英国の放送局BBC絡みの音源って沢山レコード化されています。
放送用に録音されたお気楽音源なので オリジナル・アルバムを全部制覇した後に
仕方無いから購入しておくって感じでしょうか。
しかしオリジナル・アルバムとは又違った味わいがあり あなどれない盤もあります。
それにしても大量に出ているので手を出し続けるとドロ沼化必至ですね。




KIRSTY MacCOLL 「WHAT DO PRETTY GIRLS DO ?」 (1998)
MSI MSIF 3904 (CD/2002)
 1 Don't ComeThe Cowboy
   With Me Sonny Jim
 2 What Do Pretty Girls Do ?
 3 Don't Run Away From Me Now
 4 Still Life
 5 There's A Guy Works Down The
   Chip Shop Swears He's Elvis
 6 Walk Right Back
 7 Darling, Let's Have Another Baby
  8 A New England
  9 My Affair
 10 Bad
 11 Can't Stop Killing You
 12 Caroline
 13 Free World
 14 He's On The Beach
 15 A New England

2000年にモーター・ボート事故で死亡してしまったカースティー・マッコール。
彼女のBBCラジオ・セッションの音源を集めたアルバムは1998年のリリース当時は
輸入盤でも出回っていましたが中古盤を見つけて安く購入するかねぇと放っておいたら
新品は市場から消えていくし中古を見かける事も無く悲しい思いをしていた商品です。

そうしたら2002年になりMSIが突然日本盤を出したので発作的に購入してしまいました。
英国盤に日本語解説の紙を挿入したタイプのMSI盤は定価だと2700円プラス税。
ブチ切れ寸前の法外価格な最高級品ですが とあるレコード屋のポイント・カードを駆使して
500円引きで購入できたのでブチ切れずに済んだといういわくつきの商品です。

これが中古が出回らないのも納得の 手に入れたら手放す訳にはいかない素晴らしさ。
オリジナル・アルバムのムダの無い仕上がりは完璧という言葉さえ頭をよぎりますが
こちらはちょっとルーズでリラックスした雰囲気が全体を覆い これが良いのですよ。
バックにバンドが入ったりシンプルなアコースティック・セットだったり色々楽しめますし
このBBC音源こそが彼女の最高傑作だ!と言いたくなる程のアルバムなのです。

1〜4が1989年 5〜8が1991年 9〜11が1994年 12〜15が1995年の録音。
7 8では作者のビリー・ブラッグ自身が登場し最高峰に情けない声を響かせて凄いです。
これはとにかく聴くしかないでしょう。 さあ皆さんポイント・カード商法で購入しましょう。
ポイント・カード商法ができない人も高額商品ぶりにブチ切れながらも購入すべきです。

カースティー・マッコール追悼大会の模様は第29号で。




TIR NA NOG 「SPOTLIGHT BBC recordings 1972-1973」 (2001)
英 HUX 021 (CD)
 1 Strong In The Sun
 2 Free Ride
 3 Los Angeles
 4 Backwaterawhile
 5 Spotlight
 6 Come And See The Show
 7 The Some Thing Happening
  8 Teesside
  9 It Takes A Lot To Lough,
    It Takes A Train To Cry
 10 Piccadilly
 11 The Lady I Love
 12 Cinema
 13 Most Magical

前項のカースティー・マッコールの英国盤はHUXというレーベルが出していて
そのHUXからはアイルランドのヒッピー兄弟ことティア・ナ・ノグの音源も出ています。
1〜11がBBC音源で12と13はBBCとは関係無い1973年のライブのようです。

オリジナル・アルバムではおしゃれさんなフォーク・ロックだった曲などもこちらでは
地味なフォークになっていて やっぱり彼らにはこーゆーシンプルな音が似合います。
ただ1stアルバムのような虚ろな雰囲気は薄く 割と元気の良い演奏が多いかなぁ。

前半の1〜5までがスタジオでの録音でこの部分がかなり良いですねぇ。
オリジナル・アルバム未収録の3曲目のじわじわと幻想的に迫って来る雰囲気なんか
ラジオ放送用の録音をなめんじゃねーと言わんがばかりの完成度の高さですよ。

6〜11は観客を入れたライブになっていてボブ・ディランの曲の改作9も収録されています。
きっと彼らはこーゆー 「替え歌」 とかを適当に挟みながらライブを行っていたんでしょうね。

オマケっぽい感じで入っている12 13はバックにバンドが入ったおしゃれサウンド路線。
録音状態が悪いせいなのかバンド付きなのに迫力が無くこっちの気分も盛り上がりません。
しかし真のマニアは無理矢理でもこの2曲に最も有り難みを感じておくべき音の悪さです。

