アメリカ盤LPなどはだいたいサランラップのようなビニールでパッケージされていますよね。 
それは専門用語でシュリンクと呼ばれるヤツで シュリンクを剥がさない人はけっこう多そうです。
でも剥がさないのはシングル・ジャケットの場合だけで 見開きジャケットを剥がさないと
見開きが開けず中が見られないという大問題が発生してしまうじゃないですか。
ところが僕は見開きジャケットでも剥がしませんよ! ・・・そう「剥がしま宣言」です。
いや また嘘をついてしまいました。 そんな宣言するほど気合いは入っていなくて
たまたま剥がしていないのが何枚かあったので今回並べてみたのです。
ああはやく本当に「剥がしま宣言」できるような気合いの入った人物になりたいです。


QuietIsTheNewLoud.jpg

KINGS OF CONVENIENCE 「QUIET IS THE NEW LOUD」 (2001)
欧 SOURCE SOURLP019 (LP)

A1 Winning A Battle, Losing The War
 2 Toxic Girl
 3 Singing Softly To Me
 4 I Don't Know What I Can Save You From
 5 Failure
 6 The Weight Of My Words
 B1 The Girl From Back Then
  2 Leaning Against The Wall
  3 Little Kids
  4 Summer On The Westhill
  5 The Passenger
  6 Parallel Lines

LPジャケットにコーラやコーヒーや味噌汁や焼肉のタレなどの液体をこぼしたら染みになってしまうし
ナポリタンやボンカレーなどの固体の場合でも 染みに加え臭いまで付いてしまってもう大変です。
ところがシュリンクがあればジャケットに何をこぼしたって大丈夫! 拭き取ればもういっさい問題無し!

ここはナポリタンやボンカレーよりもクッサそうな551の豚まんをなすりつけて試してみようぜ!
でも551の豚まんレベルのキッついヤツになるとシュリンクがあっても臭いが浸透しそうですね。
もちろん飲み物や食べ物をこぼさないように注意するのが一番ですが ただひとつ言いたい事は
万が一何かをこぼしてしまってもシュリンクがあればジャケットの保護になるという事です。
つまり全員シュリンク剥がしま宣言すべきで 見開きジャケットでも剥がしま宣言すべきなのです。

見開きの中がどうなっているか気になる時は雑誌の袋とじを覗き込むが如く見ればオッケー!
そう 中も気になるけれど 551の豚まんをこぼした時の事を考えるともうシュリンクは剥がせませんよね。

さて ノルウェーの男性デュオ キングス・オブ・コンビニエンスの2ndのLPも 気になる見開きの内側は
袋とじを覗き込むように見ればオッケーなので見開きジャケットのシュリンクを剥がしま宣言です。

サウンドは青くて瑞々しいけれど完成度の高いフォーキーな音で じわりと静かなる闘志を感じますねぇ。
その静かなる闘志とアルバム・タイトルがとても合っていて「Quiet Is The New Loud」というフレーズは
当時彼らのような音楽のスローガンとして共感した人も多かったのではないでしょうか? このスローガンは
大きなムーブメントになるまではいかなかったようですが ホントよくこのタイトルをつけたなぁと関心します。

フォーキーといってもアコギだけでなく リズム楽器やホーンやストリングスなども程よく入るので聴きやすく
カントリーやブルースといったアメリカン臭は無く ノルウェー出身らしいヨーロッパ的な響きがあります。
2人の優しく語りかけるようなハーモニー・コーラスがそよ風のように過ぎて行き とても心地良いです。

そしてボサノヴァのリズムを持った曲が多く 1980年代のネオ・アコースティックを思わせる部分があります。
ベン・ワットの「ノース・マリン・ドライブ」を炭酸飲料(シュエップスが望ましい)で薄めたようなサウンド・・・
あるいはファンタスティック・サムシングから1980年代っぽさを差し引いたサウンドとでも言いましょうか。
つまり相当良い内容ですが ネオアコが引き合いに出てしまう事自体がもうアウト!でもあるのです。
 


MidniteVultures.jpg

BECK 「MIDNITE VULTURES」 (1999)
米 BONG LOAD BL46 (LP)

A1 Sexx Laws
 2 Nicotine & Gravy
 3 Mixed Bizness
 4 Get Real Paid
 5 Hollywood Freaks
 6 Peaches & Cream
 B1 Broken Train
  2 Milk & Honey
  3 Beautiful Way
  4 Pressure Zone
  5 Debra

