オーデイオ・アーカイブスというレーベルは
より一層レアでより一層ヤバい内容のブツを出すぜ!
といった意気込みが感じられますね。
レア・フォーク再発業界の王者として君臨するキッシング・スペルに
対抗しているのかどうかは知りませんが充実の危険度を誇っております。



AndThePerhaps.jpg AndThePerhapsBack.jpg
MARIE CELESTE 「AND THEN PERHAPS」 (1971)
欧 AUDIO ARCHIVES AACD 041 (CD/2001)
1 Prisoner
2 When Morning Breaks
3 Sally Free And Easy
4 And Then Perhaps
5 Theme Based On Greensleeves
6 On THe Other Side Of A Hill
  7 Night In The City
  8 I Am A Rock
  9 Summertime
 10 The Swallow Song
 11 Ruby Tuesday
 12 A Slice Of Peace

オーデイオ・アーカイブスは(たぶん)1990年代中頃から活動していたレーベルですが
初期のCDにはバーコードもレーベルの住所の表記も無くて
一体どこで作ってんだ?と怪しさがプンプン漂っていました。
21世紀に入ってMade in EECという表記が付きちょっとだけ怪しさは解消されましたよ。

そんなオーデイオ・アーカイブス 実は英国のHi-Note Musicが配給をしています。
マンディ・モートン ウォーターフォール等を出しているEnglish Gardenや
イサカ ダルシマー等を出しているBACKGROUNDもHi-Note傘下のレーベルですよ!
・・・という情報だけでもオーデイオ・アーカイブスの危険度が分かろうというモノです。

さて荒波に揺れる帆船の絵のジャケットが期待度をそそるマリー・チェレステ。
このグループはアマチュア度高い5人組の非トラッド系フォークを聴かせてくれます。
バックの使用楽器はギターとベースのみなのでかなりフォーク度高いです。

メンバーの内2人が女性で この女性2人ももちろんヴォーカルをとりますが
全体的に男女の程よいコーラスで聴かせる感じになっています。

収録曲はメンバーの自作曲とカバー曲が半々くらいで入っていて
前半に英国臭香る陰影のある美しい曲が多く 後半は爽やかに迫る曲が多いです。
サイモンとガーファンクルの8曲目 ローリング・ストーンズの11曲目といった
有名曲のカバーはメロディーがすーっと耳に入ってきて気持ち良いですねぇ。
5 12 はインストになっていて ギターの腕前もなかなかのモノがあります。

レア・フォークらしく音がこもっていたりノイズが入っていたりする有難いつくりのため
儚い雰囲気満々だぜ!うおぉ有難てぇー!と感じるのだけど
明るい曲調が多い後半は健康的なアメリカン・カレッジ・フォーク・タイプの音ですね。
いやこれで録音が綺麗だったら前半部分も有り難味も何も感じなかったりしてね。



AMidsummer'sNightDream.jpg AMidsummer'sNightDreamBack.jpg
OBERON 「A MIDSUMMER'S NIGHT DREAM」 (1971)
欧 AUDIO ARCHIVES AACD 035 (CD/2000)
1 Nottanum Town
2 Peggy
3 The Hunt
4 Syrinx
 5 Summertime
 6 Time Past, Time Come
 7 Minas Tirith
 8 Epitaph

遂に出た!オベロン。 英国レア・フォークの真髄ともいえる強力盤です。
裏ジャケでポーズをとるメンバー達を見ると大学の音楽サークルの仲間か何かっぽくて
明るく楽しく演奏しようぜ!といった爽やかさがありますがそれは写真だけです。

美しい女性ヴォーカルが歌う1曲目のトラッド曲から スカスカのパーカッションと
ベース・ギターが妖しげな雰囲気を煽ってくれアシッド臭がプンプン香ってきますねぇ。

この1曲目はトラッドですが他の曲はトラッド臭薄いのでトラッド系が苦手な人も大丈夫。
・・・でも別の部分でダメかも知れません。 いや手を出さない方が安全でしょう。

最も危険な3曲目はメイン・ヴォーカルの男性の節回しが
インクレディブル・ストリング・バンドみたいで 男どものコーラスが被さると
ダークダックスをヘッタくそにしたような感じで凄い事になっています。
曲調もダラダラとしているかと思うと突然フィドルが暴れ出しますし
演奏時間も9分近いという体罰曲になっていてもう訳分かりませーんという強力曲。

美しいフォーク曲でこれは良いねぇーという始まり方の7曲目も
フルートが爆発した後にドラム・ソロのパートまで登場しやがります。
聴き終えればこれは出来損ないのプログレか?と思わせる8分超の拷問曲。 凄い!

メンバーが7人もいるのでアコギ エレキ・ギター フルート フィドル・・・他と
登場楽器は多彩ですが常に全員参加という訳でもなく2曲目はアコギ1本のインストだし
4曲目はフルートのインストで 8曲目はアコギ&ヴォーカルの弾き語りになっています。

前項のマリー・チェレステにもサマータイムのカバーが入っていたけど
オベロンも5曲目でジャズ色強い感じでサマータイムをやっていますねぇ。
当時のフォーク界ではサマータイムのカバーって人気があったのでしょうか?



