素敵な音を追っていくと必ずブチ当たる南米の壁。
南米のフォークやロックは優しさに溢れていてホント素敵に響くし
笛類の使用頻度が高いヤツが多くてクラクラして気絶しそうになりますよ。
これはまた今夜も南米モノを聴いて気絶するしかないでしょう。


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KISSING SPELL 「LOS PAJAROS」 (1970)
英 ESSEX 1010CD (CD/1995)
1 Los Pajaros
2 Yellow Moon
3 Gente
4 In This World
 5 Valle Del Tiempo
 6 Cerraron Sus Ojos
 7 Tears Of A Chord
 8 Jim And The Blind Man
  9 Sueno O Realidad
 10 Shotgun's World
 11 Muchacha Dorada

最初に断言してしまうと南米の最高峰は第123号で書いたチリのコングレゲイション(読み方適当)で決定!
コングレゲイションを聴かずに死んでしまう事の無いように僕は強く言いたい・・・これを聴いて死ね!と。

そしてこちらは同じくチリのバンド キッシング・スペル。 南米サイケを語る際必ずと言ってよい程登場する
けっこう有名な1枚だし このテの作品のCD再発にしては割と早い時期の1995年にCD化されていて
英国盤なので割と入手しやすく 英詞の曲が多くとっつきやすいし すでに多くの人の耳に届いていそうです。

1曲目の冒頭から鳥のさえずりの効果音が入り 朝の目覚めの如くゆったりとアコギの伴奏がはじまり
深いエコーのかかったヴォーカルが被さって こんなモン0.1秒で うおおおおおぉー! ザ・気絶!ですよ。
しかしこの1曲目は7分以上あって 曲が進むとハーモニー・コーラスやキーボード類やファズ・ギターも入り
曲調もどんどん変化して行くというプログレ的な曲であれれー? ケーナと思われる笛も入ってポイント高いし
浮遊感もあって夢心地な音ではあるのだけれど 楽曲のメロディーが印象に残らず・・・うーん何かねぇ。

2曲目以降も笛入りの曲が頻繁に登場して悪い事は無いのだけれど やはり全体的にメロディーが弱く
ドリーミー・フォークと言うよりも ファズ・ギターやオルガンが暴れるサイケ・ロックな要素の方が強いですね。
いや実は僕はファズ・ギターでロックするサイケがあまり好きでは無くて・・・これはちょっと厳しいのですよ。
そのようなサウンドでも 一緒に歌えそうな素敵なメロディーがあれば楽しめるんだけどなぁ。

この作品を最初に聴いた場所が素晴らしき品揃えでお馴染み(?)の京都のメディテイションの店内で
中々行く事の無い土地と店の雰囲気に呑まれて うおおおおおぉー!となったのもあったんだろうねぇ。
あの瞬間は鳥肌が立って これは凄いアルバムだ! ザ・気絶だ!と思ってそのまま購入したのでした。
全編聴いたらフォーキーで夢心地な雰囲気は1曲目の冒頭1分だけに集約されていたという・・・。

ただこの作品をフォーク系作品と位置付けている人もいるようだし 聴く人によって印象は変わるからね。
僕の耳クソがたまりにたまっているせいで 割とフツーのサイケ・ロックにしか聴こえないのでしょうか。
耳クソほじくり回して 血が出るまで耳の穴掘って掘って掘りまくってから出直してきます。
 


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ARCO IRIS 「ARCO IRIS」 (1970)
アルゼンチン BMG ARGENTINA 8287-665728-2 (CD/2004)
 1 Quiero Llegar
 2 Hoy Te Miré
 3 Camino
 4 Coral
 5 Te Quiero, Te Espero
 6 Luli
 7 Canción De Cuna Para El Niño Astronauta
 8 Y Una Flor (El Pastito)
 9 Tiempo
10 Y Ahora Soy
 bonus tracks
 11 Lo Veo En Tus Ojos
 12 Canción Para Una Mujer
 13 Luisito Cortate El Pelo
 14 Sólo Tengo Amor
 15 Blues De Dana

 16 Quién Es La Chica
 17 Es Nuestra La Libertad
 18 Zamba

アルゼンチンのアルコ・イリス。 アルゼンチン産の作品はどれも丁寧にじっくりと作られている印象があります。
いや アルゼンチンはこうだ!と語れる程 沢山枚数を聴き倒した訳では無いので偉そうな事は言えませんが
以前第89号で書いたメリメリウム(読み方適当シリーズ)も丁寧な作りが光る傑作でしたからねぇ。

