英国フォークのちょっとマイナーなヤツの再発CDは
海賊盤臭をプンプン放つ怪しげなヤツが多くて困った事になっていますよね。
再発しても売れそうにないので正規盤を出さないのか
マスターテープ紛失や権利関係の問題で出せないのかは分からないけれど
どれも内容は素晴らしいのに 怪しげ盤でしか聴けないなんて勿体ないです。
・・・と勿体ないので僕は今夜も怪しげ盤を聴きまくっていますが
実は怪しげ盤だと思っているヤツが正規盤なのかも知れないよなぁー。



MagicLandscape.jpg

HUNT & TURNER 「MAGIC LANDSCAPE」 (1972)
H&T no number  (CD/2003?)

1 Hold Me Now
2 Silver Lady
3 We Say We're Sorry
4 Magic Landscape
5 Mr. Bojangles
  6 Living Without You
  7 Man Of Rings
  8 Older Now And Younger Then
  9 Morning For Eve
 10 Rockfield Rag


製作国不明の怪しげなH&Tレコード社からの再発CDで登場は男性フォーク・デュオ
ハント&ターナー。 ハント&ターナーだから頭文字をとってH&Tって!
それはしょーもないレーベル名のつけ方になっているけど これが内容バツグンで
こーゆー英国フォークの名盤を手軽に聴けるのであればH&Tだろうが
B&Bだろうが怪しげなCDでも再発してくれるのは有難いのです。
なおオリジナルLPはヴィレッジ・シングってレーベルから出ていました。

収録曲の半分位はドラムスやベースやエレキ・ギターが入ったフォーク・ロック曲。
そしてアコギのアルペジオで展開するフォーク曲も伴奏はギターだけでなく
パーカションやベースも入るので非常に聴きやすくなっていますねぇ。

2 3 8曲目あたりのダブル・ベースが入るフォーク曲は英国臭を放ってくれるし
なんと言ってもどの曲も楽曲自体が良い!って感じで捨て曲無し状態ですよ。
2人の飾らない素直なハーモニーを聴いていると爽やかな気分になってきて
聴き終えると穏かな春風が頬をかすめて通り過ぎて行ったような心地良さが残ります。

インストの7曲目なんかホント爽やかな朝の目覚めを思わせてくれてたまらねーし
軽やかにボサノバな9曲目は柑橘系の甘酸っぱいフォーク・ロックといったところ。

そして5曲目にミスター・ボージャングル 6曲目にリビング・ウイズアウト・ユーと
きたモンだ。 この2曲はニッティー・グリッティー・ダート・バンドの大傑作アルバム
「アンクル・チャーリーと愛犬テディ」に入っていてあの作品の影響力を感じますねぇ。
ハント&ターナー版ミスター・ボージャングルとリビング・ウイズアウト・ユーは
両曲ともスイングしそうでしないドラムスのドタバタぶりが楽しくて こりゃー良いです。

・・・と5 6曲目はカバー曲ですが 怪しげCDらしく作者クレジットの印刷が無くて
どれが自作曲なのかカバー曲なのか分からないというナイスなしくみになっています。
またCDケース裏の紙 ブックレット内側 ブック裏側と3箇所にまったく同じ内容の
レコーディング情報が印刷されているというしくみもナイスですよね。
うーんナイスなのかテキトーなのか・・・でもとにかくCD化された事がナイスですからね!
 



Sorcerers.jpg

JAN DUKES DE GREY 「SORCERERS」 (1970)
WOUNDED NURSE 1  (CD/2002)

1 Dragons
2 Rags, Old Iron
3 28th June, Village Song
4 High Priced Room
5 Sorcerers
6 Ode To A Shoolgirl
7 The Cheering Crowd
8 Out Of The Eastern Hills
9 M.S.S
 10 Texas
 11 Yorkshire Indian Sitting In The Sun
 12 Wonder Child
 13 Dominique
 14 Trust Me Now
 15 Forms
 16 City After 3:00 AM
 17 Butterfly
 18 Turkish Time


ヤン・デュークス・デ・グレイの1stはウーンデッド・ナースのレコード番号1番ですよ!
ウーンデッド・ナース?・・・ケガした看護婦?・・・って何? と このレーベルも製作国不明で
怪しげ臭漂っていますが今までの経験から勝手に想像すると韓国製っぽいんだよなぁ。

このグループはデレク・ノイとミック・ベアーストウ(読み方適当シリーズ)の男性2人組で
基本路線は12弦ギターにフルートあるいはクラリネットが絡むという必殺フォークですよ!
この楽器構成はホント必殺中の必殺だけど 聴いている内に興奮して鼻血がタラーリな
必殺室内楽フォークになっているかというと鼻血が出るまでは行かないんだよなぁ。

これはスピード感のある曲が多いのとメロディーが泣けるメロディーじゃないのが原因かなぁ。
はっと気付くと美しく響いていておおぉーという瞬間はあるのだけど 全体の雰囲気は
ヨレの少ないヒッピー・フォークといった趣きになっているのですよ。

インクレディブル・ストリング・バンドほど徹底的にアシッド臭漂う訳でもなく
ドクター・ストレンジリー・ストレンジほど楽曲自体に魅力があるという訳でもなく
このビミョーなサウンドはフォレストに近い感じのヒッピー・フォークですかねぇ。

気になる曲はフルート&チェレステの絡みがおとぎ話フォークでたまらねー5曲目。
柔らかいフルートのフレーズがゆったりと流れて郷愁を誘う10曲目。
クラリネットが効いて3拍子のサーカス小屋サウンドを盛り上げる15曲目といったあたり。

これは英国フォークなら何でも買いだ!というような気の狂った上級者向けでしょうか。
僕もそんなに何度も繰り返し聴くようなすっげー良い作品とは思わないので
間違ってもこんな怪しげCDなんか購入してはいけませんよ!
あ 僕は気が狂っているので怪しげCDでも平気で買うけどね!
 



