レビュー第195号、それでも聴きたい発掘音源!
・・・という事で、長い事お待たせしました。
遂にあの発掘音源盤がレビューに初登場する事態に!
そして、キーワードはヴェルヴェット・アンダーグラウンド!
これは期待が持てますね。 ワクワク。


WhiteNoise.jpg WhiteNoiseBack.jpg
THE MONOCHROME SET 「EARLY RECORDINGS: 1975-1977 "WHITE NOISE"」 (2010)
米 Captured Tracks Records 73. (LP)
A1 Inside Your Heart
A2 White Noise
A3 We Are Zarbie
A4 I Don't Know
 B1 Fresh, Trash, Heat
 B2 Private Dick
 B3 It's More Than Just Love
1970年代末から活動する英国バンド、モノクローム・セットの発掘音源、45回転盤LPです。
このバンドはオフィシャルなプロフィールを見ると1978年結成となっていますが
何と! ここに収録されている初期音源は1975〜1977年の録音です。 これって本当ですか?

ニュー・ウェーヴとネオ・アコースティックの真ん中にいるようで、どちらとも違うような
奇妙な響きの独自のエキゾチックなギター・ポップを得意としているバンドですが、A1を聴くと
気の抜けたヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「スウィート・ジェーン」みたいな曲で、もうサイコー!

妖しげでインチキなマカロニ・ウエスタン風なインストA3、もはやサイコー!
ベンチャーズ&ロカビリーなB1、もはや、もはやサイコー!
1975〜1977年という時期に、すでにこのひねくれた妖しげなギター・ポップをやっていたのか!
彼らは初期の初期からモノクローム・セットらしいモノクローム・セット・サウンドをやっていたのですね。

なお、ここに収録されている7曲は、編集盤CD「Black & White Minstrels」(1995)に全曲入っていて
そこから切り離して無理矢理アナログ盤化したタイプなので、コレクター向けでしょうか。
でも、コレクター向けでも何でも、それでも聴きたい発掘音源なので、買っちゃうんだよねー。
そしてこちら、2010年代のアナログ盤ですがMP3ダウンロードのサービスは付いていません。
 


 
FRIENDS AGAIN 「IN THE BEGINNING」 (2019)
独 Firestation Records FST175 (LP)
A1 Heartbreak
A2 Winked At
A3 Sweet Jane
A4 State Of Art
A5 Heartfelt
 B1 A Choir Holy
 B2 Calvary (Live)
 B3 Sunkissed (Original Demo)
 B4 Honey At The Core (Original Demo)
スコットランドのバンド、フレンズ・アゲインの未発表音源が発掘された模様!
ネオ・アコースティック〜ギター・ポップを発掘しまくるドイツのファイヤーステーションが発掘した模様!
なお、こちら、2010年代のアナログ盤ですがMP3ダウンロードのサービスは付いていません。

彼らの唯一のアルバム「Trapped And Unwrapped」(1984)は、爽やかでキャッチーな青春ナンバーを
たっぷり詰め込んだ、これぞメジャー系ネオ・アコースティック!と言えるような強力な作品でした。

ここでの収録曲は1981〜82年の録音で、その後発表される代表曲もこの頃からやっていたのですね。
やはりメジャーから出たヴァージョンと比べると粗さもあるけど、高速カッティング・ギターなど
元々ネオ・アコースティックなサウンド志向のバンドだった事が伺える貴重な発掘音源です。

バンドの中心人物、クリス・トンプソンのソウルフルでゲローゲーロなカエル声も耳障り(?)ですが
初期音源ならではの勢いもあって良いです。 A3はヴェルヴェット・アンダーグラウンドのカバーです。

なお、この未発表音源盤と同時期に、12インチのロング・ヴァージョンやシングルB面曲などが
大量に追加された「Trapped And Unwrapped」の2枚組CDもチェリー・レッドから出ました。
これはレーベルを超えたフレンズ・アゲイン・キャンペーン! まだ未入手のそちらのCDにも数曲
発掘音源が入っているので、それでも聴きたい発掘音源キャンペーン中につき、買わないと・・・
 


