サイケデリック音楽って何だ? その定義は非常に難しいのです。
1960年代後半の英国ロックを聴くとみんなサイケに聴こえちゃうからねぇ。
いつもはのどかなフォークやカントリーを聴いている僕ですが
たまーにドロドロ・サイケを聴きたくなるのです。

  
GEORGE HARRISON 「WONDERWALL MUSIC」 (1968)
英 APPLE SAPCOR 1 (LP/1992)
 A1 Microbes
  2 Red Lady Too
  3 Tabla And Pakavaj
  4 In The Park
  5 Drilling A Home
  6 Guru Vandana
  7 Greasy Legs
  8 Ski-ing
  9 Gat Kirwani
 10 Dream Scene
 B1 Party Seacombe
  2 Love Scene
  3 Crying
  4 Cowboy Music
  5 Fantasy Sequins
  6 On The Bed
  7 Glass Box
  8 Wonderwall To Be Here
  9 Singing Om

ビートルズが設立したレーベル アップルのレコード番号1番は
ジョージ・ハリスンのソロ・アルバムでワンダーウォールという映画のサントラ盤でした。
インスト中心でジョージは歌ってません。
ジョージのヨレヨレなヴォーカルが入っていないのは残念ですが
この胡散臭い内容はサイケの時代ならではです。

半分の曲はシタール演奏を中心にしたインド音楽そのもので
残りの半分がサイケ風味を持った西洋音楽になっています。
鋭いエレクトリック・ギターが登場してロックっぽいA8とB1。
何語で歌っているか分からない男と女の歌から始まり
テープ逆回転&エフェクト&効果音バンバンで一番サイケな展開のA10。
その他 現代音楽風やラウンジ・ミュージック風など色々収録されていますが
ジョン・ウェインが今にも出てきそうな お馬パッカパッカ・ミュージックのB4で決まりでしょう。
ああ のどかだねぇ。 さあお昼寝お昼寝。

しかしビートルズのメンバーの一番最初のソロ・アルバムがこんな訳分かんないアルバムだからねぇ。
アップルのレコード番号2番はジョン・レノンと小野洋子の汚い全裸ジャケットのヤツだし・・・。
果たしてビートルズは凄いのか 聴く人が凄いと勘違いしているのか・・・。
もうすでにビートルズに対する評価が確立された今となっては
凄い!としか言いようがありませんし僕もホント凄いと思います。
とりあえずビートルズは一家に一枚的アイテムです。
マニアでなくともオリジナル・アルバムは全部揃えておきましょう。

  
TWINK 「THINK PINK」 (1970)
独 WORLD WIDE SPM-WWR-CD-0031 (CD/1991)
 1 The Coming Of The Other One
 2 Ten Thousand Words In A Cardboard Box
 3 Dawn Of Magic
 4 Tiptoe On The Highest Hill
 5 Fluid
  6 Mexican Grass War
  7 Rock An' Roll The Joint
  8 Suicide
  9 Three Little Piggies
 10 The Sparrow Is A Sign

トゥインク! これはぶっ飛んだアルバムです。
これを購入した時はこのオヤジの事もアルバムの内容もまったく知らなかったのですが
なぜかふっと手が伸びてしまったのでした。 中古盤で1050円と安かったしね。
その後このトゥインクというオヤジはドラムスが本職で
プリティ・シングス トゥモロウ ピンク・フェアリーズといったバンドで太鼓を叩いている事を知りました。

1曲目から怪しげな効果音をバックに「1999年7の月 空から恐怖の王が・・・」という
ノストラダムスの大預言のくだりが語られ こいつその気だなと思わせます。

ちゃんと歌が入っている曲は2 4 8 9 10だけですが
2 4 8はヴォーカルに思いっきりエフェクトがかかっていて
その歌声も深いエコーの遠くに鳴り響く宇宙サイケ・サウンド(?)です。
9はヨッパライどもが肩を組んで酒場で歌っているようなアルコール・トリップ・フォーク(?)。
10が一番まともなフォーク・ロック調でヴォーカルも明るいですね。 ヘタだけど。
歌ナシの曲では終始女性の喘ぎ声がアァーンと異様な雰囲気の5が・・・凄いっすよあなた。

全体を通してもホラー映画を見ているかのような恐怖を煽るオバケ・サウンドと
変態性が一体となったヤバい内容です。

  
MAGIC CARPET 「MAGIC CARPET」 (1971)
英 MAGIC CARPET MC 1001 CD (CD)
 1 The Magic Carpet
 2 The Phoenix
 3 Black Cat
 4 Alan's Christmas Card
 5 Harvest Song
 6 Do You Hear The Words
 7 Father Time
  8 La La
  9 Peace Song
 10 Take Away Kesh
 11 High Street
 12 The Dream
 13 Raga

ジャケットからしてただならぬ雰囲気のマジック・カーペット。
体が馬で顔がインド人で羽根まで生えた変な生き物はヒンドゥー教の宗教画に登場する
人間と動物が合体した神をイメージして描かれたんだろうけど
これって思いっきり神への冒涜なんじゃないの?

