ここ数年でディスクの形態の音楽ソフトは過去の遺物へとまっしぐらな訳です。
特にコンパクト・ディスクは今後 遺物化のスピードが加速しそうな危険物ですね。
そんな危険物なのに 英国フォークのCD化はまだまだ行われていて
CD化されたらされたで聴きたいから 思わず購入してしまうじゃないですか。
うっ・・・そしてまた手元に1枚危険物が増えてしまいました。 どうしてくれましょう。
とにかくコンパクト・ディスクは危険物なので取り扱いには注意しないと。
細心の注意を払って取り扱いましょう。


BeggarsHill.jpg
BEGGARS' HILL 「BEGGARS' HILL」 (1976)
英 TALKING ELEPHANT TECD156 (CD/2010)
1 New St. George
2 Cannily, Cannily
3 Jack Hall
4 Here's To The Last To Die
 5 Let It Be Me
 6 Who Knows Where The Time Goes ?
 7 When Will I Be Loved ?
 8 The Sailor Home From The Sea
  9 If You'd Been There
 10 Poor Ditching Boy
 11 Wild Rover

こちらはCD化されて話題になったかどうかわかりませんが 内容的にはマニアが興奮する要素が詰まった
女性ヴォーカル入り英国レア・フォークのベガーズ・ヒル。 オリジナル曲は無く カバー&トラッドという構成で
アコギを基調にした伴奏にフィドルやホイッスルやコンサーティーナやマンドリンが乗っかるフォークです。
基本はアコースティックな響きですがエレキ・ギターが入ってエレクトリック・トラッド風味の曲もあります。

幕開けの1曲目はリチャード・トンプソンの渋くて地味な曲のカバーで もう1曲 10曲目もこれまた地味な
トンプソン・カバーになっていますねぇ。 両曲とも「ヘンリー・ザ・ヒューマン・フライ」に収録されている曲で
両曲ともトラッド臭漂うアレンジで演奏されるので本当のトラッド曲か?と思ってしまうような渋い選曲です。

かと思うと ポピュラー・スタンダードの有名曲5曲目や サンディ・デニー作の有名曲6曲目なんかは
あまりにも色々な人がやり過ぎているカバー曲の定番とも言えるベタベタなカバーで渋さのかけらも無いです。
ところが このベタベタなカバーの2曲こそがハイライトで 5曲目は男性ヴォーカルの優しげなハーモニーと
バックで終始泳ぐフルートがとても素敵で 淡々と進行しながらもじわじわと感動を呼び起こしてくれます。
中々綺麗な歌声の女性ヴォーカルが歌い上げる6曲目も淡々と進行しながらもじわじわ感動タイプだぁ!

ホイッスルが可愛らしく入って やはりじわじわと感動が込み上げてくる8曲目なんかも たまらないですし
9曲目にこっそりとブリジット・セント・ジョンのカバーが入っているのはもうひとつのハイライトですね。

明るい曲も多く終始のどかに淡々と流れる感じなので 英国トラッド・フォークの何だか暗いのが苦手な人も
すんなりと聴けそうなタイプの1枚です。 そして かなりの感動がここにはあるので名盤!と言いたいですが
漫画チックな鶴の絵のジャケットがヒド過ぎでマイナス・ポイント・キャンペーンにつき名盤とは言えません。
これでもう少し素敵なジャケットだったらジャケットも含めて名盤!と言いたくなるのにねぇ。
 


MerryAndFine.jpg
MAC MURROUGH 「MERRY & FINE」 (1978)
英 KISSSING SPELL KSCD945 (CD/2008)
1 Rosemary Fair
2 Bunclody
3 Oh That The Wars Were Over
4 Boulavogue
5 The Croppy Boy
 6 Little Drummer Boy
 7 Lizzie Jefferies Jig
 8 The Lowlands Low
 9 The Verdant Braes Of Screen

10 Breton Dance & Musical Priest
 11 The Wexford Fishing Song
 12 The Old Man's Tale
 13 Follow Me Up To Carlow
 14 Duan Deoraí

マック・マーロウの3rd。 英国フォークでは無くアイルランドのグループだけどアイリッシュ・トラッドだけでなく
イングランドやスコットランドのトラッド曲も演ってます・・・とブックレットに書いてあるので演っているのでしょう。

前作までは男性1人女性2人の3人組で そよ風のような素敵な3人のハーモニー・コーラスが特徴的でした。
ところがこの3rd 女性メンバーが抜け男女デュオ状態になり そよ風のハーモニー・コーラスも後退し
男女が一緒にハーモニーで歌う曲よりも それぞれ単独で歌う曲が多く収録されるという大変化があぁ!

