| BREAD LOVE AND DREAMS 「BREAD LOVE AND DREAMS」 (1969) HUGO-MONTES PRODUCTION HMP CD-006 (CD/2001)
|
出た! 男1人女2人の3人組ブレッド・ラブ&ドリームスの1stアルバムが登場です。 やってくれたのは正体不明の怪しいレーベル ヒューゴ・モンテス・プロダクション。 このレーベルのレコード番号001番と003番を第22号でレヴューした際 これからもやってくれそうなレーベルだぜと書いたのですが 期待通りやってくれました。 更に嬉しい情報として所々音がかすれたりブチブチとノイズが入ったりします。 もちろん全体の音もこもりぎみ。 おかげで虚ろな雰囲気がより一層出ていますよ。 2人の女性ヴォーカルは ぶっきらぼうな歌いっぱなし状態の声と可愛らしい声。 でも印象に残るのはそれ程特徴のある声でも無いのに何故かアシッド臭漂う男性の方。 分厚いコーラスで聴かせるタイプでは無く 薄いコーラスがまた雰囲気バツグンですよ。 1曲目から爽やかなアコギのアルペジオが聴こえて来て これは正統派のフォークだね。 と思いきや途中からストリングスが絡んで来て これは必殺室内楽フォークだぜ。 と思いきやこのストリングス 後からプロデューサーが勝手に被せて 強引にポップに仕上げたような無理矢理な感じです。 つまり最高って事ですよ! ハープの伴奏に子守唄のような可愛らしいメロディーの5曲目。 終始優しく鳴り続ける笛の音(リコーダーかな?)がどうしようもなく英国な10曲目。 その他の曲でもディラン風適当ハーモニカや必殺のグロッケンも飛び出したり バラエティーに富んでいながらも全体的にどこかうつろであるという素晴らしい内容です。 ヤツらのアルバムは3枚あり2ndからはぶっきらぼう声が脱退して男女の2人組です。 2ndも3rdもCD化されていて1stと比べるともっとロック寄りな音になっていますが そのうつろさや美しさはアルバムを重ねるごとに増しています。 3rdの 「Amaryllis」 はプログレッシブ・フォーク業界最高峰の名盤のうちの1枚でしょう。 |
| WESTWIND 「LOVE IS...」 (1970) 欧 ELEGY E 600/1 (CD/2001)
|
ヒューゴ・モンテス・プロダクションの正体不明ぶりを書いた第22号では エレジーというレーベルもどこの国なのか分からねーと書いておいたのですが 本盤には Made In EEC と印刷があり ほんのちょっとだけ正体が見えて来ました。 エレジーもこれからもきっとやってくれるのでしょう。 期待しています。 ウエストウインドは正統派のアメリカン・フォーク・タイプのグループですね。 男2人女1人という構成はアメリカのピーター・ポール&マリーと同じだし トラッド臭さも感じられないので 爽やかで聴きやすいフォークになっています。 どこかでこれぞ英国の極み・・・みたいな文章も読んだような気もしますが そうかなぁ。 全く英国臭漂わないという事も無いけどこの爽やかさはアメリカン・フォーク寄りです。 アコギとダブル・ベースと3人のコーラスというのが彼らの基本構成になっていて 曲によりストリングスやホーンや打楽器も入りますがこの入り方は無理が無いです。 各楽曲のメロディーも綺麗だし 理想的な英国発のアメリカン・フォーク(?)です。 3人ともクセの無い柔らかい歌声で 女の子ヴォーカルも清楚で慎ましい感じですよ。 妻にするならこういった清楚な歌声の女性に限りますね。 お前は歌声で結婚相手を決めるのかって? ・・・そのとーりです! |
| SHUSHA 「SHUSHA/THIS IS THE DAY」 (1974/1974) 英 BEAT GOES ON BGOCD 531 (CD/2001)
|
ペルシャ生まれのシューシャの1stと2ndの合体CDは2イン1業界最大手のBGOから。 ペルシャって現在のイランの事だけど ペルシャと書くと神秘性が増すでしょ? ブックレットに目を通すと彼女は1960年代にフランス経由で英国に渡ったみたいです。 そのせいか彼女の英語の発音はちょっとフランス訛りが入っているように聴こえます。 実際に4はフランス語で歌っているように聴こえますが本当は何語なのか分かりません。 歌声は低めですがドスの効いた低音では無く 母性本能をくすぐる包み込むタイプです。 注目はヘロンのジェラルド・ムーアとロイ・アプスが何曲か楽曲を提供している事。 シューシャ/アプス/ムーア名義での曲は1 5 9 15 17となっています。 