若者の考えている事が理解できないと悩んでいるオヤジ世代の皆さん
たまには若手芸人の音楽にも耳を傾けてみましょう。
無理してでもヤングの音楽を聴いておけば明日からはもう大丈夫!
・・・って何が大丈夫かは知らないけど。



 
BECK 「MUTATIONS」 (1998)
米 BONG LOAD BL39 (LP)
A1 Cold Brains
 2 Nobody's Fault But My Own
 3 Lazy Files
 4 Canceled Check
 5 We Live Again
 6 Tropicalia
 B1 Dead Melodies
  2 Bottle Of Blues
  3 O Maria
  4 Sing It Again
  5 Static
 bonus 7'' (BL40)
  A Diamond Bollocks
  B Runners Dial Zero

ベック・・・この華奢なアメリカ人には 「ルーザー」 という大ヒット曲もあるし有名人ですね。
この人は沢山アルバムが出ているようですが僕はこれが何枚目か知りません。

彼の特徴はフォーク&カントリー&ヒップ・ポップの融合という事になるのでしょうが
このアルバムではヒップ・ホップの部分が後退しているので 最近の若手芸人の音楽には
ついていけねーよとお嘆きのロック好きオヤジの皆様もイケるんじゃないでしょうか。
童顔に似合わず渋いオヤジ声ヴォーカルであるっていうのもいいじゃないですか。

どんどん落ち込んでいきそうなメロディーを伴ったフォーク・ロックを中心に展開され
シタールっぽい音も入ってトローンとした感じがアシッド・フォークといえそうなA2と
のどかなカントリー・サウンドなんだけど何故か落ち込んじゃうA4なんかがその真骨頂。
ハープシコードが鳴り続けるA5 フォーキーなワルツB1 カントリー・ワルツB4
といったあたりははとても美しい響きの名曲だし A6のボサノバ・ナンバーも良いなぁ。

若者との溝を埋めたい中間管理職の皆様は時折挿入される電子音などに注目しましょう。
きっとこの入り方が現代の病める若者の気分を代弁しているのです。
右側の写真は挿入されているシングル盤サイズの歌詞カードからの写真ですが
指をちぎったら血のかわりにペンが沢山出てきましたーという こーいった現代アートにも
若者との溝を埋めるキーが潜んでいるので注目しておかないといけません。

オマケ・シングルはA面がミクスチャー度の高い音響派ロック。
B面はゆったりと深いエコーの彼方に狂気が見え隠れする静かな曲です。
このオマケ・シングルの方がベックという人の本質をついている気もします。



 
TRAVIS 「THE INVISIBLE BAND」 (2001)
英 INDEPENDIENTE ISOM 25LP (LP)
A1 Sing
 2 Dear Diary
 3 Side
 4 Pipe Dreams
 5 Flowers In The Window
 6 The Cage
 B1 Safe
  2 Follow The Light
  3 Last Train
  4 Afterglow
  5 Indefinitely
  6 The Humpty Dumpty Love Song

このアルバムはレコファンの試聴機に入っていたのでふらりと試聴してみたら
1曲目の哀愁のメロディー&バンジョーが絡む曲に かなり良いじゃん!
と思ったのですが 気になるけど購入せずにずーっと放っておいたのです。

この間吉祥寺のアトモスフィアーで新品LPが1480円プラス税と安かったので購入。
黄金色の森ジャケがそそるこのアルバムは3rdらしいです。 よく知りませんけど。
でも彼らが英国のバンドであるっていうのは間違いありません。
・・・ん?ロサンゼルス録音だなこれ。 アメリカのバンドだったらどーしよう。

トラヴィスは2001年のフジ・ロック・フェスティバルにも登場していたし
このアルバムの発売時にはどのレコード屋にもずらーっとCDが並んでいました。
そんな訳できっと若者に大人気バンドなので これを聴いておけば
ヤング世代とトラヴィス話で大盛り上がり確実ですね。

メンバーは男性4人。 担当楽器などはどこにも印刷されていませんが
ヴォーカル ギター ベース ドラムス のロック基本編成でしょう。
オアシスの眉毛のつながった兄弟やレディオヘッドの栄養失調顔のヤツみたいに
顔面だけでカリスマな野郎がいないのであくまでも楽曲勝負のバンドとみました。
ん?いやらしいヒゲ面のチンピラみたいな顔面カリスマ一歩手前なヤツが1人いますねぇ。

