レコードにバーコードが印刷され出したのは1980年代なので すでに長い歴史がありますが
いまだにバーコードに納得いかないという困ったオヤジがいて困ってしまいます。
そこでレーベル側も直接ジャケットにバーコードを印刷しないような工夫をして
困ったオヤジが困らないで済むジャケットに仕上げてくれている昨今なのです。
ところがそんな困ったオヤジの髪型は全員バーコード・ヘアーだったりするじゃないですか!
バーコード・ヘアーのくせにバーコードに納得いかないなどと言ってしまうその心意気!
僕もはやくバーコード・ヘアーになって そんなオヤジの心意気を見習いたいです。


YearsBeforeTheWine.jpg YearsBeforeTheWineBack.jpg
THE THIRD ESTATE 「YEARS BEFORE THE WINE」 (1976)
米 VOID VOID42 (LP/2006)
A1 Years Before The Wine
   a. Destiny
   b. The Overcast
 2 Useless Things
 3 Look At Me
 B1 Kings
  2 Puppet City
  3 Think It's Time
  4 The Third Estate
    a. The Authority
    b. The Overthrow
    c. The Procession

LPでヤバい再発をする米ヴォイド・レコーズ。 米国バンド サード・エステイトの裏ジャケ右下のバーコードは
シールになっているのでバーコードに納得いかない困ったオヤジはシールを剥がしたら?という事でしょうか。
剥がしたら別のバーコードが印刷されたりしてね! あるいは「当たり」とか書いてあったらびっくりですよね。

しかし別のバーコードも「当たり」も書いて無いだろうな・・・というのも所有している他の何枚かのヴォイド作品に
バーコード自体印刷されていないのです。 ではなぜ本作だけバーコード・シールが貼られてるのかというと
このシールになったバーコードは頭の数字が「50」なのでイギリス流通用のバーコードだと思われるのです。

つまりアメリカで製造され アメリカからイギリスに輸出〜イギリスから日本へ輸出〜僕が購入という流れで
長旅の末に僕の手元に届いたと想像できる1枚ですよ。 バーコードがある事によってこんな想像ができて
どうです? バーコードも悪く無いでしょ? ねえ バーコード・ヘアーの困ったオヤジの皆さん!

しかしバーコードはシールにしたというのに表ジャケットには「30th Anniversary Limited Edition」と印刷され
何だかなぁ・・・だし この30周年記念盤は本当は7インチ・シングル付きらしいけど僕の手元にあるヤツには
7インチが付いていなくてとても悔しいです。 ああ悔しくて泣きそうです。 7インチが付いていないのは
バーコード・シールが貼られたイギリス流通盤だからなのでしょうか? いずれにせよ悔しくて泣きそうです。

クレジットを見るとメンバーは男性3人のようで アコースティックとエレクトリックのギターをメインに使った
フォーク・ロック〜サイケ・フォークをやっていて フォーク寄りのA面 ロック寄りのB面といった印象ですね。

ゲスト参加(なのかな?)の女性が歌うA1の「The Overcast」や こちらは男性が歌うA2といったあたりの
もの哀しく紡がれて行く楽曲は英国フォークにも通ずる匂いを放っているし 何だか知らないけれど湧き上がる
「レア盤ならではの凄いモノを聴いている感」もあるので まだ未聴のバーコード・ヘアーのオヤジの皆さん!
聴いて損は無いですよ。 ただ全編通して凄く良い!とまではいかないので聴かなくても損は無いですよ! 
 


MusicAndDreams.jpg MusicAndDreamsBack.jpg
ROBERT LESTER FOLSOM 「MUSIC AND DREAMS」 (1976)
米 MEXICAN SUMMER MEX 030 (LP/2009)
A1 Music And Dreams
 2 Ginger
 3 Biding My Time
 4 April Suzanne
 5 Weeping Willow Tree
 6 My Stove's On Fire
 B1 Spanish Lady
  2 Brown Eyed Lady With Blonde Hair
  3 A New Way
  4 Show Me To The Window
  5 Jerico (My Quiet Place)
  6 Please Don't Forget Me

ニューヨークのメキシカン・サマーというレーベルはやる事なす事全部正解でかっこいいです。
まずメキシカン・サマーという名前が正解だし LPしかリリースせずダウンロード・コードを付けるのが正解。
もちろんバーコードはステッカーにしてジャケットに印刷しないのは当然で 何といってもこの素晴らしい
ロバート・レスター・フォルサムのアルバムを再発したのが大正解! とにかく全部正解でかっこいいです。
なおメキシカン・サマーは再発専門レーベルでは無く 若いヤングなバンドの新譜なども出していますよー。

で この米国人ロバート・レスター・フォルサムですが ソフト・ロックで語られる事も多いようですね。
でも僕の腐った耳ではソフト・ロックには聴こえないです。 1976年作って事でポップさとメロウさが
AORギリギリ一歩手前で留まっている感じもありますが フツーに ギター ベース ドラムス キーボード
といったロック基本楽器でしっかり聴かせるシンガー・ソングライター作品として響いてきます。

時折 何でわざわざそんな音色にするのさ!と思ってしまうダサい音色のシンセが入ってビビりますが
バックでガチャガチャと鳴らされるアコギが基調になっている曲が多いし シンセがギュイーンと鳴っても
イヤーな感じはしませんね・・・というかイヤーな感じがしないどころじゃありません。 これ凄く良いですよ!

