またクソ暑い夏がやってきて ステージ衣装なんて着ていると汗ダックダクで大変だよね。
でもゲーノー人たる者みんなの憧れのスターなんだから 暑いので衣装など着たくないとか
駄々をこねて一般人と同じような服装でステージに登場してはいけません。 
ところがいつの頃からか そこら辺のアンちゃんみたいな格好の人が増えてしまってねぇ。
少なくともグループでやっている方々はお揃いの衣装でスターのオーラを出してもらわないと。
ほら みんな同じ衣装でステージに立てば 清潔感もバツグンで好感度もアップに次ぐアップだし
お揃いの衣装でフォークを演れば制服フォークになり ロックを演れば制服ロックになるので
制服という言葉の響きだけで興奮してしまう変態オヤジ共にもアピールできるっていうモンです。


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THE FLYING BURRITO BROS 「THE GILDED PLACE OF SIN」 (1968)
英 EDSEL ED 191 (LP/1986)
A1 Christine's Tune
 2 Sin City
 3 Do Right Woman
 4 Dark End Of The Street
 5 My Uncle
 B1 Wheels
  2 Juanita
  3 Hot Burrito #1
  4 Hot Burrito #2
  5 Do You Know How It Feels
  6 Hippie Boy

その昔はビートルズだとかビーチ・ボーイズだとかの有名バンドもお揃いの衣装を着ていたものですが
皆さん徐々に脱・制服して 1960年代後半ともなるとお揃いの衣装で制服ロックをしていたのは
日本のグループ・サウンズだけだと言われています・・・と またテキトーな事を言ってしまいました。
いや いつの時代も制服バンドは存在していますが グループ・サウンズの制服率の高さは驚異的です。

で この米国バンド フライング・ブリトー・ブラザース。 お揃いの衣装では無いけど1968年という時代に
これぞ制服カントリー・ロックの決定版!という衣装で登場。 この衣装が本当にカッチョ良くてねぇ。
そう わたくし無類のウエスタン・ウェアー好きなので クリス・エスリッジの薔薇の花だらけのイカした長ランや
グラム・パーソンズのイカした短ランや クリス・ヒルマンのイカした青い上下のスーツを見ていると
カッチョ良いぜ!俺も着たいぜ!欲しいぜ! さっそく明日上野のアメ横へ買いに行くぜ!となるのです。
ただスニーキー・ピートの黒いトレーナーみたいなヤツだけは 何でしょう これ? ダッサいですねぇ。

うーん このタイプの服は美川憲一がよく着ているヤツです。 つまりダッサいというかスニーキー・ピートは
美川憲一の影響を受けていて この服を見る限りでは相当の影響ですよね。 ちなみに胸の黄色い鳥は
良く見るとプテラノドンみたいなヤツで・・・そう翼のある恐竜のプテラノドンで・・・ホントこの服何なのさ?
なおジャケットに登場しているビューティフルな女性ふたりはメンバーではありませんので・・・念のため。

さて そんなイカした制服軍団がブチまけるサウンドはディス・イズ・カントリー・ロック!といった音で
カントリー・ロックってどんなの?という質問に それはこのアルバムの事だ!と0.1秒で答えるべき作品です。
バーズの「ロデオの恋人」がカントリー・ロックの「カントリー」部分ばかり耳につくのに対し このアルバムは
「カントリー」と「ロック」のバランスが非常に良く とにかく名曲オン・パレードで捨て曲無しの大傑作です。

けっこう変態的にスティール・ギターが鳴ってブッ飛ばすカッチョ良いA1から大興奮! と思いきや
スロー〜ミディアム・テンポ率が高く じっくり聴かせる曲が多いアルバムでもありますね。
そして 3拍子率も高く A2 A3 B2 B6 の3拍子軍団は石原軍団級! ・・・と 意味不明な事を
言ってしまうくらい素晴らしいという事です。 英エドセル社からの再発LPにてお届けしました。

関連レヴュー Gram Parsons 「GP」(1973)・・・第18号 「Another Side Of This Life」(2000)・・・第38号
 


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THE POGUES 「RED ROSES FOR ME」 (1984)
米 ENIGMA ST-73225 (LP)
A1 Transmetropolitan
 2 The Battle Of Brisbane
 3 The Auld Triangle
 4 Waxie's Dargle
 5 Boys From The County Hell
 6 Sea Shanty
 7 Dark Streets Of London
 B1 Streams Of Whiskey
  2 Poor Paddy
  3 Dingle Regatta
  4 Greenland Whale Fisheries
  5 Down In The Ground Where The Dead Men Go
  6 Kitty

