レビュー第208号 まだまだありました、女性ヴォーカル入り英国フォーク

ここのところ英国フォークのレビューが全く無いので
寂しくて泣いているのは知っていました。
久々に英国フォーク作品をとりあげるので
さあ、涙を拭いて、元気出そうぜ!

TheSunAlsoRises.jpg
THE SUN ALSO RISES 「THE SUN ALSO RISES」 (1970)
米 Scenescof SCOFCD 1007 (CD/1999)
1 Until I Do
2 Wizard Shep
3 Part Of The Room
4 Green Lane
5 Tales Of Jasmine And Suicide
6 Flowers
 7 Song Of Consolation
 8 Suddenly It's Evening
 9 Death
 bonus track
 10 Fafnir And The Knights

サン・オールソー・ライゼス!こちら、オリジナルLPはヴィレッジ・シングから出ていました。
グラハム&アン・ヘミングウェイによる男女デュオです。
苗字が一緒で、夫婦なのか兄弟姉妹いとこ関係なのか、あるいは親子なのかも知れません。
裏ジャケの解説文に「フロム・カーディフ」とあるので、ウェールズの2人組ですね。

虚ろに響く男性ヴォーカルと高音が美しい女性ヴォーカルが終始一緒に歌い
ハーモニーもたっぷりつけています。カズーがプププーと入る軽快な1曲目を聴くと
一瞬、爽やかで楽しげなアメリカン・フォーク寄りの音なのか?と思うけれど、全然違いました。

とにかく全曲といっていい程、楽曲のテンポが途中で変わり、何やら妖しげな雰囲気漂います。
この変な展開力はインクレディブル・ストリング・バンドに近いものがあります。

特に、フラメンコ風のギター演奏で始まったと思ったら、テンポが落ちて、ゆったりと美しく流れ
グロッケンや弓弾きダブル・ベースも絡む8分超の4曲目とか、本当にインクレみたいです。
8分もあるとけっこう長いけど・・・まあ、そんなの普通か。インクレは10分超はザラですからね。

全体的に楽曲のメロディーラインが綺麗なので割と聴きやすく、ダブル・ベースの音色も素敵。
グロッケン&ビブラフォーンの使用頻度が高いのもナイス・ポイントだし
2人のハーモニー・ヴォーカルで聴かせる無伴奏の7曲目とか・・・美しくて倒れそうになります。

10曲目のボーナス曲はヴィレッジ・シングのオムニバス盤に入っていた曲。
ポコポコとパーカションが入って楽しげ・・・と思ったら、やはり途中でテンポが落ちて
マイナー調になって、妖しげな曲に仕上がっています。徹底しています。凄いです。
 

Caedmon.jpg
CAEDMON 「CAEDMON」 (1978)
英 Kissing Spell KSCD 9450-f (CD/1994)
1 Ten Maidens Fair
2 Maker Man
3 Death Of A Fox
4 Sea Song
5 Aslan
6 Beyond The Second Mile
 7 Living In The Sunshine
 8 Storm
 9 Columba's Song
 10 Smile On Your Face
 11 Caedmon's Hymn
 12 Give Me...

スコットランドのクリスチャン・バンド、ケイドモン。男性4人女性1人の5人組です。
オリジナルLPはレーベル無し、番号無し、7インチ付きの自主制作盤だったようです。

彼らのグループ名、このアルバムが発掘された1990年代〜2010年頃までは
カエデモン、カエドモンなどと言われていましたが、近年は更にケイドモン、キャドモンと
色々な表記を見かけますね。綴りが一緒でも地域によって発音違うからね・・・

まあつまり、ローマ字読みの読み方適当シリーズで恥ずかしくなろうぜ!って事です。
今まで僕が読み方適当シリーズで読んでた読み方とか・・・もうヒド過ぎで恥ずかしいよ!
つまり、何も恐れる事はありません、君も適当に読んで一緒に恥ずかしくなろうぜ!

