かつて大絶賛をしたあの人たちの新作が続々と登場! 新作といっても発表からだいぶ時間が経っている作品ばかりで どこが新作だよ!とカンカンに怒っている人もいると思います。 では、せっかくなのであの人たちの新作を できる限りカンカンに怒りながら書いてみたいと思います。 |
MEG BAIRD 「SEASONS ON EARTH」 (2011)
米 DRAG CITY DC470 (LP)
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メグ・ベアードのソロ2ndアルバム。 この人は米国のサイケデリック・フォーク・グループ、エスパーズの ヴォーカル担当の女性で、1stソロは時空を超えて輝きを放つ大傑作として、時空を超え輝いておりました。 そんな大傑作を出してしまうなんて、そりゃーもうカンカンです。 カンカンに怒りながら聴いていました。 で、この2ndも1stと同様にアコギの爪弾きにちょっと他の楽器が入る程度の地味でシンプルな音ですが、 トラッド曲を多く歌っていた1stから、A5とB1以外は自作曲となり、シンガー・ソングライター色が出て 少々雰囲気が違うのです。 1970年代米国のそれ程有名ではないローカルなシンガー・ソングライターを 思わせますが、これはペダル・スティールとドブロといった楽器が入る曲が多いのが原因かもね。 1stで感じた彼女のワールドにズブズブと引き込まれてしまい抜け出せなくなってしまうような魔力も薄く、 あそこまで僕をカンカンに怒らせる大傑作とまではいかないけれど、やはり彼女のちょっと囁きが入った 美しい歌声はホントに素晴らしくて、クラクラしてきますよ。 ロックっぽいサウンドはエスパーズで聴けるので ソロ作ではこれからも、彼女の歌声とじっくり向き合える地味なフォーク路線で突き進んで欲しいですね。 全曲中最も耳が行くのはハウス・オブ・ラヴのカバーのB1。 ルー・リードの「ワイルドサイドを歩け」を思わす ハウス・オブ・ラヴ・ヴァージョンはすこぶる好きで、そんなハウス・オブ・ラヴ・ヴァージョンには勝てないけど 彼女はギター1本でひとりで弾いているのかな? ブリジット・セント・ジョンみたいで、とても良いですねぇ。 でもやっぱり、どっぷりのめり込めた1stと同じくらい、もっとのめり込みたかったなぁ。 ここは次は頼むぜ!と期待を込めてカンカンに怒っておきます。 カンカン! ・・・さてじゃあもう一度聴くかな。 色々言ってはみたけど、もう一度聴きたくなる良い作品ですからね! 1st「Dear Companion」を書いたページ・・・第136号 2008/2/6 私をエスパーズに連れてって! Meg Baird, Helena Espvall, Sharron Kraus 「Leaves From Off The Tree」を書いたページ ・・・第126号 2007/5/3 紙ジャケCDなんて燃やしてしまえ! |
THE JAYHAWKS 「MOCKINGBIRD TIME」 (2011)
米 ROUNDER 11661-9113-1 (LP)
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米国のベテラン・バンド、ジェイホークスの再結成アルバム。 LPも出たのでLPを入手しましたが 尺が微妙に長い曲があり、片面6曲入りの1枚ものにするには、ちょっと無理があるかなーといった感じで、 片面3曲ずつ収録した2枚組みという仕様になっています。 2枚組みなので見開きジャケットですが、 わたくし只今「見開きジャケットでもシュリンク剥がしま宣言」中なので、当然本作もシュリンクを剥がさず、 見開きの中が見られなくて困っています。 もちろん、袋とじを覗き込むタイプでちょっとだけ見えてますけどね。 栄光の「Tomorrow The Green Grass」の時の4人&ドラムスのティム・オリーガンという5人での再結成で 歴代最強のメンバーが集い、もうA1から「あの時の感じ」で、そりゃーもうカンカン! そしてヒャッホーイ! マーク・オルオンとゲイリー・ルーリスの微妙に汚らしいコーラスのハモりが核にはなっているけれど 歴代でも唯一の女性メンバー、カレン・グロッドバーグのピアノが「あの時の感じ」の演出に一役買っています。 カントリー・ロックな曲もあるけれど、オルタナ・カントリー・バンドとしてのジェイホークスというよりも、 すべてを包み込んだルーツ・ロック・バンドとして、どこまでも素直でバカ正直なサウンドがスカッと爽やかです。 何曲か語ると、大らかに青空に突き抜けるような彼らの代表曲「Blue」タイプのA1がもうたまらないし どこにでもありそうな爽やかなフォーク・ロックであるB1なんかも、この普通さが妙に心地良く感じます。 