ANNE BRIGGS 「A COLLECTION」 (1999) 英 TOPIC TSCD504 (CD) |
1 The Recruited Collier 2 The Doffing Mistress 3 She Moves Through The Fair 4 Let No Man Steal Your Thyme 5 Lowlands 6 My Bonny Boy 7 Polly Vaughan 8 Rosemary Lane | 9 Gathering Rushes In The Month Of May 10 The Whirly Whorl 11 The Stonecutter Boy 12 Martinmas Time 13 Blackwater Side 14 The Snow It Melts The Soonest | 15 Willie O'Winsbury 16 Go Your Way 17 Thorneymoor Woods 18 The Cuckoo 19 Reynadine 20 Young Tambling 21 Living By The Water 22 Maa Bonny Lad |
伝説のトラッド・シンガー アン・ブリッグスの編集盤。 この人はイングランドのトラッドを語る際 避けて通れない存在になっていますね。 まあ彼女のレパートリーはすべてイングランドの曲っていう訳じゃなく スコットランドやアイルランド起源の曲や自作曲も歌っているんだけどね。 5〜8が1964年のEPからの曲で13〜22が1971年の1stアルバムの曲。 その他は1960年代の様々なオムニバス盤に収録されていた曲です。 伝説のアン・ブリッグスだからという理由でいきなりこんなキッつい内容の アルバムに手を出してしまうと大変な事になりますね。 何がキッついかって無伴奏シンギングの連続でこれは相当厳しいでしょう。 1曲目から順番に聴いて行くとずーっと無伴奏シンギングが続き もう限界だ! と思った瞬間13曲目で初めてギターの伴奏が入りギリギリ耐えられるという構成。 その後は数曲だけどギターやブズーキの伴奏が付く曲がありホッとしますね。 ・・・と収録時間が75分以上もあるアルバム全体を聴き通すのには 相当のチャレンジ精神が必要ですが1曲1曲はもちろん素晴らしい事になっています。 アンの歌声は素朴なのに海の底から響くが如く深みもあり感動的だし 冒頭の1962年録音(!)の2曲なんかは少女らしい愛らしさもありメロメロですよ。 歌い方はコブシの回り具合いにトラッド・シンガーなんだなーという感じはありますが それ程ディープに節をつけてはいないので無伴奏ものとしては割と聴きやすい方かな? 他の無伴奏シンギングのアルバムは所有していないのでよく知らないけどね! こーゆーのは連続で聴くなら2〜3曲でお腹いっぱいでしょう。 僕は今回このレヴューを書くためこの75分超のアルバムを3回連続で聴きました。 頑張って耐えたんです。 誰か褒めて下さい。 |
PLANXTY 「WORDS & MUSIC」 (1983) 米 SHANACHIE 79035 (CD/1991) |
1 (I) The Queen Of The Rushes (II) Paddy Fays Jig 2 Thousands Are Sailing 3 Taimse I'm Chodladh 4 Lord Baker | 5 Accidentals/Aragon Mill 6 (I) The Aconry Lasses (II) The Old Wheels Of The World (III) The Spike Island Lasses 7 I Pity The Poor Immigrant 8 The Irish Marche |
クリスティ・ムーア ドーナル・ラニー アンディ・アーバイン リアム・オフリンという 強力なメンツによるアイルランドのプランクシティ。 彼らは1970年代前半に活動し一旦解散して本作は再結成後の通算6枚目です。 この4人はアイリッシュ・トラッド〜フォーク業界ではかなり有名な人たちですが 彼らに絡む人脈図などをたどって行くとグッシャグシャで訳分かりません。 特にドーナル・ラニーを追っていくとボシー・バンドとムービング・ハーツが出て来て その2バンドに関わった人たちには現チーフタンズのマット・モロイや ホースリップスのデクラン・シノットやらリヴァーダンスのデイヴィ・スピラーンなどなど とにかく巨大な人脈図が出来上がり何が何だか分からない事になっていきます。 ボシー・バンドとシリー・ウイザードのメンバーが結成したレラティヴィティもあったし。 プランクシティはインスト曲とヴォーカル入りの曲を両方やっていますが どちらかというとヴォーカル入りの曲に重点を置いているようですね。 使用楽器はイーリアン・パイプ マンドリン ブズーキといった所が多く登場します。 インスト物はリアム・オフリンのイーリアン・パイプをメインに演奏しているけど パイプの曲が聴きたいなら別にこのアルバムじゃなくてもねぇという感じです。 歌入りの曲はトラッド色薄めの仕上がりのフォークになっています。 そんな中で5曲目の後半はのんびりと優しげなフォーク曲で良いですね。 そしてボブ・ディランのカバー7曲目はは圧倒的な哀しみに溢れたフォーク曲。 すべてを失ったけどほんのかすかに希望も見える男の哀愁って感じで泣けます。 ・・・とこの2曲は大好きですが全体を聴き通すと地味で暗目なので 相当の忍耐力を要する内容になっているのではないでしょうか。 僕はアン・ブリッグス以上にキッつい物を感じながら聴いてみました。 収録時間は約40分ですが頑張って5回連続で聴いたので誰か褒めて下さい。 |
DE DANNAN 「1/2 SET IN HARLEM」 (1991) 米 GREEN LINNET GLCD 1113 (CD) |