バンドの音はアコギ、ベース、パーカッション類、そしてエレキ・ギターがけっこう鋭く入り
たまに他の楽器も聴こえてきて、エレクトリック・トラッド風味があります。
・・・と、楽曲にトラッド的な表情はあるけれど、実はトラッド曲は12曲目だけです。
また、4人のメンバーが楽曲提供しており、5人中4人もソングライターがいるのは凄いね!

曲はマイナー調で暗いヤツが多く、スコティッシュ・バンドだけどイングランドの
暗いトラッド曲を聴いているような印象で面白いです。演奏部分も充実していて
主張するエレキ・ギターや楽曲の構成などに、プログレ的な志向も感じられます。

美しい歌声の女性ヴォーカルは、ちょっと音程が不安定でもあるけど、そこが良くて
バックの演奏は抑え気味で、歌い上げる6曲目に、その魅力が詰まっていて、ああぁ。
そして11曲目は女性ヴォーカルにリコーダーとチェロとアコギが重なって、ああぁ。
最後の12曲目は「ギブ・ミー・ジーザス」の素敵なフレーズが繰り返され・・・ああぁぁー。

彼らは2010年にはメンバー5人揃って復活して新作も出しました!
そちらは未聴で・・・ああああぁぁー。
 

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BREAD LOVE AND DREAMS
「THE STRANGE TALE OF CAPTAIN SHANNON AND THE HUNCHBACK FROM GIGHA」 (1970)

韓国 Si-Wan Records SRMC 0059 (CD/2000)
1 Hymn For Sylvia
2 Masquerade
3 Sucking On A Cigarette
4 He Who Knows All
 5 The Lobster Quadrille
 6 Butterflyland
 7 Purple Hazy Melancholy
 8 Sing Me A Song
 9 The Strange Tale Of Captain Shannon And The Hunchback From Gigha

何だか長たらしいアルバム・タイトルと、そのタイトルを表現したと思われるジャケットの絵からして
物語性が高く、幻想的に響きそうな雰囲気がプンプン香ってくるブレッド・ラブ&ドリームスの2nd。
3人組だった1stから女性が1人抜け、男女2人組になりました。
・・・7曲目だけ抜けた女性メンバーがメインで歌っています。これが、もの哀しく素敵な曲!

オリジナルLPはデッカから出ていて、今回取り上げている他の作品が何だかよくわからない
弱小レーベルから出ていたのとは比べるまでもない、天下のデッカから出ていた訳で
天下のデッカなので、当ページ3度目の登場をしてもらいました。これで1st〜3rd、全3枚登場です。

このCDは韓国のシーワンから出ていて、シーワンといえば、1990年代中頃から2000年位に
英キッシング・スペル社と共に危険なアイテムの再発を怠らなかった誇り高きレーベルとして
一部の人には懐かしく、シーワンという名前を聞くだけで涙が溢れてしまうと言われています。
・・・いや、そんな事は聞いた事ありませんが、当時はかなり有難いレーベルでしたね。
少なくとも世界で最初にヘロンの1stをCD化したレーベルとして僕の中ではトップ・クラスでしたよ。

さて、このアルバム、ほとんどの曲で男性がメインに歌い、女性はコーラスが多いですね。
それもコーラス登場頻度が低くて、アーアーとか、ラララーとかのフレーズが多い・・・
ガチャガチャとアコギがバックで鳴っている感じとかも、何だか男性メンバーの
アシッド・フォーク色強いソロ作を聴いているかのような印象もあります。

そんな中、ポコポコ・パーカッションの6曲目、可愛らしい3拍子の8曲目は女性メインで歌います。
女性ヴォーカル・ファンは旧メンバーが歌う7曲目と合わせて、6〜8曲目が攻めどころです。

