カス盤はたいがいレコード屋のカス盤コーナーに入っていますが・・・いや ちょっと待てよ。
実際に「カス盤コーナー」という名称のコーナーを設置しているレコード屋など無いし
カス盤とはこういうモノだ!という明確な定義など無いじゃないですか!
「安く売っているからカス盤」だとか「ジャケットからカス盤臭がする」など
何ともあいまいな独断と偏見によりカス盤扱いされてはたまったモンじゃありません。
つまり過去に蓄積されたデータを元に誰もが納得のいくカス盤の定義が必要なのです。
ではこれから蓄積データを分析し計算し明確なカス盤の定義を作る作業に入りますよ。
最終的には「カス盤マニュアル」や「カス盤ハンドブック」などを出版して
カス盤界の風雲児として一儲けしたいと思っています。


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NICK HEYWARD 「POSTCARDS FROM HOME」 (1986)
日本フォノグラム 28RS-16 (LP)
A1 Move It Up
 2 Over The Weekend
 3 Goodbye Yesterday
 4 Again In My Heart
 5 We've All Been Kissed
 B1 Pray For A Miracle
  2 Now You've Gone
  3 Come On Baby Run
  4 Teach Till You Reach
  5 Cry Just A Bit

イギリスのシンガー・ソングライター ニック・ヘイワードの1980年代のアルバムはカス盤コーナーの定番!
本作はヘアカット100脱退後のソロ2ndで スタイリッシュな1980年代ポップスが炸裂するカス盤です。

彼の在籍していたヘアカット100というバンドはサックス&ラテン・パーカッションが全体を支配する
ファンキーなポップスだったけど スピード感のあるギター・カッティングがネオ・アコースティックしていました。
このソロ2ndでもヘアカット100の面影はあるもののネオ・アコースティック度が低くなりエレポップ度が増した
聴いているだけで赤面してしまう1980年代サウンドで カス盤になるべくしてなっていると言えますね。

冒頭のA1こそが本作を象徴するゴージャスでスタイリッシュでダンサンブルなエレポップ・ナンバー!
A4のバラードとかホントどうしてくれましょうという感じの恥ずかしい曲になっていて恥ずかしいですし
またB面があまり印象に残らないときたモンだ。 こんな音じゃ2011年の現在は需要ナシって事で
全国津々浦々のカス盤コーナーでカス盤として君臨し続ける事でしょう。 ・・・でもたまに聴くと良いよ!
1980年代サウンドってずっと聴いてはいたくないけれど ちょっと聴く分には新鮮に響いて良いですね。

ニック・ヘイワードという人はアイドル的な人気もあったので 当時はそれなりに売れた作品ではありますが
1986年当時この日本盤LPを定価の2800円で購入した17歳の女の子も今では42歳のババアです。
17歳の女の子が小遣い貯めて必死で購入した本作には2800円以上の価値があったはずだよね。
それが現在 カス盤コーナーの定番アイテムとして中古で100〜300円で売られているという現実!

そんな現実を見て42歳のババアは何を思うのでしょう。 もちろんああ懐かしいなぁと思うのが正解です。
私のニック・ヘイワードが100円で売っているなんて許せない! こんなレコード屋燃やしてやる!
なんて考える人は不正解ですからね! でもそんな過去を引きずってしまう愛すべき不器用さんや
不正解な人こそ僕は好きですけどね! ただレコード屋を燃やすのはダメだね。 燃やしてはいけません。
 


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DEXYS MIDNIGHT RUNNERS 「DON'T STAND ME DOWN」 (1985)
英 CREATION CRECD 154 (CD/1996)
1 The Occasional Flicker
2 This Is What She's Like
3 My National Pride
4 One Of Those Things
5 Reminisce (Part Two)
 6 I Love You (Listen To This)
 7 The Waltz
 extra tracks
 8 Reminisce (Part One)
 9 The Way You Look Tonight

1980年代英国の重要バンドのひとつであるデキシーズ・ミッドナイト・ランナーズの3rd&ラスト・アルバム。
僕の手元にあるのはクリエイション・レーベルからボーナス曲付きで再発されたこのCDなのですが
ちょっと前にこれのLPが新宿のディスク・ユニオンで50円で売られていて思わず購入しそうになりました。

CDを所有していても50円という破格であれば購入すればいいのだけど 実はこのアルバムはLPを処分し
CDに買い換えた経緯がございまして 例え50円でも一度処分して買い戻す行為がどうしても納得いかない
そんな頑固者な性格なもので購入できませんでした。 でも今考えると ああ あの時の50円のヤツ
買い戻せば良かった・・・と後悔しています。 なので今度50円のヤツに出会ったら買わせていただきます。

それにしても需要の少ない中古LPとはいえ この素晴らしい内容で50円とは困ったモノです。
僕としては大ヒット曲「カモン・アイリーン」を含む傑作2ndアルバムよりもこの3rdの方が好きですしねぇ。
そう・・・傑作である2ndよりも好きなのだから 大傑作と言ってしまって良いのではないでしょうか。

本編がたった7曲と曲数が少ないのは1曲1曲が長いからで「カモン・アイリーン」の世界を気合いを入れて
再構築したらこうなっちゃいました的な12分を超える2曲目こそ 彼らの最終到達点ではないでしょうか。
その他の曲も2ndアルバムの路線を踏襲しながらもスケール・アップした感じで尺が長くなっています。
ケヴィン・ローランドの鼻詰まりソウルフル・ヴォイスも相変わらず存在感があるし どの曲も良いですよー。

