スコットランドのティーンエイジ・ファンクラブと 米国はミネアポリスのジェイホークス。
この2バンドはまるでお互いを意識して同じ時期にアルバムを発表しているのです。
そのアルバムがまた互いに素晴らしい内容なんですよ。
そして今年 2000年も久々のアルバムを両バンドは揃って発表しました。
もうこれは偶然とは思えません。
・・・ところでミネアポリスってアメリカのどこら辺にあるの?


 
TEENAGE FANCLUB
「A CATHOLIC EDUCATION」 (1990)
 英 PAPERHOUSE PAPLP004 (LP)
 THE JAYHAWKS 「BLUE EARTH」 (1989)
  米 TWIN/TONE TTR 89151-2 (CD)
 A1 Heavy Metal
  2 Everything Flows
  3 Catholic Education
  4 Too Involved
  5 Don't Need A Drum
  6 Critical Mass
 B1 Heavy Metal II
  2 Catholic Education 2
  3 Eternal Light
  4 Every Picture I Paint
  5 Everybody's Fool
 Norman Blake
 Gerard Love
 Raymond McGinley
 Brendan O'Hare
 Francis Macdonald

  1 Two Angels
  2 She's Not Alone Anymore
  3 Will I Be Married
  4 Dead End Angel
  5 Commonplace Streets
  6 Ain't No End
  7 Five Cups Of Coffee
  8 The Baltimore Sun
  9 Red Firecracker
 10 Sioux City
 11 I'm Still Dreaming,
    Now I'm Yours
 12 Martin's Song
 Mark Olson
 vo, 12 & 6 string-g, harmonica
 Gary Louris
 vo, lead-g
 Marc Perlman
 electric & acoustic-b
 Thad Spencer
 drums

これが栄光の両バンドの1stアルバム。
しかしジェイホークスにはこのアルバム以前に自主制作の本当の1stがあるようです。
聴きてーよぉー。 早いとこ再発しやがれ。

ティーンエイジの「カソリック・エデュケーション」は歪んだギターが全編を覆い
これは当時流行りのグランジとか言われていたサウンドですかね。
B3なんかはその後の彼らを予感させる大らかで美しいメロディーの曲なんだけど
うるさいギターの音がメロディーの良さをかき消してしまって残念。
歌も音程がとれてなくてヘッタクソだし ドラムスがバタバタ言い過ぎかなぁ。

ジェイホークスの「ブルー・アース」は1曲目の悲しげなハーモニカの音一発で
これはやってくれそうだぜと期待させるカントリー・ロック。
そしてヴォーカルのマーク・オルソンの声はグラム・パーソンズ(若くして死亡)に似てヨレぎみ。
エレキ・ギターの音はバーズ後期のクラレンス・ホワイト(若くして死亡)みたいな音です。

まだここでは両バンドに共通項は見出せませんが 強いて挙げれば
グランジの代表格バンド ニルバーナのカート・コバーンが若くして死亡している位でしょうか。


 
TEENAGE FANCLUB 「THE KING」 (1991)
 英 CREATION CRELP 096 (LP)
 TEENAGE FANCLUB 「BANDWAGONESQUE」 (1991)
  英 CREATION CRELP 106(LP)
 A1 Heavy Metal 6
  2 Mudhoney
  3 Intersteller Overdrive
  4 Robot Love
  5 Like A Virgin
 B1 The King
  2 Opal Inquest
  3 The Ballad Of Bow Evil (Slow And Fast)
  4 Heavy Metal

  A1 The Concept
   2 Satan
   3 December
   4 What You Do To Me
   5 I Don't Know
   6 Star Sign
  B1 Metal Baby
   2 Pet Rock
   3 Sidewinder
   4 Alchoholiday
   5 Guiding Star
   6 Is This Music ?
 Norman Blake
 Gerard Love
 Raymond McGinley
 Brendan O'Hare

