さあ今年もやって参りました年末恒例ブリティッシュ・フォーク紅白歌合戦だよ。
こたつに入って年越しソバをすすって ミカンもほうばりながら
家族みんなで楽しみましょう。 今年は全24組の出場となりました。
まあニック・ドレイクとかは家族で楽しめる音楽じゃないけどね!
紅がんばれ!白がんばれ!ドーンドーン!パフパフー!


紅組
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STRING DRIVEN THING 「July Morning」 from
「THE EARLY YEARS 1968-1972」 (1968)

白組
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MAGNA CARTA 「Airport Song」
from 「SEASONS」 (1970)

トップバッターは爽やかに迫ります。 紅組からはストリング・ドリブン・シング。
1stアルバムのオープニングを飾る軽快な 「July Morning」 でつかみはOKだけど
この曲全然フォークじゃないし紅組なのに女性ヴォーカルはコーラスしか歌っていないよー。
白組マグナ・カルタはボサノバの 「Airport Song」 を清涼感たっぷりに心地良く。 
泳ぎまくるフルートと優しいヴォーカルに視聴率70パーセントは狙える名曲です。
爽やかな2曲に早くもお茶の間の皆さんは釘付けですねぇ。 ドーンドーン!パフパフー!
STRING DRIVEN THING 「THE EARLY YEARS 1968-1972」 のレヴュー・・・第7号


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CLAIRE HAMILL 「Smile Your Blues Away」
from 「ONE HOUSE LEFT STANDING」 (1971)

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RONNIE LANE 「Little Piece Of Noting」 from
「RONNIE LANE'S SLIM CHANCE」 (1975)

第2回戦も爽やかに屈託の無い歌声対決となりました。
17歳のクレア・ハミルはマウンテン・ミュージック風の楽しい曲でフレッシュさをアピール。
時に可愛く時にドスがきいたように聴こえるヴォーカルもご愛嬌の屈託の無い歌声です。
白組ロニー・レインの調子っぱずれなのか表現力豊かなのかよく分からないヴォーカルは
ホント屈託無しって感じで聴いているだけで幸せな気分になれますね。
「Little Piece Of Noting」 は前奏が流れ出した瞬間すでに鼻血ブーですが
郷愁を誘うメロディー・・・3拍子・・・間奏ののどかなフィドル・・・と必殺度高すぎです。
アルバム全体も郷愁!郷愁!ですっげー名盤です。 ドーンドーン!パフパフー!


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JADE 「Bad Magic」 from
「FLY ON STRANGEWINGS」 (1970)

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LINDISFARNE 「Taking Care Of Business」
from 「ROLL ON, RUBY」 (1973)
第3回戦は元気の良い2組の対決となりました。
紅組ジェードはこのアルバムの中で僕が一番好きなグルービーなダンス・ナンバーを
元気良くかまします。 ゴーゴーを踊らずにはいられないリズム歌謡です。
うーん全然フォークじゃ無いけど曲の出だしはアコギ&ポコポコ・パーカッションで
始まるので一応フォーク的な味付けって事にしておきましょう。
会場に集まった観客達はモンキー・ダンスで大盛り上がりですねぇ。
白組リンディスファーンはギターをガチャガチャ弾いてハーモニカも入りまくりで
楽しくて元気でフレンドリーないかにもリンディスファーンですって曲で勝負。
でもこんなに楽しい曲もどこか哀しげなんだよねぇ リンディスファーンって。
ホントいいバンドだなぁ。 ドーンドーン!パフパフー!
JADE 「FLY ON STRANGEWINGS」 のレヴュー・・・第77号

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BRIDGET ST. JOHN 「Goodbaby Goodbye」
from 「THANK YOU FOR...PLUS」 (1972)

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NICK DRAKE 「Know」
from 「PINK MOON」 (1972)

第4回戦はつぶやき対決です。 紅組のブリジット・セント・ジョンは
ピアノとアコギのバックでつぶやく 「Goodbaby Goodbye」 を歌います。
2分ちょっとの小曲で この3rdアルバムの中では目立たない曲なのだけど
ンーンーというつぶやきハミンングがたまらない物悲しい名曲です。 あぁーしみじみ。
白組はつぶやきフォーク業界の大御所ニック・ドレイクの登場だぁー。
 「Know」 もつぶやきハミングを取り入れて弾き語りで対抗しますが
スカスカのギターが延々と同じフレーズを繰り返して
聴いてるだけで生きる気力を失う程のアシッド・フォーク曲ですねぇ。
ほーら会場の空気も一気に落ち込んできました。 ドーンドーン!パフパフー!
BRIDGET ST. JOHN 「THANK YOU FOR...PLUS」 のレヴュー・・・第37号

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CONTRABAND 「Lady For Today」
from 「CONTRABAND」 (1974)

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CLIFFORD T. WARD 「Coathanger」 from
「SINGER SONGWRITER...PLUS」 (1972)

