中古盤をサクサクやっていると出てくる 見た事も無い何だかわからないレコードたち。
そりゃー世界中で毎年・毎月・毎日新作が出ているのだからそんなレコードは増える一方です。
さてじゃあ今引き抜いたその何だかわからないレコードを購入してみようかな。
え?そんな内容もわからない何だかわからないレコードを購入する意味がわからないって?
逆に僕は内容がわかるレコードしか買わない確実・堅実体質の方が意味がわかりませんよ。
聴くまでどんなんだかわからないって面白くありませんか? ワクワクしませんか?
出会ってしまったのが運のツキ。 今購入しないともう二度と見かける事は無いかもよ!
で 聴いてみるとたいがい 何じゃこりゃ? 失敗したぁー・・・となるのですけどね。


TimeTicksByAndThereYouAre.jpg
HOLLY MAY 「TIME TICKS BY AND THERE YOU ARE...」 (2002)
オーストリア TROST TR 083 (LP)
A1 Cadillac Walker
 2 Miracle Doctor
 3 For You Won't Drown
 4 Jenny's Start
 5 Make
 B1 Fine Fine
  2 Virgina & Tiffany
  3 Could I ?
  4 Say Hello
  5 Nice Writer

中古盤をサクサクやって出てくる何だかわからないレコードを引き抜いたらまずはジャケ裏を見てみます。
楽器構成やレーベルなどの情報で音を勝手に想像しますが やはり決め手はジャケットですね。
買うか買わないかは9割方ジャケットで決まっていて ジャケットにピンと来なかったら引き抜かないもんね。

ところがこれはジャケットは魅力的ではなかったけれど なぜか体が反応して引き抜いてしまった1枚。
そして裏ジャケの文字情報は曲目とレーベルの住所(ヴィエナ)のみ。 ジャケットも魅力的じゃないし
文字情報からもその音楽性を想像できないとなると いつも以上に妄想が膨らむってゆーモンで
ホリー・メイというオーストリア人女性シンガー・ソングライターだと勝手に決め付けて購入してみました。 

ところが開けてびっくり ギター ベース ドラムスの女性3人組でした。 基本は3人のシンプルな演奏で
キーボードやチェロが入る曲もあり ロックと言うよりもギター・ポップと言った方が良い音ですかね。
昔 女性ヴォーカルのギター・ポップでヘヴンリーというバンドがあったけど ヘヴンリーをもう少し
落ち着かせたような感じで 落ち着きの部分は マイナー調の切ないメロディーの曲が多いからですね。

当然ヘヴンリー同様に完成度は低く エフェクターを通してなさそうなエレキ・ギターをガシャガシャと
コード弾きまくり派です。 ヴォーカルは決して上手く無いけれど素直な感じで中々可愛らしい声ですね。

ホリー・メイはこれ1枚しか出ていないのか メンバーは他のバンドでの活動やソロ活動もしているのか
調べていないのでわかりませんが ひとつだけわかった事は ホリー・メイは個人ではなくバンド名です。
それだけわかっただけでも もうけもの! ああ 何だかわからないレコードを購入して良かったー。
 


ClickEtCrague.jpg ClickEtCraguePull.jpg ClickEtCragueBack.jpg
MONSIEUR MO RIO 「CLICK ET CRAGUE」 (?)
独 FUCKY LAIBEL FUCKY 04 (LP)
A1 Click Et Craque
 2 Filles De Mon Village
 3 Toujours L'Amour
 4 Valse De La Vie
 5 Je Chante
 6 Dolly Rag
 7 Tes Douce Douze
 8 Le Coiffeur
 9 Julie
10 Sous-Le-Pond
 B1 Un Schmou
  2 Hippie Chick
  3 Domaine Naturiste
  4 Une Chanteuse
  5 Bonjour Soleil
  6 Tip Top Daddy
  7 Un Jeu Pour Toi
  8 La Plus Belle Du Plage
  9 Pinache, Pinache...
 10 Promenade

これは100円ポッキリで入手したのですが 基本的に100円盤はカス盤なので期待せずに聴けますね。
期待していない分 内容が悪くても納得できるし 内容が良かったらいつもの倍は嬉しいじゃないですか!
いつもの倍嬉しくなれるのだから 100円のカス盤であればこそ積極的に購入するべきなのですよ。

で この何だかわからないレコードがとても良かったのです。 ひゃっほーい! 嬉しさ倍倍ゲームだぜ!
いやぁ こーゆーのに出会う事があるから何だかわからないレコードはやめられないのです。

