あなたは何枚組まで耐えられますか? もちろん全部一気に聴かないといけないルールで 「ながら聴き」は禁止なので、聴く事だけに集中しなければいけません。 途中で食事をとるのも禁止です。 飲み物だって禁止です。 とにかくほんのちょっとでも休憩を入れるのは禁止です。 トイレも行ってはいけません。 全部禁止です。 絶対にダメです。 いっその事、聴く事自体禁止にしてもいいくらい、全部禁止になっています。 さあ、あなたは何枚組まで耐えられますか? |
BELL AND SEBASTIAN 「PUSH BARMAN TO OPEN OLD WOUNDS」 (2005)
英 JEEPSTER JPRLP 015 (LP) |
A1 Dog On Wheels 2 The State I Am In 3 String Bean Jean 4 Belle And Sebastian B1 Lazy Line Painter Jane 2 You Made Me Forget My Dreams 3 A Century Of Elvis 4 Photo Jenny |
C1 A Century Of Fakers 2 Le Pastie De La Bourgeoisie 3 Beautiful 4 Put The Book Back On The Shelf 5 no title (hidden track) D1 This Is Just A Modern Rock Song 2 I Know Where The Summer Goes 3 The Gate 4 Slow Graffiti |
E1 Legal Man 2 Judy Is A Dick Slap 3 Winter Wooskie 4 Jonathan David 5 Take Your Carriage Clock And Shove It F1 The Loneliness Of A Middle Distance Runner 2 I'm Waking Up To Us 3 I Love My Car 4 Marx And Engels |
これはスコットランドのベル&セバスチャンのシングル集。 3面の見開きジャケになったLP3枚組です。 LPは3枚組なのですが、CDは2枚組で発売さていて、2枚組CDなんてのはフツーによくありますよね。 だからこのアルバムに関しては何枚組まで耐えられるとか、そんな問題は発生するはずがありません。 こんなの耐えられて当たり前! でも収録時間は1時間47分(Amazon調べ)で、ビミョーに長いですよー。 このビミョーな長さ、聴いていたら段々飽きてきたので、本でも読みがら聴きたくなってきました。 いや、いかん!ながら聴きは禁止だったんだ。 そういえばビートルズのアンソロジー・シリーズもLP3枚 (CDだと2枚組)で、収録時間はもっと長かった気がしますが、あれはブレイクを入れず一気に聴けます。 そう考えたら、LP3枚組などちょろいですね。 ズバリ、わたくし、LP3枚組は耐えられます! しかしベル&セバスチャンって、ある一部の人には神格化されているけれど、なんとも中途半端ですね。 この3枚組を聴く限りでは、手作り感のあるギター・ポップなのだけど、なんだか、クオリティが低い・・・ それはヴォーカルの音程が不安定で演奏がフニャフニャなのでクオリティが低いという事ではなく、 1曲1曲は決して悪くないのだけど何曲かまとめて聴くとつまらなく感じてしまうという楽曲の弱さです。 おっ!と思う印象的なフレーズも飛び出さないし、シングル集でこの感じだとオリジナル・アルバムになると 更に弱くなるんだろうなぁ。 オリジナル・アルバムは1枚しか聴いた事が無いので実際は知りませんが・・・。 うーん、ベル&セバスチャンが登場した時期、僕の聴く音楽がブリティッシュ・フォークへシフトしていた というのが大きいのかもね。 実はベル&セバスチャンが放つ雰囲気はブリティッシュ・フォーク方面の ジョン・フェルディナンド&ピーター・ハウエルの諸作なんかと似ています。 彼らのグループ「フレンズ」 「アジャンクール」などを聴いているとホント盛り上がるので「ジョンフェル&ピーハウ」って略してリスペクト! でもベル&セバスチャンではイマイチ盛り上がらないので意地でも「ベルセバ」って略さない体質です。 じゃあ、この後は、フレンズでも聴くか・・・おっと、いけねぇ、この後はベル&セバスチャンの3枚組よりも 収録時間の長いスフィアンの5枚組が待っていたんだ・・・フレンズなど聴いている場合じゃないな。 |
SUFJAN STEVENS 「SONGS FOR CHRISTMAS」 (2006) 米 ASTHMATIC KITTY AKR 028 (CD) |
