1960年代末〜1970年代の男性ロック芸人って9割方ヒゲを生やしていますねぇ。
ふーん ロックはヒゲだね ヒゲこそがロックだね・・・と色々ジャケットを見ていたら
ブルーグラス系芸人のジョン・ハートフォードが一番汚いヒゲの生え方でした。
彼の 「上から見ても下から見ても人の顔」 なだまし絵の如くな
ヒゲの生やし方はエレキでロックな人に負けていません。
という訳で米国カントリー〜ブルーグラス系ヒゲ芸人のアルバムを聴いてみました。



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JOHN HARTFORD 「AEREO-PLAIN」 (1971)
米 ROUNDER CD O366 (1997/CD)
1 Turn Your Radio On
2 Steamboat Whistle Blues
3 Back In The Goodle Days
4 Up On The Hill Where They Do The Boogie
5 Boogie
6 First Girl I Loved
7 Presbyterian Guitar
8 With A Vamp In The Middle
  9 Symphony Hall Rag
 10 Beacause Of You
 11 Steam Powered Aereo Plane
 12 Holding
 13 Tear Down The Grand Ole Opry
 14 Leather Britches
 15 Station Break
 16 Turn Your Radio On

これが問題のジョン・ハートフォードの 「Aereo-Plain」。
1970年の 「Iron Mountain Depot」 と1972年の 「Morning Bugle」 という
前後のアルバム(でいいのかな?)のジャケットでは彼はヒゲは生やしていません。
3枚を聴き比べると このアルバムだけ何か特異な凄みみたいなモノが放たれ
なる程 汚いヒゲづらジャケットも納得の傑作アルバムですねぇ。

最初と最後に 「Turn Your Radio On」 という曲でサンドイッチされていて
ラジオのダイヤルを合わせたら色々な曲が流れて来る・・・という設定なのかな?
よく分からないけど そんなトータル・アルバムのような作りになっています。

登場楽器はバンジョー ギター マンドリン ドブロ フィドル等でドラムレスです。
ブルーグラスな楽器でブルーグラス・サウンドではあるのですが
バンジョー・ロールが回転しまくって間奏でマンドリンやフィドルが切れ込んでくる
いかにものブルーグラスとはちょっと違うアンサンブルをかましてくれます。
主役のジョン・ハートフォードはバンジョーとギターを弾いていますねぇ。

哀愁の3曲目にジーンときて軽快な4曲目に気持ち良くなったと思ったら
続く5曲目は喉を潰した声をわざと出してブーブーとか歌う(語る?)変な曲。
ギターとベースのみの穏やかなインスト7曲目も美しくて良いし
裏声を多用し表現力豊かに迫る11曲目はフツーのブルーグラスっぽいけど
本気なのか冗談なのか分からない彼のヴォーカルが空気を変えてくれます。
いやぁアルバムの流れが良いねぇ。 聴きはじめたら最後まで一気に聴きましょう。

バックを勤めるノーマン・ブレイクやヴァッサー・クレメンツなど5人の野郎共も
ブルーグラス業界では大物なメンツになっていています。
おっとノーマン・ブレイクはティーンエイジ・ファンクラブの人とは別人ですので・・・。

ジョン・ハートフォードは2001年に亡くなってしまいましたが
「エアロ・プレイン」 は彼のキャリアを代表する傑作だったようで
このアルバムのセッションの模様をぶち込んだCDも2002年に出ています。



LennyLeBlanc.jpg LennyLeBlancBack.jpg
LENNY LE BLANC 「LENNY LE BLANC」 (1976)
米 BIG TREE BT 89515 (LP)
A1 Desert Cowboy
 2 Lady Singer
 3 Rag Doll
 4 Lost Again
 5 Mary, What's Come Over You ?
 B1 Rainy Nights
  2 Hound Dog Man
  3 Sharing The Night Together
  4 Dance Around The Campfire
  5 Ain't It Funny