セッション・ミュージシャンとしても参加作が非常に多いペンタングルのリズム隊
テリー・コックス(ドラムス)とダニー・トンプソン(ダブル・ベース)が参加しています。
・・・が、全然目立っていませんねぇ。まあ、いいか、天下のデッカ・レコードなので・・・

ブレッド・ラブ&ドリームスは1stも3rdもオリジナルLPは天下のデッカから出ていました。
1st「Bread Love And Dreams」(1969)・・・第43号
3rd「Amaryllis」(1971)・・・第111号
 

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JULIE MAIRS & CHRIS STOWELL 「SOFT SEA BLUE」 (1977)
英 Kissing Spell KSCD 950 (CD/2004)
1 Mendocino (Talk To Me Of)
2 It Doesn't Matter Any More
3 Lovers Cross
4 Another Hotel Room
5 For Free
 6 Soft Sea Blue
 7 Do You Really Need To Keep On Asking
 8 Sweet Sorrows
 9 After The Gold Rush
 10 The Moon's A Hard Mistress

こちら、オリジナルLPはコテージというレーベルから出ていた男女デュオ。
デュオと言いながら、全曲、女性のジュリー・マイアーズがメインで歌い
男性のクリス・ストーウェルはたまに申し訳程度のコーラスをつける位ですね。

クリス・ストーウェルは演奏がメインで、ひとりで全部の楽器演奏をしています。
ギター演奏をメインにピアノで聴かせる曲も数曲、他にクラリネットなども吹いています。

CD化はキッシング・スペルからですが、キッシング・スペルは2000年代中盤から失速し始め
凄い内容の作品のCD化を、他の新興レーベルにガンガンやられてしまった感じでした。
地味な作品のリリースばっかりになった印象があり、まあ、本作もかなり地味ですよ。

ジュリー・マイアーズのヴォーカルは地声が高く、美しいけれど、姉御肌系の声です。
姉御肌声とは、最もわかりやすい例で言うと、シャーリー・コリンズみたいな声の事ですが
例えでシャーリー・コリンズの名前を出す事自体、わかりにくいかなぁ。

収録曲は自作曲少々、カバー多めで、1曲目からケイト&アンナ・マクギャリグルの
1stに入っていた曲で、なかなかマニアックな選曲になっています。
この中ではジョニ・ミッチェルの5曲目とニール・ヤングの9曲目が最も耳馴染みがあるかな?

そんなこんなで、かーなり地味な作品ですが、久々に聴いたら何だか凄く良くてねぇ。
繊細な演奏でヴォーカリストに寄り添う、温かみのある作品といった感じで
こういったタイプはたまに聴くから良いのかも知れません。

なお、クリス・ストーウェルはピーター・ポール&マリー・タイプの3人組フォーク・グループ
ウエストウインドのメンバーだった模様。(1970年にアルバムを1枚だけ発表しています。)

Westwind 「Love Is...」(1970)のレビューがありました・・・第43号
 

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JANET JONES 「JANET JONES」 (1974)
韓国 Big Pink 394 (CD/2015)
1 Someday Soon
2 Until It’s Time For You To Go
3 Concrete Boxes
4 Lemon Haired Ladies
5 Waiting For You
6 Thoughts From A Window
 7 To A Tramp
 8 Silver Coin
 9 You Never Wanted Me Babe
 10 Both Sides Now
 11 Tomorrow Is A Long Time
 12 Retrospect

オリジナルLPはミダスから出ていたジャネット・ジョーンズの2ndアルバム。
彼女の1stはマイナー調の曲も多くて、かなり地味な印象のアルバムでした。
そんな1stを聴いた後に、こちらの2ndを聴くと、あーら不思議、とっても華やかに聴こえます。

しかし!実はこの2ndもギターの弾き語りに、もう1本のギターが入る程度の地味な音で
あと、ベースやキーボード入りの曲もあるけど・・・サウンド自体はどこが華やかだ!レベルです。