このアルコ・イリスは まあサイケがかったアートなロックなのですが やはり丁寧に作られている印象があり
プログレ風味も少々感じられ・・・うーん 南米モノは同時期のアメリカ音楽より英国からの影響が強いのかなぁ。
特にアルゼンチンの作品は ほんのりプログレ風味が香るヤツが多いんだよねぇ。
このプログレ風味が丁寧にじっくりと作られているように聴こえる要因なのかも知れませんね。

ファズ・ギターでサイケなロック フォーキーな曲 ジャージーな曲など 様々なタイプの曲が入っていますが
とにかくすべてを包み込むような優しさのあるフォーキー・サウンドの2曲目「ホイテミレ」を聴いて昇天ですね。 
途中で急に曲調が変わってリズミカルになりびっくりするけど フルートも入るし昇天せずにはいられません。
これはもう曲に合わせて一緒に歌うしかないでしょう。 「ホーイテミレー イーヴィー」ってね。
なおクレジットを見るとこのアルバムで聴こえてくる笛の音は ほぼすべてフルートのようですね。

ヨーロッパ的な美しさのある もの哀しくフォーキーな5曲目や8曲目も絶品! 優しげなヴォーカルもイイねぇ。
ボーナス曲はすべてシングルの曲で シングル向けのポップな曲も絶賛収録中で こちらも良いです。

絶対オススメの名盤!とまではいかないけれど 色んな曲が18曲も入っていて楽しめて お得感もあるし
全曲スペイン語だし 南米モノの雰囲気を味わいたい時に聴けば そりゃあもう誰もがみんなホイテミレ!
 


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THE SPIDERS 「BACK」 (1970)
メキシコ BMG ENTERTAINMENT MÉXICO PECD661 (CD/2000)
1 Thought (A Song)
2 Something I Heard (Last Night)
3 People Deceive
4 On The Road
5 Now
6 It's You
7 Back
  8 You Love Me
  9 I'm A Man
 10 Movin' Up
 11 Love Is The Way
 12 Thought (Prayer)
 13 Back
 14 People Deceive

遂に出たぁ! ザ・スパイダース! ただ残念な事にこのスパイダースにはかまやつひろしも井上堯之もおらず
それどころか堺正章も井上順もいませんよ。 そんなメキシコのスパイダースですがメキシコは南米じゃないよね。
でもスペイン語の国だしまあいいか・・・と思ったら全曲英語で歌っていて まったく今回のテーマに合ってねー!
しかしジャケット写真を撮って曲名も打ち込んでしまって・・・面倒臭いのでこのまま紹介してしまいます。

この5人組バンドはロックな楽器の構成で グルグル回るオルガンが全編で活躍してドアーズかの如くです。
でもドアーズ程凄味は無くけっこうメロディアスでもあるので 割と誰でもすんなり聴けるサイケ系ロックですかね。

歌詞も英語で歌っているし ガレージ〜サイケを聴くのであれば無理にメキシコのバンドを聴かず
このテのサウンドの宝庫であるアメリカのバンドを聴けば良いのだろうけど やはりアメリカのバンドとは違うなぁ。
何か1970年代のアイルランドのトラッド・ロックと通ずる どこかダサい雰囲気があってとても愛しく響くのですよ。
当然サウンドはアイリッシュ・トラッド・ロックとまったく違いますが 英米のロックの真似をしたけれど
気合い入れて真似たが故に逆にダサさが漂ってしまうという・・・第三世界の音楽に共通した愛しさがあります。

でもこれだけオルガンがグルグル回ると頭の中もグルグル回って 聴いていると段々かっこ良く響き出しますよ。
いや実はこれは相当かっこ良いぜ! でもやはりたまにフッとダサさが漂って・・・つまり相当気合い入ってます。

11曲目では笛も入って南米感が! いや メキシコは南米じゃ無かった・・・でもこの笛はケーナっぽい音で
うーん メキシコで一般的に使われる笛って何だろうねぇ。 まあ気になっても調べたりしないんだけどね。
そして何も表記が無いけれど 13 14 曲目はボーナス・トラック(シングル・ヴァージョン?)のようです。
 


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EL CONGRESO 「EL CONGRESO」 (1971)
ブラジル RECORD RUNNER RR-0460 (CD/2004)
1 Maestranzas De Noche
2 Vamos Andando, Mi Amigo
3 Así Serás
4 El Errante (instrumental)
5 Has Visto Caer Una Lágrima
6 Mírate Al Espejo
7 Rompe Tu Espada, Vive La Vida
  8 La Roca
  9 El Cóndor Pasa
 10 Ella En Todas Partes
 11 A.A.R. (instrumental)
 bonus tracks
 12 Como Vas ? (single)
 13 Nuestro Es El Momento (single)