5回戦は歌い上げ対決。
コントラバンドはメイ・マッケンナ姉さんが「Lady For Today」 を美しく歌い上げます。
どこまでも突き抜けた雲ひとつ無い青空を思わせる名曲で ニック・ドレイクが
暗くしちまった空気を変えてくれます。 ああ生きる気力が沸いてきましたねぇ。
この曲はトラッド色薄いですがコントラバンドはエレクトリック・トラッド・バンドです。
白組クリフォード・T・ワードは大らかなフォーク・ロック曲を歌い上げ。
ストリングスやコーラス隊も入って歌謡フォーク・ロックですねぇ。
裏声になる部分なんかはアメリカのカントリー・シンガーを思わせたりします。
アルバム全体はガシャガシャとアコギの音が気持ち良いフォーク・ロック。
どこにでもありそうなフツーの音だけど なぜか僕はこのアルバムかなり好きです。
ドーンドーン!パフパフー!

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ANNE BRIGGS 「Ride, Ride」 from
「THE TIME HAS COME」 (1971)

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NIC JONES 「Canadee-I-O」
from 「PENGUIN EGGS」 (1980)

第6回戦はトラッド芸人対決です。
紅組アン・ブリッグスはこのアルバムでは自作曲とカバー曲を中心に演奏していて
トラッド芸人対決としてどうなのよ?って感じではありますねぇ。
「Ride, Ride」 もアンの自作曲だけど彼女の歌声はトラッドだろーが自作曲だろーが
そんな事を超えた何千年という歴史を感じさせる深みがあります。
地味ーな弾き語りなのだけど神秘の森に迷い込んだが如くの名曲ですよ。 
眉毛芸人としても一級品の白組ニック・ジョーンズは1980年のアルバムから
パーカッシブなギターの弾き語りが印象的な 「Canadee-I-O」 です。
やっぱりトラッドってキッつーいのが多いのでこの位軽やかな感じに
アレンジしてくれると聴きやすくなりますねぇ。 ドーンドーン!パフパフー!

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TRADER HORNE 「The Mixed Up Kind」
from 「MORNING WAY...PLUS」 (1970)

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IAN MATTEWS 「Home」 from
「SOME DAYS YOU EAT THE BEAR AND
SOME DAYS THE BEAR EATS YOU」 (1974)

7回戦はフェアポート・コンヴェンションに在籍した人対決。
紅組はジュディ・ダイブル様がフェアポート脱退後にジャッキー・マッコーレイと結成した
男女デュオ トレイダー・ホーンにて登場。 終始2人のハーモニーで歌われる
「The Mixed Up Kind」 はハープシコードが印象的な妖精系室内楽フォーク曲。
アルバム全体も名曲揃いの傑作。 曲間に挿入される短いインストが又効いてるんだ。
白組イアン・マシューズは半分以上がカバー曲のアルバムから彼のオリジナル曲
「Home」 をかましてくれます。 ニッティ・グリッティー・ダート・バンドの如くの
ハーモニカが全編に流れ 優しく通り過ぎる風のような心地良い曲です。
彼にはこーいった爽やかで優しげな曲がホントよく似合います。
ドーンドーン!パフパフー!
TRADER HORNE 「MORNING WAY...PLUS」 のレヴュー・・・第2号

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11.59 「By The Waters Of Babylon」 from
「THIS OUR SACRIFICE OF PRAISE」 (1974)

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MARK FRY 「Roses For Columbus」 from
「DREAMING WITH ALICE」 (1972)

8回戦は儚く美しい刹那サウンド対決ですねぇ。
紅組は宗教上のルールであの世行きことジーザス物の11.59が登場だぁー。
この曲はゆったりと幻想的なメロディーに美しい女性ヴォーカルが響き渡り
曲の後半にはグロッケンスピールまで絡んでくる必殺の儚いフォークです。
なおアルバム全体では男性メンバーがメインに歌う曲が多く
音もフォーク一辺倒では無くフォーク・ロックな曲もあります。
白組はマーク・フライ。 このアルバムって儚くて美しくてすっげー傑作なのだけど
これだけの内容なのに何かあんまり大騒ぎされないのが不思議ですねぇ。
そんな傑作からフルートも泳ぎまくる 「Roses For Columbus」 をとりあげてみました。
その美しさに失禁者続出の模様です。 ドーンドーン!パフパフー!
 MARK FRY 「DREAMING WITH ALICE」 のレヴュー・・・第56号

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VIRGINIA ASTLEY 「Darkness Has Reached Its End」
from 「HOPE IN A DARKENED HEART」 (1986)

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BEN WATT 「North Marine Drive」
from 「NORTH MARINE DRIVE」 (1983) 

第9回戦は1980年代の芸人の対決です。
紅組ヴァージニア・アストレイはフォークというより室内楽ポップスかな。
しかし田園風景を思わせるその空気感は1970年代の英国フォークと同じ香りを放ち
決して上手くは無いけど天使のような清楚な歌声にはもうメロメロですよぉ。
そしてこの曲は更に3拍子ときたモンだ。 うわぁーもうたまらねぇーっす。
一方白組ベン・ワットはギターの弾き語りでサウンドはフォークなのに
1970年代の英国フォークとはまた違う香りを放つのですよね。
どこがどう違うんだ?と言われても困っちゃうのだけどアルバム全体から
どこかやるせない絶望感が漂います。 傑作アルバム。 ドーンドーン!パフパフー!

