突然ある1曲がヒットして何度も何度も連続聴きする事はよくあるのですが
只今ヒット中なのは「P.F.スローン」という曲です。
「P.F.スローン」はジミー・ウェブの曲で アソシエイションもカバーしているけれど
とにかく最高なのが英国フォーク・ロックのユニコーンがやっているヴァージョンで
ユニコーン・ヴァージョン以外は何かイマイチだなぁーと今まであまり聴いていませんでした。
ところがここにきてアソシエイションとジミー・ウェブの「P.F.スローン」も赤丸急浮上!
このままいくと「P.F.スローンを聴くツアー2泊3日の旅」とか計画しそうな勢いです。


UphillAllTheWay.jpg
UNICORN 「UPHILL ALL THE WAY」 (1971)
伊GET BACK GET583 (LP/1999)
A1 P. F. Sloan
 2 115 Bar Joy
 3 I've Loved Her So Long
 4 Don't Ever Give Up Trying
 5 Country Road
 6 Cosmic Kid (bonus track)
 B1 Something To Say
  2 Ain't Got A Lot Of Future
  3 Never Ging Back
  4 You, You, You Have
  5 Please Sing A Song For Us

こちらが只今大ヒット中の「P.F.スローン」を収録したユニコーンの1stアルバム。
A6にボーナス曲を収録したイタリアのゲット・バック社からの再発LPでの紹介です。
ジャケットだけ見るとプログレ・バンドか?と思っちゃうビミョーに下手な変な絵なのですが
出てくる音はコーラスを多用した爽やかな米国西海岸風味のフォーク・ロックになっています。

問題の「P.F.スローン」はA面1曲目にいきなり入っていてデビュー・アルバムの1曲目は
そのバンドを象徴する音でなければいけないの法則からいっても相当の自信曲な訳です。

「P.F.スローン」はほんのり切ない大らかなメロディーで迫るミドル・テンポのフォーク・ロック曲で
空を見上げたら青空が青すぎて何だか知らないけれど涙が出てしまうような そんな名曲ですよ。
そして「ノーノノ ノーノノノー・・・ドン・シンガ・ソング」というサビのフレーズは
「ノーノー」ばっかりなのでLPに合わせて一緒に歌って興奮もできるという特典付きです。

更に1曲目に収録されているので針を落とす場所がアバウトでもちゃんと頭が切れずに流れます。
2曲目以降だとちゃんと曲間の溝を狙って盤に針を落とさないといけないからねぇ。
・・・と1曲目であるという特典も付いているので まあフツーに20回程度は連続聴きでしょう。

その他印象に残る曲は マンドリンとアコーディオンとハーモニカが活躍する3拍子のA6。
このボーナス曲はシングルの曲なのかな? そんなクレジットの印刷も無い不親切なLPです。
後は耳馴染みのあるラヴィン・スプーンフルのカバーB3がダサいベース・ライン&
アコギ・ガチャガチャでスピード感たっぷりに迫ってきて楽しいですねぇ。

アルバム全体では米国西海岸風味のフォーク・ロックをやる英国バンドのひとつという感じで
このテのバンドはいかに良い楽曲を並べられるかが勝負ってところがあります。
それ程ズバ抜けて良いアルバムって事も無いけれど「P.F.スローン」を収録しているので 
このアルバムだけ持って「P.F.スローンを聴くツアー2泊3日」に行けそうな勢いです。

4thアルバム「One More Tomorrow」のレヴュー・・・第62号
 


StopYourMotor.jpg
THE ASSOCIATION 「STOP YOUR MOTOR」 (1971)
ワーナー・ミュージック・ジャパン WPCR-10198 (CD/1999)

1 Bring Yourself Home
2 Funny Kind Of Song
3 That's Racin'
4 P. F. Sloan
5 Silver Morning
6 It's Gotta Be Real
7 The First Sound
8 Along The Way
  9 Travelers Guide (Spanish Flyer)
 10 Seven Virgin
 bonus tracks
 11 Along The Way (single version)
 12 P. F. Sloan (single version)
 13 Bring Yourself Home (single version)
 14 That's Racin' (single version)

