこれ良いわぁー。 いや、よくできたポップス・アルバムっていうのは、逆によくできているが故に聴いていて疲れる場合があります。 例えばトラッシュ・キャン・シナトラズ1stとか、プレファブ・スプラウトのヨルダンとか・・・最後まで聴くのが辛くてねぇ。 本作は疲れそうで疲れない絶妙なバランスで仕上がっていて繰り返し聴ける・・・つまり、これ良いわぁー、なのです。 どこらへんが良いかというと、1980年代と同じような音を出そうとはしておらず、今やりたい素直なサウンドづくりが 感じられる点でしょうかねぇ。 全体的にアコースティックな感触の落ち着いたアレンジの曲が多くなっているため サイモン・トゥールソン・クラークのシンガー・ソングライター作品をレッド・ボックス名義で出したような趣もあります。 そしてデビュー・シングルを出したチェリー・レッドからのリリース! ああ、1980年代の青春がよみがえるぜ! ドラムレスでピアノとストリングスが入って、ドラマチックなメロディーがじわーっと染みる1曲目からとても良くて、 全体を通してもドラマチックなメロディーが多く奏でられ、しっとりと、じっくりと聴かせてくれて、良いですねぇ。 1980年代の「The Circle & The Square」の頃のような雰囲気がるのは、哀愁のメロディーの5曲目くらいで、 「ヘーイ、ハイヤー、ヘーイ、ハイヤイヤイ、ヘーイ、ハイヤイヤイエー」のフレーズがとてつもなくレッド・ボックス! そしてバフィ・セイント・メアリーの歌声がサンプリングされた14曲目! つまり、遂にバフィと共演だぁぁぁ! ボーナス・ディスクの2曲目はバフィ・セイント・メアリーのカバー、6曲目はコーギスのカバーになっています。 ボーナス・ディスクは本編よりは弱いかなぁ。 あくまでもボーナス・ディスクという感じになっています。 レッド・ボックスを書いたページへリンク! このCDを購入した時の感動秘話・・・2011年2月19日更新の表紙 1st「The Circle & The Square」と「Saskatchwan」・・・第8号 2000/3/5 死ぬ程名曲サスカッチェワンを求めて 2nd「Motive」・・・第153号 2009/7/4 カス盤価格でつかまえて |
RODDY FRAME 「SEVEN DIALS」 (2014) 欧 AED AEDROD07LP (LP+CD)
|
アズテック・カメラをやっていた1980年代はネオアコの王子様としてアイドル的な人気もあったロディ・フレイム、 2006年の「ウエスタン・スカイズ」以来の久々のアルバムが登場! ジャケ写を見ると王子様も老けました・・・ ただ見た目は老けてもアルバムの内容はとても良く、ナイス・ソングの連発、王子様サウンド炸裂ですよぉぉ! そしてこのLPは同内容のCDが封入されているシリーズで、右の写真がそのCDのジャケットになっております。 ミドル・テンポのA面1曲目から永遠系の素敵なアコースティック・ポップで、キャー! これ、良いぞぉー! そしてA2のタイトルがポストカードときたモンだ! アズテック・カメラはスコットランドのポストカード・レーベルから デビューしており、ポストカードという単語の響きは1980年代のネオアコな青春を再び蘇らせてくれるのです。 更にこの曲、間奏で同じ音を34回(何となく数えたので適当な回数です!)繰り返すギター演奏が入り、 アズテック・カメラ初期の代表曲「オブリビアス」の間奏を思わせるという大イベントが開催されて、キャー! 彼の作る独特の特徴あるメロディーのせいなのか、どんなタイプの曲でもスタイリッシュに聴こえるのですが、 ハーモニカが入って楽しくはじけるB1なんかも、カントリー風味の曲なのにのどかな感じはせず 都市型のポップスに聴こえます。 ・・・と、これがロディ節というヤツなのでロディ節全開のアルバムですね。 どの曲も3〜4分程度の尺になっていて、シンプルなアレンジでコンパクトにまとまっていながらドラマティック。 前作「ウエスタン・スカイズ」ほど渋くはなく、1998年の「ノース・スター」に近い感触でしょうか。 「ノース・スター」に近いという事はかなり素晴らしいのですが、1980年代の青春がよみがえると言うよりも 1990年代がよみがえるって事ですね。 でも、王子様サウンド炸裂って事で、とにかく、キャー!なのです。 ロディ・フレイムを書いたページにリンク! 第60号 2002/11/19 英国ジジババ・サウンドが今熱い 第118号 2006/9/22 ロディにだったら抱かれても構わない・・・いや 抱かれたい! |