1 Joe Derrane's Reel/ The Galway Rambler/Jerry Holland's 2 Lights Across The Bay 3 Restless Farewell 4 The Klezmer Hornpipes 5 Mulvihill's & Dublin Porter 6 If Anything Happened To You | 7 Mike Flanagan's Jig 8 A Classical Reel 9 Glasgow Lullabye 10 Maam Valley 11 The Snowy Cordillera 12 The Maids Of Mullaghmore 13 Operator |
アイルランドのデ・ダナンは1970年代後半から活動していてこれは9thになります。 フィドル&フルートのフランキー・ゲイヴィンとブズーキ&ギターのアレック・フィンが 中心メンバーで本作ではヴォーカル アコーディオン バウロンのメンバーが入り5人組。 このグループは過去にヴォーカルで参加していた モーラ・オコンネル メアリー・ブラック ドロレス・ケーン といったソロでも成功した凄い顔のババア3人集がいるもんで 彼女たちが参加していた時期のアルバムが人気あるみたいですが僕はこのアルバム。 なお本作での女性ヴォーカルはエレノア・シャンリーでこの人もソロ作を出しています。 なぜこのアルバムが好きかって1曲目の凄まじいダンス曲メドレーで鼻血ブーでしょう。 フィドルとアコーディオンのバトルをメインに曲は進みますが 後半にはペダル・スティールが飛び道具として登場して 普通の鼻血ブーであれば せいぜい30センチ程度しか血は噴出しませんが この曲は噴出10メートル級です。 あと激しいダンス曲は5曲目と12曲目くらいでアルバム全体としては落ち着いた感じ。 半分がヴォーカル入りの曲で 2 9 13曲目にはゴスペル・コーラス隊が入ります。 13曲目なんか歌詞にジーザスを連発してゴスペルそのものだし トラッド一辺倒ではなく面白いので楽しんで聴ける内容になっています。 そして3曲目はボブ・ディランのカバーでやっぱり良い曲だなぁと思いますが キーボードが入り薄くエコーがかかって歌い上げちゃう感じがどうもいけません。 アイリッシュ・トラッドは一時期ハマっていたのでかなりの枚数を所有していたのですが 相当数売り飛ばしてしまった理由は ある時期からこのタイプのヴォーカル曲の ほら美しいだろう さあ聴け!といかにも狙った感じがイヤになってきたからなのです。 でも確かデ・ダナンは売り飛ばしていないはずですよ。 フランキー・ゲイヴィン&アレック・フィン名義で出ているマニアックな(のかな?)CDも 所有しているし(たぶん1977年作)・・・デ・ダナンが好きな人は僕を褒めて下さい。 |
THE BATTLEFIELD BAND 「AT THE FRONT」 (1978) 英 TEMPLE COMD2056 (CD/1994) |
1 Lady Carmichael/South Of The Grampians/ Mickie Ainsworth 2 The Bachelor 3 Ge Do Theid Mi Do M'Leabiadh 4 The Battle Of Harlaw 5 Jenny Nettles The Grays Of Tongside 6 Tea The Beggin' 7 The Tamosher | 8 The Blackbird And The Thrush/ The Moray Club 9 Lang Jonnie Moir 10 The Brown Milkmaid/Dunnottar Castle/ Maid Of Glengarrysdale/Disused Railway 11 The Lady Leroy 12 Stirling Castle/Earl Of Mansfield |
このCDはその昔六本木のWAVEで購入したのを覚えています。 もう何年も訪れていないけど・・・WAVEってレコード店はまだ存在するのでしょうか。 当時僕が狂ったように聴いていたティーンエイジ・ファンクラブの「Hang On」 という曲に バトルフィールド・バンドのメンバーが2人 フルートとフィドルで参加していたので 手を出してみたのだけどその2人は本作には名前が無いでやんの。 ブックレット裏には彼らのディスコグラフィーが印刷されていてこれはは4thですね。 1976〜1992年の間に17枚もアルバムを出していやがる多作なグループで メンバー・チェンジも頻繁にあるとみました・・・実際はどーだか知らないけどね。 そんな多作で息の長い活動歴を誇る彼らなのでスコットランドのトラッド業界では シリー・ウイザードと共に重要なグループとして位置づけたいところです。 しかしトラッド名盤選とか見てもあまり名前が上がってこないグループですね。 その原因は現代トラッドの王道であるインストと歌入りの曲が半々に入る構成だけど ダンス曲を壮絶な各楽器のバトルで演奏するというタイプじゃないからかなぁ。 そしてトラッド・グループにしてはちょっと変わった楽器構成もいけないのでしょうか。 リーダー格のアラン・リードの担当楽器はエレクトリック・ピアノ&足踏みオルガン。 その他の使用楽器はフィドル ギター マンドリン チターン他となっています。 歌物も田舎のオヤジがパブで歌っていまーすって感じで美しさはありません。 いやしかしこののどかな感じは女性ヴォーカル曲をこれは美しいぞ!聴きやがれ! と脅迫しているようなタイプのバンドよりも100倍素直で微笑ましくて良いですから。 ダンス曲の各楽器の激しいバトルや無伴奏シンギングの張り詰めた緊張感に 耐えられなくなったらこーゆーのを聴いてのんびりしましょう。 これはレヴューするにあたって1回しか聴いていないけど誰か僕を褒めて下さい。 |