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現代アメリカン・シンガー・ソングライターの最高峰、スフィアン・スティーヴンスのクリスマス・アルバム。 CD5枚というヴォリュームで身構えてしまうけれど、収録時間は2時間3分(ウィキペディア調べ)と割と短く 2時間3分であれば前項のベル&セバスチャンより少々長いだけなので、こんなのちょろい、ちょろい。 2001〜2006年に録音されたこの作品、定番クリスマス・ソングの他、スフィアンのオリジナル曲もあり ボックスを開くと、CD5枚、歌詞&コード進行もついたブックレット、ポスター、ステッカーが入っています。 ディスク2には「Put The Lights On The Tree」のビデオ(クイック・タイム)も収録されていて盛りだくさん。 クリスマス・アルバムって古臭いポピュラー・ソング集にしか聴こえず、ダサくて残念な場合もありますが 本作はどの曲も感動的なスフィアン・サウンドになっており、圧倒的な美しさに、もう、やられまくりですよ。 メイン・ヴォーカルをスフィアンが歌っていない曲も多く、ディスク1は全編マット・モーガンとのデュオ形式。 マウンテン・ミュージック風のバンジョーで哀しげに紡がれる曲がたくさん並び、うおおぉぉぉー! ディスク2はウェルカム・ワゴンのヴィト・アユート(読み方適当シリーズ)がメイン・ヴォーカルの曲が多く 使用楽器もディスク1より多くなり、「イリノイ」で完成するスフィアン・サウンド炸裂前夜といった雰囲気。 ディスク3はデニソン・ウィットマー(読み方適当)がヴォーカルで入り、ここでのスフィアン・サウンドは、 もうかなり緻密に完成されています。 圧倒的な感動を運んでくれる4曲目や5曲目にクラクラします。 ディスク4はブリジット・デクックをフューチャーした男女デュオ状態の曲が多いです。 全42曲ある中で 唯一ロックっぽいアレンジの3曲目が異色。 この3曲目は「イリノイ」に収録されていた名曲「シカゴ」の メロディーを使っているのかな? 恐ろしく感動的な「ジョイ・トゥ・ザ・ワールド」で最後を締めてくれます。 ディスク5は、いきなり、エンヤ?と思ってしまうインストの1曲目にびっくり。 5曲目もそんな感じです。 ここでもスフィアンと一緒に歌う女性ヴォーカルのマーラ・ハンセンが入り、サウンドは「イリノイ」の 次の段階といった感じで、様々な実験が詰め込まれていて、5枚中最もバラエティがありますね。 ・・・と何とか聴き終わったのだけど、あまりに素晴らしくて、ディスク1の7曲目や、ディスク2の4曲目や、 ディスク5の9曲目など、特に感動が大爆発する曲を何曲かリピート聴きしてしまいましたとさ。 次はもっと収録時間の長いディランが待っているというのに、リピートしている場合じゃないよなぁ。 いや実は本作は彼の全作品中最も好きで、鬼のような感動の名作なので、クリスマスの時期でなくても、 何枚組みまで耐えられるかのチャレンジ中でも、何度でも聴ける、激・超超超超超名盤なのです。 スフィアンの作品を書いたページ 第98号 2005/4/2 ヤング芸人のアルバムをゲットでハンサム気取り 第175号 2011/5/26 いつだってスフィアンのレコードは幅が太い派 |
BOB DYLAN 「THE BOOTLEG SERIES VOLUMES 1-3 (RARE & UNRELEASED) 1961-1991」 (1991) オランダ COLUMBIA 468086 1 (LP)
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ボブ・ディランのブートレグ・シリーズの第1弾! ヴォリューム1〜3というタイトルが付いているのはCDだと 3枚組だからですが、これが5枚組のLPになってしまうと、ヴォリューム1〜3というタイトルが何だか 意味不明になってしまっています。 そしてCDとはビミョーに曲順が変わっているのでマニアは要注意です。 さて、内容はタイトル通り、ボブ・ディランの30年に及ぶレア&未発表音源が古い順に並んでいます。 スタジオ録音だったり、ライブだったり、デモ音源だったり、当然音質や演奏のクオリティはバラついていて そんなボツ音源を5枚も聴かされると考えただけで、多くの人が「そりゃー無理!体罰だ!」と思うはずです。 このアルバムが拷問に聴こえるか聴こえないかは、ボブ・ディランの強烈な存在感とアクの強さに惹かれるか どうかというところが全てで、はっきり言ってディランって、音質や演奏のクオリティなどあまり関係ないですよ。 そんな音楽的な細かい事を越えた、聴く者を彼のワールドに引き込んでしまう力は、この作品にも溢れていて この5枚組を聴いて彼の魅力にヤラれないようでしたら、他のアルバムを聴いたところでヤラれないでしょう。 そういう人にはどのアルバムを聴いても拷問だろうから、いっさいディランを聴く必要など無いです。 