2005年7月9日土曜日下北沢のクラブ・キューに
スコットランドはグラスゴー出身のアリー・カーのライブを見に行ってきました。
こーゆーギター・ポップ物って決して新しい音では無いし
芸人さんにカリスマ性があるとかルックスが売りとか目で殺すとかいう訳でも無いし
いかに良い曲を書くかという楽曲勝負なところがありますよ。
楽曲勝負となるとスコットランド発のギター・ポップは素晴らしいのが多いのです。
メロディーがわかり易くて一緒に歌いたくなってしまうんだよね。



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ALLY KERR 「CALLING OUT TO YOU」 (2004)
日 QUINCE QRCP-16  (CD)

1 Another Winter's Day
2 Someone's Got A Crush On Me
3 Calling Out To You
4 The Sore Feet Song
5 Do You Believe ?
6 Dream #4265
  7 Without You
  8 Midst Of The Storm
  9 All Alone Again
 10 So Much More
 11 I Feel Fine
 12 And All The Stars Above Us Will


アリー・カーの初来日公演は最後の数曲でベースとドラムスが参加したけれど
ギター&コーラスのクリス・レオナルドとの2人によるアコースティック・セットがメインで
ステージ上に2人が並んだ姿はフォーク・デュオ状態でしっとりと聴かせてくれました。

僕は一番前のど真ん中で見てしまうという暴挙に出たモンで2人の細かい表情なども
しっかり見させていただきました。 ヒョロっとしたアリーとちょっと太めのクリスの
メガネをかけた2人が並んだ姿はお笑いコンビのようでちょっと可笑しかったなぁ。

このデビュー・アルバムの収録曲はほとんど演奏し 新曲らしき曲も多く演奏しました。
アルバムの曲はすんなり耳に入ってきたけど 初めて聴く曲もすーっと入ってきたなぁ。
それはやはりメロディーが素直で美しく 適度に泣きも入りわかり易いからですね。

ライブはフォーク・デュオ状態だったけどアルバムの方はベースやドラムスも入ります。
シンプルなアレンジで青春を感じるナンバーが連発され アリーの歌声も優しげだし
攻撃的なところはありませんね。 いやぁアコーステイックな響きが瑞々しくて
捨て曲も無いし「さりげなく名盤シリーズ」の仲間入りですよ。

実は最初聴いていた頃はストリングスなども入っていれば完璧!おしい!もう一歩!
と思って聴いていたけど最近はこれ以上無駄にアレンジをいじくると
この瑞々しさが消えてダメになりそうな気がしてきましたよ。
全曲好きだけどその中でも特に好きなのは1 3 6 7 8 9曲目です。

ライブ終了後会場内をうろつくアリーにCDジャケットにサインをしてもらいました。
サインはボールペンです・・・マジックを持って行けば良かったよ。
ジャケットは彼の子供の頃の写真で 大人になってから自分の子供時代の写真に
サインするってどんな気持ちなんだろう・・・それも僕のような気持ち悪い日本人に・・・
 



SleekaSoundsCorporation.jpg

SLEEKA SOUNDS CORPORATION 「SLEEKA SOUNDS CORPORATION」 (2005)
no label no number (CD-R)

1 Everyone I Meet Knows Keith
2 Stop Right There
  (You Lost Me Somewhere)
3 Head With A Friend
4 The Worm That Flew
 5 One Of The se Things
   That Binds Us Together
 6 Pegasus Shoes
 7 Worse Than A Man Down


これはアリー・カーのライブで相棒をしていたクリスのソロ・プロジェクトのCDです。
本作はライブ会場で販売していたのですがライブ終了後購買部(?)を覗いてみたら
売り切れてしまっていました。 そこでオフィス・グラスゴーの安永さんがいたので
CD欲しいけど売り切れで・・・って言ったら「何とか入手できるようにします!」との事。

数日後オフィス・グラスゴーのページから入手できるようになりましたねぇ。
そこから注文したらすぐ届きました。 アリーのジャパン・ツアーが終了したばっかりで
かなり疲れていたはずだけどこの対応の素早さは素晴らしかったです。
オフィス・グラスゴーさんにはホント頭が下がる思いですよ。

で 出てきた音はやった!って感じの一緒に歌ってしまいたくなるような
良いメロディーを持った少々エレキ・ギター度の高いギター・ポップになっています。
ヴォーカルはクセの無い素直な歌声ですがあまりうまく音程をとれないタイプでヨレ気味。
そのヨレがまた良いんだぁ。 ドラムレスの7曲目を聴くとヨレ具合がよくわかりますね。

全7曲入りで収録時間も短く 良い曲が凝縮された感じになっているので
何度も繰り返し聴いてしまいますよ。 まだたった20回位しか聴いていないけどね!

