ママス&パパスの中心人物だったジョン・フィリップス。
第18号で傑作ソロ・アルバムを紹介した際 長生きしろよーと
エールを送ったにもかかわらず ヤツは2001年3月心臓麻痺で死亡しました。
きっとお前になんか長生きしろよーなんて言われたくねーよ!
お前に言われる位なら死んだ方がましだぜ!っていう事だったのでしょう。
・・・凄い妄想ですが とにかくママス&パパスをレヴューしときます。



THE MAMA'S AND THE PAPA'S
「IF YOU CAN BELIEVE YOUR EYES AND EARS」 (1966)
米 MCA MCAD-31042 (CD)

 1 Monday, Monday
 2 Straight Shooter
 3 Got A Feelin'
 4 I Call Your Name
 5 Do You Wanna Dance
 6 Go Where You Want To Go
  7 California Dreamin'
  8 Spanish Harlem
  9 Somebody Groovy
 10 Hey Girl
 11 You Baby
 12 In Crowd

いきなり「パーラーパーララーラ」とコーラスが流れ秒殺確実のママス&パパスの1st。
この1stはとにかく楽曲が粒揃いだし 最も彼らの魅力が凝縮されているので
とりあえず彼らの音楽を聴いてみようという人はまずこれを聴くべきです。

メンバーはリーダー格のジョン・フィリップス その妻のミッシェル・フィリップス
人の良さそうなデニー・ドハーティー 体重100キロ超級のキャス・エリオットです。

各メンバーはそれぞれママス&パパス以前にはフォーク・グループで活動。
ところがママス&パパスのコーラスは主旋律に対して
上あるいは下のハーモニーをつける あみん(!)みたいなタイプの
フォーク系コーラスでは無く もっと複雑に絡むポップス系になっています。

バックの演奏はバーズなどを思わせるフォーク・ロック風味なのですが
基本的にメンバー4人は楽器演奏はしないで歌だけ歌っているので
フォーク・ロック・サウンドをバックに歌うコーラス・グループなのです。

彼らは1stと同様のフォーク・ロックの2nd「The Mamas & The Papas」(1966年)
インスト曲なども収録し もう少しポップス寄りになった3rd「Deliver」(1967年)
ゆったりとした曲を多数収録して心地よい4th「The Papas & The Mamas」(1968年)
と4枚アルバムを出して解散しました。

CDはお手軽で安価な編集盤が多数出ていますが
オリジナル・アルバムはどれも好内容なのでそちらを購入しましょう。
間違っても街角のワゴンの店で 訳の分かんない風景のジャケットとかがついた
「ポップス全集 コーラス〜ママス&パパス」みたいなCDは購入しないように!

第28号で2ndを紹介した際 あんまり良くねーって書きましたけど
彼らのアルバムの中では一番良くないのかなっていう意味で
彼らにしか出せない素晴らしい音が詰まっているのは間違いありません。



THE MAMAS & THE PAPAS 「HISTORIC PERFORMANCES RECORDED
AT THE MONTEREY INTERNATIONAL POP FESTIVAL」 (1971)
米 MCA/ONE WAY MCAD-22033 (CD)
 
 1 Straight Shooter
 2 Got A Feelin'
 3 California Dreamin'
 4 Spanish Harlem
 5 Somebody Groovy
 6 I Call Your Name
 7 Monday, Monday
 8 Dancing In The Street

1967年に行われたモンタレー・インターナショナル・ポップ・フェスティバル。
これはそのライブを収録したアルバムなんですが 録音のバランスが悪くて
スタジオ盤では麗しいハーモニーも何かヘタクソに聴こえてしまいます。
バックも中途半端に迫力のある(?)演奏で 何かもどかしいですね。

という事でアルバムとしてはママス&パパスはこーゆーイベントにも
出演していましたという記録であり あくまでもマニア向けなんですが
このイベントはジョン・フィリップスが中心になり行われた(らしい)ので
彼の功績のひとつとして取り上げておきました。

その他の出演者は サイモン&ガーファンクル バーズ アソシエイション
バッファロー・スプリングフィールド ジミ・ヘンドリックス ジャニス・ジョプリン
バターフィールド・ブルース・バンド フー オーティス・レディング・・・などなど。

更にジェファスン・エアプレインとグレイトフル・デッドも出演していたのですが
この2バンドは1960年代末に頻繁に行われたこのテの野外イベントには
必ず名前を見ますね。 ほぼ皆勤賞なのではないでしょうか。

ジミ・ヘンドリックスとジャニス・ジョプリンはこのイベントで名をあげ
後世に名を残す人になったので この2人を出演させたっていうだけでも
ジョン・フィリップスの功績を称えないといけないのであります。
まあジョン・フィリップスが2人に出演交渉をしたのかどうかは知りませんけど。



THE MAMAS & THE PAPAS 「PEOPLE LIKE US」 (1971)
米 MCA MCAD-31344 (CD)
 