収録時間は3時間49分(ウィキペディア調べ)で、さすがに4時間近く休憩しないと体調が悪くなりそうです。 おなかも空いてきたし、トイレにも行きたいです。 空腹は何とかガマンできるけど、トイレをガマンしていると 膀胱炎になりそうだなぁ。 でもほんのちょっとのトイレ休憩も禁止というルールなので、ルールは守らないと。 ちなみにトイレに行くのは禁止ですが、その場で漏らすのはオッケー。 その場で漏らすのが嫌いな 潔癖症のアナタにはおむつの着用も認められているので、是非おむつ姿でチャレンジして下さい。 全58曲もあり、面倒臭いので1曲1曲には言及しませんが、1960年代前半のフォーク時代が約半分で、 ロッド・スチュワート、そしてヘロン(!)もやっていたC3「Only A Hobo」のディラン・ヴァージョンも聴けます。 本作発表当時みんな驚いたE4「Like A Rolling Stone」の3拍子ヴァージョンは今でも驚きだし オリジナル・アルバムはダメダメな1980年代の音源、I面、J面(って凄い面だな・・・)もとても魅力的です。 ああ、それにしてもトイレ行きたい。 漏らしちゃうかも・・・うっ、漏らしそうなので、もうこれ以上書けません。 ディランのクリスマス・アルバム(大爆笑!)を書いたページ・・・第158号 2010/1/20 史上最速の新譜LP情報 |
HANK WILLIAMS 「GREAT AMERICAN HERO (1942-1952)」 (1995) ポリドール POCP-1586/95 (CD)
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あれもこれも禁止で行われているこの実験もついに最終段階に入りました。 最後はハンク・ウィリアムスの 10枚組CDを聴きます。 オマケでカラオケCDも付いているのでそれも合わせると11枚組になります。 世の中にはもっと激しい組み枚数の作品も存在しているはずで、果たして最高は何枚組なのか知りませんが 僕の所有作品の中で最も組み数が多いのは本作で、収録時間は10.7時間(iTunesでの表示による)です。 いやしかし聴き続ける時間が10時間を超えると、さすがにキッついですね。 拷問に近い感覚があります。 でも冷静になって10時間という時間を分析すると、1日の半分の12時間も無く、つまり半日も無いのです。 「半日」と言い方を変えるだけで、随分気分が楽になりますね。 半日ですよ、たった半日! そう考えると 10時間なんてちょろいもんだぜ! つまり、わたくし、ズバリ、CD11枚組は耐えられます!・・・たぶん。 本作は1995年の時点で収録できるハンク・ウイリアムスの曲を全収録した完全コンプリート盤になっており ディスク1〜4はスタジオ録音が古い順に並んでいます。 ディスク5〜7はギターで弾き語るデモ曲などと、 それらの曲にオーバーダブした音源です。 ディスク8〜10はラジオ放送された音源です。 カラオケはこのCDの発売に合わせて、ナッシュビルの腕利きミュージシャンにより録音されたものですが ご丁寧に本編に合わせてモノラルで収録されていて面白いですねぇ。 ナイスこだわりです。 ハンク・ウィリアムスはアメリカのカントリー界でも最も有名な人なので誰もが納得の「どカントリー」だけど 彼のヴォーカルには、カントリー独特のイヤーな節回しを感じませんね。 曲によってはヨーデル入ったりとか あるのだけれど、とにかく絶対無理!と思ってしまうタイプの「どカントリー」では無いと思いますよ。 ・・・と言っても、やっぱり「どカントリー」ですけどね! どうしたって無理な人は無理です。 ただ、カントリーを知らなくても、カントリーが嫌いでも、ハンク・ウィリアムスなど聴いた事が無くても、 なぜか知っている有名曲がポツポツ出てくるので、けっこう誰でも楽しめるはずです。 僕が好きな曲はジャンバラヤ、アイ・ソー・ザ・ライト、カウ・ライジャ・・・などなど。 もちろん多くの人がカバーしている「I'm So Lonesome I Could Cry」(泣きたいほどの淋しさだ)も大好き! また、彼は自作曲を歌っており、シンガー・ソングライターの元祖とも言えるし、当然サウンドはロックとは 言えないけれど、過剰な飲酒が原因で29歳という若さで死亡しており「ロックな生き方」の元祖でもあります。 曲名を打ち込む作業はかなり面倒なので、省略しようと思ったのですが、せっかくなので打ち込みました。 頑張りました、誰か褒めてください。 褒めるだけじゃなくて、何かください。 お金ください。 ところで最後にひとつだけ言いたい事があるのですが・・・やはりCD11枚組は耐えられません。 こんな、どこを聴いても同じような「どカントリー」11枚なんて無理です。 ごめんなさい。 でも、お金ください。 |