英国のバンド ポーグスは1stアルバムの裏ジャケでお揃いのコートを羽織って制服ロックしておりますが
このコートは背中に「御意見無用」とか「夜露死苦」とか刺繍が入っていそうでとてもワルい風貌になっています。
真ん中に陣取るジェームス・ファーンリーのポケットにはウイスキーのボトルが入り 右端のケイトは缶ビールを持ち
やはり極めつけはシェイン・マッゴワン! 足に包帯を巻きステッキを肩にかけていて・・・凄い喧嘩上等ぶりです。

表ジャケットも左下のアンドリュー・ランキンは 卒業アルバムの集合写真を撮影する日に登校せず
結果丸枠に顔が追加されるタイプです。 もちろん病気やケガで休んだ訳じゃなく わざと登校しないタイプだし
この写真 よく見ると裏ジャケの顔の部分をトリミングしただけで テキトーでヒドいつくりのタイプでもあります。

・・・と ジャケットでこれだけ楽しませてくれますが 出てくる音もパンキッシュなアイリッシュ・トラッド・ロックで
とにかく楽しいし パンキッシュと言ってもアイリッシュ・トラッドを下敷きにした旋律はとてもメロディアスなので
非常に聴きやすく ロックな楽器と共に迫るティン・ホイッスルやアコーディオン等の楽器は郷愁も誘ってくれます。

エルビス・コステロがプロデュースした2nd「Rum Sodomy & The Lash」や 名曲揃いの彼らの代表作である3rd
「If I Should Fall From Grace With God」程の完成度は無いですが ポーグスの基本形は出来上がっていて
大騒ぎでブッ飛ばす楽しい曲を基本路線に スロー〜ミディアム・テンポで泣かせてしまうA3やB6があり
ビブラスラップもカアアァー!と入って まるでマカロニ・ウエスタンの挿入歌の如くなダサくてかっこ良いA5があり 
大騒ぎでブッ飛ばす曲の中でもB5は本当に大騒ぎで メンバーがウギャーと何度も何度も叫んでいますよ。

ここでのシェインの歌声はまだ若く 後のゲロを吐きそうな「ヤクザ声」までは行っていない「チンピラ声」ですね。
シェインは風貌も喧嘩上等であれば歌声もチンピラ声で キャラクターとしては完璧なので その完璧ぶりの
確認のためにアナタも1枚いかが? なおこれは米エニグマ盤ですが 英国盤はスティッフから出ていました。

関連レヴュー
The Pogues 「If I Should Fall From Grace With God」(1988)・・・第85号 「Pogue Mahone」(1995)・・・第5号
Shane MacGowan 「You're The One」(1995)・・・第170号 The Popes 「Outlaw Heaven」(2009)・・・第161号
 


TheFragileArmy.jpg TheFragileArmyInner.jpg
THE POLYPHONIC SPREE 「THE FRAGILE ARMY」 (2007)
英 GUT INSREC05V (LP)
A1 section 21 (Together We're Heavy)
 2 section 22 (Running Away)
 3 section 23 (Get Up And Go)
B1 section 24 (The Fragile Army)
 2 section 25 (Younger Yesterday)
 3 section 26 (We Crawl)
 C1 section 27 (Mental Cabaret)
  2 section 28 (Guaranteed Nightlite)
  3 section 29 (Light To Follow)
 D1 section 30 (Watch Us Explode (Justify))
  2 section 31 (Overblow Your Nest)
  3 section 32 (The Champonship)

非常に大勢のメンバーがお揃いの衣装を着ております! こと米国のポリフォニック・スプリーの3rdアルバム。
彼らはアルバム毎に衣装が変わり 1stの白装束 2ndのカラフル装束 そしてこの3rdでは黒い戦闘服です。
ただ衣装は変わっても スケールが大きくてピースフルでポップなサウンドは1stから貫かれていて
疾走感バツグンの A2 A3 からもう凄い事になっているし 制服ピースフル・ロックが大炸裂しています。

ちょっと大げさにやり過ぎかなぁと感じる瞬間もありますが 大合唱やホーンや木管類やストリングス類が
ロックな楽器に被さり 制服ピースフル・ロックを炸裂させています。 そこに乗っかるメイン・ヴォーカルの
オヤジが情けなさも漂う歌声を響かせ この絶妙な情けなさもまたポリフォニック・スプリーの魅力ですね。

