C. O. B. 「MOYSHE McSTIFF AND THE TARTAN LANCERS OF THE SACRED HEART」 (1972) LOTUS 91152-05 (CD/1999)
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C.O.B.はインクレディブル・ストリング・バンドの1stにのみ参加し脱退した クライヴ・パーマーという内ジャケ一番左側の死神博士顔のオヤジが フェイマス・ジャグ・バンドを経て結成したバンドです。 この奇妙な生物ジャケは1971年の1st 「The Spirit Of Love」 に続く2ndです。 これは竜退治の図でしょうか。 奥の方の炎に包まれた十字架から伸びた光が 手前の戦士の盾に当たって力を与えるという何とも宗教臭い絵ですねぇ。 こんなすげープログレしまくるジャケットなもんで僕がもしC.O.B.に 何の情報も持っていなければ絶対にジャケ買いはしないですね。 しかし1曲目の出だしのオルガンと弓弾きべースとクラリネットの絡みの妖しさで これは凄いアルバムだ!と一瞬にしてノック・アウト状態じゃないですか。 ダルシタール(どんな楽器だ?)とバックで虚しく響くあまりうまく無い笛の音色に 死後の世界をさまよっているかのような錯覚を覚える2曲目も又凄いです。 そしてゆったりと美しい6曲目もバックに入る適当な感じの笛が虚ろで最高だし 全編を貫く中世風フォーク・サウンドの雰囲気がキている名盤なのです。 優しげで虚ろな声のクライヴ・パーマーとやっぱり虚ろな声のミック・ベネット (真ん中の小汚いヒゲオヤジか?)がメイン・ヴォーカルを分け合って歌っています。 笑顔が可愛い金髪のジェニーちゃんは残念ながらパーカッション担当ですが たまにバック・コーラスで歌声も聴かせてくれ 彼女の声ももちろん虚ろですよ! ボーナス曲は本編に比べるとロック色が強くポップで聴きやすいです。 でも12曲目は変な笑い声と叫び声が入りやっぱりフツーじゃないけどね。 本CDのロータスというレーベルはかなりの海賊盤臭がプンプンする作りですねぇ。 おかげでボーナス曲の出展もどこにも印刷されていなかったりします。 が その割には音は良いのですが 音がクリアでも虚ろは虚ろ。 やっぱりインクレ関連の人は違います。 一貫して虚ろです。 凄いです。 |
COMUS 「FIRST UTTERANCE」 (1971) 韓国 SI-WAN SRMC 1026 (CD/1995)
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コーマスのアルバムは第31号で紹介したドーン・レーベルのシングル曲を集めた 編集盤に入っていた 「In The Lost Queen's Eyes」 という曲を聴き 手を出しました。 「In The Lost Queen's Eyes」 は哀しげなメロディーに女性ヴォーカルが乗っかり ハープシコードにフィドルも絡む曲で メロウ・キャンドルしまくっていて最高でした。 この曲を聴くまでコーマスというバンドはフォーク色もあるけど それ以上にプログレ度が高くキッついんだろうなぁと勝手に思い込んでいたのです。 そしてこのオドロオドロしい黒光りするミイラみたいな奇妙な生物のジャケットも プログレ度高いんだろうなーという思い込みを膨らませていたのでした。 で 聴いたらやっぱりそうなのか・・・って感じで 曲が長いし1曲の中で曲調変わるし ジャケット通りのオバケの運動会みたいな変態プログレッシヴ・フォークでしたよ。 パーカッションが打ち鳴らされ演劇的な男性ヴォーカルが暴れまくる1 3 5 といったあたりは迫力満点でオバケの運動会フォークとしては最高峰です。 これは実際に運動会の徒競走のバックに流すべきですね。 学校関係者の皆さん町内会の皆さんどーですか? 運動会が盛り上がりますよ! 特にスピード感&フルート炸裂の5曲目で誰もが一等賞間違い無し(?)です。 2曲目はアコースティック・ギターの上にフィドルやフルートなどが被さり 哀しげなメロディー&女性ヴォーカルで すげー必殺フォークではあるのですが 所々ヒュウゥゥーとテルミン(かな?)が登場し結局オバケ・フォークな仕上がり。 男性ヴォーカルの演劇的な部分が強く 全編にフィドルが活躍するので メロウ・キャンドルというよりもスパイロジャイラの3rdや ストリング・ドリブン・シングなどに近いでしょうか。 クセになる音ではあります。 |
OCTOPUS 「RESTLESS NIGHT...PLUS」 (1970) 英 SEE FOR MILES SEECD 328 (CD/1991)
