レビュー第204号
僕は聴きましぇん!女性ヴォーカルしか聴きましぇん!女性ヴォーカルが好きだからぁ!

・・・はい、正にそういう事です。
わたくし、トレンディー・ドラマってちゃんと見た事が無くて
唯一全話見たのが「101回目のプロポーズ」なので
このようなページ・タイトルになったのはお察しの通り。
つまり今回は、W浅野ばりに女性ヴォーカル作品が続々と登場します。
えっ?「W浅野ばり」ってどういう意味かって?
それはね・・・


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MARISSA NADLER 「THE PATH OF THE CLOUDS」 (2021)
米 Bella Union Records BELLA1271V (LP)
A1 Bessie, Did You Make It?
A2 The Path Of The Clouds
A3 Couldn't Have Done The Killing
A4 If I Could Breathe Underwater
A5 Elegy
 B1 Well, Sometimes You Can't Just Stay
 B2 From Vapor To Stardust
 B3 Storm
 B4 Turned Into Air
 B5 And I Dream Of Running
 B6 Lemon Queen

アメリカのシンガー・ソングライター、マリッサ・ナドラー様。
彼女はフリー・フォーク全盛期に登場してから、途切れる事なく順調にアルバムを出していて
僕も買い続けていたら、手元には10枚くらいアルバムがあります。もはやベテランですね。

しかし、さすが呪い系のマリッサ姐さん、A1から殺人ソングで、相変わらず怖い訳ですが
このアルバムは今までほどマイナー調で暗く展開するフォーク曲中心という感じではなく
そんな明るくは無いけれど、美しい曲がズラリと並んでいて、ヴォーカルも美しく、素敵・・・

半分くらいの曲でドラムスが入るし、オルガン、シンセ、メロトロンなんかも多く入るので
フォーク系作品というよりも、もう少しロック寄りな響きがあって、聴きやすい作品です。
そう、「Little Hells」(2009)や、「Marissa Nadler」(2011)あたりと並ぶ聴きやすさですよ!

メグ・ベアードとの共作でお馴染み、メアリー・ラティモアの弾くハープも何曲かで入るし
本作を出しているベラ・ユニオンを主催しているサイモン・レイモンドも何曲かベースで参加。
サイモン・レイモンドといえば、コクトー・ツインズのメンバーだった人ですが
A4とB1とB5は特にコクトー・ツインズ度高い音で、聴いたら、おおっ!ってなります。

で、裏ジャケを見てもらえばわかりますが、彼女はいつも衣装がこんな感じのシミーズ状態。
肌の露出が多くエロいです。つまり、シミーズ状態のマリッサ姐さん・・・大好きです!
あっ、シミーズって古いですか?W浅野と同じくらい古いっすか?・・・ですよねー。

こちらのアナログ盤はダウンロード・コード付きです。シミーズ・チャンス到来ですね!

マリッサ姐さんを書いたページ
第185号 2012/8/31 続々と登場するあの人たちの新作に もうカンカン!
第180号 2012/1/15 五島勉氏も大絶賛?マリッサ・ナドラー
第136号 2008/2/6 私をエスパーズに連れてって!
 


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GROUPER 「SHADE」 (2021)
米 Kranky Krank 233 (LP)
A1 Followed The Ocean
A2 Unclean Mind
A3 Ode To The Blue
A4 Pale Interior
A5 Disordered Minds
 B1 The Way Her Hair Falls
 B2 Promise
 B3 Basement Mix
 B4 Kelso (Blue Sky)

グルーパーはアメリカの音楽家、リズ・ハリスさんのソロ・プロジェクト。

彼女は別名義、別グループでの活動も活発で、作品リリースも多いので
ガッツリと追いかけていないと全体像が掴みにくくて、僕もまったく掴んでいませんが
グルーパーとしては、前2作の「Ruins」(2014)と「Grid Of Point」(2018)が
ピアノで聴かせる作品だったため、今回は久々にギターを弾く作品になっています。

グルーパーらしいドローン・サウンドの曲も入っていますが、基本はアコギとヴォーカルのみで
相変わらず今まで同様、深いエコーに埋もれて音の輪郭は曖昧だけど
以前はもっと曖昧だったので、この作品では、はっきりとした「曲」が聴けるという訳です。
特に最後のB4なんかは、とてもはっきりしていて聴きやすく、ズバリ!凄く良い「曲」です!