ソフト・ロック・グループとして語られる事も多い米国のアソシエイションの7thアルバム。
このCDはけっこう以前から所有していたのだけれど 購入当時からあまり聴いていなくて
「P.F.スローン」程の名曲が収録されているのに気付いたのもつい最近というダメダメぶりです。

「P.F.スローン」はユニコーンのヴァージョンよりも早いテンポでリズミカルに演奏され
出だしからいきなり「ノーノノ ノーノノノー・・・ドン・シンガ・ソング」のコーラスで始まり
後半はこのサビのフレーズが輪唱になり何度も繰り返され 更にハンド・クラップも入って
最高潮に盛り上がるという 麗しいコーラスが売りのグループらしいナイスな仕上がりですよ。

「P.F.スローン」は本編の4曲目とボーナス部分の12曲目と 2ヴァージョンも入っていて
P.F.スローン祭り開催中状態のアルバムになっています。 2曲も「P.F.スローン」が
入っていると「P.F.スローンを聴くツアー2泊3日」では足りないので3泊4日は必要ですね。

その他の曲もよくできたポップ・ソングが連発され 安心して聴ける内容のアルバムです。
フィドルが入ってカントリー・ロック風味の3曲目とかも好きだけれど やはり「P.F.スローン」が
全曲中最も輝きを放っていて どーしよーもなく名曲ぶりを発揮していますよ。
 
僕はアソシエイションには健康的なポップ・コーラス・グループという印象があって
本作のジャケットでメンバー全員が長髪にヒゲという風貌になっているのには違和感があります。
長髪にヒゲがこれだけの人数まとめていると何か事件が起こりそうな不健康な香りがするでしょ?

収録曲には長髪にヒゲが似合う土臭い曲も少々ありますが アルバム全体ではまだ健康的な
ポップ・コーラス・グループの音で ヒゲ面長髪な風貌とサウンドがしっくり来るのは次の8th
「Waterbeds In Trinidad !」で 本作の時点ではルックス先行型になっています。
 


WordsAndMusic.jpg
JIMMY L. WEBB 「WORDS AND MUSIC」 (1970)
米REPRISE RS 6421 (LP)

A1 Sleepin' In The Daytime
 2 P. F. Sloan
 3 Love Song
 4 Careless Weed
 5 Psalm One-Five-O
 B  music for an unmade movie (in three parts)
  1 Songseller
  2 Dorothy Chandler Blues
  3 Jerusalem
  4 Three Songs (Let It Be Me,
    Never My Love, I Wanna Be Free)
  5 Once Before I Die

そして「P.F.スローン」の作者ジミー・ウェブの「P.F.スローン」収録の彼の2ndアルバムです。
という事で「P.F.スローン」という曲はジミー・ウェブ・ヴァージョンがオリジナルで このLPを聴くと
ユニコーンはジミー・ウェブ・ヴァージョンに近いサウンドでカバーしていたって事がわかります。

ジミー・ウェブの「P.F.スローン」はドラムレスになっていて このテのポップ・ソングがドラムレスだと
かったるく響く場合も多いのだけれど アコーディオンやヴァイオリンも入りほんのり郷愁があるし
ジミー・ウェブの力強いヴォーカルと女性の歌声も入った優しげなノーノー・コーラス部分との
コントラストがまた面白く 全然かったるいなんて感じさせない名曲に仕上がっています。

そういえば・・・と思って本棚を見たらレコード・コレクターズ2001年1月号ジミー・ウェブ特集がありました。
レコード・コレクターズ誌には「P.F.スローン」という曲についての事もけっこう書いてあって
この曲はもちろん1960年代に職業作曲家として活躍したP.F.スローンの事を歌った歌です。

P.F.スローンは職業作曲家だけでは飽き足らず自らも歌って ヒット・チャートも賑わしました。
ただ時代はまだ1960年代半ばで 職業作曲家から表舞台にキャロル・キングやこのジミー・ウェブが
登場するシンガー・ソング・ライターの時代にはP.F.スローンはシーンから消えてしまっていた訳です。