にしても、どうしてこんなに華やかに聴こえるかというと、耳に覚えのあるキャッチーな曲が
カバーされているのが大きいと思われます。1曲目がイアン&シルヴィアの「サムディ・スーン」だし
バフィ・セント・マリーの2曲目や、ジョニ・ミッチェルの10曲目、ディランの11曲目とかもあるし
何と言っても、ブリジット・セント・ジョンでお馴染み、ハンター・マスケットも演っている名曲
「シルバー・コイン」が8曲目に入っており、こんなのが平気で聴けるんだぁ・・・良い時代です。

そして、そして、ジャネットの歌声がねぇ。まあ、美声の部類には入るけど、ナチュラルな感じで
いつもそこに咲いているので気にも留めないけれど、ふっと気付いたら
その美しさに心を奪われてしまうような、真に美しい名もなき花の如くな歌声で・・・気絶級です。

ふぅ・・・ジャネット・ジョーンズで気絶してしまいましたが
実はこの後のレビューする作品も、どれもこれも平気で気絶するヤツです。
この後、連続で気絶しないといけないので、心して読んで、心して気絶して下さい。
なおジャネット・ジョーンズは2017年に亡くなったとの事・・・ああ、ジャネット様・・・
 

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FOLKAL POINT 「FOLKAL POINT」 (1972)
韓国 Big Pink 121 (CD/2011)
1 Twelve Gates Into The City
2 Scarborough Fair
3 Sweet Sir Galahad
4 Lovely Joan
5 Circle Game
6 Cookoo's Hollerin
 7 Edom O'Gordon
 8 Victoria Dines Alone
 9 You Ain't Going Nowhere
 10 Anathea
 11 National Seven
 12 Once I Knew A Pretty Girl

オリジナルLPは前項のジャネット・ジョーンズと同じミダスから出ていたフォーカル・ポイント。
CD再発もジャネット・ジョーンズと同じく韓国のビッグ・ピンクからになります。
2010年代以降は、英国レア・フォークのCD化はビッグ・ピンクの独断場となりました。

何だろう、ビッグ・ピンク以前にも韓国からは、フォークやサイケのレア盤CD化は多かったし
権利関係が複雑そうな盤も、韓国だとえぃっ!とリリースできる裏事情があるのかな?
2000年代にイタリアのアカルマがレア盤をリリースしていた裏事情と同じ裏事情?
とにかくこの時期、ビッグ・ピンクはかなり凄い勢いで、レア盤をガンガン出していました。
そして他のレーベルはCD売り上げが落ち込むのと比例して消えて行きましたね。

で、フォーカル・ポイントは男性3人、女性1人の4人組。トラッドとカバー中心で
11曲目だけ自作曲。トラッド曲多めだけど、そこまでトラッドトラッドしている感じはありません。
演奏の男性陣は3人共、担当楽器がギターで、そこにゲストが弾くベースも入ります。
ヴォーカルは女性がメインに歌い、男性コーラスはたまに入る程度ですね。

そして、そして、女性ヴォーカルのシェリーの歌声はやはり、どこにでも咲いているようで
普段気付かないけれど、実は最も美しく愛おしい、真に美しい花のようで・・・ああ、気絶級。
ほんのちょっとだけスモーキーな感触もある歌声で、この感じがまた、とても素敵です。
3曲目ジョーン・バエズ「スウィート・サー・ガラハド」、5曲目ジョニ・ミッチェル「サークル・ゲーム」
この2曲のカバーはとにかく激ヤバだと思います。圧倒的に気絶級な儚く美しいヤツです。

CD化されるまでは、最高にまぼろし度高い作品として、伝説化していたアルバムで
まあ、この2曲のカバーが最高峰だけど、他の収録曲、どれをとっても儚く美しいですよ。
ボブ・ディラン作、バーズでもお馴染み、カントリー調の9曲目「どこにも行けない」だけ
男性ヴォーカルがメインで歌っています。