しかし「50円」という価格はどう考えてもカス盤で「3枚で100円」と並ぶ誰もが納得の正真正銘のカス盤と
言っても構わない風格のある価格設定です。 なので「50円」と「3枚で100円」はカス盤に決定します。
でも僕はそこまで安い価格で買った事が無く 最も安く買ったのはアグネス・チャンのLP・・・99円でした。

ヴォーカルのケヴィン・ローランドの1stソロ「The Wanderer」・・・第145号 2nd「My Beauty」・・・第26号
 


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LINDISFARNE 「HAPPY DAZE」 (1974)
米 ELEKTRA 7E-1018 (LP)
A1 Tonight
 2 In Year Head
 3 River
 4 You Put The Laff On Me
 5 No Need To Tell Me
 6 Juiced Up To Lose
 B1 Dealer's Choice
  2 Nellie
  3 The Man Down There
  4 Gin And Tonix All Round
  5 Tomorrow

英国バンド リンディスファーンの6thアルバム。 元々の値札の315円に200円の割引きが加わり
支払った金額は115円でした。 盤面に傷があって安いとかでも無く いくら英国バンドの米盤LPとはいえ
この価格はヒドい! 当然内容もヒドい!・・・とは言いませんが初期の作品と比べると勝てませんけどね。

で これ ジャケットが英国盤と違うのだけど ジャケット違いのアメリカ盤ってけっこうあるじゃないですか。
僕の経験からすると 別ジャケットにした95パーセントくらいはダメなジャケットになってしまっていますよ。
これも当然ダメ・ジャケットになっていて 何も知らずにパッと見たらロック・バンドのLPには見えないよなぁ。

メンバー分裂騒動があり何とか活動を続けていたリンディスファーンもこのアルバムを最後に活動を停止。
・・・と思ったらすぐにオリジナル・メンバーで再結成してしまうズッコケぶりもリンディスファーンの魅力ですが
そんなひとまずの活動停止アルバムなので 全体的に何だか焦点が定まっていない感じがしますね。
アメリカンな感じもあるし 良い曲満載とはいかないけれども アイリッシュ・トラッド・ロックの如くなB2だとか
ベースのフレーズが心地良く響くザ・バンドのような大らかなB4だとか 良い曲もあるので安心して下さい。

さて中古盤の場合 大量に売れて中古市場に在庫が余っていて なおかつ誰も購入する気の無い商品が
結果的にカス盤価格で売られカス盤と呼ばれる存在になります。 リンディスファーンのこのLPが
大量に売れたとは思えないけれど 今現在誰も購入する気が無いのでこんな価格設定になっています。

大量に売れ中古市場に在庫が有り余っている商品で最も有名なのはビートルズというバンドでしょうか。
ビートルズはなぜかいまだに需要があり中古盤もそれなりに売れるのでカス盤価格にはなりませんね。
それに対してZARDなど1990年代の日本のポップスのCDはだいたい100円で買えますよね。
1990年代の日本のポップスが全部カスな訳ではありませんが 100円で売っていたらカス盤決定です。
1990年代洋楽だとピーパッパッパラッポも100円で売っている代表的なカス盤ですね。

その昔 リンディスファーンの1st「Nicely Out Of Tune」を書いたページ・・・第23号
 


HighFive.jpg
THE PRIMARY 5 「HIGH FIVE」 (2008)
英 NEON TETRA Tetra 013 (CD)
1 I Wonder Why
2 High 5
3 So Much To Find
4 Same Old Story
5 Breathe
  6 Lost And Confused
  7 Rewind
  8 Fly Baby Fly
  9 Stills
 10 Trains

ついこの間の話 新宿のタワー・レコードのセール・ワゴンにこのCDが10枚くらい放り込まれており
それも価格は100円で 典型的な過剰在庫&不人気品のお手本のようなカス盤臭を放っていました。
確かにこのバンドの事を知らずにジャケットだけ見たら 是非聴いてみたい!とは思いませんよね。
でも是非聴いてみたい!と思わなくても このCDから何かを感じ取って100円で購入した人は正解!
あなたは良い買い物をしました・・・しかし全部捌けたとは思えないね。 売れ残ったら廃棄でしょうか?

プライマリー・ファイブはティーンエイジ・ファンクラブのメンバーだったポール・クインが率いるバンド。
ギター ベース ドラムスを基本に あと多少キーボード類が入り ナイスなメロディを持った楽曲群が
連発されるギター・ポップでティーンエイジ・ファンクラブに似ている・・・というか もうそのものですね。 

これは彼らの3rd&ラスト・アルバムで 爽やかなメロディーとソフト・タッチなハーモニー・コーラスが
3枚のアルバム中最も行儀が良い印象で ちょっと水に薄まって味がぼやけたコーラの如くだけど
それでも こんなナイス・メロディーを連発するギター・ポップは そうそうあるモンじゃありませんよ。

そんな素晴らしいアルバムだというのに10曲入りで100円かぁ。 じゃあ1曲が10円ですか?
いやこんな良い曲だから 低く見積もっても1曲100円 10曲で1000円の価値はあるよなぁ。
ただ過剰在庫&不人気により100円で販売されてしまった事実は受け止めないといけません。
どのように受け止めるかというと 内容が良くても悪くてもこのアルバムはカス盤だと受け止めましょう。

さて ここまで読んだら皆さんカス盤の定義が段々わかって来たのではないでしょうか?
なになに? データを分析して計算していないって? あちゃー! それは痛いところをつかれた!
イタタタタ・・・それでも「カス盤マニュアル」「カス盤ハンドブック」出版の権利は誰にも渡さんぞ!

その昔 プライマリー・ファイブの1stアルバム「North Pole」を書いたページ・・・第103号
 

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