また、アコギ&ヴォーカルの構成ではあるものの、フォークを感じさせないところも凄く
音数少なく、儚く美しく、今にも消え入りそうだけど、流されない強さのある独特な響きです。
ヴォーカルはウィスパーというより、つぶやき系と言った方がしっくりくるでしょうか。

彼女の作品はどれを聴いても素晴らしいけれど、本作もとても良くて、惹き込まれます。
気になった方は是非!ハマったら抜け出せなくなりますよ!ハマる人は一発でハマります!

なお、こちらのアナログ盤はダウンロード・コードは付いていません。
そんなの当たり前です。W浅野時代も、そんなモンは付いていませんでしたから。

「The Man Who Died In His Boat」 (2013)を書いたページ
第190号 2014/10/5 低所得者層の聴く音楽
 


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NATALIE EVANS 「MOVEMENTS」 (2022)
英 Small Pond Recordings SPR251 (LP)
A1 Driving Home Late
A2 Between The Ground And Sky
A3 Movie
A4 Pencil Drawn
A5 Interlude (Back Of My Mind)
A6 Colours Fade
 B1 Sun Song
 B2 Under The Moon
 B3 When You Leave
 B4 To Go On
 B5 Five Positives
 B6 Guest Room

イギリスのシンガー・ソングライター、ナタリー・エヴァンス。素晴らしい!

アルバムは1st「Better At Night」(2018)、編集盤「Houses」(2019)と出ていて、これは2nd。

彼女の作品は、アコギで聴かせるタイプ、ピアノで聴かせるタイプ、ハープで聴かせるタイプ
そしてバンド・サウンドで聴かせるオルタナ感強いタイプとあるのですが
今回はアコギで聴かせるタイプが減って、ハープで聴かせるA3、B1〜B3が効いています。

ギターもピアノもハープも全部本人が演奏していて、クレジットを見るとドラムスと
チェロ、ビオラ、ヴァイオリン以外、その他の楽器は全部彼女が演奏し
アレンジもしちゃっているという才女ですが、それに加え彼女は歌声が良いんだ!
イノセンス・ミッションのカレン、あるいはサンデイズのハリエット似の
「甘ったれ系スモーキー」な可愛らしい歌声で、ああ、良いなぁー、大好きです。

大らかに流れるフォーク・ロックのA1でまず心を奪われ
美しいハープの演奏と共に可愛らしいヴォーカルが迫るA3やB2に更に心を奪われ
A5の短いピアノ・インスト、B3のハープのインストも素敵で、更に更に心を奪われます。
全体的に地味な内容だとは思いますが、1曲、1曲、じっくりと聴いて、心奪われましょう。

なお、こちらのアナログ盤はダウンロード・コードは付いていません。
そんなの当たり前です。W浅野時代も、そんなモンは付いていませんでしたよ!
 


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MARIA RODÉS 「FUIMOS LOS DOS」 (2022)
スペイン Elefant Records ER-1282LP (LP)
A1 Recordarte
A2 Prefiero No Decir Nada
A3 Algo Que Pudo Ser
A4 Salgamos Juntos Al Jardin
A5 Fuimos Los Dos
A6 Se Nos Fue La Luz
 B1 Soltar Las Armas
 B2 Te Voy A Querer Igual
 B3 La Verdad
 B4 Oasis
 B5 Ay Soledad
 B6 Siempre Es Domingo
 B7 Madame Bovary

スペインのシンガー・ソングライター、マリア・ロデス。
優し気に流れるアコースティック・ポップ・サウンドがとても素敵で心地良いアルバムです。

彼女はたくさんアルバムを出していて、これは6〜7枚目くらいかな?
これだけアルバム出ているという事は、スペインではかなりの人気アーティストなのでしょうね。

彼女のヴォーカルは地声が中〜高音域で、クセも無く聴きやすい声なのですが
スペイン語の響きのせいなのか、楽曲のメロディーが可愛らしいせいなのか
何だろう・・・とてもヴォーカルの響きが可愛らしくて・・・ああ、マリアちゃん、良いわぁー。
聴いたら最後、A1〜A4と、冒頭から可愛らしい曲の連続技で、完全にやられる事うけあい!