「スウィート・サー・ガラハド」を収録したオムニバス盤のレビュー
「Folk Heritage」(1973)・・・第99号
 

LiveAtTheGrosvenor.jpg
MERRUWYN 「LIVE AT THE GROSVENOR」 (1974)
韓国 Big Pink 539 (CD/2018)
1 Streets Of London
2 The Wreckers
3 You've Got A Friend
4 Wizard
5 Foghetta
6 Po Ceri Ceri Anna
 7 Everybody's Talking
 8 Where The Lightning Ends
 9 Scarborough Fair
 10 Yesterday
 11 Me And You And A Dog Named Boo
 12 Gotta Travel On

韓国ビッグ・ピンクからもう一枚、お揃いの衣装でニコニコ笑顔の女性2人組メルウィンです。
グループ名の綴りがウェールズぽいけれど、2人ともイングランド出身との事です。
オリジナルLPはファンファーレから出ていました。ファンファーレ?・・・無名レーベルですね。

このアルバムはタイトル通りのライブ盤で、ジャケットのように2人でギターを弾き
ハーモニー・ヴォーカルで聴かせます。サポートも入らず、演奏は完全に2人だけのようです。

オリジナル曲は2曲で、カバー曲がたくさん並んでいて、1曲目からラルフ・マクテル作
メアリ・ホプキン様でもお馴染み「ストリーツ・オブ・ロンドン」を可愛らしいハーモニーで!
これはヤバいぞ!たまらない事になっております。早くも気絶級ですね。
キャロル・キング作、ジェームス・テイラーでもお馴染みの3曲目「きみの友だち」も気絶級。

5曲目はギターによるインスト、こういったクラシカルな曲のギター演奏も中々達者です。
6曲目は曲の途中からリコーダーが入り、ギター、ヴォーカルと重なって可愛らしい!

7曲目にはカバーの定番曲ニルソンの「うわさの男」があり
9曲目は前項のフォーカル・ポイントもやっていた定番曲「スカボロー・フェア」で
それに続く10曲目の「イエスタディ」は、もちろんビートルズの「イエスタディ」で、これも定番。

ここら辺の定番カバー曲を連続で聴き、ふっと冷静になって分析すると
そこら辺の女の子がギターを弾いて歌っているだけの、何て事ない音にも聴こえたりして
あれ?俺何聴いているんだ?これ、そんな気絶級なのか?とも思っちゃいます。

・・・が、実は、そこら辺の女の子がギターを弾いて歌っているだけだからこそ
普段は気付かないけれど、実は美しくて愛おしい、真に美しい花なのです・・・そうなのか?
 

DistanceOfDoors.jpg
JANCIS HARVEY 「DISTANCE OF DOORS」 (1973)
韓国 M2U Records M2U-1024 (CD/2004)
1 Distance Of Doors
2 Inasmuch
3 City Song
4 Have We Changed?
5 Simple Gifts
6 Morning Has Broken
 7 When I Needed A Neighbour
 8 It Is Written Of You
 9 I Am A Rock
 10 One Man Alone
 11 Home From The Forest
 12 Judas And Mary
 13 Jesus Knows

やはりこの流れで行くと、ヤンシス・ハーヴェイを登場させない訳にはいきませんね。
だって真に美しい花といえばヤンシス、ヤンシスといえば真に美しい花でお馴染みですものね。
・・・いや、まったくお馴染みじゃないです。これはたった今考えたフレーズですから。

で、こちらは1stアルバム。オリジナルLPはピルグリム・キングというレーベルから出ていて
クリスチャン系のレーベルなのかな?収録曲もジーザスな13曲目はじめ、それっぽいです。

これは彼女が1970年代に出した5枚のアルバムの内、最も地味な内容です。
ガット・ギターの弾き語りに、もう1本のギターが乗っかるのが基本路線で
アルペジオの柔らかい響きがとっても素敵です。カバーが多いけど自作曲も5曲入っています。
あと、登場楽器では、オートハープが入る2曲目と8曲目、フルートが入る5曲目もあります。

