おっとーもう6月ですか。 またクソ暑くてジメジメした日本の夏がやって来ますね。
そんな日本の夏の風物詩といえば 海の家・花火大会・エレキの3つしかありません。
なぜ夏でエレキなのか その理由は寺内タケシと加山雄三を聴き込むとわかるので
夏が本格化する前に今すぐダッシュで聴き込まないといけないのは言うまでもありません。
でも残念ながら手元に彼らの音源が無く まったく聴き込みなどできやしないので
仕方無いからエレキで弾き語りの作品でも聴いてガマン ガマン。
エレキで弾き語りなんてちょいと小粋なのでガマンしながらも楽しめるってゆーモンです。


BackToBasics.jpg
BILLY BRAGG 「BACK TO BASICS」 (1987)
ビクター音楽産業 VICP-8075 (CD/1992)
life's a riot with spy vs spy (1983)
1 The Milkman Of Human Kindness
2 To Have And To Have Not
3 Richard
4 Lovers Town Rivisited
5 A New England
6 The Man In The Iron Mask
7 The Busy Girl Buys Beauty
 brewing up with billy bragg (1984)
  8 It Says Here

  9 Love Gets Dangerous
 10 From A Vauxhall Velox
 11 The Myth Of Trust
 12 The Saturday Boy
 13 Island Of No Return
 14 This Guitar Says Sorry
 15 Like Soldiers Do
 16 St. Swithin's Day
 17 Strange Things Happen
 18 A Lover Sings

 between the wars EP (1985)
 19 Between The Wars
 20 The World Turned Upside Down
 21 Which Side Are You On

エレキで弾き語りといって真っ先に思いつくのは英国のビリー・ブラッグです。 今でこそルーツ・ロックの
イケてるオヤジの彼ですが 初期はエレキで弾き語りしていて「1人クラッシュ」などとも言われていました。

この編集盤は 1983年の1stミニ・アルバム 1984年の2ndアルバム 1985年のEPを収録していて
収録曲の多くはガシャガシャとエレキをかき鳴らすスピード感のある曲で 弾き語りながらロックを感じます。
全編このパターンが基本路線なので 編集盤だけど1枚のアルバムとしても統一感はありますね。

エレキで弾き語りの同じような曲を21曲も連続で聴かされると途中からかったるくなって来そうですが
いやいやどうして。 どの曲もわかりやすい展開のメロディーを持っているので聴きやすいですし
鼻詰まり気味のヴォーカルは決して上手くは無いけど ほとばしる情熱を感じさせ 妙に説得力もあります。
そんなんで 聴けば聴くほどグイグイと彼のワールドへ引きずり込まれてしまうという蟻地獄系ですよ。
ただ政治的な事も多く歌われる歌詞は言葉数も多く 曲に合わせて一緒に歌うのはけっこう難しいです。

トランペットが入る12曲目 オルガンが入る18曲目など 変化のある曲もほんのちょっとだけ入っています。
そしてカースティー・マッコールもカバーした5曲目は特に輝きを放つ彼の代表曲! いやぁ 名曲です。

更にマイナー調の6曲目などは伝統的なブリティッシュ・フォークからの影響も感じられますし
19曲目は可愛らしくて切ないメロディーがアイリッシュ・トラッドのようで ロックな姿勢でありながら
背景にフォークやトラッドも潜む彼の音楽性はアルバムを重ねる毎にどんどん明らかになります。

2008年に出た今のところ最新作の「Mr Love & Justice」は同じ曲をバンドで演奏したヴァージョンと
エレキで弾き語りヴァージョンの2枚組で 弾き語りヴァージョンはもう「1人クラッシュ」ではありませんでした。
大人のエレキ・フォークといった趣で この初期エレキ弾き語りと 聴き比べてみると面白いですねぇ。

しかし夏でエレキで弾き語りとか言って ビリー・ブラッグには夏のイメージはありませんよ。
彼の曲は季節を問わず聴ける曲ばかりだけど どの季節か決めろ!と言われたらむしろ夏より冬でしょうか。
それでも強引に夏とエレキとビリー・ブラッグを結びつけるのであれば リーゼント気味の短髪の髪型が
加山雄三と似てる事くらいで・・・いや それにしても加山の髪型は何か不自然じゃないですか?
あの不自然な髪型はいつになったら真実がわかるのでしょうか。 この疑惑は今後も追って行きますよ!

