MARK FRY 「DREAMING WITH ALICE」 (1972) 伊 AKARMA AK 126 (LP/2001?)
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ドノヴァンの 「バラバジャガ」 を真似た表ジャケ そして内ジャケのアートワークも麗しい1枚。 危険商品の取り扱いに優れたイタリアのアカルマからのナイスな再発LPにて紹介です。 ジャケット左側の青年がマーク・フライで右側の子供がアリスちゃんなのでしょうか。 内ジャケにはロンドンとローマで録音の文字がありますが録音参加メンバーの印刷は無く それどころか楽曲の作者のクレジットさえ見当たらないという正体不明ぶり。 プロデューサーはローラ・パピ(読み方適当シリーズ)という人でイタリア人っぽいな。 そして主人公のマーク・フライは英国人なのかイタリア人なのか分かりません。 歌詞は英語で歌っているので英国フォーク名盤の仲間入りをさせておきましょうか。 ヴァース1〜10まであるアルバム・タイトル曲はどれも短い楽曲の断片ですが これが物哀しくて虚ろなフォーク・ソングでA面1曲目からクラクラしてきますよ。 A2はシタール(っぽい音色の別の楽器かも)とフルートが炸裂し混沌を高めていく曲で 頭をボーッとさせてくれる強力なアシッド・フォークに仕上がっていて最高です。 アルバムの終盤はエレクトリック・ギターが暴れるB6からアルバム・タイトル曲を挟み A4の逆回転ヴァージョンのB8へ突入するという展開で頭の中グルグル回ってます。 全体的にはアコギにパーカッションやフルートなどが絡む程度のサウンドですが ゆったりと美しく幻想的な曲ばっかりだしフルート炸裂曲が多いのもたまりません。 また弱々しいヴォーカルがとても儚い雰囲気を出してしてホント滅茶苦茶良いです。 その中でもメロディーが良いA7 B2 B4は死ぬ程美しくて死んじゃいそうです。 さてこういった幻想的なフォークにはお香のかほりなどが似合いそうですが これはイタリアが絡んでいるのでクサい汗をオリーブのかほりに変えてくれそうですね。 |
CHIMERA 「CHIMERA」 (2002) 英 TENTH PLANET TP 054 (LP)
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ヤバいアイテムをLPのみで出すという気合いの入った経営体制のテンス・プラネットからは ヴォーカルに女の子2人を擁するキメラというグループの発掘音源が登場です。 録音は1969年〜1970年となっていて英国的な陰影ってヤツを感じさせる音です。 例えるとキーボード類よりもギターに重きを置いたメロウ・キャンドル。 あるいはトラッド臭の無いトゥリーズとでも言っておきましょうか。 一部のレコード屋の解説ではアシッド・フォークのうたい文句もありますが アシッド・フォークと呼べそうな曲はアコギのアルペジオに ピアノとオルガンが乗っかる幻想的でドローっとしたA3だけかなぁ。 A2 A4 A6は曲間に挿入された効果音で このLP制作のために最近録音して 後から強引に入れたような感じもしますがこの効果音が一番アシッド臭高かったりして。 その他のフォークっぽいのではアコギ&ハープシコードで迫りメロウ・キャンドルしまくるA5。 B2もアコギが基調になっている暗いメロディーの曲でとても英国臭漂います。 そしてバックにオーケストラが入るA8 B4は無理矢理室内楽フォークの仲間入りですかね。 全体的にロック色強くフォーク度は低いですが女の子2人が絡むヴォーカルが素晴らしいし 発掘音源らしい音のコモり方が儚い雰囲気を煽ってくれていて良いのです。 なお参加ゲストにはリック・ライト ウィル・マローンなんていう名も印刷されております。 ・・・が まあ僕はその参加メンバーを見ても だから何?って感じですけど。 いかにも英国って音でクサい汗はコケのむした古い城の壁のかほりに変わりました。 と僕はそんなイメージなのですけど・・・古い城の壁の臭いなんて嗅いだ事無いけどね。 |