米国人ベックのこのLPは確か吉祥寺のレアで中古を購入しました。 もうけっこう昔・・・6〜7年前かな?
見開きなのにシュリンクがついていて これを売り飛ばした前の持ち主も剥がしま宣言しているようです。
そんなんで前の持ち主に敬意を表して どんな事があっても本作のシュリンクは剥がさない勢いです。
しかし見開きなのにシュリンクが剥がしていない作品が中古で平気で転がっているという事は
剥がしま宣言の人は実は割と多いのではないか?と思わせます・・・他に転がっていた事無いけどね。

バンジョー・ロールも入って盛り上がるポップなソウル・ナンバーのA1はコーラス隊の入り方がT・REXを
思わせたりして楽しくて良いですねぇ。 バンジョーはなぜかカントリー〜ブルーグラス方面のオヤジ
ハーブ・ペダーセンが演奏していて その他の曲でもペダル・スティールが聴こえてきたりもしますが
カントリー色などは無くて ソウル〜ファンク〜ヒップ・ホップ色が強いアルバムになっています。

このファンキー・サウンドはプリンスみたいで 裏声を多用したヴォーカルもプリンスを思わせますね。
いや この裏声はベック本人じゃなくゲスト・ヴォーカルかも知れませんよ。 よくわからないのだけれど
ヴォーカル・コーラスの人 楽器演奏の人と とにかく豪華にゲスト参加者が多数で 馬鹿みたいに
朝までダンスでパーティーな世紀末(1999年作)の混沌ならではの豪華なファンク・ロックなのです。

「ミューテーションズ」と「シー・チェンジ」というアコースティックで素晴らしい歌もの作品に挟まれた
本作のサウンドは僕の好みでは無いけれども この振幅の激しさがベックの面白いところでもあります。
この20世紀末のサウンドもけっこう楽しく聴けて踊りたくなるので たまには馬鹿みたいに朝までダンスで
パーティーもいいですよ。 でもやっぱり「ミューテーションズ」や「シー・チェンジ」の方が好きだけどね。

なおレコード棚を見たらベックは「グエロ」も見開きジャケットなのにシュリンク剥がしま宣言中でした。

「Mutations」・・・第53号 2002/3/31 若手ルーツ・ロック芸人でヤングとの溝を埋めてみよう
「Modern Guilt」・・・第161号 2010/3/31 CDWOW!による深刻な資金不足解消法
 


MysticChordsOfMemory.jpg

MYSTIC CHORDS OF MEMORY 「MYSTIC CHORDS OF MEMORY」 (2004)
米 ROUGH TRADE 06076-83236-2 (CD)
1 Berry Creek Falls
2 Soul Through The Bullet Hole
3 Golden Dome
4 Sure, Bert
5 Like A Lobster
  6 Eyes On Sides Of Heads
  7 Open End
  8 
Last One
  9 Mongo And Arky
 10 
Pi And A Bee

ビニールでパッケージされているのはLPだけではなく 紙ジャケCDもシュリンク付きの場合がありますね。
このミスティック・コーズ・オブ・メモリーも小さいサイズの見開き紙ジャケにシュリンクが被さっていましたが
ディスク取り出しの部分だけカッターで切ってシュリンクは剥がしません。 紙ジャケCDも剥がしま宣言です。

それに本作のようにステッカーがある場合 シュリンク付きだとジャケットに直接貼ってなくて良いですよね。
まあこんなステッカー自体別に無くても良いのだけれど 店頭でステッカーの宣伝文句を見て手に取る
場合もありますものね。 本作の文句は「Featuring Christopher Gunst the voice of Beachwood Sparks」で
ビーチウッド・スパークスのファンは全員このステッカーを見てCDを手に取ったと思われますね。
そんな思い出の(?)ステッカーを残しておくため 見開き紙ジャケCDでもシュリンク剥がしま宣言なのです。

米国バンドのビーチウッド・スパークスはサイケデリックで浮遊感のあるカントリー・ロックが得意でしたが
このミスティック・コーズ・オブ・メモリーはビーチウッド・スパークスの浮遊感の部分を強調したような音です。
基本的にはアコースティックでゆったりとしたフォーク・ロックなのですが 楽曲のメロディーに抑揚が無い為
あれやこれや色々な要素が薄まり 結果雰囲気勝負になり浮遊感が浮かび上がるという構図ですね。

またクリストファー・ガンストの甘ったるい声も色々と薄めるのに一役買っており・・・薄めるって何だ?的ですが
とにかくこのアルバムは濃くはないですよ。 でも薄いからといって悪いという事では無く とにかくこの浮遊感は
中々出せるものでは無いし ゆらゆらと漂う感じがとても心地良くて素晴らしい作品に仕上がっています。

そして聴き終えてなぜか記号のような音が並んだインストの2曲目が最も印象に残るという変な作品でもあり
ジャケットの変なタヌキ(なのでしょうか?)も脳裏から離れません。 ああ タヌキ・・・今夜はうなされそうです。

Nobody & Mystic Chords Of Memory名義での2006年のアルバム「Tree Colored See...」
 ・・・第141号 2008/7/6 お待たせしました 2006年ベスト10!
 