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HOPE SANDOVAL & THE WARM INVENTIONS
「Charlotte」 from 「BAVARIAN FRUIT BREAD」
(2001)

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TEENAGE FANCLUB 「Starsign」
from 「HAVE LOST IT (EP)」 (1995) 

1980年代対決をしたなら次は1990年代以降の対決もしないと視聴者は納得しません。
てな訳で第10回戦。 紅組はホープ・サンドヴァル&ワーム・インヴェンションズ。
ヴォーカルのホープ・サンドヴァルは米国人なのですがバックのアコギは
バート・ヤンシュさんが弾いていて英国臭を放つフォーク曲になっています。
舌足らずでけだるいホープ姉さんの歌声がまた良くて・・・クラクラします。
白組からはやっぱりキミたちしかいません ティーンエイジ・ファンクラブ。
4曲入りのセルフ・カバー7インチEPより 「Starsign」 です。
全編アコースティックでフォーク〜カントリー〜トラッド風味が漂う内容のEPで
「Starsign」 ではバックにのどかなバンジョー&ポコポコ・パーカションが入ります。
うぇーん無茶苦茶良いです。 全曲アルバム未収録なのでアルバムは全部持っているよ
という方も是非気合いでゲットしましょう。 ドーンドーン!パフパフー!

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TUDOR LODGE 「Forest」 from
「TUDOR LODGE」 (1971)

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HERON 「He's A Poor Boy」 from
「TWICE AS NICE & THE HALF THE PRICE」
(1971)

さて残りも少なくなって参りました第11回戦。 ここで大物2組が登場です。
会場からは 「よっ待ってました」 の掛け声もあちらこちらから聞こえていますねぇ。
紅組からは来たぁー!チューダー・ロッジ。 白組からは来た来たぁー!ヘロンです。
チューダー・ロッジはストリングスや管楽器類も麗しい 「Forest」 だぁー。
タイトル通り森の空気をいっぱい吸い込んだような森林浴フォークです。 名曲!
ヘロンは2ndからエレクトリック・ギターも鋭く切り込むパブ・ロック風味の曲。
このダラダラ感が又たまりませーん。 ディス・イズ木漏れ日ロック!
こんな2曲並べられたらもう泣くしかありません。 ドーンドーン!パフパフー!
TUDOR LODGE 「TUDOR LODGE」 のレヴュー・・・第3号
HERON 「TWICE AS NICE & THE HALF THE PRICE」 のレヴュー・・・第31号

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MARY HOPKIN 「Water, Paper & Clay」 from
「EARTH SONG / OCEAN SONG」 (1971)

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PENTANGLE 「So Clear」
from 「REFLECTION」 (1971)

2003年ブリティッシュ・フォーク紅白歌合戦もとうとう最後となりました。
紅組のトリをつとめるメアリ・ホプキン様は大合唱も入って盛り上がる曲です。
夕暮れ時の寂しさを思わせる懐かしさを持ったメロディーにリズムは3拍子ときたもんだ。
ぬおおぉー!メアリ様登場でもう視聴率は90パーセント超えています。
白組ペンタングルは大トリを飾るにふさわしい哀愁の名曲でしっとりと締めます。
ペンタングルには素晴らしい女性ヴォーカリスト ジャッキー・マクシーもいるのだけれど
ここで渋い喉を響かすのはジョン・レンボーンさんです。
こちらも3拍子! NHKホールは失禁者 気絶者 鼻血ブー者続出で大変な状態です。
審査員席も全員気絶中だし日本野鳥の会の皆様ももちろん全員気絶中。
これはもう審査どころじゃないので勝敗なんかつけられませんね。
MARY HOPKIN 「EARTH SONG/OCEAN SONG」 のレヴュー・・・第1号
PENTANGLE 「REFLECTION」 のレヴュー・・・第14号



さてブリティッシュ・フォーク紅白歌合戦には出場確実と思われた
フェアポート・コンンヴェンションやドノヴァンやヴァシュティ・バニアンが
今年はなぜか選出されませんでした。 僕のよく聴いている度が高い
アメイジング・ブロンデルやブレッド・ラブ&ドリームス インクレ関連の人達も
残念ながら出場かないませんでしたねぇ。
紅白歌合戦出場こそがすべての歌謡芸人の目標なので
来年は選ばれるようにみんな頑張ってね。

そして年は暮れていきます。 聞こえてきましたねぇ除夜の鐘。
それでは皆様良いお年を。


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