レビュー第199号、会議で殴り合いの末決定!ライブ盤のタイトルは全部イン・コンサート やはりライブ盤というのはタイトルを見ただけで 一発でライブ盤だと分かった方がいいですよね。 だからといってそれを付けるか?っていうくらい 「イン・コンサート」や「ライブ・イン・コンサート」って多いです。 レコード会社の会議で、激しく意見を出し合って、考えて、考えて 意見が合わず、もめて、もめて、殴り合いになりながらも 最終的に「イン・コンサート」で行こう!と決めたのでしょうか。 |
DONOVAN 「DONOVAN IN CONCERT」 (1968) 米 Epic Records BN 26386 (LP) |
A1 Isle Of Islay A2 Young Girl Blues A3 There Is A Mountain A4 Poor Cow A5 Celeste A6 The Fat Angel A7 Guinevere |
B1 Widow With Shawl (A Portrait) B2 Preachin' Love B3 The Lullaby Of Spring B4 Writer In The Sun B5 Pebble And The Man B6 Rules And Regulations B7 Mellow Yellow |
スコットランド出身のドノヴァン。1968年のライブ盤のタイトルはズバリ!これです。 そのタイトルは「イン・コンサート」、会議で激論が交わされ決まったに違いありません。 音源はアメリカのアナハイム・コンヴェンション・センターでのライブを収録しています。 A1からマイナー調の繊細なギター爪弾きで、ディス・イズ・英国フォークな音ですね。 しかし、オープニング曲がこれなの?キャッチーな曲をガツンとやらないんだ、凄いなぁ。 全体はアコギ&フルート&ダブル・ベース&パーカッションという構成を中心に展開され アコギ&フルートの絡みに必要以上に興奮してしまう特異体質の僕にはたまりませーん。 その他、ピアノ、サックス、ストリングスなども登場し、ジャージーなアレンジもあります。 ドノヴァンはスタジオ盤でもアコギ&フルートで迫る曲もあったけれど ここまでアコギ&フルートの曲が並ぶと、興奮が止まりませんよ。 彼の曲の中でも大好きランク上位なA5「セレステ」もアコギ&フルート・ヴァージョンだ! サイケデリックな浮遊感に包まれたスタジオ・ヴァージョンも最高なので、是非! ただ、アコギ&フルートで興奮!といっても、演奏自体は物語を綴るような感じで ゆったりと淡々と流れて行くので、暴力的なロックを聴いた時のような こめかみの血管が浮き出るような激しい興奮ではありませんけどね。 なお、このアルバムは2枚組LPの完全版なるものが2018年に発売された模様です。 全く知りませんでした。1960年代後半、絶頂期のフル・ライブ・・・ちょっと聴いてみたい。 ドノヴァンを書いたページ 「A GIFT FROM A FLOWER TO A GARDEN」(1968)・・・第164号 2010/7/10 「OPEN ROAD」(1970)・・・第22号 2000/9/24 「PIED PIPER」 (2002)・・・第60号 2002/11/19 |
MAGNA CARTA 「MAGNA CARTA IN CONCERT」 (1972) 英 HTD Records HTD CD 69 (CD/1996) |
1 Airport Song 2 Time For The Leaving 3 The Boatman 4 Sea And Sand 5 Banjo |
6 Old John Parker 7 Seven O'Clock Hymn/Midwinter 8 Country Jam 9 Ring Of Stones |