僕が勝手に名付けたヒッピー兄弟命名の顛末は第35号で。




GALLAGHER & LYLE 「LIVE IN CONCERT」 (1999)
英 STRANGE FRUIT SFRSCD059 (CD)
 1 Conversation
 2 Willie
 3 Among The Birks
 4 Thoughts From A Station
 5 Desiderata
 6 International
 7 Seeds
 8 The Clearing
 9 Breakaway
10 The Runaway
11 Stay Young
 12 Fifteen Summers
 13 Keep The Candle Burning
 14 Great Australian Dream
 15 I Believe In You
 16 Hurts To Learn
 17 Throwaway Heart
 18 Next To You
 19 It Only Hurts When I Lough
 20 Showdown
 21 When I'm Dead 'N' Gone

英国の土臭いフォーク・ロック業界においてロニー・レインが神様級なのであれば
マッギネス・フリントあたりは仏様級と言っても過言ではありません。
ではロニー・レインとマッギネス・フリントの両方に関わっていたギャラガー&ライルは
神も仏も超えている・・・というのはちょっと過言ですかねぇ。

そんなレベルのギャラガー&ライルなのに彼らのアルバムは1976年の 「ブレイクアウェイ」
しかCD化されていません(たぶん)。 この現状は一体どーゆー事なのでしょう。
彼らのアメリカ盤LPなどは たまーに中古盤がお手頃な価格で転がっていたりしますが
いまどきレコード・プレイヤーなんか持ってねーよ!とお嘆きのあなたは
このBBCライブのCDを必死で探して入手しなければいけません。

収録時間が79分もあり 長時間録音だと耐えられなくて最後まで聴けない病の僕には
79分というのはキツいはずですがこれは違います。 5回連続でも平気で聴けます。
全編観客を入れたライブで どの曲をやっても客は無理矢理盛り上がっている感じですねぇ。
それもそのはず さりげなく美しいメロディーと柔らかなコーラスの連続に失禁寸前ですよ。

1〜6が1973年の録音で この6曲は最高峰。 日溜りに咲く名も知らぬ花の如くな
地味だけどその美しさにめまいさえ覚える必殺の室内楽ブリティッシュ・フォークを展開。
7と8が1974年 9〜15が1977年 16〜21が1978年の録音になっています。
7〜21はバックにバンドが入っていますが 曲によってギター&アコーディオンのみだったり
キーボードが色んな音で迫って来るおしゃれな都会派フォーク・ロックだったり色々です。

ハイライトは出だしのマンドリンの音だけで大興奮のマッギネス・フリント時代の曲21。
曲が進むにつれ盛り上がる疾走感に鼻血ブー。 鼻血止まらず出血多量死覚悟でしょう。
まだ間に合うぞ! 今すぐ買いに走れ!




THE JESUS AND MARY CHAIN
「THE COMPLETE JOHN PEEL SESSIONS」 (2001)
英 STRANGE FRUIT SFRSLP092 (LP)
A1 In A Hole
 2 You Trip Me Up
 3 Never Understand
 4 Taste The Floor
 5 The Living End
 6 Inside Me
 7 Just Like Honey
 8 Some Candy Talking
 9 Psycho Candy
10 You Trip Me Up
11 Cut Dead
 B1 Fall
  2 In The Rain
  3 Happy Place
  4 Sidewalking
  5 Coast To Coast
  6 Take It
  7 My Girl
  8 Far Gone And Out
  9 Silverblade
 10 Here Comes Alice

毎度お馴染みディスク・ユニオンのエサ箱から新品1200円プラス税で拾ってきたLP。
1980年代轟音ギター業界でその名をとどろかせたジーザス&メアリ・チェインの
ジョン・ピール・セッション音源を(アルバム・タイトルからすると)全部ブチ込んだ1枚です。

A面1〜4が1984年(!)の録音でデビュー・シングルが出たか出ないかの時期ですよ。
5〜7も1985年2月の録音でまだ1stアルバムも出ていない時期でしょうね。
そんなデビュー間もない得体の知れないグループに予備知識など無い訳で
突然こんなキーンというギター・ノイズがラジオから流れ出したらびっくりじゃあないですか。

僕も彼らと出会ったのはラジオだったのですが 小林克也がDJをしていたFM番組で
「今イギリスのインディー・チャートで1位の曲です」 の後にこのノイズの嵐だぁー。
その時耐えられずに耳に突っ込んでいたイヤホン(ヘッドホーンでは無い)を
はずしたのを覚えています。 確かその時の曲は 「ネバー・アンダースタンド」 だったかな。
なおA1〜7ではプライマル・スクリームのフロントマン ボビー・ギレスピーが
ベルヴェット・アンダーグラウンドからの影響丸出しのペナペナ・ドラムを叩いています。

