アコースティック楽器はアンプが無くても演奏ができるので
あらぬ場所で演奏をしてみたくなるってゆーのが世の常です。
という訳で地の果て(かどうか知らないけど)でアコースティック・ギターを抱える
どんな場所でも演奏したい芸人を集めてみました。



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SHAWN PHILLIPS 「SECOND CONTRIBUTION」 (1971)
A&M/キングレコード AML-94 (LP)
A1 She Was Waitin' For Her Mother At The Station
   In Torino And You Know I Love You Baby
   But It's Getting Too Heavy To Laugh
 2 Keep On
 3 Sleep Walker
 4 Song For Mr. C
 5 The Ballad Of Casey Deiss
 B1 Song For Sagittarians
  2 Lookin' Up Lookin' Down
  3 Remedial Interruption
  4 Whaz' Zat
  5 Schmaltz Waltz
  6 F Sharp Splendor
  7 Steel Eyes

干上がりひび割れた大地にしゃがみ込み12弦ギターを抱えるショーン・フィリップス。
長いストレート・ヘアーにヒゲ面でタテ長の顔がジーザス・クライスト度高いです。
そんな風貌の彼にはこんな不毛の大地での演奏会がとってもお似合いね。

ジャケットではアコギを抱えていますが常にアコギをメインにする訳ではなく
ストリングスやホーンやキーボード類も活躍の哀愁のロック・サウンドが展開されます。
この日本盤LPの解説によると彼は米国出身ながら本作発表時には
イタリアに住んでいたようだしアルバムの録音はロンドンで行われています。
そしてバックの参加メンバーは英国軍団でそのサウンドはヨーロッパ的ですねぇ。

A1からA4まではメドレーになっていて組曲を聴いているみたいですし
全体的に大げさでドラマティックな音の構成になっていて1971年という
プログレの時代を感じさせるシンガー・ソング・ライター作品になっています。

各曲のメロディーも明るい表情をほとんど見せず 何か同じような曲の連続ですが
これがアルバム全体に統一感を持たせていて完成度は非常に高くなっています。

時折かすれるショーンの歌声が水分不足のジャケのイメージにぴったりだし
帯のコピーが 「ショーンが詩うビューティフル・ロックの世界」 となっていて
正にその通りの音だと思います。 ビューティフル・ロックが聴きたい人はぜひ!



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BALDWIN AND LEPS 「CALAMANDANTINE BROWN」 (1971)
ヴィヴィド VSCD 718 (1998)
1 Calamandantine Brown
  I. Hanna
  II. Headin West
  III. Spirit
  IV. The Dealer
  V. Bella Donna
 2 New York Town
 3 Cousin Brenda
 4 Blues For The City
 5 Stars
 6 Beg Your Sweet Pardon

「今はもう秋〜誰もいない海〜」 といった雰囲気の海岸で演奏会を開催するのは
ボールドウィンとレップスというオヤジ2人。 このCDは日本盤で解説付きというのに
2人の詳細は不明なようでどちらが誰だか分からないんだってさ。
国籍も不明ですがオリジナルLPは米ヴァンガードからなのでアメリカ人でしょうね。

2人の距離が離れているし風も強く吹いていて互いの楽器の音が聴こえそうにないです。
そんなジャケットなもんで彼らは過酷な条件であればこそより一層
演奏をしたくなってしまうという地の果て専門芸人だと僕は決め付けていますよ。

基本はアコギとジプシー風フィドルに力強いヴォーカルが迫って来るという物です。
その上に軽くベースやエレキ・ギターやストリングスなどが乗っかります。
ドラムスが入る4曲目と6曲目はロックっぽいですが全体的にフォーク度は高いですねぇ。

ジプシー風フィドルが無国籍な雰囲気を醸し出しているし
2人ヴォーカルのハーモニーも所々妖しい絡みを聴かせてくれます。
これでヴォーカルがもっと弱々しかったらアシッド・フォークと呼んでも良さそうな音ですね。

1曲目は5パートからなる組曲ですが曲間にブレイクが入り5つの別な曲として聴けます。
この5パート目 「ベラ・ドンナ」 がじわじわと妖しくてお気に入りです。

しかし手前のオヤジのフィドルはなんかサイズが小さくないかい?
子供用フィドルの3分の2サイズとかを使っているのでしょうか。
フィドルは普通サイズでこのオヤジが2メートル超のすっげーデカいヤツなのかもね。

奥のオヤジが抱えているのは12弦ギター。 ギターを抱える位置がかなり高くてナイス。
・・・パンクの人とかギターの位置が中途半端に低くてかっこ悪いと思いません?
究極に低い位置でボディーが地面についていればこれはすげーよ!と思うんだけどね。



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STEVE YOUNG 「ROCK SALT & NAILS」 (1971)
A&M/キングレコード GXG-1038 (LP)
A1 That's How Strong My Love Is
 2 Rock Salt & Nails
 3 I'm A One Woman Man
 4 Coyote
 5 Gonna Find Me A Bluebird
 6 Love In My Time
 B1 7 Bridges Road
  2 Kenny's Song
  3 Holler In The Swamp
  4 Hoboin'
  5 My Sweet Love Ain't Around

スティーヴ・ヤングの1stはジャケットだけで名盤決定ですねぇ。
これは演奏会風景では無いですがズボズボと足が泥に埋まりながらも
ギターケースを抱えキリッと鋭い表情で正面を見据えております。
俺は地の果てだろうがどこだろうがアコギ抱えて演奏しに行くぜ!
といった意思がビシビシと伝わってくる素晴らしいジャケットになっております。

実際に彼は米国中を放浪した末このアルバムを発表できたようで
ジャケットだけでなく音からも男らしさがプンプン漂よってくるのですよ。

サウンドはカントリーやブルースやゴスペル風味のあるシンガー・ソング・ライター作品
といった所でしょうが彼自身の作った曲はA6 B1 B3と3曲だけですね。
女性コーラス隊とコール&レスポンスを繰り広げるゴスペル色強いA6が良いです。

バックの演奏にはジェームス・バートン ハル・ブレイン ジーン・クラーク
グラム・パーソンズらが参加。 プロデュースもトミー・リピューマでかなり豪華ですが
演奏がでしゃばる事も無くスティーヴのヴォーカルを聴かせる方向性ですね。

そのヴォーカルがカントリー・シンガーっぽくて伸びのある裏声とか多用しちゃいます。
これをやられると俺は淋しいんだよー情けないんだよーと聴こえるはずなんだけど
それでも男らしさを感じちゃうのは やはりこのジャケットのせいかな?


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