Stimulus.jpg

KEITH CHRISTMAS 「STIMULUS」 (1969)
英 SMALL TOWN CAMD2  (CD/2003?)

1 Travelling Down
2 Bedsit Two-Step
3 Roundabout
4 Ice Man
 5 I Know You Can't Lose
 6 Metropolis
 7 Trial And Judgement


スモール・タウンってゆーレーベルもハーフ・オフィシャルだ何だと話を聞きますねぇ。
確かにブックレットの作りなどテキトーな感じになっていて怪しさは漂っていますよ。
ただここはレーベルの所在地の住所が印刷されていて正体不明ではありません。
リリース・ペースは激しくは無いけど地道に良い内容のCD再発をしているしね。

まあ僕はハーフ・オフィシャルの意味が分かっていなかったりするし
海賊盤 ブートレグ リプロデュース盤とか どれがどーゆーモノなのか概念知らずの
おめでたい奴なので怪しげCDでも正規盤CDでも何でも良いのですよ。

さてこのキース・クリスマスの1stはセプテンバー・プロダクション作品で
そのテの英国フォークが好きな人なら気に入る事間違い無しの名盤なのですが
1曲目から憂いのある歌声とバックのカントリー・ロック風味が
マシューズ・サザン・コンフォートにそっくりな事になっていて大変ですよ。

実際スティール・ギターはマシューズ・サザンのゴードン・ハントリーが弾いていて
なーる程そうそうマシューズ・サザンのスティールはこの音だよなぁ。

5 6 7曲目も同様のスティール・ギターを使ったカントリー・ロック風味の曲で
マシューズ・サザン・コンフォートの2ndあたりに入っていても違和感の無い感じです。
でもリリースはマシューズ・サザンの1stよりこっちの方が早いようなので
マシューズがこのアルバムを聴いてこれだ!と思ったのかもね。
いやぁしかしこの感じは気持ち良くてスンバラシーですよ。 ああ名盤ですねぇ。

流麗なアコギで聴かせるインストの3曲目はほのかにトラッド臭が香り英国的だし
怪しげCDでもゲットしておかないといけない作品になっています。
 



HunterMuskett.jpg

HUNTER MUSKETT 「HUNTER MUSKETT」 (1973)
HUGO-MONTES PRODUCTION HMP CD-018 (CD/2004)

1 John Blair
2 When I'm Not Around
3 She Takes The Wine
 4 Rosie
 5 Back In Your Youth
 6 Silver Coin
 7 Magician
 8 Laze Around All Day
 9 By & By


怪しげCDを語る際は英国フォークの怪しい再発CDをこれでもか!これでもか!
と提供してくれるヒューゴ・モンテス・プロダクションも書いておかないとね。

男性4人組のハンター・マスケットはアコースティックな響きのフォーク・ロック・バンド。
西海岸風味の爽やかフォーク・ロックと英国臭漂う構成美や陰影のあるメロディーが
絶妙なバランスでブレンドされている感じのサウンドになっていて素晴らしいですね。
この音はプロデューサーがキース・レルフってゆーのも関係しているのでしょうか。

美しいメロディーとキラキラと輝くアコギの音がたまりませーんな切ない2曲目。
ゆったりと大らかに流れてたまりませーんな郷愁フォーク・ロック3曲目。
西海岸風爽やかハーモニーと英国の陰影のブレンドが最も顕著な5曲目。
トラッド風味で迫る7曲目。 軽快なカントリー・ロックな8曲目は盛り上がりますねぇ。

いやぁどの曲も素晴らしいですが何といってもブリジット・セント・ジョンもやっていた
6曲目で決まりですね。 ドラムレスの切ないメロディーのフォーク曲でもうメロメロ。
「ディリーリ ディリーリー」のコーラス部分で気絶しそうです。 うーん名曲です。

さて第47号でヒューゴ・モンテスのディスコグラフィーってゆーのを書いた時
ディスク・ユニオン製作説などをブチまけて各方面に多大な迷惑をかけました。
しかしどーやら韓国で製作されているってゆーのが正解のようですね。
まあどこまでも怪しいくせに活動は激しく途切れる事無くリリースは続いていますよ。

ではヒューゴ・モンテスの怪しさを増長する心温まるエピソードをひとつ・・・
以前新宿のディスク・ユニオンでヒューゴ・モンテスのCDを新品購入したのだけど
帰ってきてさあ聴くぞ!と封を開けたらCDの盤が入っていないでやんの。

仕方無いので交換しに行って店員さんとちょっと話をしたら
「ヒューゴ・モンテスのヤツは盤ナシがよくあるんですよー」・・・だって!
ええぇーちょっとアンタ! そんなのよくあっちゃ困るじゃねーかよ!
しかしこれでちゃんとした管理体制の下で製作されていない事が明らかになったし
こーゆーCDって果たしてどこのどいつに金が落ちているかも怪しいし
ヒューゴ・モンテスのCDは積極的に購入してはいけない盤ではあります。
でも僕は聴いてみたいヤツが出たら積極的に購入するけどね!

いや この話はむしろ逆に応援したくなる心温まるエピソードだと思いませんか?
・・・って応援はしないけどさぁ。 まあ今後あれやこれや出して欲しいけどね。
リクエストしたら出してくれたりしてさ。 じゃあリクエストを書いておきますかね。
僕のリクエストはJSDバンドの1stとか・・・どうでしょう。 ちっきしょー聴いてみてー。
 


表紙へ戻る

inserted by FC2 system