DesertSkies.jpg DesertSkiesBack.jpg
BEACHWOOD SPARKS 「DESERT SKIES」 (2013)
米 Alive Natural Sound Records ALIVE0154-1 (LP)
A1 Desert Skies
A2 Make It Together
A3 Time
A4 Watery Moonlight
 B1 This Is What It Feels Like
 B2 Sweet Julie Ann
 B3 Canyon Ride
 B4 Midsummer Daydream
アメリカ西海岸のオルタナ・カントリー・バンド、ビーチウッド・スパークスの初期音源集。
詳しい録音時期の表記はありませんが、1stシングル以前の1990年代後半の音源のようです。

A1、B1、B3は1stアルバム「Beachwood Sparks」(2000)にも収録されていて
1stアルバム・ヴァージョンはペダル・スティールが活躍し、カントリー・ロック色強くなっていましたが
本盤収録ヴァージョンはサイケデリックな感触のルーツ志向フォーク・ロックといった感じで
A1の「Desert Skies」なんか、聴き比べるとまったく別の曲みたいで・・・そうきたか!
・・・と、こういう面白い発見があるから、やはり発掘音源はやめられませんよね!
アルバム全体でもハーモニー・コーラスを多用したソフト・サイケ風味がとても良いナイス・アルバム!

なおこのLPはカラー・ヴィニール・ヴァージョンや、ボーナス7インチ付きヴァージョンなどもある模様。
僕が所有しているのは、何にも無い普通の黒いLP盤。 ボーナス7インチの曲、聴きてぇーなぁー。
それでも聴きたい発掘音源キャンペーン中につき、7インチ付きのヤツも欲しくなってきました。
そしてこちら、2010年代のアナログ盤ですがMP3ダウンロードのサービスは付いておりません。

最後にキーワードのヴェルヴェッツと絡めると、曲名が一瞬「スウィート・ジェーン」に見えるB2は
本当は「スウィート・ジュリー・アン」でした・・・という無理矢理なネタで絡めてしまい、ごめんちゃい!

以前ビーチウッド・スパークスを書いたページ・・・
第53号 2002/3/31 若手ルーツ・ロック芸人でヤングとの溝を埋めてみよう
第80号 2004/1/11 流行語大賞とる勢いでフォロー沙汰
第185号 2012/8/31 続々と登場するあの人たちの新作に もうカンカン!
 


MusicForTheGift.jpg
TERRY RILEY 「MUSIC FOR THE GIFT」 (2000)
伊 Jeanne Dielman JD 127 (LP/2018)
A1 Music For The Gift
 B1 Mescalin Mix
 B2 Concerto For Two Pianists And Five Tape Recorders
そして最後は、アメリカの現代音楽家、ミニマル・ミュージックの巨匠テリー・ライリーの発掘音源。
この作品は2000年にCDで発表された発掘音源盤を2018年にアナログ化したものですが
収録時間の問題なのか、CDより1曲少なく、再発によるグレード・アップならぬグレード・ダウンです。
更に2010年代のアナログ盤ですがMP3ダウンロードのサービスは付いていませんでした。

テリー・ライリーのディスコグラフィーを見るとアルバムを発表し始めるは1960年代後半からで
ここに収録された音源は1960〜63年録音となっているので、かなり初期の録音だと思われます。

ジャズ演奏をテープ操作した組曲形式のA面、後半の気の狂ったようなヴォイス・ループに興奮!
テープ操作音楽でのこのパターンは、ありがちっちゃー、ありがちかも知れませんが、興奮!
人の声を使った気色悪いミュージック・コンクレートなB1はメスカリン・ミックス! 凄いタイトルだ!
ピアノを使ったミュージック・コンクレートなB2はラ・モンテ・ヤングとテリー・ライリーの2台のピアノ演奏と
5台のテープ・レコーダー! テープ・レコーダーってオープン・リールだよね、きっと・・・

どのトラックもサイケデリックな雰囲気がありスリリングでカッコ良く、難解っちゃー、難解とも言えるけど
僕のようなポップス好きな輩でも平気で何度も聴けているので、割と聴きやすいと思います。

キーワードのヴェルヴェット・アンダーグラウンドを出すと、テリー・ライリーはジョン・ケイルとの
共作アルバムも出しています。 しかし、テリー・ライリーに関しては他の主要な作品も
大して聴いていないのに、なぜか発掘音源を聴いている私・・・こんなんで、いいのですか?
それはもちろん、いいのです! こんなんでも、そんなんでも、それでも聴きたい発掘音源ですからね!
 

表紙へ戻る
inserted by FC2 system