本作のレーベルの住所はベルリンなのでドイツ盤なのですが 曲名はフランス語・・・だよね? これ。
という事でフランスのグループ(個人かも)のようです。 色々な楽器や効果音を使ったおもちゃ箱系の
アマチュア宅録ポップスといった趣で 完成度の低いうだうだな感じが逆にとても愛おしく響きました。

ヴォーカルは優しい感じの歌声の男性がメインに歌っているようですが 音程は不安定で歌もうだうだですよ。
ローファイとかエレクトロニカとかいったキーワードで語ってもよさそうな そんなサウンドでもあるので
1990年代中盤以降〜割と最近の2000年代の作品かと思われます・・・と この作品について調べたくは
なるのですが調べません。 何だかわからないレコードは何だかわからないままの方が面白いのです。

また内容もさることながら本作をより一層愛おしくさせてくれるのはギミック・ジャケットになっている事で
ギミック部分を引っ張ると絵柄が変わるのですが 引っ張るのはいいけど 戻す時紙がひっかかってしまい
うまく戻らないという作りの甘さがまた愛おしいのですよ。 バンド・メンバー総出でギミック部分を
張り合わせたりしているんだろうなぁ。 いや 個人かも知れないので完全にひとりで張り合わせたのかも。
バイトを雇って時給650円でやってもらっていたりね。 いやいや 内職方式のバイトで1枚10円かもよ。
ああこんなにたくさん妄想ができるなんて 何だかわからないレコードを購入して良かったー。
 


TransparentLife.jpg TransparentLifeBack.jpg
WALKER KONG 「TRANSPARENT LIFE」 (2004)
米 MAGIC MARKER MMR 027 (LP)
A1 Beginning Of The Falls
 2 The Leisure Class
 3 Halo Coming Down
 4 Battleship Of Thieves
 5 Blood Of Robert Frost
 6 Transparencies
 B1 The Neutral Kids
  2 Margot Andilieu
  3 Invisible Camera
  4 The Perfect Line
  5 The Salt Lick

ジャケット両面が手刷りのシルク・スクリーンになっている1枚。 絵柄はまったく魅力的では無いのだけど
前項のギミック・ジャケにしても このシルク・ジャケにしても 盤に刻まれた音と同じ位・・・あるいはそれ以上に
ジャケットに労力を使っていてホント偉いです。 まあ 偉くても実体は何だかわからないレコードですけど・・・

このミョーなジャケットでは音楽性が読みにくいですが 中に入っていた紙によるとメンバーは7人で
名前の感じからいって内3人は女性と思われます。 ただヴォーカルは男性で ビミョーに下手ですねぇ。
そして7人中3人がパーカッション担当になっていますが その割にパーカッションを生かした曲は全然無く
あとはトランペットを吹くメンバーがいて ゲスト参加者によるストリングスも入っていてけっこうポップですね。

これはキンダーコア・レーベルとかのバンドを思わせる カントリーやブルースの要素が薄いタイプの
アメリカのギター・ポップ・バンドの1枚として語っていい内容ですね。 ストリングスやトランペットの入り方が
中々魅力的だし B5の最後の鳥のさえずり&ストリングスのフレーズなどもとても素敵だったりします。
ただ その昔何だかわからないレコードだったけどジャケ買いしてしまったキンダーコア・レーベルの
エセックス・グリーンの「Everything Is Green」のように あぁ良いなぁ・・・うっとり・・・とまではいかないですね。

本作は300枚の限定盤で 裏ジャケットの右下に194/300とエディションが入っています。
300枚限定だと出た瞬間にレア盤じゃないですか! やった! レア盤! 俺レア盤持ってる! 俺凄い!
でもこの程度の内容だと メンバーの誰かが大活躍して凄い有名にならないと あの人が在籍していた
ウォーカー・コングのレア盤が!とはならないで ただのカス盤としてゴミ扱いされるだけですけどね。
楽曲提供している中心人物はジェレミー・アッカーマンという人。 有名になれるかな? 覚えておきましょう。
 


StillLookinGoodToMe.jpg StillLookinGoodToMeBack.jpg
THE BAND OF...BLACKY RANCHETTE 「STILL LOOKIN' GOOD TO ME」 (2003)
米 THRILL JOCKEY THRILL 138 (LP)
A1 The Train Singer's Song
 2 Searing Wine
 3 Rusty Tracks
 4 Mope-A-Long Rides Again
 5 Getting It Made
 6 Under The Table
 B1 Working On The Railroad
  2 Bored Lil' Devil
  3 The Muss Of Paradise
  4 Left Again
  5 The Moons Of Impulse
  6 Airstream
  7 My Hoo Ha
  8 Square

