ヴァシュティ・バニヤン・・・リンダ・パーハックス・・・ジュディ・シル・・・
昨今 儚く美しい女性フォーキーを語る際の紹介文にこの3人が
引き合いに出される事がヒジョーに多くて これはいけません。 あーいけません。
だって実際聴いてみると あれれ? 全然違うぞ? てな事が多いですからね。
そんなこんなで考えた結果 24時間後にこの3人の名前を出す事は禁止とします。
それでも彼女たちが引き合いに出されていたら そりゃー聴いてみたくなるので
こっそりと名前を出すのはオッケーにしましょう。 こっそりとね!


IRetur.jpg
TURID 「I RETUR」 (2003)
スウェーデン SILENCE SRSCD 3629 (CD)
1 Song
2 Den Gamla Vanliga Historien
3 Klagovisa
4 Om Snällhet
5 Tom I Bollen
6 Bilder
7 På Tredje Dagen Uppståndna
  8 Stjärnor Och Änglar
  9 Välkomme-Hus

 10 Ödegårdar
 11 Nyckelbanepigevisa
 12 Sometime I Think Age Is A Treasure
 13 Låt Mig Se Dig
 14 Vargen
 15 Shri Ram
 16 Vakna Mitt Barn
 17 Visa Om Imperialismens Taktik
 18 Och Sommar'n Kom
 19 Crystal Shade Of Loneliness
 20 Tintomaras Sång (i Kolmården)
 21 Vittras Vaggvisa

スウェーデンのトゥリドという人が1970年代に発表した3枚のアルバムから中心に選曲した編集盤。
1曲目からフルートも入ってゆらゆらと漂い流れるような素敵な響きでリンダ・パーハックスかのようです。
穏やかなシンガー・ソングライター風味の2曲目はジュディ・シルかのようで こちらもたまりませんねぇ。
そして1分も無い無伴奏の3曲目はトラッド・シンガーの歌うトラッド曲を聴いているかのようですよ。

・・・と各アルバムからバラバラに散りばめられ収録されているので 冒頭の3曲を聴いただけでも
けっこうサウンドの違いがあります。 そして1曲1曲はとても良いのに最初から最後まで通して聴くと
何かイマイチ気分が盛り上がらないんだよねぇ。 これはバラバラ散りばめ作戦がよろしくないのかなぁ。
21曲入りで長過ぎるのもあるのかも知れません。 妖しげにゆらゆらと漂う曲も多くてナイス!なので
はやくそれぞれのアルバム単独で再発をしてもらって アルバム単位で聴いてみたいですねぇ。

気になる曲を挙げると フルート&アコギ&ダブル・ベースの必殺パターンでゆらゆらと漂う6曲目。
ディランの「Tomorrow Is A Long Time」似のメロディーにググッとくる穏やかなフォーク・ソングの12曲目。
鳥のさえずりをバックに無伴奏で歌う15曲目。 そして20曲目にも鳥のさえずりがあぁー! ぬおぉー!
そして最後の21曲目は全曲中最もリンダ・パーハックスを感じさせる もの哀しく美しい曲だあぁぁ!

彼女の細かく震える歌声はサリー・オールドフィールドみたいでもあり ちょっと演劇的な節回しもあるので
クレア・ハミルみたいだなぁと感じる瞬間もありますね。 歌声自体はそんな感じで儚げでは無いのですが
スウェーデン語の響きが英語とはまったく違う感触で そこに神秘的で儚げな感触がプラスされています。

なおこのCDはスウェーデン盤なもんでブックレットもスウェーデン語でいっさい読めない事になっています。
この間英RPMからも編集盤が出た(曲数が少ない)ので 英語の文章がいい人はそっちを買いましょうね。

さて ところでいきなりリンダ・パーハックスとジュディ・シルを引き合いに出してしまったのですが
24時間後に彼女たちの名前を出すのは禁止になるので禁止になる前に早めに出しておいたのですよ!
 