この時期はジェイホークスのアルバムが無いのでティーンエイジの2ndと3rdの紹介です。

ティーンエイジ・ファンクラブを初めて聴いたのは「スター・サイン」という曲で
こりゃーいいぞ 早速購入しに行くぜ。 という事でゲットしたのが2nd「ザ・キング」でしたが
歪んだギターがうるさいインスト中心のグランジ・ダメダメ盤でした。
僕も今思うとよく売り飛ばさなかったなーと思うのですが
このアルバムはすぐ市場から消え 今となってはレコード屋の壁を飾るレア盤になりました。
メンバー表記はナシ。 ピンク・フロイドのカバーA3 マドンナのカバーA5も収録。
マニアは高い金出して買いなさい盤です。

その直後すぐ発表されたのが3rdバンドワゴネスクで「スター・サイン」も収録されています。
コーラス部分が増えたしストリングス入りの曲もあり 歌メロを聴かせる方向に行っています。
それでもギターの音は相変わらず歪んでいてうるせーんだこれが。
メンバーはフランシス・マクドナルドが抜けて4人になっております。


 
TEENAGE FANCLUB 「THIRTEEN」 (1993)
 英 CREATION CRELP 144 (LP)
 THE JAYHAWKS
 「HOLLYWOOD TOWN HALL」 (1993)
  欧 DEF AMERICAN 514 700-2 (CD)
 A1 Hang On
  2 The Cabbage
  3 Radio
  4 Norman 3
  5 Song To The Cynic
  6 120 Mins
 B1 Escher
  2 Commercial Alternative
  3 Fear Of Flying
  4 Tears Are Cool
  5 Ret Liv Dead
  6 Get Funky
  7 Gene Clark

  1 Waiting For The Sun
  2 Crowded In The Wings
  3 Clouds
  4 Two Angels
  5 Take Me With You
    (When You Go)
  6 Sister Cry
  7 Settled Down Like Rain
  8 Wichta
  9 Nevada, California
 10 Martin's Song
 11 Leave No Gold
 Mark Olson
 vo, acoustic-g, harmonica
 Gary Louris
 vo, electric-g, fuzz-g
 Marc Perlman
 bass
 Ken Callahan
 drums

ティーンエイジ・ファンクラブの4th「サーティーン」 ジェイホークスの2nd「ハリウッド・タウン・ホール」。
ここから両者の音楽性が近付いて行きます。

ティーンエイジは1曲目にスケールのでかい名曲「ハング・オン」を持ってきました。
スコットランドのベテラン・トラッド・グループ バトルフィールド・バンドもフルート&フィドルで演奏に参加。

ゲスト演奏者は名前がずらずらっと書いてあるのですが
肝心のメンバーの名は作曲クレジットにしか出てきません。
その作曲クレジットを見るとノーマン ジェラルド レイモンドが分け合って曲を提供しています。
これがどの曲をとっても 素直で綺麗なメロディーを持っているという凄い状況。
A6あたりではアコースティックな感覚もちらっと顔を出しますがギターのうるささは前作同様です。

ジェイホークスはドラムスが変わりました。 作曲クレジットもオルソン&ルーリス名義になり
カントリー・テイストの曲が減り 全体的にエレキ・ギターの音もうるさくなっていますね。
しかし大らかなコーラスと素直なメロディー満載でティーンエイジに接近です。
なお米盤は10曲入りで 僕が所有の欧州盤には11が追加収録されています。


 
TEENAGE FANCLUB 「GRAND PRIX」 (1995)
 英 CREATION CRELP 173 (LP)
 THE JAYHAWKS
 「TOMORROW THE GREEN GRASS」 (1995)
  米 AMERICAN RECORDINGS 9 43006-1 (LP)
 A1 About You
  2 Sparky's Dream
  3 Mellow Doubt
  4 Don't Look Back
  5 Verisimilitude
  6 Neil Jung
  7 Tears
 B1 Discolite
  2 Say No
  3 Going Places
  4 I'll Make It Clear
  5 I Gotta Know
  6 Hardcore/Ballad
 Norman Blake
 Gerard Love
 Raymond McGinley
 Paul Quinn