TheMilesMartinFolkGroup.jpg TheMilesMartinFolkGroupBack.jpg
THE MILES MARTIN FOLK GROUP 「THE MILES MARTIN FOLK GROUP」 (1971)
欧 AUDIO ARCHIVES AACD 044 (CD/2001)
1 Leaves That Are Green
2 Polly Von
3 Kilfanora Jig
4 Ye Jacobites By Name
5 Once I Had A Sweetheart
6 Fast Freight
  7 October Song
  8 I Never Will Marry
  9 Grandfather's Clock
 10 Geordie
 11 Gone The Rainbow
 12 Sunday Rainbow

マイルス・マーティン・フォーク・グループは男性2人女性1人の3人組。
このアルバムのブックレットにはちょっとした解説も何も書いていなくて不親切ですね。
まあ書いてあっても僕は読みやしないし 何も書かない事で正体不明度が増し
オーディオ・アーカイブスは有り難いねーと思わせる作戦とみました。

この人たちはグループ名の通りのフォーク・グループですが
マイルス・マーティンという人がリーダーという訳では無く
メンバーの苗字がマイルスさんとマーティンさんなのです。

男女のコーラスを中心に聴かせ バックはいたってシンプルなどフォークです。
ウッド・ベースが入っていますが指ではじくだけでなく 時に弓弾きも披露。
パーカッション類も入らず 後は7曲目に笛が入るくらいでかなりシンプルです。

収録曲はタイトルは覚えていないけどどこかで聴いた事があるなぁという曲ばっかり。
3 9 12曲目はインスト。 9曲目の大きな古時計はブルーグラスになっています。

男性2人女性1人という構成なのでピーター・ポール&マリーに影響を受けた
健康的なアメリカン・フォークっぽくも聴こえてしまいますねぇ。
いやしかしジャケットの廃墟になった城(なのかなぁ)の写真を見ながら聴けば
英国臭プンプンするフォークだねぇ 繊細なギターのアルペジオが英国だねぇ
という気分になってきます・・・このジャケットもオーデイオ・アーカイブスの作戦?

音はこもっていてアングラ臭を放つ要素はありますがドロドロとした感じは一切無く
あくまでも健康的なフォークなのであまり効果(何の効果だ?)はありませんが
全体を通してのどかな田舎系フォークなのでお昼寝導入剤としてどうぞ。



SupernaturalGirl.jpg SupernaturalGirlBack.jpg
FERRIS WHEEL 「SUPERNATURAL GIRL」 (1974)
欧 AUDIO ARCHIVES AACD 047 (CD/2002)
1 Flowers
2 Sad Eyed Lady
3 Piscean Ride
4 Flowers Two
5 Angel
6 When I Look At You
7 Princess
  8 Such A Sad Sad Day
  9 Yes I Know
 10 Andrea
 11 The Mermaid
 12 I'm Remembering You
 13 Supernatural Girl
 14 Ferris Wheel

フェリス・ホイール・・・今までCD化されてきた自主制作系のレア盤は色々と聴いたけれど
レア盤発掘業界の末期症状ともいえるその内容には ちょっと驚きです。
僕はこのアルバムを聴いてオーディオ・アーカイブスの気合いの入り方を痛感しました。

ジャケ裏に 「The UK's rarest 70's esoteric stoner-folk album」 と印刷されていて
ストーナー・フォークって何?と思いましたが とりあえずフォークとUKの文字があったし
音楽性が表記された親切商品だねぇ 有難いねぇ と購入してしまいました。

メンバーは男性3人で基本サウンドはギターとベースでたまにパーカッションが入ります。
スタイルはフォーク系ですがギターはエレキが中心でどフォークという感じはありません。
前半にドロリとした陰鬱な曲が多く 後半は明るめのメロディーを持った曲が並びます。

一部の曲ではギターにエフェクトがかかりサイケ色もあるし のどかーな曲もあり
何とも形容し難い得体の知れないアングラ・フォーク作品といった所ですかねぇ。

当然の如く録音状態も悪くて あまりにも状態が悪いため6曲目や13曲目なんかは
バックの音がひとつの塊になって迫ってくる感じで気持ち良い(のか悪いのか?)ですよ。
そして更にその演奏能力の低さも強力で 特に2曲目は僕ギター始めて1ヶ月でーす
とでも言いたげな初心者奏法によるリズム・ギターがリズムを刻めていません。
それにつられるようにリード・ギターもパーカションもリズムが不安定で・・・凄いです。

このCD 僕は中古1100円プラス税という価格で拾ってきましたが
デモ音源以下とも言えるヒドい録音状態のブツのため
まともな音楽ファンにとってはギリギリ出せるか出せないかの金額ですね。
うーん1000円以上は出さない方がいいかも。 いや見つけても買わない方がいいです。

で僕はこの内容でこの価格は信じられない程安く入手したぜ!という感覚です。
内容も末期症状であれば 聴く方も末期症状ですか・・・。


こちらもキているオーディオ・アーカイブスからの再発CD
RED TELEVISION 「RED TELEVISION」 のレヴュー・・・第65号


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