再発専門レーベル 英 Edsel 英 Beat Goes On 英 See For Miles 独 Repertoir
といったあたりは 英国フォークの オリジナルLPが5000円から ン万円する
かなりヤバいのを再発してくれていて ありがたい限りです。
今回はその中から Edsel を何点かピック・アップしてみました。



AMAZING BLONDEL
「FANTASIA LINDUM」 (1971)
英 EDSEL EDCD 459 (CD/1996)
1 Fantasia Lindum
   Pleiude And Theme
   Song:Swifts,And Leafy Lanes
   Theme(Lutes And Recorder)
   Dance(Galliard):God Most Doubt
   Song:Lincolnshire Lullaby
   Dance:Basse Dance
   Theme(Lute Duet)
   Dance:Quatre Dance Paven
   Song:Celestial Light(For Lincoln Cathedral)
   Dance:Coranto
   Theme(Lutes And Recorders)
   End
 2 To Ye
 3 Safety In God Alone
 4 Two Dances
    a)Almaine
    b)Blansle“For My Lady’s Delight”
 5 Three Seasons Almaine
 6 Siege Of Yaddlethorpe

アメイジング・ブロンデルは 1st〜5thがエドセルからCD化されています。
これは 聖歌隊みたいな制服で やる気満々なジャケットの3rdアルバムです。

彼等を初めて聴いたのは こちらもヤバい再発を得意とする 米 Rhino が出している
Troubadours Of British Folk Vol.2 というCDで To Ye が収録されていました。
これはのどかなフォークだぁー さっそく購入しに行かねば と思った訳です。

連中は リコーダー リュート を中心に ハープシコード グロッケンスペル 他
中世の楽器を弾きこなし 気品ある優しげな曲を演奏します。
古楽器を使用してはいますが クラッシックのような堅苦しさはなく
ビートルズ系の美しいメロディー と コーラスが特徴です。

1曲目は約20分の組曲になっていますが ダメなプログレ・バンドのやるような
ドラマチックに 強引に盛り上げるというような構成ではなく
かわいい小品が詰まった 貴族の午後の紅茶といったイメージです。(何だそれ)
リコーダーのフレーズが可愛い 2。 バックのタンバリンが終始優しく鳴らされる 3。
ダンスというタイトルだけど踊れないインスト 4。 小鳥のさえずりとともに目覚める
さわやかな朝のイメージの 5。 これぞ英国教会音楽といった感じのインスト 6。
と どれも素晴らしいです。 特に 2 3 は名曲です。

まだビート・ポップスの香りが残る 1970年の 1st The Amazing Blondel。
地味ながらも かわいい曲が沢山詰まった 2nd Evensong (1970年)。
ストリングスとか入って よりクラッシックっぽくなった 4th England (1972年)。
メンバーが一人ぬけて ポップになった 5th Blondel (1973年) と
エドセルからの再発5枚は どれも買いのアルバムです。
彼等は 1990年代に再結成して 新作アルバムも発表しています。




ROBIN WILLIAMSON & HIS MERRY BAND
「AMERICAN STONEHENGE」 (1978)
英 EDSEL EDCD 389 (CD/1994)
1 Port London Early
2 Pacheco
3 Keepsake
4 Zoo Blues
5 These Islands Green
  6 The Man In The Van
  7 Sands And The Glass
  8 Her Scattered Gold
  9 When Evening Shadows
 10 Rab’s Last Woollen Testament


変態フォーク・グループ インクレディブル・ストリング・バンドのメンバーだった
ロビン・ウイリアムソンが結成したメリー・バンドの 2nd です。
アメイジング・ブロンデルと同様に 怪しい古楽器を使用していますが
ロビン・ウイリアムソンのヴォーカルがへなちょこなのと メロディーが素直でないため
アメイジング・ブロンデルのような格調高さはありません。

このバンドの基本的な楽器構成は ギター ハープ フィドル フルート で
曲によって ハープシコード バグパイプ コンセルティーナ 他 が登場します。
2曲目はドブロが入っていて アメリカのシンガー・ソング・ライターがやりそうな曲ですが
途中に入るハープが アメリカの音とは違うぞと主張しています。
正に これぞアメリカン・ストーンヘンジといった音です。

どの曲も ハープが大活躍で アイリッシュ・トラッド風の美しい曲が多いのですが
6曲目とか とても美しい曲なのに ロビンの変な節回しのヴォーカルが乗り
いい雰囲気が台無しになっています。 そこがいい所でもあるのですが。
しかし 彼の歌はインクレディブル・ストリング・バンド時代よりは まともになっています。

メリー・バンドの 1st Journey’s Edge (1977年) もエドセルからCD化されています。
こちらも 同系統の音ですが 1st の方が統一感がなく 彼らしいとも言えます。

インクレディブル・ストリング・バンドも何枚かエドセルがCDを出しています。
インクレディブル・ストリング・バンドは これぞアシッド・フォークといった感じで
何だか分からないけど ドロドロした気分にさせてくれます。
気になる人は試して下さい。 僕は50回位聴いて やっと慣れました。
1966年〜1974年のオリジナル・アルバムだけで15枚位あります。



 
JOHN CALE 「VINTAGE VIOLENCE」 (1971)  英 EDSEL ED 230 (LP/1987)
A1 Hello,There
 2 Gideon’s Bible
 3 Adelaide
 4 Big White Cloud
 5 Cleo
 6 Please
 B1 Charlemagne
  2 Bring It On Up
  3 Amsterdam
  4 Ghost Story
  5 Fairweather Friend