  A1 Blue
   2 I'd Run Away
   3 Miss Williams' Guitar
   4 Two Hearts
   5 Real Light
   6 Over My Shoulder
   7 Bad Time
  B1 See Him On The Street
   2 Nothing Left To Borrow
   3 Ann Jane
   4 Pray For Me
   5 Red's Song
   6 Ten Little Kids
 Mark Olson
 vo, acoustic-g, electric-g
 Gary Louris
 vo, electric-g, acoustic-g
 Marc Perlman
 bass
 Karen Grotberrg
 piano, wurlitzer, vo

この2枚こそがそれぞれの最高傑作で これでもか!の信じられないような名曲が満載されています。
ティーンエイジはブレンダン・オハラが抜けてポール・クインが加入しました。
ジェイホークスはドラムスのケン・キャラハンが抜け女性ピアノ弾き カレン・グロットバーグが加入。

ティーンエイジの5th「グランプリ」はジェイホークスの前作に対抗して
アコースティック・ギターをメインに使ったA3 B2 B6(の後半)という曲をやっています。
ピアノ ストリングス ブラスが活躍するA7なども収録しサウンドに幅が出て来ました。

従来通りのエレキ・ギターがメインの曲でも奇跡的に美しいメロディーとコーラスを連発。
聴きようによってはA4 A6 B3 B4などは歌謡ロック一歩手前か?
しかし切ないメロディーに涙ボロボロのA7 B3は死ぬ程名曲だよぉー。

ジェイホークスはティーンエイジの前作に対抗して1曲目がスケールのでかい曲で始まります。
ストリングスも入り突き抜けるような青空を思わせるこのA1もまた死ぬ程名曲。
ジョージ・ハリスンみたいなギターを聴かせるA7はグランドファンクのカバーという事ですが
オリジナルは聴いた事がありません。 こちらも聴きながら死んじゃうかも知れない名曲です。

前作程エレキ・ギターはやかましくなく カントリー風味も戻って来て
アルバム・タイトルどうりの理想的な草の香り系フォーク・ロックじゃーないですか。
そしてこれはティーンエイジよ お前らも次はこんなん作ってみたら?という手招きだったのです。


 
TEENAGE FANCLUB
「SONGS FROM NORTHERN BRITAIN」 (1997)
 英 CREATION CRELP 196 (LP)
 THE JAYHAWKS
 「SOUND OF LIES」 (1997)
  米 AMERICAN RECORDINGS 9 43114-1 (LP)
 A1 Start Again
  2 Ain't That Enough
  3 Can't Feel My Soul
  4 I Don't Want Control Of You
  5 Planets
  6 It's A Bad World
 B1 Take The Long Way Round
  2 Winter
  3 I Don't Care
  4 Mount Everest
  5 Your Love Is The Place
    Where I Come From
  6 Speed Of Light
 Norman Blake
 Gerard Love
 Raymond McGinley
 Paul Quinn

  A1 The Man Who Loved Life
   2 Think About It
   3 Trouble
   4 It's Up To You
   5 Stick In The Mud
   6 Big Star
  B1 Poor Little Fish
   2 Sixteen Down
   3 Haywire
   4 Dying On The Vine
   5 Bottomless Cup
   6 Sound Of Lies
 Karen Grotberrg
 Gary Louris
 Kraig Johnson
 Tim O'Reagan
 Marc Perlman
 Jessy Greene

ジャケット アルバム・タイトルからしてジェイホークスの前作のメッセージが届いたか
ティーンエイジの6thは青空サウンド(?)が爆発。
基本的なサウンドは変わっていないのだけど コカ・コーラ級の爽やかさがありますね。
前作にも増してあまりにも麗しいコーラスのせいで とても爽やかに聴こえるのかなぁ。

必殺ナンバーとして挙げておきたいのは ストリングス入りの青空ナンバーA5。
アルバート・ハモンドの「カリフォルニアの青い空」みたいなメロディーのギターがたまらないB6。
そして相変わらず どこまで作り続けるんだ!の良いメロディーのオン・パレード。 凄い!