ジミー・ウェブも職業作曲家としての仕事が無くなって自分で歌わざるを得なくなったと語るインタビューも
載ったレコード・コレクターズ誌2001年1月号は興味深い話満載なので隅々まで読まないといけません。
ああ レコード・コレクターズ誌も読まないといけないとなると「P.F.スローンを聴くツアー3泊4日」では
全然足りないので4泊5日はしておかないとダメになってきましたよ。

で このアルバムですがピアノを基調にしたシンガー・ソング・ライターの時代を感じさせる曲と
全然印象に残らないロックっぽい曲が同居していて アルバム全体が???って感じです。
「P.F.スローン」はもちろん良いですが 他に良いのがB4の有名曲3曲のカバー・・・なんだよねぇ。
1960年代にヒット曲を連発した職業作曲家にしては 自作曲で光る曲が少ないのはいけません。

そのB4のメドレーは綺麗な声の女性ヴォーカルとデュエットで歌っていて物凄く良いですねぇ。
この女性は全編にコーラスで入るのだけれど一体誰なのでしょうか? 職業コーラス家かな?
 


ChildOfOurTimes.jpg
P. F. SLAN 「CHILD OF OUR TIMES the trousdale demo sessions 1965-1967」 (2001)
米VARÈSE SARABANDE 302 066 157 2 (CD)
1 You Baby
2 I Know That You'll Be There
3 Another Day, Another Heartache
4 Miss Charlotte
5 Is It Any Wonder
6 Can I Get To Know You Better
7 Look Out Girl

  8 See Ya 'Round On The Rebound
  9 Child Of Our Times
 10 I've Got No More To Say
 11 Cling To Me
 12 I Don't Wanna Say Goodnight
 13 My First Day Alone
 14 Troubled Mind
 15 Spinning Wheel
 16 It's To Late Baby
 17 You're A Lonely Girl
 18 Say It Again
 19 Baby I Can't Stop Myself
 20 Danger Man (Secret Agent Man)

「P.F.スローン」という曲がフェスティバル状態の今こそ その曲名にされてしまった
P.F.スローン本人の音を聴かなければいけないのは言わずもがなじゃないですか。
本当は何枚かある彼のオリジナル・アルバムを聴かないと話にならないけれど
僕はこのデモ音源CDしか所有していなくて・・・仕方ないので聴いてみます。

本作にはデモ・セッションズとサブ・タイトルが付いていますが デモっぽい弾き語りとかでは無く
どの曲もしっかりと作られていて 完成品と言ってもいいような曲が並んでいます。
1曲目の「ユー・ベイビー」なんかタートルズのヴァージョンと聴き比べてみると
タートルズはこのP.F.スローンのデモをなぞって演奏したんだろうなぁーと想像できます。

録音時期は1965年から1967年なのでフォーク・ロックの時代ど真ん中の音で
初期のフォーク・ロックのキーワードである12弦ギターやタンバリンも活躍しています。
しかし元々1枚のアルバムを作るために録音した訳では無いので ズラーっと同じような曲が並び
1枚のアルバムとして聴いちゃうと変化が乏しく 20曲も聴いていると飽きてくる事うけあいです。

ただ収められた曲はどれも職業作曲家としてのプロ意識に裏打ちされた押さえるところを押さえた
フォーク・ロック曲の連発ではあるので 好きな曲を見つけてピンポイント聴きしましょう。
僕はやはりタートルズに提供した1曲目をピンポイント聴き。 12弦ギターの音が良いなぁ。
収録曲はタートルズに提供した曲がけっこう多いような気が・・・あまりよく知らないけどね!

いやぁ遂に楽曲の「P.F.スローン」だけでなく P.F.スローン本人の曲も登場してしまって
比較検討した結果こんなにたくさん聴くには4泊5日では明らかに時間不足な事が発覚しました。
えーい仕方ない 「P.F.スローンを聴くツアー5泊6日」でどうだ!
 


