女性アーティストのレヴューが続いたので 今回は男臭ーいのを紹介します。
時代が新しいので1970年代前半の いかにものブリティッシュ・フォークではありません。



 
THE WATERBOYS
「FISHERMAN'S BLUES」 (1988)
英 ENSIGN CHEN 5 (LP)

A1 Fisherman's Blues
A2 We Will Not Be Lovers
A3 Strange Boat
A4 World Party
A5 Sweet Thing

B1 And A Bang On The Ear
B2 Has Anybody Here Seen Hank ?
B3 When Will We Be Married ?
B4 When Ye Go Away
B5 Dunford's Fancy
B6 The Stolen Child
B7 This Land Is Your Land
スコットランド出身の熱血野郎マイク・スコット率いる
ウォーターボーイズのこの4thアルバムは衝撃的だった。
それまでは単なる熱血ロックだなーと思いながらも
何となくアルバムは出る度買っていたのだけど
1985年のアルバム 「This Is The Sea」 以来
音沙汰がなく久々に登場した 「Fisherman's Blues」 は
あっと驚きのカントリー〜トラッド作品だったのである。
一夜にしてウォーターボーイズは
僕がこの世で最も好きなバンドになったのでした。
A面は1986〜87年のダブリン録音。
B面は1988年トラッドの聖地ゴールウェイ録音です。
アルバムを聴き進むと後半に行けば行く程
アイルランド音楽の要素が増し 聴き終えた時には
アイリッシュ・トラッドの魔力に侵されてしまいます。
実際僕もこのアルバムをきっかけに訳のわからない
トラッド・バンドのアルバムを沢山購入してしまいました。
A面にはかつての熱血ロックの作風もあり
ヴァン・モリソンのカバーA5なんかは
後半のマンドリンとフィドルのバトルが
プログレ・バンドみたいでもあります。
B面になるとトラッド色が強まり
デ・ダナンのメンバーもゲストで演奏します。
B6はアイルランドの詩人イエイツの詩に
メロディーをつけたもので 途中でゴールウェイ在住の
民謡歌手(?)が渋い声でその詩の朗読もします。
バックの のどかで悲しげな演奏に
よく合っていてこれがいいんだ。
ウディ・ガズリーのカバーB7は
クレジットにはないシークレット・トラックです。
これが次のアルバムを暗示しているかのような演奏で
1990年の5th 「Room To Roam」 は
女性アコーディオン奏者シャロン・シャノンが加入し
大活躍するトラッド・アルバムです。
こちらも素晴らしい。 今すぐ買いに走れ!




THE POGUES
「POGUE MAHONE」 (1995)
英 WEA 0630-11210-1 (LP)

A1 How Come
A2 Living In A World Without Her
A3 When The Ship Comes In
A4 Anniversary
A5 Amadie
A6 Love You 'Till The End

B1 Bright Lights
B2 Oretown
B3 Pont Mirabeau
B4 Tosspint
B5 Four O'Clock In The Morning
B6 Where That Love's Been Gone
B7 The Sun And The Moon
ティン・ホイッスル・・・この楽器をポーグスによって知り
この楽器が欲しくて東京中の楽器屋を回りました。
あれは1990年頃だったかな。 ああ なつかし・・・。

メイン・ソングライターでメイン・ヴォーカリストだった
シェイン・マッゴワンが脱退後発表した
1993年のアルバム 「Waiting For Herb」 が
どーでもいいようなアルバムだったので
(何といってもティン・ホイッスルが入っていなかった!)
ポーグスも もはやこれまでか
と思っていたのは僕だけではないはずです。
このアルバムもあまり期待していなかったのですが
盤面に針を落とせば いきなり そのテのファンには
神様級のロニー・レインのカバーじゃないですか。
A2はポーグスらしいぶっとばしの演奏と
切ないメロディーの曲。 A3はボブ・ディランの曲を
こちらも爆裂アレンジで聴かせてくれます。
そしてA4は女性コーラスも入った必殺のバラード。
この4曲でポーグス完全復帰が実感できました。
スゥイニーズ・メン・・・スティーライ・スパン・・・
ウッズ・バンド・・・ゲイ&テリー・ウッズ
と渡り歩いたテリー・ウッズが発言権を持った(?)
1989年の 「Peace And Love」 あたりから
ポーグスちょっとおかしいぞという感じはあったのですが
この 「Pogue Mahone」 ではテリー・ウッズを
やめさせて(?)大正解。
かつての息吹きを見事に取り戻したのでした。
しかしこの後ポーグスは解散してしまいメンバーの
皆さんは今や名前を聞く事も少なくなってしまいました。
シェイン・マッゴワンも最近名前を
聞かなくなってしまいましたが
1997年の2ndソロ 「The Crock Of Gold」 は名盤です。




THE ROKINGBIRDS
「THE ROCKINGBIRDS」 (1992)
英 HEAVENLY/COLUMBIA HVNLP 2 (LP)

A1 Gradually Learning
A2 Further Down The Line
A3 Standing At The Doorstep Of Love
A4 Jonathan Jonathan
A5 The Day My Life Begins
A6 Searching

B1 Restless
B2 Time Drives The Truck
B3 Halfway To Comatose
B4 In Tall Buildings
B5 Only One Flower
B6 Drifting
元ウエザー・プロフェッツのリズム隊が結成したバンド
というインフォメーションだけで購入してしまった
ロッキンバーズのデビュー・アルバムは
当時の英国にこんなサウンド好きなヤツいるのかよ!
のカントリー・ロックでした。 予想していたサウンドと
全然違ったので最初は戸惑ったのですが
今や 「これを聴いて死ね」 の仲間入りです。
ジャケットをじっくり見ればウエスタン・シャツを
着ているヤツが3人いるし バラの花は
フライング・バリトゥ・ブラザーズの4thを思わせるし
もろカントリー・ロックなジャケットだったのでした。
レーベルがセント・エチエンヌと一緒だったので
騙されてしまいました。
シングルにもなったA1は のどかでスケールの大きい
名曲で バンジョー ペダル・スティール アコーディオン
といった楽器の他ホーンセクションも入っていて
1990年代の名曲10選に入れてもいいような曲です。
全体的にはフライング・バリトゥ・ブラザーズしまくる
という感じで ペダル・スティールが
心地良いフレーズを連発してくれます。
B2 B6などはバリトゥズの未発表音源か?
と思う程のハード・ドライヴィンなカントリーです。
これはかっこいい曲だあー。
そしてジョン・ハートフォードのカバーB4。
悲しげなメロディーが心に染みるワルツです。
なーんていい曲なのでしょう。
ボーカルは低い声で僕が大好きな
イアン・タイソンっぽいのも良いです。
ロッキンバーズは かなりなめられたバンドのようで
中古盤屋では彼らのCDは
もってけドロボー価格で投げ売りされています。
僕は普段CDシングルなどは購入しないのだけど
あまりの安さに彼らのCDシングルは
沢山購入してしまいました。
元ウエザー・プロフェッツ組がぬけた1995年の2nd
「Whatever Happend To The Rockingbirds」 も
名曲満載のアルバムで もう少し頑張れば
カントリー・ロック再評価の時代が訪れたのですが
2nd発表後彼らは解散してしまったようです。

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