基本サウンドはアコースティックな響きを重視したフォーク・ロックです。
哀愁を帯びた綺麗なメロディーの曲が多くてなかなか良いのではないでしょうか。
ただ全体的に小奇麗に作り過ぎかなぁといった感じがしました。
細部の音が行き届き過ぎっていうか・・・これはプロデューサーのせいなのでしょうか。
ヴォーカルのヤツのソロ・アルバムにバックがついているという印象もありますねぇ。
それでも1曲目はホント良い曲ですよ。



 
GORKY'S ZYGOTIC MYNCI 「BARAFUNDLE」 (1997)
英 FONTANA 534 769-2 (CD)
1 Diamond Dew
2 The Barafundle Bumbler
3 Starmoonsun
4 Patio Song
5 Better Rooms...
6 Heywood Lane
7 Pen Gwag Glas
8 Bola Bola
  9 Cursed, Coined And Crucified
 10 Sometimes The Father Is The Son
 11 Meirion Wyllt
 12 The Wizard And The Lizard
 13 Miniature Kingdoms
 14 Dark Night
 15 Hwyl Fawr I Pawb
 16 Wordless Song

ゴーキーズ・ザイゴティック・マンキは男性4人女性1人の5人組。
このウェールズ出身のバンドは沢山アルバムが出ていて今や若手芸人とは言えないかな?
6〜7枚は出ているはずですが このアルバムが何枚目なのかは知りません。

常に気になるバンドではあるのですが新譜が出る度購入するという事はしていません。
なんか中古CDがゴロゴロ転がっているので激安商品を発見した時だけ購入しています。
本CDは350円プラス税で拾ってあげました。 僕は彼らのアルバムはあと2枚所有していて
1995年の 「Bwyd Time」 と1999年の 「Spanish Dance Troupe」 というアルバムですが
両方とも500円くらいの中古盤CDを拾っているのです。

ではゴーキーズが500円レベルの腐敗臭漂うバンドかというとそれは違います。
ちょっとだけ泣きが入っている男性ヴォーカル。 英語とウェールズ語の混在する歌詞。
ガット・ギターの柔らかい音色を基調に 怪しげな古楽器からメロトロンまで飛び出し
変態性が高いのに可愛らしくてポップなフォーク・ロックという不思議なバンドです。
彼らの曲を聴いているとまるでウェールズの森に迷い込んだが如くな雰囲気がありますよ。

4曲目の古臭いロッカ・バラード風な名曲でイチコロ。
クラムフォーンも入った古楽風インスト9はアメイジング・ブロンデル級に格調高いです。
迷い込んだ森からもう二度と抜け出せそうに無い美しいフォーク・ソング10。
可愛らしいリコーダーの音に導かれ始まる12は必殺フォークなのかと思いきや
気の狂ったバック・コーラスが入り良い雰囲気ブチ壊し状態で最高。

1970年代の非トラッド系英国フォークの雰囲気が好きなら黙って聴け!
といったレベルの素晴らしい内容なのでオヤジ世代の人もすんなり聴けると思います。
女性メンバーはフィドル専門という楽器構成も又そそるじゃないですか。
・・・僕も持っていないアルバムはちゃんと新品で揃えなきゃダメかしら?



 
BEACHWOOD SPARKS 「ONCE WE WERE TREES」 (2001)
米 SUB POP SP545 (LP)
A1 Germination
 2 You Take The Gold
 3 The Sun Surrounds Me
 4 Hearts Mend
 5 Let It Run
B1 Old Manatee
 2 The Hustler
 3 Yer Selfish Ways
 4 Close Your Eyes
 C1 Confusion Is Nothing New
  2 By Your Side
  3 Banjo Press Conference
  4 Jugglers Revenge
 D1 Quitely Be
  2 The Good Night Whistle
  3 Once We Were Trees

タワーレコードで試聴し購入に走った米国バンド ビーチウッド・スパークスの2nd。
一瞬でこれは良い!と判断しましたが 外資系大型レコード店に金を落としたくない僕は
タワーでCDを買わず別の店でLPを入手するという我ながら素晴らしい行動力を発揮。