MaisonRose.jpg
EMMANUELLE PARRENIN 「MAISON ROSE」 (1977)
米 LION PRODUCTIONS LION 611M (CD/2006)
1 Ce Matin A Frémontel...
2 Plume Blanche, Plume Noire
3 Liturgie
4 Thibault Et L'Arbre D'Or
5 Ritournelle
  6 L'Echarpe De Soie
  7 Topaze
  8 Belle Virginie
  9 Ballade Avec Neptune
 10 Maison Rose
 11 Après L'Ondée
 12 Le Rêve
 bonus track
 13 Voyage Migrateur

この人はフランスの人でエマニュエル・パルーナンと読むようです。 このアルバムは半分位インスト曲なので
ヴォーカルをメインに聴かせるアルバムという感じではありませんね。 またヴォーカルは美しい歌声ですが
やはり何ですか フランス語で歌うとその節回しや譜割りのせいなのかシャンソン風に聴こえてしまいます。

そんな作品なのでヴァシュティ・バニヤンやリンダ・パーハックスやジュディ・シルを引き合いに出して語るような
儚く美しい女性フォーキーでは無いのではないか?というと 儚く美しきフォーキーを感じられる作品でもあるし
この幻想的な感じは引き合いに出すならリンダ・パーハックスですね。 まあ あえてリンダ・パーハックスを
引き合いに出す必要も無さそうですが24時間後に禁止になってしまうので今のうちに言っておかないとね!

クレジットを見ると彼女の演奏楽器はハーディー・ガーディー スピネット ダルシマー パーカッションで
これらの楽器を操っているところを見ると元々古楽やトラッドの演奏を学んだ人ではないかと思われます。
あとはその他の演奏者によるギターやフルートやドラムスが少々入る程度で アコギで弾き語るタイプの
フォークなんかと比べるとけっこう特殊な感じの楽器構成ですが 実際に出てくる音はそこ迄特殊な事も無く
数多く存在するサイケ・フォークと呼ばれるような曲と並べて聴いても違和感無く聴ける音ですね。

夕暮れの幻想的な空の色を思わせるようなインストの1曲目はトラッド臭も漂い このアルバムは
こういう作品だ!と宣言しているかのような響きがあり ヴォーカル入りの2曲目はフツーのフォークっぽいけど
シャンソンのように聴こえてしまうフランス的な曲。 その後は幻想的に漂うインスト曲とヴォーカル入りの曲が
ほぼ交互に出てくるという構成になっています。 終始穏やかに しかし妖しく じわりと迫ってきますよー。

フルートが泳ぎまくる最後のボーナス曲は「ヴァヤージ・身勝手」というフレーズが繰り返される変な曲で
演劇(?)のサウンドトラック用に録音された曲との事です。 このボーナス曲を入れても38分ちょっとという
収録時間は良い塩梅になっていますが 何かジャケットが魅力的じゃなくて 内容とリンクしないんだよなぁ。
これでジャケットが内容とバッチシ合うような図柄だったらもっと思い入れが強くなりそうなんだけどね。
 


ColourGreen.jpg
SIBYLLE BAIER 「COLOUR GREEN」 (2006)
米 ISOTA sody036 (LP)
A1 Tonight
 2 I Lost Something In The Hills
 3 The End
 4 Softly
 5 Remember The Day
 6 Forget About
 B1 William
  2 Says Elliott
  3 Colour Green
  4 Driving
  5 Girl
  6 Wim
  7 Forgett
  8 Give Me A Smile

ドイツのシビル・バイエルという人の作品。  収録曲は1970年代前半に録音された音源ですが
当時アルバムとして製作された訳では無く プライベートに録音された音源をアルバム化した作品です。
つまり存在するはずのなった作品が21世紀になって存在してしまったという事で・・・これは大問題です。

正直このようなプライベートに録音されたアマチュア〜セミプロの音源などは鬼のように存在する訳で
本当に1970年代にドイツでプライベートに録音されたのかどうかもわかったモンじゃありませんよね。
こんなモン儚く美しい女性フォーキーのブームに乗ってレコード化さたと考えるのが妥当ですね。
またそれを気持ち悪い音楽マニアの僕が遠く離れた日本で聴いているという事実・・・やはり大問題です。

・・・と色々言ってみたところで 針を落として出てくる音は劇的に良く このような音が聴けるのであれば
いつ録音されたかなんてどうでも良い事だし 誰が演奏し歌っているかさえも もう意味なんてありません。
このレコードから流れてくる音に感動できるかどうか 結局それだけなんですよ。

