ヴァシュティ様のあの名作が遂に正規盤発売となりました。
もう既に各音楽誌等でレヴューはされていますし 日本盤も出て アナログ盤も売ってたよー。
今回はヴァシュティ様発売記念として
最近CD化されたブリティッシュ・フォーク物を一挙にレヴューします。



 JustAnotherDiamondDay.jpg
VASHTI BUNYAN 「JUST ANOTHER DIAMOND DAY」 (1970)
英 SPINNEY SPINNEY001CD (CD/2000)
 1 Diamond Day
 2 Glow Worms
 3 Lily Pond
 4 Timothy Grub
 5 Where I Like To Stand
 6 Swallow Song
 7 Window Over The Bay
 8 Rose Hip November
 9 Come Wind Come Rain
 10 Hebridean Sun
 11 Rainbow River
 12 Trawlerman's Song
 13 Jog Along Bess
 14 Iris's Song For Us
 15 Love Song
 16 I'd Like To Walk Around In Your Mind
 17 Winter Is Blue
 18 Iris's Song (version two)

何年も前からこのアルバムの再発プロジェクトが進んでいるというのは噂に聞いてはいましたが
とうとう店頭にずらっと並びましたね。 ずらっと並んでいるのは一部のマニアックな店だけだけど。

内容の素晴らしさは第13号に死ぬ程良いぃの絶賛レヴューがあるんでそちらを見て下さい。
その第13号でとりあげた海賊盤まがいのミスティック・ディーバ盤からは
格段に音が良くなり音飛びも無くなりました。
正規盤だから当たり前っちゃー当たり前なんだけど。
こういうまともな音で聴けると なんか有り難味が薄れますね。

注目は15〜18のボーナス・トラックの4曲で 15は1966年のシングル「Train Song」のB面曲。
トレイン・ソングは女性ヴォーカル物のコンピレーション盤で
CD化されているようですが僕は聴いた事はありません。
16 17 18は未発表曲。 こいつらが一番音が悪くて
はかなく消え入りそうなフォークで いい雰囲気出してます。
18は14と歌詞が一緒ですがメロディーが違って 全く別の曲ですね。

しかし需要と供給っていうのは恐ろしい物で
早くもミスティック・ディーバ盤CDは中古で出回ってました。
それも1400円とかいう値段がついてやがんの。
正規盤が出る前だったら いくら海賊盤まがいとはいえ2500円はつけたい所です。
なんたって僕はミスティック・ディーバ盤は3200円も出して購入したからねぇ。
こちらの正規盤は新宿ヴィニールで2000円ちょっとで買いました。

再発アナログ盤は新宿ガーデン・シェッドに3000円で売っていました。
限定かどうかは分かりませんがマニアの方はお早めに。 LPはボーナス曲はナシです。



 HillClimbingForBeginners.jpg
 1 Stranger In The Word
 2 I Used To Be Blind
 3 Jesus I've Been Walking
 4 Hill Climbing For Beginners
 5 The Start Of A Run
 6 Song Of The Cross
 7 I Have Seen The Lord
 8 Hillclimbing For Beginners (different version)
WATER INTO WINE BAND 「HILL CLIMBING FOR BEGINNERS」 (1974)
HUGO-MONTES PRODUCTION HMP CD-003 (CD/1999)

ウォーター・イントゥ・ワイン・バンドの1st。
バンド名とジャケットだけ見ても名盤ぶりを発揮しています。
このCD 盤面に1999年と印刷されていますが市場に出回ったのは今年の夏になってからです。
更にヒューゴ・モンテス・プロダクションっていうレーベルはどこの国のレーベルか分かりません。

昨年末には彼らの2nd「Harvest Time」(1976年)もキッシング・スペルからCD化されましたが
内省的な曲が多い上 ちょっとプログレが入った2ndよりも僕は断然こっちが好きなんですよ。
いや この1stも途中で曲調が変わったりしてプログレ入っていますけどね。

1曲目の雰囲気は第2号で紹介したブリティッシュ・フォークの最高峰 へロン様と双璧。
これぞ農村フォーク!収穫フォーク!このまま土に埋めてくれーって感じですね。
ジプシー風フィドルと優しげなコーラスが秋枯れの田園に連れってってくれます。

1と同様にのどかな田園風景を思わせる4なんて もうたまりませーん。
8はボーナス曲で4の別ヴァージョンです。
しっかし これは何度聴いても良い曲だねー。



 Presence.jpg PresenceBack.jpg
  1 Moment Of You
  2 Break Down The Walls
  3 Children
  4 All For You
  5 Laws Of God
  6 Prayer
  7 Turning Point
  8 Peace
  9 Presence
 10 Shepherd Song
 11 God Is Love
PRESENCE 「PRESENCE」 (1976)
HUGO-MONTES PRODUCTION HMP CD-001 (CD/1999)