ロンドンで結成されたマグナ・カルタ、1972年のライブ盤のタイトルはズバリ!これです。 会議で激論が交わされ、意見が合わず険悪な雰囲気にもなったと想像できますが 最終的にこれに決定しました。それは「イン・コンサート」です。分かりやすいね。 録音は1971年11月、オランダのアムステルダム・・・と、表ジャケにがっつり印刷されてます。 マグナ・カルタのメンバーは3人で、このライブではサポート・メンバーも無く 2声ハーモニーで優し気に歌い、2本のギターが伴奏するというのが基本パターンです。 そして曲によってマンドリンやバンジョーやシタールなど色々楽器を持ち替えて演奏し バンジョーが炸裂するインストの5曲目とかは、トラッド色の強い演奏を聴かせてくれます。 実はこのライブ盤の前の3rdアルバム「Songs From Wasties Orchard」(1971)から メンバー・チェンジがあり、ギター他、何でもこなせる、デイヴィー・ジョンストンが加入。 彼がこのトラッド色の5曲目や、カントリー色の8曲目を主導していると思われます。 スタジオ録音は1stに収録の6曲目も、ブルーグラス風に変身していて面白いですね。 いやしかし、1曲目の軽やかなボサノヴァ・タイプの「エアポート・ソング」ですが スタジオ盤では、これスタイル・カウンシルですか?な、フルート入りの絶品曲だったけど ライブ盤では、キングス・オブ・コンビニエンスですか?な、2本のアコギの絡みで迫り この1曲目で心奪われる事間違い無しの、つかみはオッケーなイカした演奏です。 彼らのスタジオ盤はドラムスも入ったりして、ポップでロックな感触もあるのだけれど ドラムスとベースが入らない3人だけの演奏のライブ盤だと、まあ、地味な音ではあり ああ、この地味な音、英国フォークだなぁと、しみじみ聴き入っちゃいますね。 マグナ・カルタを書いたページ 「Lord Of Ages/Martin's Cafe」(1973/1977)・・・第36号 2001/5/8 |
CLANNAD 「CLANNAD IN CONCERT」 (1978) 加 Shanachie Records 79030 (LP/1982) |
A1 Ó Bhean A'tí, C'énbusirt Sin Ort A2 Fairies Hornpipe/Off To California A3 Neansaí Mhíle Grá A4 Mhaíre Bruinneal A5 Planxty Burke |
B1 An Giobóg B2 Down By The Sally Gardens B3 Nil Sé'n Lá |
アイルランドのクラナド、1978年のライブ盤のタイトルはズバリ!これしかありません。 会議で激論が交わされ、胸ぐらのつかみ合い、そして殴り合いになったと思われますが 最終的にこれに決定しました。もちろん「イン・コンサート」です。分かりやすいね。 僕の手元にあるシャナチーからの再発盤には何の記載もありませんが インターネット情報によると録音は1978年、スイスとの事です。 ジャケットの図柄はトラッド系ではありがちなタイプの絵とタイポグラフィーで 購入当時は何じゃこりゃ?と思ったモノですが、2022年の今、ジャケット文化も何周か回って こうやってアナログ盤の大きなジャケットで眺めると、とても素敵に見えるから、あーら不思議! B3は1stアルバムに入っていた曲だけど、その他は(たぶん)どのアルバムにも入っておらず ここでしか聴けません。そして、聴けば、ああこの曲かと分かる感動的なB2も収録。良い! クラナドは何といってもモイア・ブレナン姉さんの美しいヴォーカルが魅力的だけど ハープ、フルート、ダブル・ベース、ギター2本という基本の楽器構成も魅力的ですね。 曲によっては別の楽器も持ちますが、クラナドってメンバーが5人いるのに フィドルを弾く人がいないというのはけっこう特徴的なのかも。 他のトラッド・バンドでメンバー5人もいたら絶対にフィドルの人いるよね・・・ このライブ盤でも素晴らしい演奏がたっぷり聴けます。フルートもたっぷり入るね。 モイア姉さんの弾くハープはちょっと登場が少なめかな?もう少し聴きたい・・・ アイリッシュ・トラッドはスピード感のあるダンス曲をやるグループなども散々聴いたけど こちらも何周か回って、2022年の今、ゆったりと、のどかで美しいクラナドがしっくりきますね。 クラナドを書いたページ 「CLANNAD」(1973)・・・第14号 2000/5/20 「CLANNAD 2」(1974)・・・第83号 2004/2/26 「CRANN ULL」(1980)・・・第157号 2009/12/30 で、なぜ、モイア・ブレナン姉さんなのか?それは妹がエンヤだから。 「FUAIM」(1982)と共に、エンヤの秘密に迫った文章はこちら・・・2018年3月31日更新の表紙 さて、「イン・コンサート」を3枚並べてみたら、どれも自国でのライブじゃない事が判明! もっと並べたら、もっと凄い事実が判明するかも知れないので 更に今後も「イン・コンサート」の謎について、鋭く斬り込んで行きます。乞うご期待! |