・・・と 大変化があぁ!と騒いでみたところで それは大変だ!とあたふたする人が一体何人いる事か。
全国的に0・5人位がいいところかな。 そんなグループのCDなんて遺物化確定の危険物ですよねぇ。
まったくこんな危険物をCD化してしまうなんて・・・キッシング・スペル・レーベルめっ! 憎いぜベイビー!

マック・マーロウはあくまで歌を聴かせるタイプで 美しいヴォーカル曲とフィドルやフルートやパイプなどが
暴れるインスト・ダンス曲が一緒に入った現代のアイリッシュ・トラッド・グループによくあるタイプとは違います。
バックに入る楽器は ギター ダルシマー コンサーティーナ ホイッスル バウロン・・・てな具合いですが
本当にあくまで歌の伴奏ですという感じで入るので これらの楽器が主張する事はありませんね。

そんなんで 一発で うおぉーこりゃー良いぜ! となるようなアルバムでは無いのでじっくりと耳を傾けて
2人の歌の世界に入り込んで聴くべき作品でしょうか。 いやヴォーカルはそれ程トラッドトラッドした節回しを
しないので BGMとして何となーく流していておいてもけっこうのどかで心地良く耳に入ってきますね。
しかしやっぱりメンバーが1人抜けてそよ風のようなハーモニーが無くなったのはホント痛くて・・・残念。

マック・マーロウをちょっと語った文章・・・2008年6月2日更新の表紙
 


Gwymon.jpg
MEIC STEVENS 「GWYMON」 (1972)
英 SUNBEAM SBRCD5046 (CD/2008)
1 Shwd Mae ? Shwd Mae ? (Hello ? Hellow ?)
2 Brenin Y Nos (King Of The Night)
3 Cura Dy Law (Clap Your Hand)
4 Traeth Yn Obaith (The Beach Of Despair)
5 O Mor Lan Yr Oedd Y Dwr (O How Clear Was The Water)
6 Galarnad (Lament)
7 Merch O'r Ffatri Wlan (The Girl From The Wool Factory)
8 Gwely Gwag (Empty Bed)
  9 Mynd I Weld Y Byd (Off To See The World)
 10 Daeth Neb Yn Ol (Nobody Came Back)
 11 Carangarw (Kangaroo)
 12 Mae'r Eliffant Yn Cofio Popeth
    (An Elephant Remembers Everythimg)
 bonus tracks
 13 Dic Penderyn (live)
 14 Santiana (live)

出た! 子煩悩! そう ウェールズ一の子煩悩フォークことマイク・スティーヴンスの2ndアルバムです。
ウェールズ語のアルバム・タイトルは全国的に読めないようで ローマ字読みの読み方適当シリーズと
前置きをしなくても全国的に「グゥイモン」と読まれていて 全国的に読み方適当シリーズの元祖ですね。

1st「アウトランダー」は凄みを放つサイケデリック・フォークの傑作でしたが 本作はもっとシンプルな音で
ガチャガチャとかき鳴らされるアコギにドラムスとベースという構成のフォーク・ロック曲がほとんどです。
曲調も明るいのが多いので 何かアコギ・ガチャガチャでネオ・アコースティック的な響きも感じますね。

変化球は1曲目の冒頭に語りと効果音が入るのと 12曲目にヒュウウゥーと演奏用ノコギリが入って
オバケの登場シーン状態になりますが あとはホントにシンプルなフォーク〜フォーク・ロックですよ。
それでもやはり彼の説得力のあるヴォーカルのせいなのか「アウトランダー」程では無いけど凄みが放たれ
聴く者をウェールズ一の子煩悩フォークのワールドへグイグイと引き込んでくれるナイス・アルバムです。

またウェールズ語の響きがサイケデリックな感覚を煽ってくれ 凄みを感じさせてくれるのかも知れません。
ウェールズ語の響きはスペイン語訛りのフランス語をイタリア人が話すような響きでしょうかねぇ。
・・・ってどんな響きだかわからなくなってきましたが ウェールズ語をすんなりと受け入れられるかどうかが
本作を楽しめるかどうかのポイントのひとつでもあり もしハマればアナタも子煩悩へ一直線でしょうね。
そう とにかく子煩悩なのです。 もちろん1974年のライブ音源のボーナス・トラックも子煩悩ですよ。

