女性ヴォーカルものの英国フォーク〜シンガー・ソングライターは
美声かロリータか儚げじゃないと萌えない!と言っていました。
そう 気持ち悪いオヤジが全員言っていました。
果たして美声・ロリータ声・儚げなヴォーカル以外は本当に萌えないのでしょうか?
これは色々なタイプの女性ヴォーカルを聴いて検証しないといけないようです。
ん? 気持ち悪いオヤジが萌えている姿が気持ち悪いって?
いやいや 気持ち悪いオヤジは全力で萌えているんです。
全身全霊を傾けて萌えているので応援してあげて下さい。


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LESLEY DUNCAN 「SING CHILDREN SING」 (1971)
英 EDSEL EDCD 696 (CD/2000)
1 Chain Of Love
2 Lullaby
3 Help Me Jesus
4 Mr. Rubin
 5 Rainbow Games
 6 Love Song
 7 Sunshine (Send Them Away)
 8 Crying In The Sun
  9 Emma
 10 If You Won't Be Mine
 11 Sing Children Sing

レスリー・ダンカンの1stアルバム。 彼女のちょっと低めの歌声はババアが歌っているかのように聴こえ
こんなヴォーカルじゃ萌えない!と言っていました。 そう 気持ち悪いオヤジが全員言っていました。
そんなババア声ですが 変な事はせずしっかりと楽曲と向き合って飾らずナチュラルに歌っている感じで
ジャケットのほんのり微笑むポートレートからして その飾らない彼女の人柄が伝わってくるようです。

このナチュラルさは1970年代のシンガー・ソングライターの時代だったからこそ受け入れられたのかなぁ。
彼女は1960年代中盤から何枚もシングル盤を出しているけれど 1960年代にアルバムは発表できず
本作の6曲目に収録された「ラブ・ソング」がエルトン・ジョンに取り上げられ エルトン・ジョンという有名人が
絡んだ事と シンガー・ソングライターの時代の到来で やっとこの1stアルバムを発表できたのかもね。

・・・と そこら辺の事情を知っているかのようですがこれは「英国ロックの深い森」に書いてあった事を
バレないように上手く組み替えて書いています。 上手く組み替えられたのでバレてないな・・・しめしめ。
なお僕はエルトン・ジョンはまともに聴いた事がなく「ラブ・ソング」のエルトン・ヴァージョンも知りませんよっ!

で その問題の6曲目は幻想的なメロディーで淡々と流れて行くドラムレスのフォーキー・ソングでとても良く
同様にドラムレスでギターの弾き語りに近いかたちの5曲目や10曲目なんかも凄く良いんだこれが。

全体ではけっこう有名な人たちがバックで演奏するアコースティックな響きのフォーク・ロック曲が中心で
ストリングスが入る歌い上げの8曲目なんかは歌謡曲ド真ん中に聴こえたり ピアノの伴奏による9曲目は
キャロル・キングのようだったりと色々あります。 そして聴き終えて思うのは彼女の声やアレンジ云々よりも
とにかく楽曲自体がとても良い!という事で 楽曲の良さはさりげなく凄く 捨て曲は1曲もありません。

聴けば聴く程どんどん良く響き出し 気付いた時にはあーら不思議 彼女の低めの歌声も好きになるので
じっくりと向き合って聴いてみてください・・・と そんな彼女ですが2010年3月に亡くなってしまってねぇ。
最近は1960〜70年代に活躍した人の訃報も多く 皆さん歳をとって病気にもなりやすいんだろうなぁ。
これはいつものように聴きまくって追悼 そして彼女のさりげない凄さを感じて追悼です・・・ああ合掌。
 


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JAKI WHITREN 「RAW BUT TENDER」 (1973)
英 SUNBEAM SBRCD5025 (CD/2006)
1 New Horizon
2 Oh Litlle Boy
3 A Little Bit Extra Please
4 Country Life

5 To A Friend, Through A Friend (Let Your Feeling Burn)
6 But Whitch Way Do IGo ?
  7 Give Her The Day
  8 Ain't It Funny ?
  9 I've Thought Hard About It
 10 As That Evening Sun Goes Down
 11 Human Failure
 12 Running All The Time