8分の6拍子のカントリー・ロック・サウンドに、曲の終盤、逆回転ギターがサイケデリックに絡むC3も良いし 全編に入るフィドルがどことなくフェアポート・コンヴェンションっぽい感じのD1なんかも面白いです。 ちなみに僕のジェイホークスのアルバム第1位は「Tomorrow The Green Grass」、第2位「Rainy Day Music」、 そして本作は3位か4位か・・・といった按配ですが、バカ正直で清々しいアメリカン・ロック・サウンドで 復活した事に乾杯したいと思います。 もちろんバカ正直で清々しいというのは褒め言葉ですからね! さあ、では、ジェイホークスの新たな出発に乾杯! 君の瞳に乾杯! そして、カンカンに怒りながら乾杯! ジェイホークス大量レビューのページ・・・第25号 2000/12/1 スコットランドの青空とミネアポリスの草の香り 駄々をこねながら書いたページ・・・第165号 2010/7/28 駄々をこねながらジェイホークス関連作を紹介 「Rainy Day Music」のレビュー・・・第80号 2004/1/11 流行語大賞とる勢いでフォロー沙汰 Tim O'Reaganのソロ「Tim O'Reagan」・・・第147号 2009/1/3 ところでアンタ誰ですか? Mark Olsonのソロ「Many Colored KIte」を少々語る・・・2010年11月16日更新の表紙 |
BEACHWOOD SPARKS 「THE TARNISHED GOLD」 (2012)
米 SUB POP SP 784 (LP)
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浮遊感のあるカントリー・ロックが炸裂して僕を虜にした米国バンド、ビーチウッド・スパークスの新作が登場! 2002年発表のミニ・アルバム「Make The Cowboy Robots Cry」から、何と!10年も経っていますねぇ。 本作は45回転盤2枚組の見開きジャケットですが、シュリンク剥がしま宣言中で見開きの中が見られないので、 そりゃーもうカンカンに怒っています。 でも、封入されたダウンロード・コードでダウンロードしたらアートワークの PDFも一緒に付いてきたので、見開きの中の図柄やクレジット関係の情報が確認できました。 めでたしめでたし。 そしてサウンドは以前と同様、ペダル・スティールやバンジョーが入るソフト・タッチのカントリー・ロック路線ですが 彼らのサウンドを印象付けていたハーモニカの音が全然聴こえてきませんし、3拍子の曲も少なくなりました。 また、クリス・ガンストの弱々しくて甘ったるい歌声がメイン・ヴォーカルをとる曲もちょっと少ない気がしますね。 以前も他のメンバーがメインに歌う曲や、誰がメインという訳じゃなく3声ハーモニーで聴かせる曲もあったけど 彼の甘ったるいヴォーカルこそが、ビーチウッド・スパークスらしさのひとつだったので、ちょっと残念です。 いや、そりゃー10年も経てば、色々と変化があるのは当たり前で、10年前とは同じはずはないですよね。 ところが僕は10年前で時間が止まり、10年前と精神状態が変わっておらず、10年前どころか高校生の時から 頭の中は変わっていないなぁ。 実際の行動も高校生の時と変わっていないし・・・つまり簡単に言ってしまうと 永遠の16歳なのです・・・と、僕のような気持ち悪いオヤジの永遠の16歳発言に、みんなカンカンでしょうか? 独特の浮遊感のある曲は減りましたが、A1、A3、B1、B3、C2、D1あたりの、何て事ないけどフォーキーで 可愛らしい曲は聴けば聴く程良くなってきますし、ムーチョムーチョと聴こえてくるメキシカンな3拍子のC3や、 唯一ハーモニカが入りゆったりと心地良く流れるD2や、ブッ飛ばし系カントリー・ロックD3など、どれも良いです。 つまり何だかんだ言ってもビーチウッド・スパークスは良いです。 なのでこの作品にはカンカンに怒らないで 10年前と精神状態が変わらない永遠の16歳の自分に対してカンカンに怒る事にします。 カンカン! ビーチウッド・スパークス関連ページの数々 1stと2ndをレビュー・・・第53号 2002/3/31 若手ルーツ・ロック芸人でヤングとの溝を埋めてみよう ミニアルバム「Make The Cowboy Robots Cry」・・・第80号 2004/1/11 流行語大賞とる勢いでフォロー沙汰 Mystic Chords Of Memoryの作品・・・第178号 2011/9/12 見開きジャケットでもシュリンク剥がしま宣言 Nobody & Mystic Chords Of Memoryの作品・・・第141号 2008/7/6 お待たせしました 2006年ベスト10! The Tydeの作品・・・第151号 2009/4/25 21世紀のナウい音楽で盛り上がって行こうぜ! |