Billy Bragg 「Workers Playtime」をちょいと小粋に語った文章ヅラ・・・2006年6月24日更新の表紙
 


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RODNEY ALLEN 「HAPPYSAD」 (1987)
英 SUBWAY ORGANIZATION SUBORG 2 (LP)
A1 Happysad
 2 Saturday The If
 3 The Cost Of Living
 4 No-One In Particular
 5 Decisions Like These
 B1 Julianne
  2 Coming Up For Air
  3 Come Around Suzy
  4 Thrills On Wheels (The Moped Song)
  5 Bittersweet 16

ロドニー・アレンの唯一のアルバム。 知らない人にとってはアンタ誰?レベルの無名新人ですが
ネオアコ〜ギター・ポップ業界では割と有名人です。 また中古レコード屋には頻繁に転がっていて
イギリス本国よりも日本での流通枚数の方が多いのではないか?と思える程よく見かけますねぇ。

中古盤がよく転がっているという事は売り飛ばした人も多い訳で 確かに前項のビリー・ブラッグと
連続して聴いてみたりするとビリー・ブラッグの亜流にも聴こえてしまうエレキの弾き語りですよ。
ビリー・ブラッグが本物でロドニー・アレンは真似っ子だ!と感じたらそりゃー売り飛ばしたくなります。

ただ同じガシャガシャ系のエレキ弾き語りだけどビリー・ブラッグ程1曲の中でフレーズを変えて弾かず
ロドニー・アレンはひたすらコードを弾き続け とても青いですねぇ。 楽曲も程良く泣きの入った
切ないメロディーが連発されて青いです。 そしてヴォーカルもとても青いよ! 若いよ! ヤングだよ!
全編エレキの弾き語りですがA5とB5は間奏にサックスが入り ちょっぴり変化をつけてくれています。

いやしかしこの青さは狙って出せるものではなく 聴いていると恥ずかしくなる程の天然の青さですよ。
で 僕の耳にはどう聴こえるかというと 無名新人の隠れた名盤として響いてねぇ・・・これイイですよ!
・・・って1987年作なので今は無名新人じゃ無いけれど これ程の天然の青さがほとばしるとなると
永遠の無名新人の称号を与えなくてはいけないような気分になってくるじゃないですか!

そして夏でエレキで弾き語りとか言って ロドニー・アレンもビリー・ブラッグ同様 夏の音ではないです。
彼の青さは秋〜冬のイメージです。 それでも強引に夏とエレキとロドニー・アレンを結びつけると
青い!若い!ので若大将ですね・・・そう若大将といえば加山雄三です。 青い!の方だけをとって
青大将の田中邦衛でもいいですが田中邦衛はエレキじゃないのでやはり若大将にしておきます。
 


ADistantShore.jpg
TRACEY THORN 「A DISTANT SHORE」 (1982)
英 CHERRY RED MRED 35 (LP)
A1 Small Town Girl
 2 Simply Couldn't Care
 3 Seascape
 4 Femme Fatale
 B1 Dreamy
  2 Plain Sailing
  3 New Opened Eyes
  4 Too Happy

こちらはトレイシー・ソーンがマリン・ガールズとエブリシング・バット・ザ・ガールの間に出した1stソロ。
エレキで弾き語りは半分くらいで あとはアコギ弾き語りと アコギやエレキのギター2本で展開する曲ですが
出だしのA面1曲目がエレキ弾き語りの曲で アルバム全体ではエレキ弾き語りの印象が強くなっています。
いずれにせよここにあるのはトレイシー・ソーンの歌声と弾き語りに近いかたちの隙間のあるギターだけです。

A4はヴェルヴェット・アンダーグラウンドのカバーだけど その他のオリジナル曲は抑揚の無いメロディーで
淡々と流れて行く曲が多く 素朴というか地味というか・・・まあ 明るくはないですが暗くもないですね。
彼女のヴォーカルもウマいのかヘタなのか ソウルフルなのかソウルフルじゃないのか 何だかなぁ的ですが
それでもこの作品は1980年代前半の時代の空気を閉じ込めたドキュメントとしての素晴らしさがありますよ。

おかげで本作は1980年代の名盤としての地位を確立していて 今後もその地位は揺るぎそうに無いし
時代の空気感を無視しても 素朴で地味であるが故に美しく響く名盤として語られ続けるのでしょう。
またアコギで弾き語ってみても「フォーク」を感じさせないところも1980年代前半の空気感のひとつですね。

そしてやはりこのアルバムも夏でエレキで弾き語りとか言って 聴いていても夏のイメージが湧いてきません。
半袖で頬杖をつくジャケットは夏っぽいので 夏とエレキとトレイシー・ソーンを結びつけるのは可能ですが
聴くと秋〜冬の音として響くのですよねぇ。 うーんエレキで弾き語ると夏の音にならないのでしょうか?