ギター1本の弾き語りにシビル・バイエルのモゴモゴと発音があいまいな感じのヴォーカルが乗っかり
マイナー調の哀しげな曲が多くを占める儚く美しい女性フォーキー作品です。 今にも消え入りそうな
3拍子のA6なんか即死級ですが 全体があまりにも地味なので良い雰囲気を感じとれるかどうかが
勝負でしょうか。 最後のB8だけはストリングスが被さっていてこれは後から被せたっぽいですね。

日本盤があったら「1970年代初頭に録音された知られざる幻の音源が今蘇る!」とでも帯に書かないと
いけませんね。 これは嘘のようなホントの話で奇跡のような現実・・・存在するはずのなった作品が
今ここに存在しているという不思議・・・そう 知られざる幻の音源は本当に蘇ってしまったのです。

シビル・バイエルの儚げな雰囲気は引き合いに出すのであればヴァシュティ・バニヤンでしょうね。
もちろんヴァシュティも24時間後には引き合いに出す事が禁止になるので24時間以内に聴きましょう。
 


FromAWindowToAWall.jpg
NOA BABAYOF 「FROM A WINDOW TO A WALL」 (2007)
米 LANGUAGE OF STONE 008 (CD/2008)
1 Prelude
2 A Song For Me
3 Indian Queen
4 Marching Band
 5 Loving You
 6 One Song
 7 At Your Death
 8 Cotton Strings
  9 Midtown Fair
 10 This Years Parade
 11 Before Sleep
 12 Them That Are Writing These Songs

時代はググッと飛んで21世紀の儚く美しい女性フォーキー ノア・バベイオフ(読み方適当シリーズ)です。
この人はイスラエルの人で 手元にあるのは米盤CDですが オリジナルは2007年のイスラエル盤との事です。

アルバムの幕開けを告げるクラシカルなストリングスによるインストの1曲目から 終始程よくストリングスや
ハープやリコーダーなどが入って もの哀しい雰囲気のある室内楽風フォーク曲が連発されますよ。
囁き系のヴォーカルはヴァシュティみたいで 低音部分のまろやかな感じはブリジット・セント・ジョンも思わせ
儚く美しい女性フォーキーはこうでないと!という要素が完璧な事になっていて恐るべし!な内容です。
ところがところが聴いていてイマイチ盛り上がらない。 うーん これは一体どういう事でしょうねぇ。

本作はエスパーズのグレッグ・ウイークスがプロデュースしていて レーベルもグレッグ・ウイークスのレーベルで
バックの演奏もエスパーズ〜ファーン・ナイトのメンバーなど そっち方面の人がバックアップしています。
実はここがイマイチ盛り上がれない原因なのかも。 「そのテ」のサウンドをそっち方面の人が作り上げるという
いわゆるコムロ・ファミリー状態 つんく・ファミリー状態に陥っていて 面白く無く感じてしまうのですよねぇ。

素材となってしまった彼女は悪くないので このグレッグ・ウイークス・ファミリーから離れた時驚異的な傑作を
出すのではないでしょうか。 さあじゃあどのファミリーに行く? 思い切って欽ちゃんファミリーはどうですか?

さて 彼女のような最近の芸人さんはフリー・フォークとかフリーク・フォークで語られてしまう傾向があり
ここら辺のタイプの人には ヴァシュティ・バニヤン リンダ・パーハックス ジュディ・シルあたりの名前は
100パーセントの確率で引き合いに出されますね。 いや それ以上・・・200パーセントの確率ですよ。
つまり女性ヴォーカルのフリーク・フォークは200パーセント勝つ!こと安生洋二級だという事だし
もっと言えば1000パーセントなカルロス・トシキです。 そんなカルロスはブラジルに戻ってしまったようで・・・

・・・と 言っている事が無茶苦茶になってきましたが 21世紀の儚く美しい女性フォーキーには遠慮せずに
ヴァシュティ リンダ ジュディの名前をどんどん引き合いに出していこうぜ!って事です。 こっそりとね!
ああ そうだ 欽ちゃんファミリーもいいけど 長いセリフを覚えて橋田ファミリーに入るのもアリかなぁ・・・
 

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