HAL 「THE TIME THE HOUR」 (2012)
英 TRI-TONE HR004CD (CD)
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アイルランドのハルちゃんの2ndアルバム。 「ハルちゃん」と言っても個人ではなく男性3人組のバンドで、 彼らの1stアルバムが大好きだったので、早く2ndが出ないかなーと首を長くして待っていたのですが まあ、出ない、出ない。 あまりに出ないので、僕の中で過去の思い出になってきた今、やっと出ましたねぇ。 2005年の1stから7年も経ってしまい、どうしてそんなに時間がかかったのか理由は知りませんが、 ハルちゃんあたりだと皆が新作を待ち望む大人気バンドという訳ではないので、7年もブランクがあると 忘れられた存在になり、大きな話題にもならず、地味にひっそりとリリースされたという印象がありますね。 でも内容は地味という事はなく、1st同様けっこう複雑なハーモニー・コーラスで聴かせるポップ・ソング集で、 ただ1stはギター・ポップと言ってもよい音だったけど、本作はギターが前面に出て来ない曲が多いせいか バンドでやっている感はちょっと薄くなっているかな。 いずれにせよナイスな曲がぎっしり詰まっていますよ。 粒の揃った楽曲が並ぶ2曲目〜5曲目の流れなどは素晴らしく、とてもキャッチー。 ペット・サウンズ期の ビーチ・ボーイズを思わせる2曲目と、ディスコ時代のビー・ジーズ風なダンサンブルな7曲目が核になる曲で 他の曲も上手く作られていて、1stよりも良いかも・・・と一瞬思うけれど、なぜかイマイチ盛り上がりませんねぇ。 やはり1stからの長いブランク・・・空白の時間が、聴く側の気分を変えてしまったと言わざるを得ません。 全10曲で約38分という収録時間も物足りなさを感じてしまうし、何だか気合い入ってないジャケットの図柄も、 こちらの気分を盛り下げるのに一役買っているし、あれもこれもマイナスに働いてしまっています。 ずっとハルちゃん、ハルちゃんと言って応援してきて、1stから7年も待って出た作品に盛り上がれないなんて もう僕はもうハルちゃんに対してカンカンに怒っていますよ! まあ、聴く側の僕の精神の問題が9割なので 中畑清ばりに絶好調の時にもう一度聴いてみます。 ホント、ポップにはじける良さは間違いないので。 1st「Hal」のCDを書いたページ・・・第107号 2005/10/31 ヤングなロックで加齢臭をブッ飛ばせ! 1st「Hal」のLPを書いたページ・・・第151号 2009/4/25 21世紀のナウい音楽で盛り上がって行こうぜ! |
MARISSA NADLER 「THE SISTER」 (2012)
米 BOX OF CEDEAR BOC002 (LP)
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アメリカの女性フォーキー、マリッサ・ナドラーは第180号でアルバム5枚を必死で書き、次作で大ブレイク!と 予言し五島勉氏に多大な迷惑をかけてしまいましたね。 すまん、すまん。 わたくしが勝手に想像を膨らまし 適当な事を書き散らかしてしまったので、五島氏だけでなくマリッサ・ナドラーさん本人にも迷惑をかけてしまい きっとカンカンに怒っているのではないかと、再び勝手に想像を膨らまして過ごしております。 そして届いた新作はびっくりする程マリッサ・ナドラー節が炸裂し、これでもか!これでもか!とマイナー調の 地味な曲の連発でした。 こんな内容じゃ大ブレイクは難しいよね・・・特にA面は全部マイナー調の曲で暗いぜ! B面は少々明るいメロディーが登場し、美しい響きがありますが、まあ、一般受けするはずもない音です。 うーん、手元にあるのはLPなので、A面からB面に裏返す時にブレイクが必ず入るのでまだましかも。 CDで全編連続で聴いたら辛いぞ! 前作、前々作で顔を覗かせていたロックっぽい要素も後退しているし 妖しげに体にまとわりつくような呪い系フォーク色が強いアルバムで、こりゃーみんなカンカンですよ。 プロデュースは前作に続き、エスパーズの全作品のミックスをしているブライアン・マクティアーですが 前作からそれほど期間を置かず発表された作品なので、プロデューサー以外の製作スタッフも 前作とほぼ変わらず、もしかすると前作の時に録音して、漏れた曲なのかもね。 全8曲という曲数の少なさも今まで無かった事で気になるところですし、とりあえずカンカンに怒っておきます。 えーと、マリッサ・ナドラー節が炸裂していて逆に安心できる作品とも言えるので、特に文句は無いですが カンカンに怒るというテーマで書いているので、とりあえずもう一度カンカンに怒っておきますね。 カンカン! |