ジャッキ・ホイットレンの唯一のアルバム。 彼女のヴォーカルはかーなりソウルフルで黒い黒い。
1曲目から疾走感バツグンの米国南部サウンドなソウル・ナンバーが炸裂してヴォーカルも暴れまくりの
コブシも回るアンコ椿な英国流演歌! びっくりして思わず都はるみを「ミソラ・・・」と間違えて紹介して
東京から大阪へ左遷された挙句退社してしまう そんなレベルのアンコ椿なコブシの回り具合いですよ。

こんなにコブシ回ったら萌えない!と言っていました。 そう 気持ち悪いオヤジが全員言っていました。
確かにこれは気持ち悪いオヤジが萌えるヴォーカルと最も対極にあるタイプの歌声でしょうかねぇ。
ただ1曲目は爆裂ソウル・ナンバーだけど 2曲目以降はミドル・テンポの落ち着いた曲が多くて
ヴォーカルも1曲目ほど気合い入っていないし 何だかフォーク度も高くて ムムム・・・これは良いぞ!

アコギにフルートやハープが絡み切ないメロディーを紡ぐ必殺室内楽風フォーク・サウンドの2曲目。
ジャグ・バンド・サウンドの3曲目。 アコギとペダル・スティールだけの4曲目。 ギター弾き語りの5曲目。
アコギにストリングスや管楽器がほのかに乗っかり 再び必殺室内楽風フォーク・サウンドの7曲目。
バート・ヤンシュがやりそうなアコギのフレーズに思わずニンマリする8曲目・・・などなど とても良くて
非トラッドの英国フォーク〜シンガー・ソングライターのナイスな1枚としてもイケてる作品ですよ!

ただやはり彼女のヴォーカルは「姉御肌」でねぇ。 もちろんソウルフルな節回しのせいで姉御肌ですが
ソウルフルな節回しを差し引いても 元々の地声が何か姉御っぽいのです。 でも姉御だからといって
ドスのきいたヤクザ声では無いですからね! じゃあ姉御肌ってどんなんだ?というと難しいですが
シャーリー・コリンズという人にも姉御肌声を感じます。 わかったかな? わっかんねぇだろうなぁー。

そして本作はフォーク系作品として聴くか ソウル系作品として聴くか 聴く側の意識によって響き方も
変わってきそうなので 勝手に何系か決め付けて聴けば萌える歌声として聴こえるかも知れませんよ!
さあ今こそジャッキ・ホイットレンで萌えてみせましょう。 気持ち悪いオヤジの底力を見せつけましょう。
 


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PAULINE FILBY 「SHOW ME A RAINBOW」 (1969)
英 NORTHERN VILLAGE NORTH 5 (CD/2005)
1 A Day
2 Believe
3 Trouble
4 Loneliness
 5 Tramp On The Street
 6 Show Me A Rainbow

 7 Satisfied Mind
 8 Friday Street
  9 Jigsaw
 10 The Temptation
 11 Amen

ポーリン・フィルビーはクリスチャン物の英国フォーク。 1969年作だけど1960年代中頃の雰囲気があり
初期のマリアンヌ・フェイスフルに似た歌謡フォークですね。 彼女の弾くギターのナイロン弦の響きが
中々良い感じで響きますが これはフォークではなくポップスで語っても良いような音の感触でもあります。

歌声もまた初期のマリアンヌ・フェイスフルのようで可愛らしさもあるけれど けっこう歌い上げるタイプで 
ポップス作品でも語れる事だし 何と言ってもジーザス物だし こんなんじゃ萌えないと言っていました。
そう 気持ち悪いオヤジが全員言っていました・・・まったく気持ち悪いオヤジを満足させるのは大変ですよ。 

いや聴いているとホント何て事ない感じで流れて行き 名盤とか傑作とかの部類に入る事は無さそうですね。
ただ ジーザス! ジーザス! と連呼はしないのでクリスチャン物を意識せずにすんなり聴けるし
収録時間も33分ちょっとの長さで これが何て事ないアルバムを聴くのにちょうど良い按配です。

またゴードン・ギルトラップが何曲かギターを弾いていて そこは英国フォーク・ファンへアピールできます。
ギターとフルートで迫るフォーク・ブルースな9曲目なんか凄い上手いギターが炸裂していて興奮しますよ。
いや でも ゴードン・ギルトラップって そんなに英国フォーク・ファンへアピールできる人なのでしょうか?
何か英国フォークの文脈であまり名前の挙がらない人だし 僕も彼の曲は聴いた事が無いのだよ 諸君!