ウォーター・イントゥ・ワイン・バンドと同じく
ヒューゴ・モンテス・プロダクションから登場のプレゼンス。
こちらも盤面に1999年の印刷。 店頭に並んだのは2000年になってからです。
この正体不明のヒューゴ・モンテス・プロダクションっていうレーベルは
これからも どんどんやってくれそうな雰囲気がありますね。
こうなったら さっそくレコード番号002番を探しにいかねばなりません。

プレゼンスには綺麗な声の女性ヴォーカリスト ヴェロニカ・タワーズちゃんがいて
男だけだったら けっこう当たり前のフォーク・ロックになってしまう所に華を添えています。
ドラムスも入っていてエレキ楽器も多用され聴きやすいですね。
しかしポコポコいってるパーカッションがねぇ。
・・・これでもかこれでもかとしつこくポコポコいってます。

曲調はバラエティーに富んでいますがビートのある軽快な曲が基本路線ですかね。
ヴェロニカちゃんの美声も堪能でき 美しい英国の陰影を感じさせるフォークの2 8 10。
1980年代のネオ・アコースティック・バンドみたいな優しげなフォーク・ロックの4が印象的。
飽きずに聴く事のできるいいアルバムです。



 WoodenHorseII.jpg WoodenHorseIIBack.jpg
  1 Celebration Song
  2 Wooden Horses
  3 America
  4 Kali
  5 Pick Up The Pieces
  6 July Morning
  7 Coming Home
  8 For You
  9 On This Day
 10 Afternoon
 11 Typewriter And Guitar
WOODEN HORSE 「WOODEN HORSE II」 (1973)
ELEGY E 570/I (CD/2000)

ウッデン・ホースの2nd。 このエレジーっていうレーベルもどこの国なのか分かりません。
歯切れ良くガチャガチャ鳴らされるアコースティック・ギターと
女性ヴォーカルを中心にした分厚いコーラスが特徴です。

1曲目から軽快で爽やかなフォーク・ロックが展開されます。
全編に渡りドラムスやエレキ・ベースやキーボードが入った曲が多く
どフォークではないので とても聴きやすいアルバムですね。
しかし 暗い曲調の2(の前半)と11くらいしか英国臭を感じる曲が無く
アメリカのクロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングみたいな雰囲気が濃厚です。

それに うおぉーこの曲は良いぃーっていう 決定的な1曲も入っていないのです。
これは全体的にメロディーが弱いせいでしょうかね。
そういえばクロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングにも印象的な曲って無いしね。
メンバーにフルート奏者がいながら フルートが登場する曲が少ないのも残念。

オリジナルLPは10万円級のレア・アイテムらしいので
持っている事に意義がある作品ですかね。



 OpenRoad.jpg OpenRoadBook.jpg
DONOVAN 「OPEN ROAD」 (1970)
独 REPERTOIRE REP 4880 (CD/2000)
 1 Changes
 2 Song For John
 3 Curry Land
 4 Joe Bean's Theme
 5 People Used To
 6 Celtic Rock
  7 Riki Tiki Tavi
  8 Clara Clairvoyant
  9 Roots Of Oak
 10 Season Of Farewell
 11 Poke At The Pope
 12 New Year's Resolution

遂に登場のドノヴァンは英国フォークの重要人物。
いつもやってくれる素晴らしき再発専門レーベル ドイツのレパートワーが又やってくれました。
1970年の名盤「オープン・ロード」がデジパック仕様で登場です。
右側の写真はブックレットの表紙となっております。

ドノヴァンの作品は1968年の「A Gift From A Flower To A Garden」と
1971年の「HMS Donovan」が傑作とされていて
どちらも実に英国的でうつろな おとぎ話フォークになっています。
しかし僕は「HMS Donovan」の方は相当体調が良くないと聴くのが辛くてねぇ。
収録時間の長さと 暗ーいフォーク・ソングが多いんで
最後まで集中して聴けないんですよ。・・・いい曲も沢山入っているんだけどね!

ドノヴァン独特の浮遊感のある摩訶不思議なフォークは
1度聴いただけでは なかなか理解できなかったりもするのですが
「オープン・ロード」はロック色の強い作品となっいて
万人に受け入れられる分かりやすさがあります。

ケルティック・ロックというタイトルの曲もありますが あまりケルト風味は感じられず
使用楽器もシンプルにギター ベース ドラムっていうのが基本で
アメリカのカントリー・ロックに対抗したような土臭いロックが連発されます。

しかし この人の曲にはやっぱり英国だなーと感じてしまうんですね。
サウンドがアメリカっぽくなっても どうして英国を感じるのか その理由は難しいなぁ。
ドノヴァンだから と答えるしかなさそうですね。

決めの1曲というのは入っていませんが
全体を通して内容の濃い素晴らしいアルバムです。

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