とにかく楽曲自体の良さが光っていて捨て曲が無く この人のメロディー・メーカーぶりにはびっくりですよ。
切ないメロディーが得意技で ミディアム・テンポの曲が多く カントリー臭やブルース臭も香ってこないし
アメリカ人作品だけど 何だかイギリスのポップなシンガー・ソングライターものを聴いているかのようです。
そして ふっとコリン・ブランストーンを思わせる ちょっと水分不足で乾いた感じの歌声もまた魅力的です。

なおコンパクト・ディスクでの再発は以前日本盤も出ていたし 現在も輸入盤が出ているようなので
レコード・プレイヤーを所有していないという困ったオヤジの方はCDで是非! とにかく急いで下さい!
その自慢のバーコード・ヘアーをなびかせ 今すぐ凄いダッシュでショップまで走って下さい。
 


HumanVoices.jpg HumanVoicesBack.jpg
THE TREE PEOPLE 「HUMAN VOICES」 (1984)
スペイン GUERSSEN GUESS055 (LP/2009)
A1 Human Voices
 2 Grandfather
 3 Opus II
 4 Things Fall Apart
 B1 Thomas
  2 Rain, Rain
  3 Dance
  4 If That's Entertainment
  5 Sketches

アメリカのトゥリー・ピープルというグループ。 この再発盤のバーコードはステッカー・タイプですが
これって1984年作品ですよ。 1984年くらいの時期のアメリカ盤LPにはもうバーコードは印刷されていて
実はオリジナル盤の裏ジャケにはばっちりバーコードが印刷されていたりしてね!
もしそんな作品であれば逆に再発盤にバーコードが印刷されていなくて怒り出すオヤジもいそうです。

そこでとっておきの安心情報! 本作は元々カセット・テープのみで製作された作品との事なので
オリジナルLP自体が存在しない世界初LP化作品なのです。 しかし世界初CD化とはよく聞くけれど
世界初LP化ってフレーズは中々使わないですねぇ。 でもこれからは1990年代〜現在にCDのみで
リリースされた作品が世界初LP化される事も増えそうで 実際に増えているのではないでしょうか。

それにしてもこのアルバムは凄く フットルースやゴーストバスターズがハイスクールはダンステリアな
商業ロックな1984年のアメリカに まるで1971年作かのような妖しげにゆらゆら漂うフォークですよ。
アコギにリコーダー又はフルートといった必殺の楽器構成が連発されて鼻血ブー!となっています。

ウォーター・イントゥ・ワイン・バンドの「Jesus I've Been Walking」という曲に似た暗いメロディーを持つA2。
そしてマイナー調のインスト曲が A3 A4 と連続するA面はけっこう怖いものがあり 呪い系でしょうか。

B面に入ると 2本のリコーダーのハモりがあまりにも素晴らしくて漏らしそうになる 軽やかに流れるB1。
それに続くB2にはオーケストラ・ベルが入り可愛らしく響き このB面冒頭の2曲で最も大興奮ですね。

しかしバーコード・ヘアーのオヤジに困った・・・と言ってたら裏ジャケ右側のオヤジはバーコード・ヘアー!
・・・では無いですね。 禿げ方がざっくばらんで一瞬バーコード・ヘアーに見えてしまいました。 すまん!
ざっくばらんに禿げたオヤジはバンドの中心人物のステファン・コーエンでヴォーカル&ギターやってます。
 


RainAndShine.jpg RainAndShineBack.jpg
THE CANTERBURY MUSIC FESTIVAL 「RAIN & SHINE」 (1968)
韓国 BEATBALL BEAT 6 (LP/2003)
A1 First Spring Rain
 2 Sunny Day
 3 Sharin'
 4 Why Does Everybody Run To Home
 5 Girl Of The Skys
 6 Super Duper Trooper
 B1 You're The Only Good For Me
  2 Mr. Snail
  3 Poor Man
  4 The Son Of A Preacherman
  5 Angelina
  bonus track
  6 Pamela