チリのコングレッソ。 これは彼らの1stアルバムですが ブックレットに載っているディスコグラフィーを見ると
1970年代〜2000年代までアルバムを多数発表していて 現在も活動している息の長いバンドのようですね。
この作品は今回登場した中では最もフォルクローレ色があって 頻繁に登場するケーナの音色と
哀愁を帯びたメロディーが民族色を感じさせ 大定番曲の「コンドルは飛んで行く」も9曲目に入っていますよ。

しかしフォルクローレ色があると言ってもレコード屋のワールド・ミュージックの棚に並ぶようなタイプでは無く
ロックな楽器を使ったフォーク・ロック・サウンドが基本になっているロック世代の音なので心配御無用!
むしろ ほんのりと香るフォルクローレ色が南米バンドらしさを届けてくれて良い塩梅になっています。

ドリーミーとかサイケといった感じは薄いですが ロックのかっちょ良い部分と素朴なフォルクローレ色の
絡み合いのバランスが良い上に 時折ポップさも顔を覗かせてくれるので聴きやすいですね。
また南米バンド全般に当てはまるのですが あまりクセの無い優しげなヴォーカルも良い塩梅ですよ。

3拍子のフォーキー・ソングの10曲目は 尺が1分台の短い曲だけど こういう可愛らしい曲がまた良いんだ。
・・・と思うとそれに続く11曲目のダンサンブルなインストは11分以上ある曲で ドラム・ソロまで入ってしまい
何だこの落差は? ドラム・ソロなんて聴きたくねー!・・・と思いますがこの落差がまた面白く 良い塩梅です。

こんな良い塩梅だと 彼らの他のアルバムも聴いてみたくなりますね。 見つけたら拾っておきます。
 


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SUI GENERIS 「EN ESTUDIO」 (2008)
アルゼンチン SONY/BMG 8869 738053 2 (CD)

アルゼンチンのスイ・ジェネリスの3枚のアルバムを箱に入れた
抱き合わせ商法のCD。 スイ・ジェネリスはニノ・メストレと
チャーリー・ガルシアの2人組で 2人ともアルゼンチン・ロック界で
この後も活躍する重要人物で・・・まあ よく知らないですけどね。

そんな重要人物の作品だけあって この箱入り3枚組の他にも
単品のCDもあり 他に紙ジャケ仕様CDや 様々なベスト盤とか
色々CD化されているようです・・・まあ よく知らないですけどね。

しかしやはりアルゼンチン産だけあって丁寧にしっかりと作った
繊細な音に聴こえますねぇ。 アルバム毎にサウンドは違いますが
スイ・ジェネリス素晴らしい! いやぁ まったくもって素晴らしい!

1st「Vida」はジャケットからしてフォーク・デュオ的な佇まいで
ジャケットだけで無条件に名盤確定!と言いたくなりますが
出てくる音もフォーク・デュオの雰囲気が放たれて名盤確定です。

いや実際の音はドラムスやベースやエレキ・ギターや
ピアノやキーボードなんかも入るフォーク・ロックが中心ですが
何かフォーク・デュオ的な雰囲気が漂うのですよねぇ。

1曲目から映画のラスト・シーンに流れてもよさそうな
大らかな永遠系のフォーク・ロックで凄く良いですねぇ。
笛のフレーズが可愛らしい2曲目もまた良いんだ。
とても素敵な大らかなフォーク・ロックの3曲目があって
1分30秒しか尺が無く可愛らしい歌謡フォークな4曲目ですよ。
いやぁー笛も入るし 優しさに溢れていてもう最高ですねぇ。

ハーモニカが活躍するブルース・ナンバー5曲目なんてのもあり
そして再び大らかなフォーク・ロックの6曲目に印象的に入る笛!
哀愁の導入部分からリズミカルになるサビの部分のコントラストが
面白い7曲目。 で またまた大らかに迫るフォーク・ロック8曲目。
哀しげな歌謡フォークの9曲目ときて 2本の笛が哀愁してハモる
フォーク・ロックの10曲目。 最後の短いインストの11曲目は
笛が主旋律を吹いているし・・・全曲素晴らしく 名盤です。

結構頻繁に入る笛はリコーダーのように聴こえるのだけど
実際はどうなんでしょう。 クレジットが無いのでわかりません。

さて そして2ndの「Confesiones De Invierno」です。
1曲目からストリングスも入ってドラマティックな展開ですねぇ。
おかげで1stでは香らなかったプログレ風味がプーンと香ります。

