夏とか海とかピチピチ・ギャル(死語か?)を連想させてくれるビーチ・ボーイズ。
でもその爽やかなサウンドは初期だけなんですよね。
夏も海も嫌いな僕にとっては「ペット・サウンズ」以降の
夏を感じさせないビーチ・ボーイズが好みなのです。
と言いながら一番好きな曲は初期の「Don't Worry Baby」なんだけどね。



THE BEACH BOYS 「HOLLAND」 (1973)
米BROTHER/REPRISE MS 2118 (LP)
 A1 Sail On Sailor
  2 Steamboat
  3 California Saga : Big Sur
  4 California Saga : The Beaks Of Eagles
  5 California Saga : California
 B1 The Trader
  2 Levin' This Town
  3 Only With You
  4 Funky Pretty

 MOUNT VERNON AND FAIRWAY (7")
 C1 Mt. Vernon And Fairway - Theme
  2 I'm The Pied Piper - Instrumental
  3 Better Get Back In Bed
  4 Magic Transistor Radio

 D1 I'm The Pied Piper
  2 Radio King Dom

こちらのLPは3年程前下北沢のフラッシュ・ディスク・ランチで購入。
2880円という価格がついていて購入に踏み切るのにかなり迷ったのですが
他店でたまに見つけても5000円位はついていたので無理して買いました。

2880円ごときで お前何を迷っているんだーって感じですが
プレミアがつこうが何だろうが 誰がどのように扱っていたか分からない中古盤。
元の持ち主がジャケットに鼻クソをなすりつけていたかも知れないし
盤面に排便とかしちゃっている変態オヤジの所有物だったかも知れません。
・・・とあれこれと無茶苦茶な理由をつけて高い中古盤を
買わないようにしているのですが 実はただケチなだけです。

CDでも長らく廃盤だった1970年代のビーチ・ボーイズ作品は2000年に
再CD化されたので現在は中古LPの価格も落ち着いてきているとは思いますが
フラッシュ・ディスク・ランチという店は全体的にかなり安い値がついているので
とりあえず一度覗いてみてみましょう。 アナログ中古盤専門ですけどね。

あまりいい評価を聞かないこの「オランダ」というアルバム。
味わい深く穏やかな曲が並んでいて僕の好みのサウンドなのですが
「ペット・サウンズ」のような変質者ポップスではないので評価が低いのでしょうか。
ビーチ・ボーイズの最大の特徴である複雑なコーラスもあまり入ってないしね。
その代わりにペダル・スティールやバンジョーなどが効果的に入っていて
カントリー・ロックが好きな人もいけるアルバムになっています。

ビリー・ジョエルの「ピアノマン」みたいなハーモニカの入り方が心地良いワルツA3。
ピチピチ・ギャルという言葉の使用禁止令が出たかのような虚しいバラードB3。
などなど地味なんだけど良い曲満載になっております。

このLPをレジへ持って行くと店長の椿氏が説明してくれました。
おまけシングルにちゃんとスリーブが付いている盤は
この価格じゃなかなか見つけられないぜ!って事だったんだけど・・・
おまけシングルは効果音&語りが中心で あくまでもおまけです。
なんじゃそりゃ?って感じの円盤投げものの内容でマニアじゃないと体罰です。
・・・このLP 僕が入手してしまって良かったのでしょうか?
探している人は他にもっといるはずです。



AMERICAN SPRING 「SPRING...PLUS」 (1972)
英SEE FOR MILES SEECD 269 (CD/1989)
 1 Tennessee Waltz
 2 Thinkin' 'Bout You Baby
 3 Mama Said
 4 Superstar
 5 Awake
 6 Sweet Mountain
 7 Everybody
 8 This Whole World
  9 Forever
 10 Good Time
 11 Now That Everything's Been Said
 12 Down Home
 13 Shin' Away
 14 Fallin' In Love
 15 It's Like Heaven
 16 Had To Phone Ya