韓国ビートボール社のバーコードは帯に印刷されているので困ったオヤジが困らないで済みますね。
帯の他にもライナーノーツ&歌詞カードの紙が入っていてポスターまで封入されているという豪華仕様で
こんな体制だと困ったオヤジが困らないどころか ウハウハと喜んでしまうじゃないですか!
さあ困ったオヤジがウハウハ喜んでいる姿を想像してみてください・・・それはそれでまた困りますよね。

このビートボール社はかつてリンダ・パーハックスのLPを再発したメリー・ゴー・ラウンドも傘下にあり
リンダ・パーハックスの再発LPも 帯&ライナーノーツ&ポスター封入というウハウハ系のLPでした。
ただリンダ・パーハックスは英語のライナーだったけど 本作のライナーはハングル語! 要注意です。

で この米国のバンド カンタベリー・ミュージック・フェスティバルは内容をまったく知らなかったのですが
韓国のレーベルがわざわざLPで再発するのだから 儚げに美しく響くサイケ・フォークなのではないか?と
勝手に想像してチャレンジ購入してみたのですよ。 聴いたら割とフツーのサイケ期のフォーク・ロックで
ハーモニー・コーラスが多用されてアソシエイションなどを思わせるソフト・ロック寄りな音になっていました。

ただアソシエイション程のキャッチーさは無く ソフト・ロックだと思って聴くとけっこう地味な曲が並びます。
それじゃガックリ大賞なので ソフト・ロックだと思わないで聴けば困ったオヤジも困らないで済みますよ。

FMラジオの番組と番組のつなぎの隙間に流れてくるような のどかなインストA5がとても心地良いですし
シタール(の音色のギターなのかな?)が入る こちらもインストのB4も印象に残るナイスな曲ですねぇ。
そして素敵なサビのメロディー&フレーズを持ったボーナス曲のB6が気持ち良く最後を締めてくれます。

本作のオリジナル盤は激レアなようで それがビートボール社が再発LPを出した理由なのでしょうか?
でもレア盤ならではの「凄いモノを聴いている感」は香らず どういった楽しみ方がいいのかビミョーなので
是非ここはバーコード・ヘアーの困ったオヤジの皆さんに本作の楽しみ方を聞いてみたいところです。
 


Subway.jpg SubwayBack.jpg
SUBWAY 「SUBWAY」 (1972)
独 AMBER SOUNDROOM AS LP 049 (LP/2005)
A1 I Am A Child
 2 Song For Sinking Shelters
 3 Warm You Are
 4 All The Good Things
 B1 Enturbulaton-Free Form
  2 Arizona Sands
  3 Rosanna Of The Roses
  4 Can I Trade With You My Mind

今の時代 流通の問題でバーコードが無いと何かと不便なのでしょうが やはり元々バーコードなど
無ければ困ったオヤジは困らないで済むのです。 バーコードが付いていない作品を考えると
どれもマイナー・レーベルばかりで バーコードが無いのはマイナー・レーベルの証とも言えます。

・・・と前項までのレーベルもどれもマイナーですけど このドイツのアンバー・サウンドルームが
最もマイナーなのではないでしょうか。 流通の問題なんて関係無いぜ! 知るか! といった姿勢が
バーコードの付いていないジャケットから感じ取っていただければ幸いです。

いや でも このサブウェイったら・・・どうです?この2人の風貌。 どうです?このジャケットの色合い。
12弦ギターを持ったハゲオヤジはアメリカ人でIRV(アイラブとでも読むのでしょうか?)という名前。
バイオリンを持った英国人のマルコムも爆発するもみあげが只者ではない事を主張しています。
何だかわからないけれど凄い!と言いたくなる風格と凄みを放つジャケットじゃないですか!

基本路線はそこら辺のオヤジが歌っているかのようなあまり上手く無い不安定なヴォーカルにアコギと
ジプシー風バイオリンによる演奏で ドラムスやベースや鍵盤楽器が入る曲も何曲かあります。
トラッド臭は無く 曲のメロディーは覚えにくく インクレディブル・ストリング・バンドのようでもあります。

ジャケットのイメージそのままに 果たして何処なのだか誰も知らない森の隙間から垂れ流されるような
ヒジョーに妖しげな響きがありますが とにかく妖しいだけで それ以上でも以下でも無いので
何か妖しいのが聴きたい人向け・・・あるいはジャケットだけで興奮できる特異体質の人向けでしょうか。
当然僕はジャケットだけで興奮派。 もちろんジャケットにバーコードが無いのも興奮度アップ要因です。

しかしこれはアメリカ人とイギリス人の作品なのに1972年のオリジナル盤はフランスのみでリリースされ
この2005年の再発盤はドイツからリリースされ それを典型的な日本人の僕が聴いているという・・・
バーコード・ヘアーのくせにバーコードに納得いかないとか言っているオヤジも困ったモンですが
このような作品を聴いて喜んでいる典型的な日本人の僕が最も困ったヤツなのかも知れませんね。
 

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