この人は名前の読み方が分からないのでローマ字読みの読み方適当シリーズで
レニー・レ・ブランクさんにしておきますが 間の「LE」は「ル」が正しいのかもね。

このアルバムはだいぶ前に300円程度で入手したブツなのですが
中古盤屋でサクサクやっていたら あまりにもデカい顎ヒゲが強烈だったので
おっ!こいつやる気満々だな!と一瞬思ったら最後 シャツの隙間から覗く胸毛と
血管の浮き出た手がどうだ!とアピールしてくるじゃないですか。

裏ジャケに使用楽器のクレジットが印刷されているのを見たらフォーク・ロックっぽく
テンガロンハットを被っているけどカントリーでは無いね と決め付けて買いました。

で 聴いてみるとテンガロンハットが物語るようにやっぱりカントリー寄りでした。
柔らかなカントリー・サウンドのA1がゆったりと気持ち良くて
中々良いカントリー・アルバムかと思ったら2曲目にサックスなんか入っちゃって・・・
なる程1976年というビミョーな時代なのでAOR風味も入り込んでいます。
クレジットに無いキーボードが切り込んできたりするのがイヤーな感じですねぇ。

でもデカい顎ヒゲとチリチリ胸毛に似合わず歌声は優しげでこの歌声は好きですね。
そう このオヤジじっくり見るとけっこう可愛い顔していて・・・優しそうな人ですよ。

でね 夕陽(かな?)に背を向けた裏ジャケを見ながら聴いていたら
夕暮れ時の寂しさだねぇ切ないねぇ・・・と感じてしまいハマってしまいました。
いや聴く側のその時の気分っていうのも音楽がどう響くか影響するのですよね。
切なくて哀しい気分の時こーゆーAORっぽいのもぴったり来るんだなぁ。
ウォーイェーというコーラスが入ってちょっとソウルフルなB3に特にハマりました。

何じゃこりゃーと思ってしまったアルバムでも時と場合によっては有効なので
こんなのもう聴かねー!もういらねー!と安易に処分してはいけませんね。



ThinkingOfWoodyGuthrie.jpg
COUNTRY JOE McDONALD 「THINKING OF WOODY GUTHRIE」(1969)
独 ZYX/VANGUARD VMD 6546-2 (CD)
1 Pastures Of Plenty
2 Talkin' Dust Bowl
3 Blowing Down That Dusty Road
4 So Long It's Been Good To Know Yuh
5 Tom Joad
  6 The Sinking Of The Reuben James
  7 Roll On Columbia
  8 Pretty Boy Floyd
  9 When The Curfew Blows
 10 This Land Is Your Land

カントリー・ジョー・マクドナルドは名前の中に 「カントリー」 と入ってしまっているので
強引にヒゲづらカントリー芸人入り確定ですよ!
激しいヒゲの生やし方ではなくヒゲづら芸人としては迫力不足でけどね。

名前だけでなくアルバムの内容もカントリー・ロックなので問題無しではありますが
僕は彼のソロ・アルバムはこれ1枚しか持っていなくて 1969年という時代のせいで
たまたまカントリー・ロックをやっているだけかも知れないのですよ。
彼がソロになる前のカントリー・ジョー&フィッシュの 「Together」 というアルバムも
持っているけど・・・そちらはドタバタしたロックになっていますしねぇ。

さてこのウディ・ガズリーのカバー集はスピード感のある曲が中心に入っていますが
迫力満点に激しくバックの演奏が迫って来るという感じでは無いです。
バックが終始軽やかに流れる感じで これが非常に心地良いですねぇ。

彼のヴォーカルも素朴でそこら辺のオヤジ風味(?)で迫力無いのも又良いですよ。
時にトーキング・ブルースをぶちかまして語っていますがアクは強く無いです。

速い曲が多い中に登場する4曲目や7曲目のワルツが効いていて
7曲目の 「Roll On Columbia」 の気の抜けたさりげなさなんてホントたまりません。
「Roll On Columbia」 の元歌は 「Goodnight Irene」 なのでメロディーはそれです。

最後にウディ・ガズリーの曲で最も有名な 「This Land Is Your Land」 で締めるという
ヒネリの無いセンスも なーんかあんまり気合い入れないで作ったアルバム
という感じがしてとても愛らしく響く1枚です。 さあ気持ち良ーくお昼寝だね。


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