A8〜11も1985年録音ですが こちらは1stアルバム発表後でしょう。 これは良いなぁ。
深いエコーのかかったアコースティックな音で構成され 実は彼らの曲には
美しいメロディーが存在するっていう事が認識できる好ヴァージョンです。

B面は1986年〜1989年の録音。 打ち込みリズムを使った曲が多いですが
これはかっちょ良さを追求した結果でしょう。 実際かっちょ良い曲の連発ですねぇ。
曲によってノイジーなギターが暴れたりアコースティック色があったりと色々なので
初期のひたすらノイズのかたまりが迫って来るのよりは聴きやすいでしょう。

ところでジョン・ピール・セッションってよく耳にしますが これって番組名なのでしょうか。
いずれにせよジョン・ピールという人は英国音楽界では相当影響力のあるDJなのです。




「...THERE IS SOME FUN GOING FORWARD...PLUS
 dandelion rarities vol.1」 (1972)
英 SEE FOR MILES SEECD 427 (CD/1995)
 1 MEDICINE HEAD Only To Do What Is True
 2 CLIFFORD T. WARD Anticipation
 3 COXHILL-BEDFORD DUO Pretty Little Girl
 4 MIKE HART Nell's Song
 5 TRACTOR All Ends Up
 6 BRIDGET ST. JOHN Fly High (single version)
 7 JOHN TREVOR Sky Dance
 8 STACKWADDY Mama Keep Your Big Mouth Shut
 9 COUNTRY SUN The Colour Is Blue
10 KEVIN COYNE Sand All Yellow
11 LOL COXHILL Vorblifa-Exit
12 SIREN Fetch Me My Woman
13 SIREN The War Is Over
14 PRINCIPAL EDWARDS MAGIC THEATRE Autumn Lady Dancing
15 BRIDGET ST. JOHN Early Morning Song
16 BEAU Sleeping Town
17 STACKWADDY The Girl From Ipanema

ジョン・ピールといえば1970年代初頭彼が主催していたレーベル ダンデライオンがあります。
こちらはダンデライオンのサンプラー盤なのでBBCの音源では無いのですが
ジャケットにジョン・ピール自信が全裸で登場していやがるので取り上げてしまいました。

ハゲ上がる一歩手前の頭髪といい 汚らしい胸毛 腕毛 スネ毛が強力なオヤジです。
なる程この絶倫な風貌こそがあらゆるアーティストに信頼を得ているカリスマな証拠です。
同様に剛毛&ハゲの絶倫ぶりでカリスマな人物としてはヴァン・モリソンがいますねぇ。
そして剛毛&ハゲでカリスマ確定なアーティスト日本代表としては加山雄三で決まりでしょう。
・・・加山のカツラ使用情報は完全未確認なので本当はフサフサかも知れないけどね。

このアルバムは1972年のオリジナルLPは10曲入りで11〜17がCDのボーナス曲です。
同じくSEE FOR MILESから2in1でCD化されたダンデライオン・レーベルのアルバムで
収録時間の関係で削られてしまった曲もボーナス部分で聴く事ができます。
ブリジット・セント・ジョン様の15もここで聴けます・・・春の木洩れ陽を思わせる素敵な曲です。

全体的にはアコースティック色強い曲が多く ブリジット・セント・ジョン様はもちろん
クリフォード・T・ワード マイク・ハート ボウ プリンシパル・エドワーズ・マジック・シアター
といったあたりは英国フォークが好きな人は手を出しても損は無いと思います。
彼らのアルバムも単体でCD化されているので これも探しに出動しないといけません。