そして更にジェラルド・ムーアはギターやオルガンで演奏にも参加している他 「This Is The Day」 の方では音楽監督とクレジットがあります。 その他英国フォーク〜トラッド寄りの凄腕たちも演奏に参加しているのですが 全体的にフォーク風味は薄く アコースティック感覚のポップ・ヴォーカル物ですね。 収録曲はポップなフォーク・ロック曲や 歌い上げの世界歌謡祭しまくる曲など多彩。 そしてアコギやピアノやオルガンの絡みがヘロンを思わせる部分が所々あります。 ディランの曲13はヘロンを思わせるアコギにジョン・カークパトリックの蛇腹が絡みます。 これはたまらねーよ! そう・・・ヘロンもディランのカバーを得意技にしていたよね! |
| TICKAWINDA 「ROSEMARY LANE」 (1978) 英 KISSING SPELL KSCD 916 (CD/2001)
|
2001年怒涛の快進撃を続けるキッシング・スペル。 一時は運営を停止していたらしいのですが 心を入れ替えやる気満々のようです。 そしてティカウィンダの再発は間違いなく2001年上半期のハイライトといえるでしょう。 彼らは男性2人女性2人の4人組で 女の子は2人とも綺麗な歌声じゃないですか。 収録曲は大部分がトラッドで 無伴奏のアカペラでスティーライ・スパン風に迫る曲と ドラムレスでシンプルなギターやマンドリンの伴奏が入る曲とが交互に登場します。 アマチュアに毛の生えたコーラス主体のトラッド・グループと言ってしまえばそうなのですが それだけでは済まされない凄みみたいな物がこのグループにはあります。 まあ どこが凄いかと言われても彼らの音は決して新しくも無いしとってもフツーなので その答えは難しいのですが 音のひとつひとつが奇蹟的に美しい響きを放つのですよ。 サウンドが似ているスティーライ・スパンと比べても僕はこっちの方が好きだなぁ。 スティーライはエレキギターの重厚な響きが都市型のトラッドだねぇと感じてしまうのですが こちらはバックがアコースティック楽器なので 古びた水車小屋トラッド(?)って感じです。 12はアン・ブリッグスのカバーでこの曲だけコンテンポラリー・フォークの香りです。 これが又シンプルながら最高に美しく この曲が終わってのどかなワルツの 13へと繋がる展開で卒倒確実でしょう。 さあ卒倒しましょう 卒倒しましょう。 |
| LINDA THOMPSON 「GIVE ME A SAD SONG」 (2001) 日 VIVID SOUND VSCD-2863(I) (CD)
|
リンダ・トンプソンの未発表音源や他アーティストへの参加作などで構成された1枚。 これは良い! 何といっても楽曲自体が翳りのある良いメロディーばっかりですよ。 アコギ1本のバックによる1970年のデモ録音1〜5は最高に英国臭漂います。 爽やかなフォーク・ロック6 カントリー風味の16 17など色々な曲が入っています。 どの曲もトラッド色は薄く リンダの飾らない自然な歌声に上手く溶け込んでいます。 このアルバムは僕にしては珍しく日本盤で購入したのですが 輸入盤と日本盤が店頭に並んでいる時は当然安い輸入盤を購入します。 ところがこのCDはヴィヴィッドからの日本盤が2300円という定価で レコファンで1割引で購入したから2070円プラス税で日本盤の方が安いのですよ。 それもヴィヴィッドお得意の輸入盤にそのまま帯と解説の紙を入れたタイプです。 ヴィヴィッド社の企業努力に拍手を送りたい所ですが このタイプのアルバムは 輸入盤が先に店頭に並び その時点では日本盤が出るかどうかも分からないので 輸入盤の価格がちょっと高いと購入すべきかどうか迷うんですよね。 そのまま半年も放っておくと結局日本盤は出ないは輸入盤は消えて再入荷しないはで あの時購入してれば良かったなぁと思う事になってしまうのです。 「見つけたら迷わず買え」 がマニアの鉄則なのですが そーはいきません。 僕は自分が購入した商品が他店で10円でも安く売ってるのを見かけると 悔しくて悔しくて夜も眠れない病にかかっていますからね! リンダ・トンプソンはリチャード・トンプソンと結婚する前はリンダ・ピータースという名で トンプソンと離婚後 再婚して現在はリンダ・ケニスなのですが 永遠にリンダ・トンプソンの名前で記憶されてしまうのでしょうか。 解説によると彼女は現在活動を再開してソロ・アルバムの制作をしているようです。 ぜひリンダ・トンプソン名義で発表して芸能人根性を見せてもらいたい物です。 だってリンダ・ケニスの名前でレコードを出されても 誰だそれ?って思うでしょ? |