ただトレイシー・ソーンがこのソロ作の前にやっていたマリン・ガールズは夏の海っぽいグループ名だし
本作の日本盤タイトルは「遠い渚」だし キーワードは夏の海で 夏の海といえば加山雄三じゃないですか!
ああ・・・また加山が出てきてしまいました。 いっさい意識した訳ではないのに また出てきてしまいました。
ただ加山の不自然な髪型については僕は常に意識していますよ! 必要以上に常に意識しています。

Everything But The Girl 「Baby, The Stars Shine Bright」のちょいと小粋な紹介ヅラ・・・第91号
 


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MIKE SCOTT
「BRING 'EM ALL IN」 (1995)
英 CHRYSALIS CHR 6108 (LP)
A1 Bring 'Em All In
 2 Iona Song
 3 Edinburgh Castle
 4 What Do You Want Me To Do ?
 5 I Know She's In The Building
 6 City Full Of Ghosts (Dublin)
 B1 Wonderful Disguise
  2 Sensitive Children
  3 Learning To Love Him
  4 She Is So Beautiful
  5 Wonderful Disguise (reprise)
  6 Long Way To The Light
  7 Building The City Of Light

ウォーターボーイズのマイク・スコットの初ソロ作もエレキで弾き語りの曲を多く含んでいます。
・・・と思って聴いてみたら アコギを弾いて歌い そこにエレキが乗っかるパターンが基本路線になっていて
エレキで弾き語りの曲は無かった・・・ああ勘違い。 エレキがギュイーンと主張するA5やB7の印象が強く
勘違いしてしまったけど ジャケット写真を撮って曲名も打ち込んでしまい もったいないので紹介しときます。

ウォーターボーイズは長尺曲も多く ギターやサックスやフィドルによる演奏部分も聴き所になっていますが
本作は演奏部分よりも 彼の叩きつけるような震えるヴォーカルが主役になっていてソロ作らしいソロ作です。
またアコギとエレキの他にはハーモニカやキーボード あとはパーカッションなどがちょっと入る程度で
ゲスト演奏者もおらず全てマイク・スコットひとりで演奏していて ホント ソロ作らしいソロ作になっていますよ。

フォーク〜トラッド路線で一世を風靡したウォーターボーイズの中心人物が放つ これだけシンプルな
弾き語りに近いかたちのアルバムとなると より一層フォーク色も強くなりそうですが ロックを感じますねぇ。
そしてシンプルなだけに実はウォーターボーイズよりも「魂を揺さぶられる度」「熱血ぶり度」は高いのです。
この熱血ぶりは彼のヴォーカル・スタイルによる所が大きいですが 程よく泣きが入る陰影のあるメロディーも
熱血を煽ってくれ やはりシンプルなだけにこのメロディーが煽る熱血ぶりもウォーターボーイズ以上です。

そう マイク・スコットは熱血野郎なので クールな若いヤングにとっては聴いていると吐き気を催す程の
熱血ぶりが恥ずかしい事になっていますが その熱血ぶりに魂を揺さぶられる若者だっている訳です。
吐き気を催してみせてクールな若いヤングを気取るか 魂を揺さぶられ感動して恥ずかしくなってみるか
どちらでも良いけど ちょっと試してみませんか? ウォーターボーイズ・・・そしてマイク・スコット!

そしてやはりこのアルバムも夏でエレキで弾き語りとか言って 夏では無く 秋の方がしっくり来る音でねぇ。
結果 今回紹介した作品はすべて夏以外の季節のイメージでした。 つまりエレキで弾き語りに
夏は合わないという事が判明したので 夏にエレキの弾き語りは聴いてはいけないのですよ。

じゃあ夏のエレキ・サウンドで何を聴くかといったら もちろん寺内タケシと加山雄三しかありません。
これは凄いダッシュで加山雄三の作品を買いに走らないと夏に間に合わないぞ! 急げ! 早く!
でもそんな凄いダッシュで走ったら勢い余ってカツラがずれてしまうかも! ずれるだけならまだしも
カツラが頭からハラリと落ちたりしたら大変だぁ! 不自然な髪型には要注意ですぞ 加山さん!

The Waterboysのちょいと小粋なレヴュー群ヅラ
「Fisherman's Blues」・・・第5号第85号 「Room To Roam」・・・第85号
「Windmill Lane Sessions」・・・第40号 「Book Of Lighting」・・・第129号
 

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