「BRINGING IT ALL BACK HOME music from BBC TV series」 (1991)
英 BBC CD 844 (CD)
 disc 1
 1 DONAL LUNNY and FRIENDS April The 3rd
 2 DOLORES KEANE with MICK HANLY My Love Is In America
 3 RITA & SARA KEANE A Stoir Mo Chroi
 4 THE LEE VALLEY STRING BAND When First Into This Country
 5 THE LEE VALLEY STRING BAND Carolina Star
 6 MICK MOLONEY, JIMMY KEANE, ROBBIE O'CONNELL Kilkelly
 7 PHILIP CHEVRON Thousands Are Sailing
 8 THE HUGHES' BAND The Bucks Of Oranmore
 9 THE EVERLY BROTHERS Rose Connolly
10 HOTHOUSE FLOWERS Lakes Of Ponchartrain
11 DE DANANN Humours Of Galway
12 EMMYLOU HARRIS, DOLORES KEANE, MARY BLACK Sonny
13 EMMYLOU HARRIS, DOLORES KEANE, MARY BLACK Gray Funnel Line
14 PAUK BRADY Nothing But The Same Old Story
15 SHARON SHANNON, MARY CUSTY, EOIN O'NEILL Kevin Griffins
16 MARY BLACK No Frontiers
17 LUKA BLOOM You Couldn't Have Come At A Better Time
 disc 2
 1 PEADAR ORIADA and COR CUIL AODH Im Long Me Measaim
 2 MAIRE NI CHATHASAIGH Carolan's Farewell To Music
 3 NOIRIN NI RIAN and THE MONKS OF GLENSTALL ABBEY An T-Aiseiri
 4 MICHEAL OSUILLEABHAIN and THE IRISH CHAMBER ORCHESTRA
   with JOHN McCARTHY-FLUTE Oilean/Island
 5 MICHEAL OSUILLEABHAIN and THE IRISH CHAMBER ORCHESTRA
   Idir Eatarthu/Between Worlds
 6 ELVIS COSTELLO with MARY COUGHLAN Mischievous Ghost
 7 DAVY SPILLANE Equinox
 8 AN EMOTIONAL FISH with MARY COUGHLAN Blue
 9 RICKY SKAGGS, PADDY GLACKIN, MARK O'CONNOR St. Ann's Reel
10 RICHARD THOMPSON with MARY BLACK and DOLORES KEANE
   The Dimming Of The Day
11 SONNY CONDE Cooler At The Edge
12 PADDY GLACKIN, SEAMAS GLACKIN, KEVIN GLACKIN Glen Road To Carrick
13 THE EVERLY BROTHERS Don't Let Our Love Die
14 CATHERINE ENNIS, LIAM O'FLYNN Easter Snow
15 PIERCE TURNER All Messed Up
16 ROGER SHERLOCK, BOBBY CASEY, JOHN BOWE, TOM NAGLE,
   EILISH BYRNE, SIOBHAN O'DONNELL Tunes
17 MAURA O'CONNELL Western Highway
18 THE WATERBOYS A Song For The Life
19 THE VOICE SQUAD The Parting Glass
20 LIAM O'FLYNN A Stor Mo Chroi
そしてこれです。 BBC制作のテレビ番組のサウンドトラックにして狂喜乱舞の名盤。
番組の内容はアイルランドの伝統音楽がどのように現代に発展していったかを追う
というものらしいですが アイリッシュ・トラッド業界から 米国カントリー業界から
英国ロック業界から 名前を並べただけで興奮確実芸人多数参加で凄い事になっています。

disc1の出だし1と2は近年のアイリッシュ・トラッド業界のダメな部分の集大成といった感じで
キーボードの音色やエコーのかかり具合がホントにいやらしくてイヤーな気分になります。
そこら辺のババアを連れてきて歌わせたような無伴奏シンギングの3曲目からが本番です。

7はポーグスのヴァージョンもありますが ポーグスのギターのオヤジがソロで再演。
ポーグスのメンバーは誰が歌ってもヤクザ声なのですねぇ。 しかし良い曲だなぁ。
英文解説には 「ノー・リハーサル」 の文字があるダンス曲8はパブに集まったオヤジ共が
軽ーく演奏してみましたという感じの曲ですが ウォーターボーイズのスティーブ・ウィッカム
デ・ダナンのアレック・フィン U2のアダム・クレイトン そしてドーナル・ラニー他という
恐るべきメンバーがクレジットされております。 これも良いなぁ。
どこまでもさえないアイルランドのフォーキーなオヤジ ルカ・ブルームの17は名曲ですね。
美貌の米国人アイリーン・アイヴァースの凄腕フィドル炸裂でこれは盛り上がります。

disc2ではエルビス・コステロやリチャード・トンプソンといった人も登場していますねぇ。
コステロはこのテのオムニバス盤には登場し過ぎでちょっと食傷気味でしょうか。
トンプソンおじさんの10はリンダとやっていたオリジナル・ヴァージョンの方が好きです。
そよ風のようなコーラスが心地良いエヴァリー・ブラザーズの13が効いていますね。
そしてウォーターボーイズの18はのどかで切ない名曲。 マイク・スコット・・・スバラシ過ぎ。

全体的にはトラッド色濃い曲が中心で 間にカントリーやロックな曲がたまに出てくる構成。
英文解説に目を通すと全曲このテレビ番組のために1990年に録音されているので
全曲ここでしか聴けない曲やヴァージョンになっているのです・・・たぶん。
テレビ番組のサントラでここまで出来るもんじゃありませんよ。 BBCは偉いです。



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