収録曲はナイロン弦のギターが印象的な演奏をするタイプの曲が多く
フラメンコ臭もほんのり香り、本当に可愛らしい曲&可愛らしいヴォーカルの連発ですねぇ。
ドラム・セットは入らないけれど、パーカッションは少々入り、フォークっぽさは無く、ポップです。

そして、こちらのアナログ盤は嬉しいダウンロード・コード付き。ああ、嬉しいな!
そりゃー「高校大パニック」に出ていた浅野温子を見た時と同じくらい嬉しいです。

そう、僕にとって浅野温子といえば「101回目のプロポーズ」ではなく「高校大パニック」です。
えっ?「高校大パニック」を見た事無いって?・・・それはいけません!
制服姿の浅野温子に興奮!エロいシーンもあり興奮!衝撃のラストに興奮します!是非!

Maria Rodés Y La Estrella De David 「Contigo」を書いたページ
第198号 2021/12/31 女と男のエレファント・レコード
 


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FUVK 「IMAGINARY DEADLINES」 (2021)
スロバキア Z Tapes Records ZT168 (LP)
A1 Take Me Back
A2 Subside
A3 Show Up
A4 Change
A5 Wishful Thinking
 B1 Re: Voicemail-33
 B2 Tiny Figure
 B3 Retainer
 B4 Bluebell
 B5 Morning Rain

こちらはアメリカの宅録アーティストの初のアナログ盤。
彼女はこれ以前にも、Zテープスからカセット・テープ作品をたくさん出していますが
曲数少なめのヤツが多く、フル・アルバム扱いだと、これが1stアルバムになる模様です。

そしてアーティスト名の「Fuvk」は読み方「ファック」?「エフユーブイケー」?それ以外?
まあ、そんな紛らわしいアーティスト名なので、中々メジャー化はしそうにないですが
出てくる音はズバリ!これビリー・アイリッシュ?・・・と思うようなメジャーでもイケる音です。

決して声を張り上げない優し気なつぶやき系ヴォーカルもビリー・アイリッシュ似だし
絶望感漂う雰囲気や、切ないメロディーにグイグイと惹き込まれるのも似ています。
・・・あ、ビリー・アイリッシュ、2〜3曲しか聴いた事が無いので、間違っていたらごめんね!

で、宅録アーティストと言いながら、けっこう多く参加メンバーがクレジットされていて
A1では男性ラッパーが登場するし、それ以外の曲も男性ヴォーカルと絡む曲が多いです。
生ドラムスも多く入り、B5では生ストリングスが登場。どの曲も音の感触が凄く良く
じっくり聴くと、緻密に丁寧に作られていて、天才的な煌めきを感じる音作りです。

しかし、アルバム全編、哀しげで切ないメロディーで埋め尽くされていて突き刺さりますねぇ。
ああ、聴けば聴くほど全曲が名曲に聴こえます・・・というか、全曲名曲だね!

えーと、このLPはバンドキャンプ経由で購入しました。
注文した時点でストリーミングとダウンロードがダブルで可能になるW浅野状態になり
おかげで実際のLPが手元に届く前に(これがスロバキアから中々届かないんだ・・・)
聴きまくる事に成功しましたが、このW浅野状態のサービス、良いのか、悪いのか・・・
 


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MEG BAIRD 「FURLING」 (2023)
米 Drag City DC782 (LP)
A1 Ashes, Ashes
A2 Star Hill Song
A3 Ship Captains
A4 Cross Bay
 B1 Twelve Saints
 B2 Unnamed Drives
 B3 The Saddest Verses
 B4 Will You Follow Me Home?
 B5 Wreathing Days

こっそり、もっこり追いかけているメグ・ベアード、新作がこっそりと登場しました!

