トラッド・ソングってゆーのは民謡なわけだから日本でいったら「ソーラン節」とか
「炭鉱節」とかじゃないですか。 そりゃー民謡なんてかったるい音楽ですって!
そこでロック世代のヤングな若者でも聴きやすいようにトラッド曲を電気増幅して
フェアポート・コンヴェンションを代表格とするエレクトリック・トラッドときたモンだ。
でもやっぱりトラッド曲なので実はそれ程聴きやすくは無かったり・・・ね。
それはそうと僕は「月がぁー出た出たぁー」の炭鉱節はけっこう好きですよ。
炭鉱節は「めちゃんこめちゃんこめっちゃんこぉー」のアラレちゃん音頭と共に
盆踊りの必殺の定番曲になっていますものね・・・って何が言いたいのか
わからなくなってきましたがエレクトリック・トラッドなアルバムを並べてみました。



TheGardenOfJaneDelawney.jpg

TREES 「THE GARDEN OF JANE DELAWNEY」 (1970)
英 BEAT GOES ON BGOCD 172 (CD/1993)

1 Nothing Special
2 The Great Silkie
3 The Garden Of Jane Delawney
4 Lady Margaret
5 Glasgerion
 6 She Moved Thro' The Fair 
 7 Road
 8 Epitaph
 9 Snail's Lament


2ndの水撒き少女のたまらねージャケットが有名な英国のエレクトリック・トラッド・バンド
トゥリーズの1stです。 右側の家から根っ子が生えているという変なジャケットだけど
内容は2ndよりもこっちの方がトゥリーズというバンドの魅力が出ているんじゃないかな。

オリジナルLPはCBSから出ていましたが2曲目とか聴いているとメジャーのCBSから
出ていた音とは思えないサイケデリックな妖しさを放つモンでレア・フォークの如くな
風格が漂いますねぇ。 実際LPは1stも2ndもけっこうな高額で取引きされている
レア盤だったりもするのでレア・フォークっていえばレア・フォークですけどね。

しかしこの妖しさは儚く響く女性ヴォーカル セリア・ハンフリーズの高い声質に
「呪い系」を感じるからでしょうか。 また英国トラッドってゆーヤツは楽曲のメロディーも
暗いのが多いので呪い系になりやすい要素は秘めているのですけどね。
まあちょっと呪い系ではあるけれど全体の印象はフェアポート・コンヴェンションからの
影響丸出しのエレクトリック・トラッドって事でいいと思います。
4 6曲目あたりはもろにフェアポート・コンヴェンションしまくっていますしねぇ。

僕が好きな曲を挙げてみると 弾むリズムでありながら全然楽しさを感じない1曲目。
哀しげなメロディーで迫るドラムレスのフォーク曲 3 8曲目も好きだねぇ。
この2曲は暗いけれども絶品の室内楽フォークとして響き これは美しくて良いですよ。
そして男女のハーモニーで聴かせる9曲目は僕がトゥリーズの曲の中で最も好きな曲で
サビのメロディーに抑揚が無く盛り上がらない感じが逆に大好きなのです。 良いなぁ。

で 本作のトラッド曲はクレジットでは2 4 5 6曲目と表記されております。
・・・と好きな曲は全部トラッド曲ではなくオリジナル曲ですねぇ・・・あれれ?
 



RoughDiamonds.jpg

JACK THE LAD 「ROUGH DIAMONDS」 (1975)
英 VIRGIN/CHARISMA CASCD 1110 (CD/1992)

1 Rocking Chair
2 Smokers Coughin'
3 Captain Grant
4 My Friend The Drink
5 A Letter From France
6 Gentleman Soldier
7 Gardener Of Eden
  8 One For The Boy
  9 The Beachcomber
 10 The Ballad Of Winston O'Flaherty
 11 Jackie Lusive
 bonus tracks
 12 Draught Genius

 13 Baby Let Me Take You Home


リンディスファーンからメンバーの大量離脱事件によって結成されたジャック・ザ・ラッド。
大量離脱事件を起こしてまでやりたかった音楽はリンディスファーンよりちょっとだけ
トラッド色濃い音だったようで えぇー!別に離脱事件起こすまでもないじゃない!状態。
うーんこの大量離脱事件は人間関係のもつれとかが原因だったのでしょうかねぇ。