この3rdは全編に渡りとにかく大炸裂!と言いたくなるテンションをずっと維持したまま進んで行きます。
D2で高揚感が最高潮に達して大炸裂! 最後に疾走感バツグン・タイプのD3が大炸裂!して
気持ち良く一気に聴かせてくれます。 ・・・いやLPなので盤を裏返す作業が入り一気には聴けません。
なので流れが途切れず一気に聴けるCDがオススメです。 と言いながらCDで一気に聴いた事は無く
体験していないのにオススメだとかテキトーな事をまた言ってしまって またテキトーな文書が大炸裂!です。

また 1st 2ndにあった長尺曲が無い分最もコンパクトにまとまっている印象で 楽曲の粒の揃い具合も
過去最高なのではないでしょうか。 ただやはり同じ路線のアルバムを3枚も作ると 曲のパターンが似てきて
飽きてしまうというのがあります。 そんなんで3枚中最も楽曲の粒が揃っていて最も盛り上がるのですが
聴く側の気分が中々盛り上がらないという・・・ 曲のパターンが似てきて飽きてしまうというのは仕方無いので
後は 同じような曲をこれでもか!これでもか!と やり続けて伝統芸化してしまうというのもありますね。
 
とにかくやり続けて何枚も何枚もアルバムを出す事が大事です。 少なくともあと10年はやり続けて
アルバムも7〜8枚出せば ポリフォニック・スプリーの制服ピースフル・ロックという芸は伝統芸化しますね。 
頑張れ!ポリフォニック・スプリー! 制服業界に新たな伝統芸能の歴史を作れ!

「The Beginning Stages Of...」(2002)・・・第151号 「Together We're Heavy」(2004)・・・第117号
 


LightningTree.jpg LightningTreeBack.jpg
THE SETTLERS 「LIGHTING TREE」 (1972)
英 YORK FYK 405 (LP)
A1 Streets Of London
 2 Was It Only Yesterday
 3 The World OF Thursday Morning
 4 Help Me Make It Through The Night
 5 Santa Margherita
 6 Just This Side Of Nowhere
 7 Snowbird
 B1 Hear Now
  2 speech extract From "I Have A Dream"
  3 Martin Luther King's Dream
  4 Do I Still Figure In Your Life
  5 Pigeons
  6 Through The Eyes Of Love
  7 Lighting Tree

制服フォークしまくる英国のセットラーズ。 3人の男共は長髪で ヒゲ面もいるし そこら辺のアンちゃんみたいな
格好をしていたら小汚くて見苦しかったでしょう。 ところがほら 制服のおかげで清潔感アップ! 好感度アップ!
もちろんスターのオーラも放ちまくり・・・では無いなぁ。 彼らはフォークというかムード歌謡を演ってしまいそうです。
このタイプの制服だとスターのオーラは出にくく 制服だから何でもかんでも良いっていう訳じゃありません。

スターのオーラが出ていないのに加え フォークな楽器を抱えたジャケットに反して出てくる音がフォーク度低く
ポピュラー・コーラス・グループといった趣ですよ。 彼らの他のアルバムはもっとフォーク度高いのか
どのアルバムも本作のような音なのかわからないけれど この音では制服フォークと言ってはいけませんね。
でもやはり制服フォークしまくりのジャケットで セットラーズこそが制服フォークの決定版!という事にしておきます。

男性陣のクセの無い柔らかいハーモニー・コーラスが中々心地良くて 女性ヴォーカルのシンディも
特別魅力的なヴォーカルだという事も無いけれど 素直で可愛らしい歌声を響かせていて好感が持てますね。
またラルフ・マクテルのA1やピート・デロ(ハニーバス)のB4といった名曲をカバーする すこぶるナイスな選曲は
ポイントが高いです。 ちょっとA1は大げさに盛り上げ過ぎの感があるけど ピート・デロのB4は良いですよー。

カバー曲中心ですが彼らのオリジナル曲も A2 A6 B5 と3曲あり その中でもフォーク度高いB5が良くて
ブラザース・フォーなんかを思わせるカレッジ・フォーク・タイプの曲なので けっこう古臭さも漂うけれど
どこか懐かしいメロディーがあり 指パッチンとタンバリンでリズムをとっていて とても可愛らしく響いてくれます。

・・・と 良い曲もあるけれど全体の内容から言って 積極的に購入して積極的に聴くような作品ではありません。
ただ 制服フォーク・マニアの人は積極的に購入しなければいけませんし 当然「制服」という言葉の響きだけで
興奮してしまう変態オヤジのアナタも積極的になるべきでしょう。 ほら! そこのアナタの事ですよ!
 

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