今回はブリティッシュ・フォークは登場しません。
我が愛しのナンシー・グリフィス様が あまりにも素晴らしいアルバムを発表したので
ナンシー様特集にしてみました。



  
NANCI GRIFFITH WITH THE LONDON SYMPHONY ORCHESTRA
「THE DUST BOWL SYMPHONY」
米 ELEKTRA 62418-2 (CD/1999)

  1 Trouble In The Fields
  2 The Wing And The Wheel
  3 These Day In An Open Book
  4 Love At The Five And Dime
  5 It's A Hard Life Wherever You Go 
  6 Late Night Grande Hotel
  7 Tell Me How
  8 Not My Way Home
  9 1937 Pre-war Kimball
 10 Waiting For Love
 11 Nobody's Angel
 12 Always Will
 13 Drops From The Faucet
 14 Dust Bowl Reprise

僕の1999年のハイライトとして 米カントリー界では アリソン・クラウス様のアルバムとともに
このナンシー様のアルバムがひときわ輝いていました。 アビーロード・スタジオ録音で
様々な弦楽器の音の美しさはやっぱりアビーロードならではの凄い所です。

楽曲は 過去に発表した曲のセルフカバーを中心にしておりオーケストラを従えて歌い上げています。
オーケストラはけっこう大げさに入っていますが通常フォークやロックに使われる楽器も一緒に入っていて
それらの楽器をさらに美しく響かせるためのオーケストラという感じで 決して耳障りではありません。

1曲目からオーケストラの導入部に続いて 悲しげなティン・ホイッスルのメロディーが流れます。
セリーヌ・ディオンのタイタニックの曲みたいな始まり方ですが絶対にナンシーの方がいいのです。
(しかしセリーヌ・ディオンのその曲はまともに聴いた事ないし もちろん映画も見ていない。)

ほぼすべての曲がオリジナルのバージョンより出来が良くて 特にメロディーの美しさが再確認できます。
ナンシーの声はちょっと松任谷由実系で 嫌いな人は嫌いかも知れませんが
時折見せる可愛らしい声の表情が僕をとりこにするのです。

1993年のOther Voisesですでに脱カントリーを果たしたナンシーですが
今回のアルバムではとうとう ジャケットに顔写真を使わないという暴挙(?)に出ています。
米カントリー界ではアルバムカバーに顔写真というのは常識らしく
ジャケットがCDの売上げを左右するらしいです。
昔 ラジオ日本でやっていたカントリー・ミュージック・フェイムという番組で
そのような事を話していたような記憶があります。

それにしても2曲目とか5曲目とか こんなにいい曲だったんだと思い
オリジナル・バージョンを聴き返してみたけど ピンと来なかったのでした。
やっぱりナンシーは必殺アルバム連発の1990年代以降がいいのです。
次はどんな事をやってくれるのか非常に楽しみです。


では以下Dust Bowl Symphony収録曲の対応オリジナル・アルバムと
ひとこと解説つきディスコグラフィーです。 すべてCDで発売されていますが
初期のアルバムを置いているレコード屋は東京にもほとんどないのが現状です。


 1 「THERE’S A LIGHT BEYOND THESE WOODS」 (1978)
      デビュー・アルバム。 カントリー調のフォーク。 地味だが味わい深い。 バンジョーが心地良い。

 2 「POET IN MY WINDOW」 (1982)
     フォーク。 アコギのアルペジオが印象的。 ほんの少しカントリー臭。
     めちゃくちゃかわいいポーズで写ったジャケット写真がアイドル歌手っぽくもある。

 3 「ONCE IN A VERY MOON」 (1984)
     カントリー。 バックのサウンドが多彩に。 ボーカルが力強くなった。再びアイドル系のジャケット。

 4 「THE LAST OF THE TRUE BELIEVERS」 (1986)
     カントリー。 前作を踏襲。 ポップで楽しめる。
     2 4収録

 5 「LONE STAR STATE OF MIND」 (1987)
     カントリー。 このアルバムからレーベルはメジャーのMCA。 アルバム・タイトル曲は名曲。
     1収録。

 6 「LITTLE LOVE AFFAIRS」 (1988)
     カントリー。 ニュー・グラス・リバイバル参加のブルーグラスナンバーは最高。

 7 「ONE FAIR SUMMER EVENING」 (1988)
     ライブ盤。 バックは楽器数少なく控えめ。 どフォークです。 曲間の喋り声がかわいい。
     1 2 4収録

 8 「STORMS」 (1989)
     ポップス。 僕は全アルバム中一番ダメだと思っているが
     アメリカ人の好きそうなドライブ・ミュージックではある。 ジャケットはかわいい。
     5収録。

 9 「LATE NIGHT GRANDE HOTEL」 (1991)
     ポップス。 MCAからこれをやれと迫られていたのだろうか。 かなり大げさなアレンジのポップスだが名曲多数。
     そして僕が一番好きなアルバムでもある。 このアルバムが一番好きっていう人は なかなかいないと思います。
     この後ナンシー怒涛の快進撃が始まる。
     6収録。

10 「OTHER VOICES/OTHER ROOMS」 (1993)
     古いフォーク・ソングのカバー集。 レーベルをエレクトラに移籍。
     ボブ・ディラン他豪華ゲスト多数。 グラミー賞受賞。 名作。

11 「FLYER」 (1994)
     フォーク ロック カントリー トラッド・・・このアルバムは すべてのアコースティック音楽の最終型か? 完璧。
     岸田今日子顔のジャケット写真もそそる。
     3 11 12収録。

12 「BLUE ROSES FROM THE MOONS」 (1997)
     ラフな感じのロックなアルバム。 かなり良い。
     8 10収録。

13 「OTHER VOICES,TOO (A TRIP BACK TO BOUNTIFUL)」 (1998)
     フォーク・ソング・カバー第2弾。 いきなりリチャード・トンプソンの曲で始まり 次はサンディ・デニーの曲。
     3曲目はイアン&シルビアの曲。 なんだぁこの選曲は 僕のために選曲したような感じじゃないか。
     ブリティッシュ・フォーク好きも試して下さい。 またまたゲスト多数で我が心の師イアン・タイソンも登場。
     めちゃくちゃいい。


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