ニューヨークのバンド ベルベット・アンダーグラウンドのメンバーだった
ウェールズ人ジョン・ケイルの 1stアルバムです。

ベルベット・アンダーグラウンドにおいては 彼が狂気的な部分を受け持っていたらしく
そのヘヴィー・メタルなサウンドは フォークからはずいぶん遠い所にありました。
しかし ポップな曲が並んだこのアルバムは 英国フォークの仲間入りです。

基本的な曲調は フォーク・ロックと呼べる音ですが
時代なのでしょうか ペダル・スティールを使った曲もあり ほんの少しカントリー臭もします。
妙にポップでバカっぽくも感じられる A3 A5。
ストリングスが被さってスケールの大きい A4。
グラム・パーソンズのアルバムに入っていてもいいような
ペダル・スティールとピアノが美しい ミドルテンポの A6。
ギターの弾き語りで これは英国フォークといえそうな悲しげな雰囲気の B3。
陰鬱なメロディーにヨレヨレのヴォーカルが乗る サイケな B4。
など など どの曲も地味ながら いい曲です。
ジョンの弾く 決して上手くないヴィオラも時折入り いい味出してます。
穏やかなシンガー・ソング・ライター作品としてじっくり聴きたいアルバムです。

それにしても 裏ジャケの上半身裸にサスペンダー姿。
この後紹介するロニー・レインの裏ジャケでも 右から2番目のオヤジが
上半身裸にスカーフといういでたちでポーズをきめています。
これはかっこいいのでしょうか。 欧米人のやる事は分かりません。




MOTHER HEN 「MOTHER HEN」 (1971)
英 EDSEL EDCD 349 (CD/1992)
 1 Sing Evermore
 2 My Granny’s Face
 3 Goodbye Old Razzle Dazzle
 4 Lookout Charie
 5 Man From Aberdeen
 6 America The Landlord’s Dream
 7 Naked King
 8 He’s Alive And Remembers
 9 Old Before Your Time
10 Passage Back


正体不明のマザー・ヘン。 鉄仮面のような凄い顔のジャケット写真に
買おうかどうか迷いましたが クラレンス・ホワイト スニーキー・ピート参加という
ステッカーが貼ってあったので 結局購入。
彼女は 参加メンバーから見ても どうやらアメリカ人のようです。
顔からは想像していた歌声は ドスが効いていて ソウルフルな唱法。
実際の歌は 可愛らしい少女のような高めの音域の声質で
今にもはずれそうな音程で ヘタだけど一生懸命歌っています。

カントリー・ロック界のつわものどもがバックを固めているのですが
演奏面で彼等の活躍はあまり目立たず
彼女の弾くピアノの音ばかりが耳につきます。
印象としては アメリカの地方都市のバーで まばらな客相手に
1日30分 5回のステージの 4回目といった感じでしょうか。(?)
特に 8曲目は そんな哀愁が感じられるカントリー・ワルツです。

世界中で たった一人でも 私の歌を聴いてくれる人がいる限り
私は歌い続けるわ。 ・・・これは僕の勝手な想像ですが
どの曲も そんなどうしようもない無常感が漂い 泣かせてくれます。
ああ 変かあさん あなたがだんだん美しく見えてきた。



 

 
RONNIE LANE'S SLIM CHANCE 「ONE FOR THE ROAD」 (1976)
英 EDSEL EDCD 464 (CD/1996)
1 Don’t Try ’n’ Change My Mind
2 32nd Street
3 Snake
4 Burnin’ Summer
5 One For The Road
 6 Steppin’ An’ Reelin’(The Wedding)
 7 Harvest Home
 8 Nobody’s Listenin’
 9 G’Morning

ロニー・レインの音楽はフォークではないけれども 郷愁を誘うアコースティック感覚
という点で ブリティッシュ・フォーク好きにも人気のある人です。
エドセルからは 2nd Ronnie Lane's Slim Chance (1975年)
3rd (本作) 4th See Me (1980年)と3枚出ていて どれも素晴らしいですが
決定的な名曲 ハーヴェスト・ホームが入っているのでこのアルバムを紹介します。

元スモール・フェイセズ フェイセズ といった経歴からも リズム&ブルースな曲を
得意としますが マンドリン フィドル などをメインに使用しているので
フェイセズあたりの いかれたロックン・ロールぶりはありません。

写真が彼等のサウンドを物語っているので 4枚も載せてしまいました。
都会から逃げてきたお尋ね物が 田舎で身を潜めているといった雰囲気です。
・・・いつ追手が来るとも知れないので 銃の手入れはしておくぞ。
それと ロニーのいたずらな子供っぽい高い声も魅力的で
彼が歌うと のどかで楽しい気分にさせてくれます。

7曲目はインストですが 鳥のさえずりから始まり フィドルとアコーディオンの音色が
美しいメロディーを繰り返し 最後は壮大に盛り上がります。
大地に朝陽が昇り ゆっくりと時は流れ 陽は暮れるといったイメージです。
この曲が終わって 8曲目が ディラン風の投げやりなヴォーカルで始まる構成も絶妙。

1997年にロニーは病気で死んでしまうのですが
その後 多数発売された未発表音源のCDもぜひ聴いてみて下さい。
彼の お尋ね者だけどいいヤツぶりが より一層滲み出ていて泣けます。


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