LINDA PERHACS 「PARALLELOGRAMS」 (1970) 米 THE WILD PLACES WILD005 (CD/1998)
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ハワイ出身の女性シンガー・ソング・ライター リンダ・パーハックスの唯一のアルバム。 真夏のジリジリと暑い日にはもってこいの虚ろで幻想的なフォークです。 柔らかいアコギの音に語りかけるようなヴォーカルが乗っかる1曲目から最高です。 かげろうの如くゆらゆらと流れるこの1曲だけでワンランク上の精神状態へ突入できます。 そして彼女の歌声は語り系ではあるのですが実はとてもソウルフルで表現力豊かです。 全曲名曲といってもいいですが特にヤバそうな曲を取り上げてみると トローンとしたフォークに途中で突然効果音が入り悪夢へと誘う6曲目が凄いです。 タブラなどパーカッション類の音がサイケデリックな8曲目もゆらゆらとトリップできます。 と強力なアシッド・フォーク作品なのですが全体的にドロドロ感というよりも 海や森 そして動物達の怒り・・・みたいな自然の嘆きを感じる作品なのですよ。 そうなるとリンダ・パーハックスの脇の下のからは当然 潮や草のかほりがしてきますね。 それにしても聴いていて感じるのは 僕は今実際に聴いているのだろうか? この音楽は今存在しているのだろうか? なーんて事ですよ。 そんな事を思ってしまうのはワンランク上の精神状態に入っているという事でしょうか。 正に真夏のまぼろしのようなアルバムにして奇蹟的な傑作です。 今すぐ買え! |
DAVE COUSINS 「TWO WEEKS LAST SUMMER」 (1972) 加 A&M SP-9008 (LP)
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ストローブスの中心メンバー デイブ・カズンズのソロ・アルバム。 ずーっと聴きたかったアルバムですが中々安い中古盤に出会う事も無く この間高いなぁと思いながらカナダ盤LPを1200円プラス税で回収しておきました。 うーん1200円で高ぇぜ!とか思っている僕は常時ワンランク上の精神状態なのかな? このアルバムは聴く前にほのぼのとしたフォーク・ロックかなぁと勝手に予想していたら A面1曲目に出てきた音は幻想的で不思議な響きを持っておりちょっとビビりました。 それに続く2曲目はンーンーという男性コーラスのハミングをバックにデイブが歌い 死者を埋葬する際に流したらハマりそうな暗い曲でこちらも幻想的ですねぇ。 組曲になっていてプログレな構成のA3は10分近い曲ですが構成力というよりも デイブの歌を聴かせるような方向性でプログレ臭はあまりしないので良いですね。 そしてA4は美しい室内楽フォーク・・・基調となっているのはピアノですけど。 B面になると趣きが変わりエレクトリック・ギターがうるさいロックな曲と 穏やかなシンガー・ソング・ライター風作品が同居する内容です。 バックに小鳥のさえずりも入るフォーク・ソングB4がアルバム全曲中最も デイブ・カズンズの田舎臭いヴォーカルにぴったりくる曲ですねぇ。 B5ではローリング・ストーンズのようなイカレたロックン・ロールをかましていますが デイブの声が情けない・・・というかこーゆーかっちょ良い曲には似合わないので 思わず笑っちゃいますよ。 つまりデイブのヴォーカルって最高って事だけどね。 さてこのアルバムを聴いた結果 脇の下のかほり変化効果はというと・・・ 更にクサくて絶えられない程のオヤジ臭漂う汗のかほりに変わりましたとさ。 だってデイブ・カズンズって凄いオヤジ声だし長髪にヒゲ面で暑苦しいんだもん。 デイブ・カズンズ関連レヴュー・・・STRAWBS 「BURSTING AT THE SEAMS」→第23号 「SANDY DENNY AND THE STRAWBS」→第23号 |