えーと このCDはヴィニール・ジャパン社が(独占?)輸入販売していて日本語の帯が付いています。
解説の紙とかは入っておらずホントに帯だけなのですが その帯には定価税込2919円と印刷されていて
こんな価格じゃセレブしか買えないのだけど セレブはこんな得体の知れないCDは間違っても買いません。
購入しているのは気持ち悪いオヤジ達でしょうね。 まったくこんな物を購入する気持ち悪いオヤジ連中の
仲間にはなりたくないモノです・・・って いっけねぇ! 俺も購入していた! まあ僕はセレブでは無いので
中古盤で購入したのですが 気持ち悪いオヤジ連中の仲間入りは既に果たしているという事でしょうね。 
 


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MARIE LITTLE 「FACTORY GIRL」 (1971)
欧 SMARTWEED SMARTWEED4 (CD)
1 The Twa Corbies
2 The White Cockade
3 Friendless Mary
4 The Baron O' Brackley
 5 The Story Of Cotton
 6 The Foggy Dew

 7 Morning Of My Life
 8 A Song For All Seasons
  9 Galleries
 10 Tom Thumb Blues
 11 Last Train And Ride
 12 Factory Girl

正体不明のスマートウィードというレーベルからCD化されたメアリー・リトルの1stは聴いているとブチブチと
ノイズが入って盤起こしのようだし やはり何の許可もなく勝手にCD化しているレーベルなのでしょうか?
「Made In The E.U.」と印刷されていますがどうなんだかねぇ。 こんなモンは印刷した者勝ちですからねぇ。
ああ またひとつ怪しさ漂うレーベルのCDが増えてしまい・・・わーい 嬉しいな! 怪しさ漂って嬉しいな!

1〜6曲目はトラッド色濃い曲をやっていて 7〜12曲目はトラッド色が消えポップスをやっています。
LPだとA面トラッド・サイド B面ポップス・サイドという事だったのだろうけど A面B面が繋がったCDだと
このギャップがどうもねぇーとも感じますが 1枚で2度おいしい事になっているとも言えますね。

彼女の歌声はほんのちょっと擦れ気味で 瞬間・瞬間でババアっぽく聴こえたり少女っぽく聴こえたりします。 
基本はトラッド・シンガーなのでトラッド的な節回しに気合いが入って巻き舌になる時もありますねぇ。
無伴奏シンギングの3曲目などでは無伴奏なだけに巻き舌が耳につき てやんでぇ!と言っているかのようで
こんな江戸っ子ヴォーカルじゃ萌えない!と言っていました。 そう 気持ち悪いオヤジが全員言っていました。

特に1〜6曲目のトラッド・サイド部分で気合い入れて頑張って歌っているので てやんでぇ!なのですが
さらっと歌う6曲目とかは野に咲く名も無き花の如くの美しさがあり 儚さも漂うし とても良いですねぇ。
他にもアコギ&リコーダーの伴奏が素敵な もの哀しいメロディーを持った5曲目とかも沁みますよー。

7〜12曲目のポップス・サイドは 気合いが入ったトラッド・サイドに比べると 楽しんで歌っている感じもあり
江戸っ子ヴォーカルはあまり気になりませんが ホーンなどもガンガン入って昭和歌謡な趣で「?」です。
やはり前半のトラッド・サイドとのギャップはかなりあります。 ただボブ・ディランやラルフ・マクテルの曲など
楽曲自体はとても良いので こーゆー昭和歌謡風なポップスだと思って聴けばけっこう楽しめますね。

いやしかし このメアリー・リトルの作品あたりで平気で萌えるくらいの体質じゃないとダメですよね。
僕も萌える体質になる努力を惜しまず日々精進するので さあ今こそ全力で萌えてみようぜ!
全身全霊を傾けて萌えて萌えて萌えまくって 気持ち悪いオヤジの底力を見せつけましょう。
 

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