これは2003年にリリースされた当初新品で見かけて ジャケットが良かったので気になったのですが
新品なのでそれなりの価格だったし 財布と相談した結果購入せず その後存在を忘れていた1枚です。
中古盤をサクサクしていたら出てきて おお! あの時のあれだ! そして今はこうやって手元にありまーす。

何だかわからないレコードではあったけど裏ジャケ文字情報が多く 使用楽器にペダル・スティールとか
スライド・ギターとかあったし ゲスト参加者にニーコ・ケースとかキャレキシコなどの名前があり
オルタナ・カントリーな内容が想像できていました。 で 聴いたらカントリー・ロック寄りの音だったけど
何だかひねくれた楽曲展開な上に うだうだな感じでダラダラし過ぎで・・・つまり相当良いって事です!

低音でジェントルな声のオヤジがヴォーカルで 歌い方は語り系だし 音程も上手くとれていなかったりして
ルー・リードがジョナサン・リッチマンの真似をして歌っているかのようで ダラダラを増幅させてくれますね。

曲によって スタジオ録音だったり 屋外録音だったり ライブだったり 今まで録音していた曲の
寄せ集めなのですが スロー〜ミディアム・テンポの曲ばっかりだし 全編を貫く心地良いダラダラ感が
アルバムとしての統一感を構築しています。 弦をわざと緩ーく張って不安定な音を出したかのような
ギターがうだうだに響く上にチェロが乗っかる最後のB8とか もう最高に心地良いですねぇ。

裏ジャケには 最初のレコードから20年〜本作は4枚目って印刷されていました。
となると最初のレコードは1983年かぁ。 かなりキャリアの長いオヤジがやっているバンドなのですね。
しかしこのうだうだで心地良い音を聴く事ができて 何だかわからないレコードを購入して良かったー。
是非他のアルバムも聴いてみたいので また中古盤をサクサクやりに行かないと!
 


BlackHurtsDayAndTheNightRollsOn.jpg
MUMM-RA 「BLACK HURTS DAY AND THE NIGHT ROLLS ON」 (2006)
英 COLUMBIA BEXHILL03 (10")
A1 Song B
 2 There She Is
 B1 Light Up This Room
  2 The Temple

これは4曲入りの10インチEPですが とても可愛らしいジャケットだったので購入してみました。
この「Mumm-Ra」という字面は何か見た事あって・・・割とよく見かける字面・・・たぶんヤングなロック・・・
ヤングなロックで間違い無いだろう・・・と想像していたのですが 聴いたらヤングなロックで正解でした。
 
いくらジャケットが可愛いからといっても このあたりの作品はCDだったら絶対に購入していませんね。
何だかわからないからこそ聴いてみたいというのもありますが やはり大きなジャケットが魅力であり
これもジャケットは6つ折りになっていて開くと大きなポスターになるという魅力満載なタイプでした。

・・・と紙の面積は大きいのにクレジット関係が全然載っていなくて いつも以上に想像をするハメに。
作者も全曲「Mumm Ra」になっているし・・・もしかしたらバンドでは無くて1人モノなのかな?
でもこの音を聴く限りでは5人組くらいのバンドに聴こえ あまりクセの無い男子ヴォーカルが歌い
そこにハーモニー・コーラスも頻繁に被さります。 また英国盤なので英国バンドだと思われますよ。

ジャケットにトランペットが登場していますが 実際にA1とB2にトランペットが入っていて
トランペットを吹くメンバーがいるのかしらん? サウンドはヘヴィー・メタルのメタル部分を薄めたような
爆発力のあるロックで こーゆーのはエモと言うのでしょうか? エモをよく知らないので何とも言えません。

B1だけはドラムスが入らずギターのみでアコースティックに展開しますが まるっきりフォークを感じず
ロックの人のアルバムにたまに1〜2曲入っていたりするアコースティックな曲といった雰囲気です。
楽曲のメロディーは泣きの入ったマイナー部分が印象に残り やっぱり英国のバンドっぽいですね。
 
・・・と想像ばっかりしていないでインターネットで調べてこのバンドの正体を知っちゃうのもアリだけど
せっかく知らないのだから知らない事を楽しまないと。 それが何だかわからないレコードの楽しみ方。
そんな楽しみを知ったら 堅実・確実体質のキミも何だかわからないレコードが欲しくなってきただろう?
そして思い切って購入してみたら 何じゃこりゃ? 失敗したぁー 騙されたぁー・・・となるんだけどね! 
 

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