RALPH McTELL 「SPIRAL STAIRCASE」 (1969) 英 WOODEN HILL HILLCD 5 (CD/1996)
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ラルフ・マクテルの2nd。 オリジナルLPはトランスアトランティックから出ていました。 メアリ・ホプキン様もカバーしている名曲 「Streets Of London」 から始まり 繊細なアコースティック・ギターの爪弾きと美しいメロディーにクラクラして来ますね。 そして決して上手いとは言えないけれど柔らかく誠実な歌声も良いですねぇ。 2曲目以降はアコギの伴奏に程よくその他の楽器が絡んで来て彩りを与えてくれます。 まるで小鳥のさえずりのように笛が入るインストの3曲目は1分の短い曲ですが最高。 ストリングスが入って室内楽フォーク気味の 4 6 13 というのもあります。 特に4曲目はストリングス&グロッケンスピールで必殺ぶりをアピール。 可愛らしい9曲目はメアリ・ホプキン様の 「Silver Birch」 に似ている曲ですねぇ。 ん? 「Silver Birch」 もラルフ・マクテル作です。 同じ曲の歌詞違いなのでしょうか。 似てるけど明らかにメロディー展開が違うのでやっぱり違う曲かな? ジャグ・バンド・スタイルの5曲目と7曲目なんかもあって楽しいです。 一聴地味な内容ですがラルフ・マクテルの歌声のおかげなのかとっても心地良く聴けて 午後の穏やかな陽射しの下 お昼寝のお供にもってこいのアルバムですね。 メアリ・ホプキン様のアルバム 「Earth Song / Ocean Song」 と合わせてお聴き下さい。 |
THE PENTANGLE 「THE PENTANGLE」 (1968) 英 WOODEN HILL HILLCD 7 (CD/1996)
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ペンタングルの1st。 こちらもオリジナルLPはトランスアトランティックからです。 第14号でペンタングルを紹介した際 その音の緊張感に耐えられないと書きましたが 現在はだいぶ僕の気分も変わってきてペンタングルは本当に凄いですよ。 この1stは彼らのアルバムの中では最もジャズ色が強い感じがしますね。 曲の途中にドラム・ソロやベース・ソロが飛び出すのでそう感じてしまうのでしょうか。 トラッド曲も1 6 7と取り上げていますが全体的にトラッド臭は薄いです。 そしてやはりビシビシと緊張感が伝わって来て妥協を許さぬ態度が音に出ています。 そんな中8曲目の後半ジャージーな演奏が過熱する中 「キイィー」 と叫び声が入り 和ませてくれた(?)後 最も聴きやすい9曲目に突入する展開が良いですね。 9曲目は聴きやすい・・・というかバート・ヤンシュの鼻詰まり気味の オヤジ臭漂うヴォーカルが飛び出してほっとすると言った方がいいかな。 しかしヤンシュとジョン・レンボーンのアコギ・バトルは醒めているようで熱いし ダニー・トンプソンのダブル・ベースとテリー・コックスのドラムスはかっちょ良いし ジャッキー・マクシーの美声ヴォーカルも美し過ぎで ペンタングルは凄い5人組です。 |
STORYTELLER 「STORYTELLER」 (1970) 英 WOODED HILL HILLCD 22 (CD/1997)
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こちらもオリジナルLPはトランスアトランティックからのストーリーテラーの1st。 ここまで紹介した3枚はすべてトランスアトランティック物の再発ですが ウーデン・ヒルはトランスアトランティック物だけ扱うという訳でもないようです。 このアルバムのブックレットに印刷されているレーベルのカタログを見ると バート・ヤンシュ ジョン・レンボーン ジェリー・ラファティーといった英国フォーク系の他 キャプテン・ビーフハート メラニー ラヴィン・スプーンフル モダン・ラヴァーズなど アメリカ物も再発していて 何だかよく分からないラインナップになっています。 そして本作 レーベルの名前がウーデン・ヒルからウーデッド・ヒルに変わっています。 実はウーデン・ヒルという同名の別のレーベルがもうひとつ存在していて そちらの方が先に始動していたのでクレームが来て変えざるを得なかったのでしょうか。 ストーリーテラーはアコースティック色強いロック・バンドといったところでしょうか。 女性ヴォーカルもメンバーにいますが歌っている頻度は男性ヴォーカルの方が高いです。 ドラムスやベースも入るロックな構成ですがエレキ・ギターよりもアコギを多く使用。 そのせいか全体的にロック・バンドとしての迫力という物は無いです。 ポップなフォーク・ロック路線で行くのか美しい陰影のある音を追求するのか ちょっと焦点が定まっていなくて残念ですが逆にクセが無くて聴きやすいですね。 その中でもアコギ&フルートの6曲目やストリングスも入る8曲目なんかは 室内楽フォーク度高くてかなりスンバラシー事になっています。 14〜19はボーナス・トラック。 すべて2ndアルバムからの曲になっていて 無理矢理なボーナス曲ブチ込み処理するならちゃんと2ndも再発しやがれって感じです。 |