で これ 盤はCD−Rでジャケットはカラーコピーです。 完全にライブ会場で
少数枚売るために作ったのでしょうね。 一般流通はしていないようです。

ドラムスはリズム・マシーンなのかな? シンバルのシャーンシャーンっていう音が
不自然で耳についてそこはマイナス・ポイントですかね。 しかし彼はまだ正式な
デビューもしていないのにマイナス・ポイントとか言われて批評されてしまう
気分はどんなんだろう・・・それも僕のような気持ち悪い日本人に・・・
 



ManAlive.jpg

EUGENE KELLY 「MAN ALIVE」 (2003)
日 P-VINE PCD-23466 (CD)

1 I'm Done With Drugs
2 I'll Be Yours
3 Older Faster
4 Seven Out
5 You're Having My Sex
6 Stop The Press
7 Ride The Dream Comet
  8 Sinking Ship
  9 Bridge From Eden
 10 The Healing Power
    Of Firewalking
 11 She Wears My Ring
 12 Noise And Smoky Breath
 13 Dear John
 bonus tracks
 14 Chemical Reaction
 15 I Done Something Wrong
 16 Blessed And Misplaced


スコティッシュ・コネクションの重要人物ユージン・ケリーの初ソロ・アルバムですよ!
彼はヴァセリンズ〜ユージニアスというバンドで活動していましたが
ユージニアスは聴いた事があるけどあまりピンとこなかったし
ヴァセリンズに至っては聴いた事が無いので彼に対する思い入れも何もありません。
僕は1990年代前半のグランジー&オルタナ・ブームが抜け落ちているからねぇ。

エレキで元気な曲と穏かな表情のアコースティックな響きの曲とが入っているけど
割合としてはアコースティックな響きのフォーク・ロック曲が大半を占めています。
ヴォーカルは飄々と気の抜けた感じでへなちょこになる一歩手前って所かな。

好きな曲を挙げると前奏のスライド・ギターが印象的でペダル・スティールも入る2曲目。
プヒーってのどかなハーモニカで始まる3曲目の優しげな手触りがまた良いですよ。
これまた優しげな雰囲気を持った穏かなフォーク・ロックの4曲目も良いなぁ。
バンジョーとペダル・スティールが入る8曲目は可愛らしいカントリー風味です。
一緒に歌いたくなってしまう素直なメロディーが素敵なアコースティック・ポップ10曲目。
そして11曲目もプヒーなハーモニカをたっぷり聴かせてくれます。

更にボーナス曲が3曲ともゆったりと流れ胸に染みるスンバラシー曲ですよ!
最後の16曲目もプヒーっていうのどかなハーモニカで締めてくれます。

この日本盤CDは帯に日本先行発売って印刷されているけどその後英国盤が
発売された形跡は無いですね。 英国人の作品を英国人が聴けずに
僕のような気持ち悪い日本人に先に聴かれてしまうってどんな気持ちなんだろう。
・・・でも日本盤しか存在しない洋楽作品ってけっこうあるんだよね!
 



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THE PRIMARY 5 「NORTH POLE」 (2004)
日 THISTIME TTR-102CD (CD/2005)

1 Comin' Home
2 I'll Lay You Down
3 Mailman
4 Everybody Knows It Hurts
5 Without You
  6 Easy Chair
  7 What Am I Supposed To Do ?
  8 Happy
  9 Shine On
 10 Field Of Dreams
 bonus tracks
 11 Sunflower
 12 Wishful Thinking


音楽のジャンル分けなんて人によってまちまちだろうけどギター・ポップってゆーヤツは
普段着の音楽・・・軟弱なヤツが聴く音楽・・・もっと言うと大人の鑑賞に堪えない
ガキ向けの音楽っていうイメージがあるんじゃないかな? どうだろう?
またそれらのイメージのせいで聴かない人が多いのか ギター・ポップ・ファンという
小さなサークルの中でだけで語られてしまう事も多々あるのではないでしょうか。

そんな中でティーンエイジ・ファンクラブってバンドはギター・ポップ・ファン以外にも
アッピールできる普段着の音楽を超えたレベルの普段着の音楽を聴かせてくれます。
このアルバムはそのティーンエイジ・ファンクラブの元メンバーだった
ポール・クインのバンド プライマリー・ファイブのデビュー・アルバムになります。

これがかなりの勢いでティーンエイジ節な音になっていて それも彼が在籍していた
「グランプリ」「ソングス・フロム・ノーザン・ブリテン」あたりを思わせるからさあ大変。
近年のティーンエイジは音が整理されギターを元気にかき鳴らす曲が控え目なので
このプライマリー・ファイブのバタバタした感じがその穴を埋めてくれる事に成功!
ボーナス曲を含めてもトータルで36分余りという収録時間も素晴らしいです。

そのテの音を求める人にとっては全曲即死級なのでまだ聴いていない人は
聴いてびっくりしてみて下さい。 ただ難点を言うとティーンエイジに似過ぎなので
プライマリー・ファイブの個性ってゆーのが見つけにくくて
そっくりさんに聴こえる瞬間もあり若人あきら状態に陥ってしまう危険性もあります。

この日本盤CDは定価でも税込み1890円とお手頃価格になっているので
今すぐゲットしなければいけませんね。 さあゲットしろ! ゲットしやがれ!
・・・なんて僕のような気持ち悪い日本人に言われたくないよねぇ。
 