全編に渡りシタールとタブラが鳴り響き それにアコギやエレキ・ギターが被さりますが
メロディーはインド音楽ではなく ゆったりとした英国フォークを感じさせます。
ヴォーカルは女の子で高音域が美しいのです。
ヴォーカルの子はフォーク志向だけど メンバーにシタール奏者がいるので
どの曲も無理矢理シタールを入れたって感じもあります。
正にこれぞアシッド・フォーク。 あるいはラーガ・フォーク。 サイケとは違うかな。
どう呼んでもいいのですが 聴く者を幻想的な気分にさせてくれるという点では合格です。

CDのボーナス・トラックとして13が追加されていますが
この曲が・・・シタールの独奏で20分もある曲です。
メロディーも完全なインド音楽になっていていて これはキッツーイ。
途中からタブラも入るけど最後までそのまま行って挙句の果てフェイド・アウト。
うーん脳味噌ぐしゃぐしゃ。 あなたはこの体罰に耐えられますか?

  
TEENAGE FILMSTARS 「STAR」 (1992)
英 CREATION CRELP 111 (LP)
 A1 Kiss Me
  2 Loving
  3 Inner Space
  4 Apple
  5 Flashes
  6 Kaleidoscope
 B1 Vibrations
  2 Soulful
  3 Hallucinations
  4 Moon

1980年代後半から1990年代にかけて歴史的な名盤を連発したクリエイション・レコード。
2000年に入り運営が停止されてしまったようですが
そのカタログにはこんな変なレコードも平気でまぎれているのです。

ジャケットがスウィンギング・ロンドンしているし曲名もサイケのキーワードが並びます。
そしてプロデューサーはベイビー・ジーザス! 誰だそれ。 しかし凄い名前ですねぇ。
ティーンエイジ・フィルムスターズの実態はタイムスというバンドで活動していた
エドワード・ボールというハゲおやじの趣味的プロジェクトのようです。

当時のクリエイションの看板バンドであったライドやマイ・ブラディ・バレンタイン同様に
歪んだギターの洪水サウンドが心地良いですね。
A面はマイブラの1991年のアルバム「ラブレス」そのまんまって感じで 凄いパクリぶりです。
ヴォーカルも遠く遠くにあり歌詞なんか全く聴き取れないのも一緒だな。

問題はB面で ギターのテープ・ループが延々と続くB1。
語りと様々な効果音で構成されたB2とB3。 B4はちゃんと曲になっているけど
聴いているうちにあれっ?俺何聴いてんだ?俺生きているのかな?
という気分になるスーパー・トリップ・サウンドなんですよ。

ティーンエイジ・フィルムスターズは2ndも存在し更に過剰でもっとイヤーな感じです。
ついでにちょっと聴いてみたのですが・・・やっぱり気分悪いな。 吐き気がしてきたぞ。

  
THE DUKES OF STORATOSPHEAR 「25 O'CLOCK」 (1985)
英 VIRGIN WOW 1 (LP)
 A1 25 O'Clock
  2 Bike Ride To The Moon
  3 My Love Explodes
 B1 What In The World ??...
  2 Your Gold Dress
  3 The Mole From The Ministry

これを購入時デュークス・オブ・ストラトスフェアーがXTCの変名バンドだなんて知りませんでした。
レコード屋のニュー・ウェーブのコーナーにこんな派手なジャケットは珍しかったので思わず購入。
ジャケットどうりの どサイケなポップスが凝縮されたナイスなアルバムでした。

各楽器の音なども1960年代のサイケな曲と並べても遜色のない あの時代の空気感があります。
この音の感じはアナログ盤ならではなのかな?
CDで聴くと感触が違って聴こえるかも知れませんね。

A1から時計の振り子の効果音が怪しげな雰囲気を煽り
B3の後には奇怪なテープの逆回転の音が入っていたり
更にその後の遊び溝には ビートルズのサージェント・ペパーズのパロディーで
意味不明の喋り声が延々と続くといった凝った作りです。

B1は彼らの曲の中で(XTCも含めて)僕が一番好きな曲ですね。
・・・といってもXTCは「スカイラーキング」と「オレンジズ&レモンズ」しか聴いた事ないけど。
とにかくパロディーを超えた凄みがこのアルバムにはあります。

デュークス・・・には2ndもあり そちらもサイケなサウンドですが
ちょっと音が軽くなり 本作ほどの徹底ぶりはありません。

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