緑の森に浮かび上がるメンバーの絵のジャケットとアルバム・タイトルにも大興奮ですよ。
右側の写真は歌詞カードの裏側の写真ですがLPで購入して正解と思わせるのに充分な
美しい森に溶け込むメンバー写真が又たまらないじゃあないですか。
更にLPだとCDより1曲多く収録されているみたいです。 どの曲か分からないけど。

冒頭から軽快なくせにサイケデリックな浮遊感もあるカントリー・ロックをかましてくれて
ヴォーカルのヨレ具合はまるでグラム・パーソンズだし コーラスの多用とかも
フライング・バリトー・ブラザーズの1stを思わせる素晴らしいアルバムになっています。
これは若者との会話のネタというよりもオールド・ファンが大喜びな内容かなぁ。

フライング・バリトー・ブラザーズ程のペダル・スティールの爆発力はありませんが
その代わりのどかなハーモニカが時折登場してこれが又効いています。
どことなくルーズな全体の演奏もバンドでやってます って感じが出ていて良いし
B1とB4のワルツにサンドイッチされたB面の流れの気持ち良さったらないですよ。

ハーモニカに導かれて始まるC2は切ないメロディーに 深いエコーがかかった
ギターとオルガンが絡みどこまでもどこまでも美しい浮遊感のある大名曲。
このバンド スケールがでかいです。 かなり良いです。



 
BEACHWOOD SPARKS 「BEACHWOOD SPARKS」 (2000)
米 BOMP BLP 4077 (LP)
A1 Desert Skies
 2 Ballad Of Never Rider
 3 Silver Morning After
 4 Singing Butterfly
 5 This Is What It Feels Like
 6 Canyon Ride
 7 The Reminder
 8 Sister Rose
 B1 Something I Don't Recognize
  2 The Calming Seas
  3 New County
  4 Old Sea Miner
  5 Surfing Saints

ビーチウッド・スパークスの2ndが素晴らし過ぎだったので1stも購入してしまいました。
1stもサブ・ポップから出ているとの情報があったので2ndをLPで出しているなら
当然1stもLPが存在するんだよな・・・とレコード屋に行くたび普段は見もしない
「オルタナティブ」 とか 「ロック1990〜」 のコーナーをサクサクやった結果のゲットぶりです。

こちらは新宿の強力なレコード屋ヴィニール・ジャパンが渋谷に出した新店舗で発見。
ヴィニール・ジャパン渋谷店はそれ程大きくない店構えながら新しめのロックから
ブリティッシュ・フォークの激レア盤までLPとCD両方扱う鋭い品揃えでした。
いや店内をじっくりとは見てはいないのです。 ビーチウッド・スパークス栄光の1stを
入手できたので鋭い品揃えだぜ!と僕が勝手に思ってしまっただけなのです。

でもこれレーベルがサブ・ポップじゃ無かったよ・・・アメリカ盤じゃ無いのかなぁ?
いや サランラップにくるまれたれた米国盤タイプのLPだし
レーベルの住所がバーバンクってしっかり印刷されているのでアメリカ盤ですねぇ。

この1stも2nd同様の浮遊感のあるカントリー・ロック・サウンドが基本です。
スケール感のある2ndと比べるとちょっと迫力不足な感じがしますねぇ。
2ndではヨレぎみで最高!と思えたヴォーカルもこちらでは
何て弱々しい声なんだ!お前肉食ってんのかよ! と思っちゃったりします。
が逆にそんな声のせいで優しげで爽やかなコーラス部分が最も印象に残るアルバムです。

ビーチウッド・スパークスはこれからアメリカン・ロックを代表するバンドになる予感がします。
まだそれ程有名では無いようなのでオヤジ世代の人は今の内に聴いておきましょう。
5年後にビーチウッド・スパークス・・・ビーチウッド・スパークスと騒いでいるヤングを捕まえて
俺は1stから聴いていたんだぜ!と盛り上がって世代のギャップを埋めましょう。
・・・なんだこのオヤジ自慢話かよ!うぜーよ! と嫌われるかも知れないけどね。



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