自作曲の3曲目や4曲目とか、飾り気も何にも無いけど、なんて儚く美しく響くのでしょう。
それに続く5曲目は、最初無伴奏で歌い、途中でフルートの演奏が入ってきて、クラクラー。
キャット・スティーヴンスでお馴染みの6曲目やサイモン&ガーファンクルの9曲目なども挟み
最後の13曲目は3拍子の可愛らしいジーザス・ソングで、こんなの普通に気絶しますって!
もうホント、ヤンシス・ハーヴェイは他のアルバムも儚く美しく、気絶級なヤツ揃っています。

ただね、ただね、このテの地味な演奏で聴かせる、カバー中心のフォーク作品っていうのは
聴くタイミングを間違えると、かったるく響いちゃうので、聴くタイミングを間違えないように!
今回登場している作品、全部に当てはまりますね・・・聴くタイミング、凄く大事ですよ!

ヤンシス・ハーヴェイは以前も書いています。
「Time Was Now」(1975)・・・第99号
「A Portrait Of Jancis Harvey」(1976)・・・第126号
 

ASwingToFolk.jpg ASwingToFolkBack.jpg
THE COTERIE 「A SWING TO FOLK」 (1969)
スペイン Munster MR 418 (LP/2021)
A1 Until It's Time For You To Go
A2 Egypt
A3 The Leaves That Are Green
A4 Dawn
A5 Gaslite Street
A6 There But For Fortune
 B1 Scarborough Fair-Canticle
 B2 Why
 B3 If I Fell
 B4 I Know Where I'm Going
 B5 That's No Way To Say Goodbye

オリジナルLPはエメラルド・ジェムというレーベルから出ていたコテリーの再発LP。
女性ヴォーカル入り英国フォークと言いながら彼女たちはアイルランドのグループでした。
間違えちゃった、てへっ。久々の英国フォーク・レビューなので大目に見てね、てへっ。

コテリーはジャケット写真でわかるように女性4人組で、この時代の女性フォーク・シンガーの
定型とでも言うべき髪型を4人ともしていて、これはたまりませんねぇ。大興奮!

ロング・ヘアーを真ん中から分けて、ベターっとおでこを出すこの髪型、みんなやっていました。
ジョーン・バエズ、ジュディ・コリンズ、バフィ・セント・メリー、メアリ・ホプキン、アグネス・チャン!
・・・ジョニ・ミッチェルは前髪下ろしている印象、アン・ブリッグスも前髪下ろしている印象だね。

A1からバフィ・セント・メリー作の美しいメロディーの曲を美しいハーモーニーで聴かせてくれ
ググッと惹き込まれます。この曲はジャネット・ジョーンズもやっていましたね。
そして、また出た!B1は定番曲の「スカボロー・フェア」。今回登場の作品だけでも
フォーカル・ポイントとメルウィンがやっています。やらずにはいられない曲なのでしょうか?

クレジットが無いので、4人はヴォーカルだけなのか演奏もしているのかわからないのですが
基本演奏はギターとベースの地味な音です。キーボードが聴こえてくる曲もありますね。
ハーモニー・コーラスはそれほど複雑ではないですが、どの曲も厚く入り、美しいですよー。

曲によってメインに聴こえてくるヴォーカルが変わり、フィル・オクス作のA6の歌声が良くて
いつもそこにあるので気に留めないけれど、ふっと気付けば、その美しさにハッとする
真に美しい名もなき花の如くな歌声で・・・これは気絶級です。
B2の幼い感じの歌声もヤバくて気絶級!・・・というか全曲ヤバいっすけどね!

・・・というかコテリーだけじゃなく、今回登場した全アルバムヤバいっすけどね!
でもホント、聴くタイミングだけは注意していただきたい。
タイミングを間違えると、かったるく響いちゃうので、聴くタイミングだけは間違えないように!
 

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