音楽を文章や言葉で伝える際に便利なのがジャンル分け。
今やかなり細分化され訳が分かんなくなっているといった現状もありますが
なんじゃあ そりゃ? ちょっと聴いてみるか
と興味をそそるジャンルの開発は大歓迎。
実際聴いてみてがっかりするのがほとんどなんだけどね!



AllAboutEve.jpg
ALL ABOUT EVE 「ALL ABOUT EVE」 (1988)
英 MERCURY MERH 119 (LP)
 A1 Flowers In Our Hair
  2 Gypsy Dance
  3 In The Clouds
  4 Martha's Harbour
  5 Every Angel
  6 Shelter From The Rain
 B1 She Moves Through The Fair
  2 Wild Hearted Woman
  3 Never Promise (Anyone Forever)
  4 What Kind Of Fool
  5 In The Meadow

1980年代に登場した英国の音楽っていうのは明らかにジャンル分けできる音以外は
みんなニュー・ウェーブというジャンルにぶち込まれていました。
当然このオール・アバウト・イブの1stアルバムも購入した当時は
レコード屋ではニュー・ウェーブのコーナーに入っていました。
一部では叙情派ネオ・サイケ・バンド(これもよく分からない)とも言われていました。
しかしどうした事か最近ではこのバンド トラッド〜ブリティッシュ・フォーク
あるいはプログレッシブ・ロックのコーナーに入っているんですよ。

きっとフェアポート・コンベンションのライブにヴォーカルのジュリアンヌ・リーガンが
ゲスト参加したのがきっかけでブリティッシュ・フォークの仲間入りしたんでしょうね。
ゲスト多数のフェアポートのライブですが 他のゲストはジジイとババアだらけなので
うら若きジュリアンヌちゃんが一躍ブリティッシュ・フォーク界のアイドルになったのです。

このアルバムのサウンドは1970年代を引きずった王道ブリティッシュ・ロックで
端正な歌声のジュリアンヌちゃんとギター ベース ドラムスの4人組です。
マイナー調のメロディーでじっくりと聴かせる美しい曲を多数収録しています。

暗いフォークも得意でA4は正に1970年代のブリティッシュ・フォークの雰囲気です。
このアルバムからはA1 A3 A4 A5 B2 B4 と6曲も(!)シングル・カットされ
そのシングルのB面では暗いフォーク・ソングをよくやっていました。

オール・アバウト・イブはアルバムを4枚出して解散。
その後ジュリアンヌちゃんはMICEというバンドで1枚出しております。
そして2000年には再結成のライブ盤が出て復活・・・したのでしょうか?

オール・アバウト・イブで思い出すのは日テレの24時間テレビで
夜中の3時頃「ではロンドンからの生中継です」とか徳光(!)が言って
彼らが登場しMartha's Harbourを街角で演奏している映像が流れた事。
それ以来24時間テレビの黄色いTシャツを見る度
オール・アバウト・イブを思い出すという病気にかかってしまいました。

・・・あれ?フジテレビの25時間テレビで逸見(!)が紹介したのかな。 
いずれにせよ日本では無名である彼らが
そんなかたちで突然テレビ画面に登場し生演奏したんですよ。
その時は興奮して少々ちびってしまいました。



HowGreenIsTheValley.jpg
THE MEN THEY COULDN'T HANG
「HOW GREEN IS THE VALLEY」 (1986)
英 MCA MCF 3337 (LP)
 A1 Gold Strike
  2 Gold Rush
  3 Ghosts Of Cable Street
  4 Dancing On The Pier
  5 The Bells
  6 Wishing Well
 B1 Going Back To Coventry
  2 Shirt Of Blue
  3 Rabid Underdog
  4 Tiny Soldiers
  5 The Parade
  6 Parted From You