彼らの作品で最もトラッド色が強いのは2nd「The Old Straight Track」ですが
この3rdアルバムはスットボケなジャケットのイメージそのままに
リンディスファーン時代のようなフレンドリーさが全編を包んでいて聴きやすいですよ。
それでもクレジットを見るとトラッド曲は3 6 10 12 13曲目とけっこう入っていますね。
ボーナス曲2曲の出展はたぶんブックレットに書かれているのだろうけど英文の長い
文章の解説は読みたくねぇー!って事で読んでいないので出展はわかりません。

トラッド曲の3曲目とか聴いているとメンバーがどんどん脱退してサイモン・ニコルが
頑張っていた時代のフェアポート・コンヴェンションの如くで 大騒ぎする程でもないけど
中々味があって良いですよ。・・・と本作のプロデューサーはサイモン・ニコルなのでした。

僕が好きな曲は途中に演劇的な語りも入ってスットボケで楽しい5曲目。
そしてリンディスファーンとどこがどう違うのか区別がつかないフォーク・ロック 7 8曲目。
・・・と相変わらずトラッド曲以外の曲が好きだったりしてね!

しかしリンディスファーンもジャック・ザ・ラッドもトボけた雰囲気が楽しげで
笑顔にさせてくれるけど 楽しいがゆえにグッとガマンの男の哀愁も流れる瞬間があり
最後に泣かせちゃうという「男はつらいよ」のような寅さんバンドですよねぇ。
グッとガマンの男はつらいよ・・・さあ僕もちょっとアレをガマンしようか。
 



BothSidesNow.jpg

KEIKO WALKER 「BOTH SIDES NOW」 (2004)
レミントン・ダヴ・ミュージック LDM-0102 (CD)

1 Both Sides Now
2 Matty Groves
3 Angel
4 Mouth Of The Tobique
5 Riannon
6 Teddy O'Neill
  7 Solo
  8 The Water Is Wide
  9 Toss The Feathers
 10 Greensleeves
 11 One More Chance

 12 Winter Light


レコード・コレクターズ誌2005年7月号のグラム・パーソンズ特集記事内に
「グラムの音楽をより深く理解するための30枚のアルバム」として白井英一郎氏が選んだ
30枚の中に唯一の日本人作品「ブロークン・アッシェズ」が載っていました。
「ブロークン・アッシェズ」はケイコ・ウォーカー&シメのデュオで 瑞々しさが爆発する
大傑作ですが多くの人の耳に届かず埋もれているの(でしょうか?)が残念ですねぇ。

これはそのブロークン・アッシェズの女性の方 ケイコ・ウォーカーのソロ作で
1st「Red Is The Rose」が1993年作だから実に11年ぶりの2ndアルバムになります。
僕は本作を2005年になってから入手しましたが まだ発売後そんなに経っていないのに
タワーやHMVの大型店では店頭に置いていないし そのテの専門店
(新宿ユニオンのカントリー&トラッドのフロアです)でも置いていやしないという
一体アンタら良い音楽を売る気あんのか!状態ですよ。 で 結局仕方なく
HMVの通販で購入しましたとさ。 ふぅー手遅れになる前に入手できて良かったぜ!

彼女の1stはアルバム・タイトル曲がトラッド曲でしたが基本路線はカントリー・ロックでした。
この2ndはフェアポート・コンヴェンションの名演で有名な2曲目やサンディ・デニーのカバー
7 11曲目やインストのダンス曲4 9曲目なども入ってエレクトリック・トラッド色が強くなり
カントリー色はほとんどありません。 トラッド曲は2 4 6 8 9 10曲目となっています。
ただバックのサウンドにカントリー色はありませんが彼女のヴォーカルが
エミルー・ハリスを思わせるところがあるので そこにカントリー臭を感じますねぇ。

アコギとダブルベースによる伴奏が心地良いジョニ・ミッチェル作のフォーク曲1曲目から
ピアノのみの伴奏で美しく響き可愛らしいけれど切なくてたまらない最後の12曲目まで
エレクトリックとアコースティック トラッド色のある曲と非トラッド曲のバランスも良く
ブロークン・アッシェズ同様にこれも埋もれちゃいけない名盤に仕上がっていますよ。

それにしてもアコギ ダブルベース フルートという伴奏で少々ヨレ気味に歌われる8曲目の
美しさったらないですよ。 このちょっとヨレた感じがホント良くて うぇーん泣きそう・・・
そしてサンディ・デニーの 7 11曲目がまた良いんだなぁ。 名曲ですねぇ。

Broken Ashes 「Broken Ashes」のレヴュー・・・第49号
 


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