SimpleAsOneTwoThree.jpg

HERON 「SIMPLE AS ONE TWO THREE」 (2011)
エアー・メイル・レコーディングス/NICE FOLKS AIRNF-011 (CD)
1 In The End
2 The Magpie's Song
3 You Took Your Time
4 Let The Good Times Roll
5 Home
6 Boogie Woogie (Buggy Wuggy)
7 You Were All I Need
  8 Sunshine (Feels Alright)
  9 Barcelona
 10 King's Road
 11 Welcome To America
 12 One Two Three (The Ballad Of Notting Hill Gate)
 13 
Si Bheag Si Mhor

過去の曲の再演中心で何となーく活動を続けていたヘロンですが 最新作は何となーくじゃなく本気です。
再演曲の1曲目とカバーの13曲目以外は全部新曲で本気! 1970年代のメンバー4人が再び集い本気!
これは聴く側も本気でいかないといけないので 本気で紙ジャケ見開きCDのシュリンク剥がしま宣言です。

いや本当はそんな気は無くて 盤の取り出し口をシューッとカッターで切ったら良い感じにシュリンクが残り
もったいないのでそのままにしています。 見開きの中が見たいのでその内シュリンクを剥がしちゃうかもね。

ただ本気のヘロンであっても2011年作となれば当然歳をとったジジイ軍団が奏でるサウンドですから
この世に存在するアルバムの中でも最高峰で奇蹟のような響きの1970年代のヘロンと同じとはいきません。
それでも美しいメロディーとあまり美しくないヴォーカル・ハーモニーがあり ギター マンドリン キーボード
などによるユルいフォーク路線は同じで 傑作!とはいかないけれど感動を運んでくれるナイスな1枚です。

奇数曲がロイ・アプス作 偶数曲がG・T・ムーア作と 2人の曲が交互に登場する構成になっていて
ホイッスルが入りアイリッシュ・トラッドのように響き郷愁を誘うインストの13曲目だけはカバー曲です。
そして暫くヘロンから離れていたG・T・ムーアが ヨレヨレで情けないけどソウルフルな節回しで崩して歌い
これが凄く良い! おかげでロイ・アプスの曲も良いのだけどG・T・ムーア作の偶数曲の方が耳に残ります。

「Have a nice day」のフレーズが印象的な2曲目。 リズミカルに迫ってアルバムにバラエティー感を与える
4曲目と6曲目。 男の哀愁漂うシンガー・ソングライター風味の8曲目。 CDシングルが製作され
シングル・カットされた(?)10曲目など G・T・ムーアがメイン・ヴォーカルで歌う曲の存在感は凄いです。

そして特に ハーモニカの前奏に導かれ始まる12曲目は 涙が溢れ出しそうになる感動的な名曲で 
全曲中最も情けなくもソウルフルな節回しで歌ってくれます。 後半でワン・ツー・スリー・フォー・・・と歌われ
最終的に21までの数字を歌う部分がちょっとたまりませんよ。 ホント聴き進むほど気分も盛り上がるので
20分でも30分でも1時間でも もっとずっと続いてくれれば最高潮に気分も盛り上がりブッ倒れるのですが
この曲はたった5分39秒しか無いので倒れるまでは至りません。 おかげで繰り返し何度も聴いています。 

なお本作は諸事情により新宿のタワー・レコードで入手。 何年ぶりだろう・・・タワーを利用するなんて。
かつてはタワー嫌いで有名なわたくしでしたが 今となってはリアル店舗をメインにやっているタワーには
頑張って欲しいので応援しています。 ああそうだ オマケCDシングル「King's Road」も付いてきましたよ!

ヘロンを書いたページ色々
第2号 2000/1/16 英国フォークの最高峰ヘロン
第31号 2001/2/10 ヘロン大量入手で心ここにあらず
第87号 2004/5/16 ヘロン祭りだ!わっしょい!わっしょい!
第134号 2007/11/29 英国フォーク・レア音源の最終兵器にもう泣くしかない
第142号 2008/9/6 ヘロンの「私ことはない」
 

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