  1 People Like Us
  2 Pacific Coast Highway
  3 Snowqueen Of Texas
  4 Shooting Star
  5 Step Out
  6 Lady Genevieve
  7 No Dough
  8 European Blueboy
  9 Pearl
 10 I Wanna Be A Star
 11 Grasshopper
 12 Blueberries For Breakfast

4thアルバムで解散するママス&パパスですが もう一発儲けてやろうかって事で
再結成して1971年に出した5thアルバムがこれです。

ジャケット右端の小汚いオヤジがジョン・フィリップスなんですが
気合い や 信ずる心 で病気を治すインチキ民間療法をやりそうでヤバいです。
もっと危険な例えをすると座禅をしながら宙に浮いちゃいそうでもあります。
ルックスはかなりヤバい事になっていますが ここでの彼は冴えに冴えまくり
10以外の全曲を提供しているし プロデューサーとしても手腕をふるっており
いい曲にいい演奏ばっかりで文句無しに傑作アルバムなのです。

フラワーなイメージが付きまとい幸せな雰囲気の1960年代の作品と比べると
1970年代らしい音で やはり祭りの後って感じがしますね。
どこか淋しげで虚しい空気が全体に漂っているのです。

曲調はまったく違うけどこの雰囲気はジョン・フィリップスのソロ・アルバムの世界に
あの美しいコーラスをぶつけてみたっていう感じかな。
とにかくひたすらどこまでも美しい音が詰まっているのです。
バックの洗練された演奏も都会的でとてもいい雰囲気ですね。

彼らの代表曲「Monday, Monday」や「California Dreamin'」のように
聴いた瞬間ガツーンとインパクトのある曲は入っていないのですが
どの曲も聴き込めば聴き込むほど味わいが増して行きます。

その中でも美しいメロディーとソフトなソウル・フィーリングがあり
優しげなコーラスの絡み方が絶妙な3曲目はホントに最高です。
この曲こそママス&パパスの曲で僕が最も好きな曲ですね。

ママス&パパスの歴史はこの5thで一応の幕を閉じます。
1974年にはキャス・エリオットが太りすぎが原因で(!)死亡してしまったので
ここでやめとけば良かったのにジョン・フィリップスの商人魂は
その後も静かに爆発(?)を続けるのでありました。



THE MAMAS & THE PAPAS 「LIVE」 (1998)
米 FULL CIRCLE MUSIC OWN 807-2 (CD)

 1 Go Where You Want To Go
 2 Dedicated To The One I Love
 3 Hey Girl
 4 I Call Your Name
 5 12:30-Young Girls Are
   Coming To The Canyon
 6 I Saw Her Again
 7 Love Song
 8 The Year 2000
  9 Somebody Groovy
 10 Safe In My Garden
 11 Straight Shooter
 12 Words Of Love
 13 San Francisco (Be Sure To Wear
    Some Flowers In Your Hair)
 14 Dream A Little Dream
 15 Creeque Alley
 16 Monday, Monday
 17 California Dreamin'

常にママス&パパスの〜という前置詞で名前があがるジョン・フィリップスですが
楽曲提供でも頑張っていて スコット・マッケンジーの「花のサンフランシスコ」や
ジョン・フィリップス スコット・マッケンジー テリー・メルチャー マイク・ラブという
4人で作ったビーチ・ボーイズの「ココモ」など名曲の提供もしております。

その「花のサンフランシスコ」を歌っていたオヤジ・・・スコット・マッケンジーは
ママス&パパス以前のジョン・フィリップスとフォーク・グループをやっていたし
モンタレー・フェスにも出演していて ママス&パパスと近い所にいた人なんですが
この1990年代のライブではとうとうママス&パパスのメンバー入りですよ!

オリジナル・メンバーがジョン・フィリップスだけになってしまったのに
ママス&パパスを名乗っているジョン・フィリップスの根性もたいした物ですが
ジョン・フィリップスの誘いにヘコヘコとメンバー入りしちゃう
スコット・マッケンジーの芸風にもさすが!と唸らずにはいられません。
いやスコット・マッケンジーの方から俺もメンバーに入れてくれよーと頼んだのかな。

そんな芸風のスコット・マッケンジーですから「あの人は今」みたいなテレビ番組に
平気で出ちゃいそうな雰囲気がありますね。
・・・実際数年前日テレの番組に出演しているのを目撃しましたけどね。

ジャケ左のオヤジがスコット・マッケンジー。
ジョン・フィリップスが亡くなってしまったので今度はこのオヤジに
長生きしろよーとエールを送りたいと思いますし
このオヤジが今後もママス&パパスを存続させてくれるんでしょう。

このライブ盤については なんか懐メロ状態ですねぇ。
NHKの「青春のポップス」を見ているかの如き雰囲気があります。
真ん中のババア2人もよく分かりませんし
かなりディープなマニアだけが購入を許されたCDです。
そんなにママス&パパスのマニアでも無い僕が所有しているのも不思議なんですが
なぜ購入してしまったのか自分でもいまだによく分かりません。

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