ビーチ・ボーイズ関連のピチピチ・ギャルとして有名なアメリカン・スプリング。
前身は女の子3人組のハニーズで そのハニーズのメンバーだった
ダイアン&マリリン姉妹で結成したのがアメリカン・スプリングです。
このCDはスプリング名義で1972年に出したアルバムに
ボーナス・トラック13〜16を加えた内容になっております。
詳しくは知りませんが欧州発売時にアメリカン・スプリング名義だったようです。

ジャケットにはProduced by Brian Wilsonの文字が躍り
ご丁寧にブライアン&スプリングの写真も強引にジャケットに盛り込まれています。
この時期ビーチ・ボーイズ本体ではやる気を感じさせてくれないブライアンですが
女性の事となるとやる気満々になるようで かなり素晴らしい内容ですねぇ。
この姉妹の一方マリリンはこの時期ブライアン・ウイルソンの妻だった人で
ブライアンはコーラスにも大活躍で 竹内まりやの曲における山下達郎状態です。
というか山下達郎がブライアンがやってるなら俺もやらなきゃって感じかな。

どちらが誰だか分からないのですが手前の研ナオコを意識した顔立ちの女が
マリリンである事を願います。 この人の顔・・・怖いです。
こんな写真を使用していいのでしょうか。 スレスレ(?)ですねぇ。

いきなり「テネシー・ワルツ」をドラマティックに聴かせてくれてこれは良い!
2曲目からもひたすら良いメロディーが連発され選曲の良さが光ります。
当然のようにコーラスも多用され バック・トラックを聴いていると
同時期のビーチ・ボーイズを連想させるのですが
全体的にどことなく翳りがあり その美しさはビーチ・ボーイズ以上です。

8と9はビーチ・ボーイズ・バージョンが「サンフラワー」に入っているので
聴き比べてみたのですがこちらの方が良く聴こえてしまいますねぇ。
特にささやきコーラス入りの9の必殺ぶりはたまりません。
そして更にさりげなく名曲の13 15で もうメロメロ確実でしょう。

そんなスンバラシー作品ですが最近レコード屋では見かけませんね。
廃盤になってしまったのでしょうか。



CINDY LEE BERRYHILL
「GARAGE ORCHESTRA」 (1994)
トイズファクトリー TFCK-88742 (CD/1995)
 1 Father Of The Seventh Son
 2 I Wonder Why
 3 Radio Astronomy
 4 Gary Handeman
 5 Song For Brian
 6 UFO Suite
  7 I Want Stuff
  8 Every Someone Tonight
  9 Scariest Thing In The World
 10 Etude For Ph. Machine
 11 Squatter's Riot 1988
 12 When Worlds Collide

シンディ・リー・ベリーヒルの傑作3rdアルバム。
便宜上この人の事も1990年代のピチピチ・ギャルと呼んでおきますが
全くそそらないルックスの女性です。 困ったもんです。

直接ビーチ・ボーイズには関係のない人なんですが
西海岸出身のようだし 内ジャケにはサーフ・ボードの写真が載っていて
ブライアン・ウイルソンの事を歌った「ソング・フォー・ブライアン」という曲も収録。
そして何といってもこのアルバムのサウンドがやってくれます。
ストリングスや打楽器他の楽器が奇妙な響きで絡み
ビーチ・ボーイズの「ペット・サウンズ」を思わせる変態ポップスになっています。

しかしコーラス部分が少ないのは「ペット・サウンズ」とは違う所だし
ギターの音はガシャガシャとしたガレージ系になっています。
このアルバムで最も「ペット・サウンズ」を想起させるのは
ティンパニーがドドーン カスタネットがタカタンというパターンの多用でしょう。

彼女のヴォーカルは舌足らずパンク系とでも言っておきましょう。
攻撃的な歌唱では無いですが存在感のある声で よく裏返るのも印象的です。

サウンドの面白さと完成度の高さで1〜6はホントに最高ですね。
7以降ではガレージ系ギターの音を中心に展開する地味な曲になっています。
更に地味な11と12は日本盤のボーナス・トラック。

彼女の1stと2ndはもっとシンプルなフォーク〜ロック路線で
埋もれるべくして埋もれても仕方ない作品ですが
この3rdは埋もれちゃいけない名作です。 必死で探して買え!

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