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手がタコの足になってしまった女の子。 肌の色は緑色で不健康極まりないです。 そして全裸にブーツという最新のファッションは中々意味不明で分かりません。 内ジャケは肌の色がフツーですがこちらも全裸にブーツの最新ファッションですねぇ。 このビミョーにヘタクソな絵は 発見した瞬間思わずジャケ買い確実商法です。 更にジャケット上に 「クラッシック・サイケデリア」 と音楽性も印刷さた安心商法だし オクトパスってゆーバンドは近年にも存在するんで そちらのファンの人が間違って購入しちゃう商法でもありますね。 つまりレコード屋の店頭に並べておけば黙っていてもバカ売れ商法なのです。 このバンドは 「英国ロックの深い森」 でも紹介されているんだけど そちらでは ヘロン〜トレイダー・ホーン〜トゥリーズ〜オクトパス〜フレッシュ・マゴッツ〜 ダルシマー〜JSDバンド〜チューダー・ロッジ・・・という強力なフォーク軍団に 挟まったかたちで紹介されています。 うーん これはちょっと違いますねぇ。 この流れで紹介されるとフォーク度高いのかなぁと思っちゃうけど オクトパスはフォークやトラッドの香りは薄いので注意して下さい。 確かにバックでアコースティック・ギターがガシャガシャ鳴る曲もありますが 基本はエレキ・ギターやオルガンを中心にしたサイケ風味のロック・サウンドです。 そのサイケ風味は 様々な楽器が登場し 効果音&エフェクト&テープ逆回転・・・ といったタイプでは無くロック基本楽器編成でじわじわとサイケデリックなタイプ。 割とフツーのロックとして聴き流してしまいがちな音ですが これは良いですよ。 最もじわりとサイケに迫る1曲目なんか本当にかっちょいい曲だし ポール・マッカートニーなベースにビートルズのシングルB面曲か?と思ってしまう3や コーラスの切り込み具合がホリーズのシングルB面曲か?と思ってしまう5などなど どの曲もツボを押さえてコンパクトに上手くまとまっていて良いんだなぁ。 でもこのジャケのくせにこんな聴きやすい音でいいのかっていう疑問も残ります。 奇妙な生物ジャケットでもまともな内容のアルバムもあるっていう事ですね。 ボーナス曲の11と12は1969年のシングルの曲です。 |
THEY MIGHT BE GIANTS 「APOLLO 18」 (1992) 英 ELEKTRA EKT 104 (LP)
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オクトパスのジャケットを見ていてこれを思い出しました。 タコとくればイカですよ。 米国はニューヨークの男性2人組 ゼイ・マイト・ビー・ジャイアンツの4thです。 アルバムが発表された1992年は国際宇宙年だった年でした。 アルバム・タイトルはアポロ18号で歌詞カードには国際宇宙年のマークが印刷され 月着陸の衛星中継の写真などがレイアウトされていて・・・と ここまでは良いですが なぜかジャケットはイカと鯨の絡み合いの奇妙な生物ジャケなのです。 バックに申し訳なさそうに月着陸船が描かれているけどね。 しかしこれはデカいイカですね。 いやすっげー小っちゃい鯨が正解かも。 彼らの放つ音の基本はとぼけたフォーク・ロックですが打ち込みリズムのせいと 2人で一生懸命重ね録りって感じが密室的でカッチリした印象を強くしています。 でもやっぱりどこかとぼけているという中々個性的なグループなのです。 基本のフォーク・ロック・タイプの曲の合間に次から次へと様々なタイプの曲が登場し そのほとんどが1分〜2分の長さになっております。 これはテレビのチャンネルをパッパッと変えているような感覚ですねぇ。 ザッピング世代のあなたにはうってつけの内容じゃーないですか。 最強のザッピング・ソングがB8でワン・フレーズごとに曲調が変わり 5秒の曲を30曲くらい無理矢理つなげて1曲にしています。 この曲はプログレ・ファンも大喜びの構成力があるのでぜひ試しましょう。 ・・・って本当かな? 何じゃこりゃ!ふざけんじゃねー!と思ってはいけません。 この曲で彼らはやりたい事はすべてやり尽くしたと感じたのでしょうか 次作からはメンバーを補充してバンド編成になりました。 まあバンド編成になってもふざけた態度はなーんにも変わってないけどね。 なおこのアルバムのレヴューに際して僕は音を一切聴かずに書いてしまいました。 何年も前に聴いた記憶だけで書きました。 だって別に聴きたくないもん。 オクトパスを見ていてイカのジャケットを思い出しただけだからね! |