SoundOfSummerShowers.jpg
「SOUND OF SUMMER SHOWERS」 (1993)
MCAビクター MVCM-387 (CD)
 1 THE MAMAS & PAPAS California Dreamin'
 2 MFQ I Had A Dream Last Night
 3 MFQ Don't You Wonder
 4 JERRY YESTER Sound Of Summer Showers
 5 JERRY YESTER Ashes Have Turnd
 6 THE CRITTERS Younger Girl
 7 THE CRITTERS Mr. Dieingly Sad
 8 P. F. SLOAN From A Distance
 9 P. F. SLOAN I Found A Girl
10 P. F. SLOAN The Sins Of A Family
11 BARRY McGUIRE Eve OF Destruction
12 LAMP OF CHILDHOOD Season Of The Witch
13 JERRY YESTER I Can't Live Without You
14 
JERRY YESTER Garden Of Imagining

 15 MFQ Night Time Girl
 16 P. F. SLOAN Sunflower, Sonflower
 17 P. F. SLOAN A Melody For You
 18 TERRY BLACK Ordinary Girl
 19 LAMP OF CHILDHOOD No More Running Around

 20 THE GRASS ROOTS I'd Wait A Million Years
 21 HAMILTON, JOE FRANK & REYNOLDS Don't Pull Your Love
 22 CUFF LINKS Tracy
 23 THE CRITTERS Bad Misunderstanding
 24 THE CRITTERS Marryin' Kind Of Of Love
 25 THE STRAWBERRY ALARM CLOCK Incence And Peppermints
 26 THE MAMAS & PAPAS Dedicated To The One I Love
 27 MAMA CASS Dream A Little Dream Of Me
 28 THE MAMAS & PAPAS Twelve Thirty
    (Young Girls Are Coming To The Country)

そーいえばP.F.スローン本人の音は前項のデモ音源集の他に このオムニバス盤にも
収録されていたのを思い出しました。 全28曲中P.F.スローンの曲が5曲と最も多いのに加え
11曲目のバリーマクガイアと18曲目のテリーブラックもP.F.スローン作の楽曲ですよ!
つまりP.F.スローンを最もフューチャーしたオムニバス盤という事でいいですよね。

MCA音源の1960年代米西海岸ポップス〜フォーク・ロックを中心にまとめたこのCD
今でこそほとんどの収録曲がCD化されているのだろうけれど このCDが出た1993年当時は
世界初CD化の楽曲が多数だったし 全体に統一感もあり中々良いオムニバス盤です。 
西海岸ポップスとフォーク・ロックの時代を繋ぐ決定的な名曲にして大ヒット曲の
ママス&パパスの1曲目から素晴らしい仕上がりの魅力的な曲が並んでいますよ。

パパパ・コーラスが楽しく響くキャッチーなポップス カフ・リンクスの22曲目とか
全曲中最もサイケなストロベリー・アラーム・クロックの25曲目とか 面白い曲が色々あるけれど
P.F.スローンの曲を語ると 何と言っても日本でのみヒットしたという8曲目が名曲ですねぇ。
素敵なメロディーを持ったフォーク・ロック曲で邦題は「孤独の世界」です。 ああ良いなぁ。

そして11曲目は全米第1位のP.F.スローン作 バリー・マクガイアが歌う邦題「明日なき世界」。
これも典型的なフォーク・ロック・サウンドですが バリー・マクガイアのガラガラ声が何かねぇ。
なおバリー・マクガイアは元ニュー・クリスティ・ミンストレルズで 前々々項のアソシエイションにも
元ニュー・クリスティ・ミンストレルズのラリー・ラモスが在籍しております。
そしてアソシエイションはジム・イエスターという人もメンバーで このCDに4曲登場する
ジェリー・イエスターはジム・イエスターの弟・・・更に全然関係無いけれどレアーな英国ロックの
ビザンチウムのミック・バラカンはピーター・バラカンの弟・・・ああホント全然関係ねー!

しかしP.F.スローンをキーワードにここら辺の人脈まで語りだしたらP.F.スローンを聴くツアーは
5泊6日では全然語れません。 「P.F.スローンを聴くツアー6泊7日」でどうでしょう!
更にレコード・コレクターズ誌2001年1月号ジミー・ウェブ特集を読むと「P.F.スローン」には
ジェニファー・ウォーンズ・ヴァージョンもあるようで・・・ちっきしょー聴いてみてぇー。
まだ聴いた事の無いヴァージョンの「P.F.スローン」を聴くとなると6泊7日じゃ足りねー!
くっそー! 「P.F.スローンを聴くツアー100泊101日」でどうでしょう・・・これでも足りないか?
 

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