一方ジェイホークスは中心メンバーのマーク・オルソンが抜けてしまってさあ大変。
おかげでカントリーの味付けは消えてしまいました。
目の上のたんこぶが消えゲイリー・ルーリスが自由に出来たのか バラエティに富んだ内容です。
最初聴いた時は暗い曲が多い感じがして 爽やかなのはティーンエイジに任せた!と聴こえたのですが
何度も聴くとじわじわと感動を呼び起こす良い曲ばっかりじゃーないですか。

ティーンエイジに「ニール・ヤング」「ジーン・クラーク」という曲があるので
俺達ゃこれだぜのA6「ビッグ・スター」はティーエイジしまくる元気のいいロックな曲。
おっと・・・ビッグ・スターとはアレックス・チルトンというオヤジが率いたバンドの名です。


 
TEENAGE FANCLUB 「HOWDY !」 (2000)
 英 COLUMBIA 5000622 1 (LP)
 THE JAYHAWKS 「SMILE」 (2000)
  米 COLUMBIA/AMERICAN RECORDINGS CK 69522 (CD)
 A1 I Need Direction
  2 I Can't Find My Way Home
  3 Accidental Life
  4 Near You
  5 Happiness
  6 Dumb Dumb Dumb
 B1 The Town And The City
  2 The Sun Shines From You
  3 Straight & Narrow
  4 Cul De Sac
  5 My Uptight Life
  6 If I Never See You Again
 Norman Blake
 Gerard Love
 Raymond McGinley
 Paul Quinn
 Finlay Macdonald

  1 Smile
  2 I'm Gonna Make You Love Me
  3 What Led Me To This Town
  4 Somewhere In Ohio
  5 A Break In The Clouds
  6 Queen Of The World
  7 Life Floats By
  8 Broken Harpoon
  9 Pretty Thing
 10 Mr. Wilson
 11 (In My) Wildest Dreams
 12 Better Days
 13 Baby, Baby, Baby
 Marc Perlman
 Gary Louris
 Kraig Johnson
 Jen Gunderman
 Tim O'Reagan

そして2000年 両者とも同じコロンビア・レーベルへ移籍してのアルバム発表となりました。
ジェイホークスの方はレーベル丸ごと買収されたのかな?

初めてジャケットにメンバーが登場したティーンエイジ・ファンクラブ。
初めてジャケットにメンバーが登場しないジェイホークス。
お前らがそう来るなら俺達ゃこうするぜという血みどろのライバル関係です。
アルバム・タイトルも両者5文字の単語で・・・こじつけ始めたらきりがありませんね。

ティーンエイジはうるさいギターが後退してキーボード類の活躍が目立ちます。
聴きやすさとしては今までで一番耳に心地良いサウンドなのではないでしょうか。
若さに任せてギターをジャンジャン弾いてりゃいいやっちゅーのはもう卒業します宣言でしょうか。
B4なんか驚きのシティ・ポップス(もどき)になっています。 君たちには似合わねーよー。
しかし綺麗なメロディー・ラインは相変わらずのティーンエイジ節でございます。

ジェイホークスは又しても1曲目にスケールのでかい草の香りソングを持って来ました。
この名曲一発で2000年度の両者の対決はジェイホークスの勝ちです。
更にロックな曲 アコースティックな曲 ダンサンブルな曲と色々ありますが
どの曲をとってもこのアルバムは音圧が凄いんですよ。 特にエレキ・ギターがうるさく
俺達ゃ若くないけど若さに任せてギターを弾きまくるぜ宣言です。

お互いにパッパッパ・コーラス入りの曲も収録。 ティーンエイジはA1。 ジェイホークスは4。
これも申し合わせたに違いありません。 この対決も小奇麗にまとめたティーンエイジに対して
爆発寸前のギターとコーラスで迫るジェイホークスの勝ちですね。

なんか音楽性が逆転したかのような両バンド。 次の対決はいつになるんでしょう。
もう3年も待たせるなよー。

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