特に聖歌隊のようなコーラスも入って もの哀しいメロディーを
ドラマティックに紡いで行き 最後に静から動へと盛り上げる
6分近くある9曲目が最も象徴的な楽曲でしょうかね。

ただやはり基本は1st同様のフォーク・ロックになっていて
アコースティックな響きがあるし 相変わらず笛も入るし
フォーク・デュオ的な雰囲気はだいぶ後退してはいるものの
まだほんのーり残っているので そっち方面で気絶してしまう
僕のような人も気絶できる作品にはなっています。

アルバム・タイトル曲の4曲目なんかは弾き語りのフォーク曲だし
ホーンが入って歌謡フォーク・ロックといった趣の5曲目や
間奏で笛が入るゆったりとした7曲目なんかが良いですよー。

ボーナス曲はシングル曲なのか未発表曲なのかクレジットが無く
出展は不明ですが ピアノの響きが美しい優しげな曲で
ドラマティックに盛り上がるタイプの曲になっています。

この2ndには演奏楽器のクレジットが載っていて
相変わらず頻繁に入る笛の音はフルートのようですね。
とすると1stでリコーダーに聴こえたのはフルートなのでしょうか?
僕の耳クソたまり過ぎで悪臭を放つ耳ではよく分からないので
やはり出血するまで耳の穴掘って大量に耳クソ出しきらないと。

3rdになると前作で香ったプログレ風味が全開になり
もろプログレッシヴ・ロックですね。 何かジャケットもそれ風です。

全編に渡りシンセサイザーの使用頻度が高くなり
ギュイーンと鳴り響く宇宙サウンドがプログレ度を高めています。
クレジットを見るとメロトロンも入っているようですが
耳クソたまり過ぎなのでどの部分に入っているか聴き取れず!
まったく掘っても掘っても溢れてくるぜ 耳クソってゆーヤツは!

そんな僕はプログレが苦手なのですが これは楽曲構成も
それ程複雑では無く メロディーやリズムも難解では無いので
メロディーを追って聴けて 割とすんなりと聴けるアルバムです。

ボーナス曲は本編とは違い 1stの頃に戻ったかのような
大らかなフォーク・ロックで・・・やはり僕はこの部分が好きだなぁ。
10曲目の優しげな雰囲気なんかもうたまらないですねぇ。
ギターのフレーズや歌メロがサイモンとガーファンクルの
フィーリン・グルーヴィー似の11曲目は 妙にフレンドリーで
すっとぼけな楽しさもありリンディスファーンかのようでもあります。

そんなんで これからスイ・ジェネリスを聴いてみようという人は
各アルバムを単品購入するのもいいけど ボーナス曲も入って
お買い得なこのボックス購入でスイ・ジェネリス制覇といきますか。
 
Vida.jpg
disc 1: vida (1972)
 1 Cancion Para Mi Muerte
 2 Necesito
 3 Dime Quien Me Lo Robo
 4 Estacion
 5 Toma Dos Blues
 6 Natario Ruiz, El Hombrecito
   Del Sombrero Gris
 7 Mariel Y El Captain
 8 Amigo Vuelve A Casa Pronto
 9 Quizas, Porque
10 Cuando Comenzamos A Nacer
11 Posludio
ConfesionesDeInvierno.jpg
disc 2: confesiones de invierno (1973)
 1 Cuando Ya Me Empiece A Quedar Solo
 2 Bienvenidos Al Tren
 3 Un Hada, Un Cisne
 4 Confesiones De Invierno
 5 Rasguña Las Piedras
 6 Lunes Otra Ves
 7 Aprendizaje

 8 Mr. Jones O Pequeña Semblanza
   Una Familia Tipo Americana
 9 Tribulaciones, Lamento Y Ocaso
   De Un Tonto Rey Imaginario, O No
bonus track
10 Alto En La Torre
PequenasAnecdotasSobreLasIntituciones.jpg
disc 3: pequeñas anecdotas sobre
     las instituciones (1974)

 1 Instituciones
 2 Tango En Segunda
 3 El Show De Los Muertos
 4 Las Increibles Aventuras Del Señor Tijeras
 5 Pequeñas Delicias De La Vida Conyugal
 6 El Tuerto Y Los Ciegos

 7 Musica De Fondo Para
   Cualquier Fiesta Animada
 8 Tema De Natalio
 9 Para Quien Canto Yo Entonces

bonus tracks
10 Juan Represion
11 Botas Locas

 

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