マイク・スティーヴンスの子煩悩ぶりについて書いたページ
「Outlander」・・・第146号 2008/12/22 入手困難英国フォーク再発CDは目クソか鼻クソか
「Rain In The Leaves」・・・第119号 2006/11/12 新たなキッシング・スペルになれるか?サンビーム社
 


AliceThroughTheLookingGlass.jpg
PETER HOWELL & JOHN FERDINANDO
「ALICE THROUGH THE LOOKING GLASS」 (1969)

英 ACME/LION PRODUCTIONS ACLN 1015CD (CD/2010)
1 The Alice Theme
2 The March Of The Chessmen
3 Jabberwocky
4 Dance Of The Talking Flowers
5 Alice's Train Journey
6 Through Looking Glass Wood
7 Dum & Dee
8 The Walrus & The Carpenter
9 Alice Meets The Knights
 10 A-Sitting On A Gate
 11 Her Majesty Queen Alice
 12 Whose Dream ?
 bonus tracks
 13 March Of The Chessmen, Part 1
 14 Alice Incidental Effects
 15 Whose Dream ? Section

 16 Whose Dream ? Section, Part 2
 17 Alice's Train
 18 Alice's Train, Part 2
 19 Alice Incidental Effects, Part 2
 20 Jabberwocky Part
 21 A-Sitting On A Gate, Section
 22 Dance Of The Talking Flowers Instrumental
 23 Alice Incidental Music
 24 Jabberwocky, Acoustic Section
 25 Whose Dream ? Try-Out

ピーター・ハウエル&ジョン・フェルディナンドの鏡の国のアリスがやっとコンパクト・ディスクにて登場!
オリジナルLPは激レアで有名ですが 1990年代後半には英テンス・プラネットからLPのみで再発され
2008年には英アクメから又もやLPのみで再発されていた作品が 2010年にやっとCD化された訳です。

しかしこのテの作品のLP再発盤などを購入する人種はそれなりに狂ったマニアに限られていたけれど
さてCD化されてしまうと狂ったマニア以外の良識ある一般市民にもこの音が届けられる事になりますね。
正直 狂ったマニアからしたら良識ある一般市民になどこの音を聴いて欲しくないし語って欲しくないので
CD化にはがっかりでしょうね・・・っつーか良識ある一般市民はこんなモン買わないよな!

で 内容は演劇のサントラ用音源なのでインスト曲が中心だし セリフや観客の拍手なども入るのだけど 
1曲目からリコーダーが可愛らしいメロディーを吹いて鼻血ブー! 卒倒! 即死! 大必殺!です。
それ以後もヴォーカルが入る曲は数曲しか無いし サウンドもフォークとは言えないけれど
鳥のさえずりが聴こえてきて気絶! グロッケンシュピールが聴こえてきて脱糞! アニキ これ すげぇよ!

楽曲自体の良さはトゥモロウ・カム・サムディ〜イサカ〜アジャンクール〜フレンズの2人だから保障済みだし
雰囲気は村の演劇会〜森の音楽会なので そんなキーワードにピンときてしまう人には必須アイテム。
また1曲1曲抜き出してどうこうという事では無くアルバム全体で雰囲気を感じ取る作品ですね。

ボーナス曲は大半が1分に満たない短い曲になっていて 本編の別ヴァージョンみたいなのも多いし
残っていた録音をとにかく全部ブチ込みましたという感じで 13曲もあるけどあまり有り難味は感じません。
LPを所有していて ボーナス曲目当てにCDの入手を迷っている人は購入する必要は無いでしょうね。

なお こちらも素晴らしい内容のトゥモロウ・カム・サムディも本作と同時にCD化されたのですが
ピーター・ハウエル&ジョン・フェルディナンド関連の作品で 2人の名前がジャケットの表に出ているのは
本作だけなので細心の注意が必要です。 そう 危険物につき細心の注意を払って取り扱いましょう。

ピーター・ハウエル&ジョン・フェルディナンド関連作を書いたページ
Agincourt 「Fly Away」・・・第40号 2001/7/14 もうこもった音じゃないと満足できない
Friends 「Fragile」・・・第101号 2005/6/24 読み方適当シリーズで恥ずかしくなろうぜ
 

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