A1は歌詞は無く、スキャット・コーラスが響く妖しげな曲だけど
マジー・スターを思わせる8分の6拍子のA2以降は僕の大好物なタイプの曲の連発!
トラッド色薄めで、シンガー・ソングライター作品です!って感じのアルバムになっています。

サウンドは今までの彼女と変わらないフォーキーな音で、相変わらず美しい歌声だし
曲が本当に良くて、文句の付けようが無い素晴らしい内容で、もう大好きですね。
ただアルバムを重ねる毎にトラッド色は後退し、普通のシンガー・ソングライター化しており
多くの同様の音が溢れる今、この作品で彼女に出会って衝撃を受ける人は少ないかもね。

・・・まあ、これって難しい問題ですよね。
まだ多くの人にあまり認知されていなかった、エスパーズ初期の頃から聴いていた僕は
見つけて育てた感(実際はいっさい育てていませんけどね!)がどこかにあるのでしょう。
それに伴う「俺のエスパーズ」や「俺のメグ」込みでの「大好き」ですからね。

つまり、「101回目のプロポーズ」を見ても、特に浅野温子を好きにはならなかった僕が
「高校大パニック」を見て大好きになったという、その位のインパクトが欲しい所です。
・・・うーん、何が言いたいのか自分でもまったくわからなくなってきましたが
「高校大パニック」をこっそり見て、もっこりしている僕が言っているので間違いありません!

なお、こちらのLP、ダウンロード・コードは無し。当然です。
高校大パニックの頃はもちろん、W浅野時代だってそんなモンは付いていませんでした。

メグちゃん関連作品、色々書いています。
第200号 2022/5/19 こっそり、もっこり、追いかけてメグ・ベアード
第189号 2014/7/10 21世紀の姉妹でポン!
第185号 2012/8/31 続々と登場するあの人たちの新作に もうカンカン!
第136号 2008/2/6 私をエスパーズに連れてって!
第126号 2007/5/3 紙ジャケCDなんて燃やしてしまえ!
 


IWishIWereASparrow.jpg
LAURA BAIRD 「I WISH I WERE A SPARROW」 (2017)
米 Ba Da Bing BING 116 (LP)
A1 Wind, Wind
A2 Dreadful Wind And Rain
A3 Cuckoo
A4 Love Song From The Earth To The Moon
A5 Pretty Saro
 B1 Bats
 B2 Did You Come Here Alone?
 B3 Pretty Polly
 B4 Hay In The Wagon
 B5 Home Is Where You Are
 B6 Poor Orphan Child
 B7 Twin Sisters

メグ・ベアードが登場したので、どさくさに紛れて(?)ちょっと古めのアルバムだけど
メグのお姉さん、ローラ・ベアードのアルバムも登場させちゃいます。
えーと、ローラが姉、メグが妹でたぶん合っていると思いますが・・・違ったらごめんね!

しかしこれは渋いね!基本はのどかな響きのバンジョーとヴォーカルで
そこにマンドリンやフィドルなどの楽器が絡む程度の地味な音です。
A4のバックの楽器はダルシマーかな?A5には鳥のさえずりも聴こえてきますよ。

よくわからないのがヴォーカルで、メイン・ヴォーカル2〜3人いるの?と思うくらい
曲によって素朴な感じだったり、美しかったり、低音だったり、高音だったりして
ローラが歌い方を変えているのでしょうか?それとも別の人が歌っているのでしょうか?
詳しいクレジットは無いので、正解がわからずモヤモヤしております。

とにかく内容はジャケット通りの感触の、山間の古い家で鳴り響くような渋い音。
半分の曲がトラッドで、クレジットは無いけれど残り半分は自作曲のようですね。
「渋い」は、悪くはないけれど、そこまで良いとも言えない時使える便利な表現で
このような地味なトラッド〜マウンテン・ミュージック系作品は、ほぼ全部「渋い」です。

でもこういうのはナイス・タイミングでたまに聴くと、とっても染みるのです。
そう、「高校大パニック」や「101回目のプロポーズ」もたまに見ると染みるでしょ?
それとまったく一緒・・・とは言ってみたものの「高校大パニック」や
「101回目のプロポーズ」をたまに見ているかといったら・・・まったく見ていません!
ああ、また適当な事を言ってしまいました・・・反省!

そしてこのLP、ダウンロード・コードは付いていません。そんなの当たり前です。
「高校大パニック」で最後に浅野温子がどうなるか、それを考えただけで
もうダウンロード・コードなど付けている余裕など無いのはお察しの通り!
 

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