OLIVER 「STANDING STONE」 (1974) 英 WOODEN HILL WHCD001 (CD/1995)
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そしてこれが問題の同名のウーデン・ヒル・レーベル。 このオリバー(写真手前のオヤジ)の事は一切知りませんでしたが セール品のコーナーに新品が安価で転がっているというお買い得料金設定だったし ラルフ・マクテルやペンタングルを出しているメジャーのウーデン・ヒルだと思ったので きっとフォーク系に違い無いぜ!と勝手に想像して騙されて購入してしまいました。 更に裏ジャケには 「Recorded on the farm in Wales in early 1974」 と印刷されていて この文章だけで聴く前から大興奮してしまい鼻血がタラーと流れんがばかりです。 で アルバムの内容はというとアコースティックとエレキ・ギターの伴奏を中心に フォーク〜ブルース系の演奏時間の短い曲がずらずらっと並んでおりました。 アメリカンな感じの分かりやすいフォーク・ソングが一番多く収録されていますが ヴォーカルに思いっきりエフェクトがかかったりしてサイケデリック色も濃厚。 かと思うとリコーダーが入る3曲目と5曲目ではちらっとトラッド臭さが顔を覗かせるし 屋外録音を裏付ける鳥のさえずりがバックに聴こえる15曲目なんてのもあります。 その15曲目はアコギ2本にペナペナ・パーカッションという伴奏で美しいですね。 このアルバムは再発LPも存在して中古で見かけた事があるのですが そちらはヤバい再発専門のテンス・プラネット・レーベルから出ていましたよ。 という事はオリバーという人 かなりマニア殺しの人材だったんですねぇ。 |
THE FAMOUS JUG BAND 「SUNSHINE POSSIBILITIES」 (1969) 英 WOODED HILL HILLCD 25 (CD/1999)
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フェイマス・ジャグ・バンドの1st。 オリジナルLPはリバティー・レーベルからです。 13と14はボーナス曲ですが2nd収録曲からという又もや無理矢理なボーナス処理。 レーベル・ロゴは改名後のウーデッド・ヒルになっていますが ブックレットをよく眺めると まだウーデン・ヒルと表記されている部分もあります。 これは改名の混乱なのか オリバーを出しているウーデン・ヒルがインディーズ盤なので 俺達はメジャーだからてめーらが何言おうが知ったこっちゃねーぜという態度でしょうか。 このグループはインクレディブル・ストリング・バンドを脱退したクライヴ・パーマーを 含む4人組ですがクライヴは得意楽器のバンジョーをあんまり弾いていないし 曲を作っているのもピート・ベリーマンというヤツが中心でクライヴ色は薄いですかねぇ。 バンド名がフェイマス・ジャグ・バンドでジャケットもジャグに蝶が止まるという物で 実際にバックでジャグは吹かれていますが楽しげなジャグ・バンド・スタイルの曲は少なく 2 4 7 10 11 14 といったあたりの虚ろで美しいフォークが幅を利かせています。 トロトロと眠気を誘う4曲目なんてかなり素晴らしい事になっています。 女性ヴォーカルのジル・ジョンソンちゃんがヴォーカルをとる曲が多いのも又たまりません。 いやこれは良いアルバムに仕上がっております。 フェイマス・ジャグ・バンドは2001年に 「O For Summer」 という再結成盤も出しています。 再結成盤は虚ろさが後退しているのでジャグ・バンドを名乗っても問題無し盤でした。 |
CAROLANNE PEGG 「CAROLANNE PEGG」 (1973) 英 PIER PIERCD 503 (CD/1999)
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元ミスター・フォックスのキャロレイン・ペグのソロ・アルバム。 又々オリジナルLPはトランスアトランティックから出ている1枚です。 ピアーというレーベルからの再発ですがこれがウーデン・ヒル傘下のレーベルらしく ジャケ右下の楕円にインフォメーションを入れる所やブックレットのタイポグラフィーや CD盤面の薄黄色や文字の配置などウーデン・ヒルと一緒になっています。 オリバーを出しているウーデン・ヒルが相変わらず活動を続けていて抗議しまくるので 面倒だからレーベル名を完全に変えてしまったという事もあり得ますねぇ。 1曲目から軽快なカントリー・ロックで全体的にもアメリカンな音になっています。 ミスター・フォックス同様のトラッド臭のあるサウンドを期待してしまうと面食らいますが 3 5 10などエレクトリック・トラッドの香り漂う曲もしっかり入っています。 ただミスター・フォックスではそんなに気にならなかった演劇的な節回しのヴォーカルが こちらでは爆発ぎみで このヴォーカルに耐えられるかどうかが勝負ですかねぇ。 僕はカントリー・ロック・タイプの曲の方が好きかな。 1曲目と9曲目に入る疾走感のあるバンジョー・ロールが気持ち良いですね。 さて 忘れた頃に鋭い再発盤を届けてくれるウーデン・ヒル。 これからどーなっちゃうのでしょうか。 期待しているんだけどねぇ。 |