現在まで(たぶん)6枚アルバムを出しているメン・ゼイ・クドゥント・ハング。
当初僕は彼らの事をサイコビリー・バンドだと思っておりました。

サイコビリーっていうのもかなり意味不明でかっこいいジャンル分けですねぇ。
本物のサイコビリーって呼ばれるバンドは聴いた事が無いのですが
ネオ・ロカビリー パンカビリーというのも同義語です・・・と断言してしまいましょう。
なんとかビリーとくるジャンルはウエスタンの速いヤツです・・・きっと。
だいたいウエスタンっていうのもよく分かって無いんだけどね。

今回とりあげたのはアルバム・タイトルも麗しい2ndアルバム。
実はサイコビリーな曲はB1だけしか入ってないじゃん。
メン・ゼイ・クドゥント・ハングはルックスからしてウエスタン・シャツとか着ていないし
サイコビリー風のレパートリーも演奏する トラッド寄りのロック・バンドなのです。

元気良い演奏に叩きつけるようなヴォーカルと適当なコーラス。
マンドリン アコーディオン フィドル ホイッスルなども登場し
アイリッシュ・パブ・トラッド・パンク(無茶苦茶なジャンルだ)の
ポーグスに近い音を聴かせてくれます。
つまり「ポーグスに似てるイコール素晴らしい」という事なのです。

激しい曲に混じって登場するミディアム・テンポのA5 B6は
ジャケットのイメージどうりのもやのかかった丘陵の風景を想起させてくれる名曲。
B2なんかは出だしがフェアポート・コンベンションみたいではっとしてしまいました。
途中から元気よくなるんだけど 物悲しいメロディーは英国フォークのそれです。

ヤツらは近作ではもうちょっと落ち付いたオヤジ・ロックを聴かせてくれますが
オヤジ・ロック界(?)ではまだまだ若手のうちに入るので
このまま頑張ってリンディスファーンのような存在になって欲しいですね。



LiveHypnoBeatLive.jpg
THE WOODENTOPS
「LIVE HYPNO BEAT LIVE」 (1987)
英 ROUGH TRADE ROUGH 117 (LP)
 A1 Well Well Well
  2 Love Train
  3 Travelling Man
  4 Get It On
  5 Plenty
 B1 Why
  2 Everyday Living
  3 Good Thing
  4 Everything Breaks
  5 Move Me

ヒプノ・ビートの代表格ウッデントップス。 2ndのライブ盤。
ヴォーカル&アコギのロロ・マッギニティーを中心にした5人組です。

代表格といってもヒプノ・ビートと呼ばれていたのは後にも先にも彼らだけ。
というかアルバム・タイトルにもあるように自分達で勝手に俺達はヒプノ・ビートだ!
と言っていただけでこのジャンルは全く浸透せず バンド自体も3rdまで発表して
ラフ・トレード・レーベルの活動停止とともにフェード・アウトしていきました。

どーせ訳のわかんないジャンル分けされちゃうのであれば
自分達で新しいジャンルを宣言しちゃえという事でしょうか。
それも又面白い試みなのですが 新しいジャンルというのは追随者が出てくるか
本家が大ブレイクしない事にはなかなか浸透しないんですよね。

ウッデントップスのヒプノ・ビートは色んなリズム・パターンが登場すんだけど
どれも無理に速くしているっていう感じでとっても楽しいです。
これはライブ盤ならではで スタジオ盤よりも速く激しくアレンジされていて
大音量で聴くと最高に興奮する事間違い無し。

ドラムス&パーカッションはバタバタしているようで歯切れが良く
A2のロロくんの凄い早口のヴォーカルも小気味良いです。 彼は歌も上手いですね。
バックで終始アコースティック・ギターが元気よくガシャガシャ鳴っているので
ちょっとひねくれたネオ・アコーステイックとしても聴けます。

ネオ〜 というのは便利な使い方らしく 今回登場しただけでも
ネオ・サイケ ネオ・ロカビリー ネオ・アコースティックと出て参りました。
それにネオ・モッズというのもよく聞くし 日本発のネオ・GSってのもありました。
このまま行くと ネオ・パワー・ポップ とか ネオ・イージー・リスニング
挙句の果てにネオ・ロック ネオ・ジャズ ネオ・演歌とか言い出す
インチキ音楽評論家の出現も時間の問題です。


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