ManMade.jpg

TEENAGE FANCLUB 「MAN-MADE」 (2005)
英 PEMA PEMA002LP (LP)

A1 It's All In My Mind
 2 Time Stops
 3 Nowhere
 4 Save
 5 Slow Fade
 6 Only With You
 B1 Cells
  2 Feel
  3 Fallen Leaves
  4 Flowing
  5 Born Under A Good Sign
  6 Don't Hide Hide


そして待ちに待ったティーンエンジ・ファンクラブの新譜「マン・メイド」ですよ!
間にジャド・フェアとの共演アルバム そして新曲も入ったベスト盤も出ましたが
オリジナル・アルバムとしては2000年発表の「ハウディ!」以来になりますね。

相変わらず良いメロディーを持った曲が連発され 歪んだエレキ・ギターがうるさい曲と
しっとりと聴かせる曲とのバランスも良いし 麗しいコーラス・ハーモニーも健在です。
ただちょっと綺麗にまとまっている感じで「静」と「動」でいうと「静」のイメージが強くて
大人のギター・ポップ・アルバムとも言えるけど物足りなさも感じてしまうんだよねぇ。

A1 A2 B2といったあたりはいかにものティーンエイジ節で安心して聴けます。
その他 全曲中最も元気にブッ飛ばす約2分のA5も良いし ストリングスも入り
全曲中最も永遠を感じさせるメロディーを持ったB4がまた良いんだ。

でもやっぱり びっくりする程永遠を感じさせるメロディー満載だった「グランプリ」と
「ソングス・フロム・ノーザン・ブリテン」っていうスンゴい傑作アルバムを
聴いてしまった耳だとそれ以上の物を期待してしまう病なのでしょうか。
まだ10回位しか聴いていないので あと100回聴けばこのアルバムの良さが
分かってくるかもね。 じわじわ来るアルバムになってくれればいいけど・・・

ティーンエイジ・ファンクラブに密かに期待しているのはフォーク〜トラッドの
香りがした1995年の4曲入りEP「Have Lost It」の路線です・・・あれは良かった!
メンバーの皆さん もしここを見ていたら是非次の作品はその路線でやりましょう。
大プッシュしますよ!・・・って僕のような気持ち悪い日本人にプッシュされてもねぇ・・・

Teenage Fanclubのレヴュー・・・「A Catholic Education」「The King」「Bandwagonesque」
「Thirteen」「Grand Prix」「Songs From Northern Britain」「Howdy!」・・・第25号
Jad Fair & Teenage Fanclub 「Words Of Wisdom And Hope」・・・第80号
 



YouCanMakeItIfYouBoogie.jpg

JAMES KIRK 「YOU CAN MAKE IT IF YOU BOOGIE」 (2003)
独 MARINA MA 57 (LP)

A1 Get On Board
 2 Nilsson
 3 Rehab
 4 Cardboard Castles
 5 Any Old Iron (Part 1)
 6 Felicity
 7 Outre
 B1 Krach Auf Wiedersehen
  2 Houston, Texas
  3 Liggin' Round Again
  4 Fruitier Than Thou
  5 Old Soak
  6 Western Pier


元オレンジ・ジュースのジェイムス・カークのソロ作品ですよ。
スコティッシュ・ギター・ポップ・コネクションの第1世代であるジェイムス・カークですが
本作にはティーンエイジ・ファンクラブのノーマン・ブレイクもヴォーカルで参加していて
世代を超えた交流がある事が伺えます。 まあティーンエイジのメンバーって
かなり多くのセッションに身軽に参加しているって感じもありますけどね。

この第1世代の人たちはニュー・ウェーヴ世代でもあるので当時はルックスにも気を使い
アイドル的な人気もあってロディ・フレイムやエドウィン・コリンズは目で殺せる人でした。
しかしそれから約20年経ったらジャケットに写るジェイムス・カークのルックスは
ズボンの裾はまくるはシャツはヨレヨレだは・・・ちょっとヤバいよなぁ。

風貌はヤバい事になっていますがアルバムの内容はこれがとても良いのです。
「元オレンジ・ジュース」を思わせる心地良いギター・カッティングとへなちょこな
語り系ヴォーカルが21世紀風味で迫ってきます。 21世紀風味って何だ?っていうと
21世紀の音楽を聴いているヤングな若者がいきなりオレンジ・ジュースを聴かされたら
何じゃこの1980年代なダッサいのは?と???だらけで夜も眠れなくなりますよね。

このアルバムはそれが無くてオレンジ・ジュースへのノスタルジーでも聴けるし
そんなバンド知らないよ!という現在の耳でも聴ける21世紀風味になっているのです。
まあ僕のような気持ち悪い日本人の腐敗しているかも知れない耳での判断なので
実際に購入して聴いて判断しましょう・・・って買わなきゃいけないのかよ!

しかしA3やA4やB2のギター・カッティングはホント心地良いなぁ。
オレンジ・ジュース時代の再演曲A6も絶賛収録中だし
はっきし言って僕はエドウィン・コリンズのソロ作品よりこっちの方が好きです!
 


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