気付いたらヴィニール・ジャパン・レーベルのCDがけっこう手元にある事に気付きました。
それらは英国フォーク〜シンガー・ソングライター作品ばっかりな事にも気付きましたが
どれも発売された当初も今現在も あまり話題になっていない事に気付きました。
これは大々的に宣伝もなされていないし 扱っている店も限られているからでしょうか。
いや 本当は話題になっているけど僕が話題に乗り遅れているのかも知れないので
たくさん並べて聴いて もっと色々な事に気付いてみたいと思います。


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PAUL BRETT 「CLOCKS」 (1973)
日 VINYL JAPAN JASKCD165 (CD/2006)
1 Clocks
2 Soho Jack
3 Captain Dan
4 Duellin' Banjo (from the film 'Deliverance')
5 Empty Dreams/Flying Machines
 6 Rain From A Clear-Sky
 7 One Sunday Morning
 8 Explanation Blues

 9 Circles
 10 Hunter Of Angels
 11 What You Mean To Me
 12 Summer Driftin'
 13 Snowbird

1960年代からセッション・ギタリストとして活動するポール・ブレットのソロ名義では2枚目のアルバム。
ソロ作なのにジャケットの左右にフィドルを抱えた2人がいて この3人で作った作品ですって感じですね。
なお2人ともフイドルを抱えていますがクレジットを見ると実際にフィドルを弾いているのは右側の
マイク・ピゴットだけのようで 左側のデイヴ・グリフィスはマンドリン&ダブル・ベースを演奏しています。

時計の中に埋め込まれたブレット本人はあまり上手くないヴォーカルと何でもこなす上手いギターを演奏し
4曲目は作者に「Dillard」の文字があるので米国ブルーグラス・グループのディラーズあたりのカバーだと
勝手に思っていますが 他の曲はポール・ブレット作 あるいはブレットと誰かの共作になっています。

ドラムスやエレキ・ギターが入るロックな曲とアコースティックな響きの曲がバランス良く入っていて
ポップなカントリー・ロック風味の2曲目などは米国のニッティー・グリッティー・ダート・バンドかのようです。
時計の音を表現した1曲目とかクラッシック曲かのように聴こえる4曲目などのインスト曲が間に挟まる構成も
本当にニッティー・グリッティーの名作「アンクル・チャーリーと愛犬テディ」を思わせるようなつくりですねぇ。

・・・と出だしはそんな印象ですが ストリング・ドリブン・シングの如くフィドルが暴れるロックな曲やら
ダブル・ベースが入ってスイングする小粋な 7 8曲目やら アコギのアルペジオにストリングス&管楽器で
歌謡フォーク風味の11曲目とか ストリングスの伴奏で歌われるノスタルジー・ポップスの12曲目とか
英国フォークを感じさせるギター・インスト曲の13曲目とか・・・とにかく色々飛び出します。

1曲1曲は良いけれどアルバム全体を通して聴くと色々なタイプの曲が入り過ぎで つかみどころが無く
とっちらかってしまっています。 このとっちらかりぶりだとこのアルバムはこれだ!と語りづらいよなぁ。
そんなんで話題にしたらしたで面倒臭そうなのでCD化されても話題にしないタイプでしょうかねぇ。
 


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MARC ELLINGTON 「MARC ELLINGTON」 (1969)
日 VINYL JAPAN JASKCD184 (CD/2006)
1 In Brooklyn
2 Fairy Tale Lullaby
3 Reason To Believe
4 Caledonian Mission
5 Fair And Tender Ladies
  6 Changes
  7 Tears Of Rage
  8 Four In The Morning
  9 Will The Circle Be Unbroken

 10 I Shall Be Released
 11 Bless The Executioner
 12 Love City
 13 Desolation Row
 14 Nanna's Song

今回紹介しているヴィニール・ジャパン社のCDは全部日本盤なので帯や解説もついているのですが
解説の紙はコピー用紙にコピーインクでコピーされたものが封入されていて これが問題ですねぇ。

いつ事件が起きてもおかしくなさそうなので気にはしていたのですが それでも事件は起こりました。
このマーク・エリントンの1stのジャケットを開いたら解説の紙がベタッとへばりつき事件ですよ!
ゆっくり剥がしたけど そんなの上手く剥がれる訳も無くコピー・インクがジャケットに写ってしまいました。

これはいけません。 ああいけません。 気の狂った音楽マニアはモノとしての作りにこだわる人も多く
こんな解説用紙ではモノとしてダメだ!って事で 聴きたいけど買っていないという人もいそうです。
ここも話題にならない理由の一因でもあるのでしょうかねぇ。 解説文にはマーク・エリントン本人への
インタビューもあって話題になる要素はあるのに残念・・・とにかく解説の紙にコピー用紙はダメだぁ!

ただモノとしてイマイチでも作品の内容はホント最高ですねぇ。 カバー曲ばっかりのアルバムですが
男臭いフォーク・ロック曲がポップな味付けやカントリー風味の味付けで入った聴きやすい内容です。
そしてザ・バンドの「Music From Big Pink」からのカバーを 4 7 10 曲目と計3曲もやっていて
ジャケットのピンク色やアメリカ西部開拓時代の如くな衣装も「Big Pink」からの影響大と見ました。

また彼の渋いバリトン・ヴォイスはカナダの男女デュオ イアン&シルヴィアのイアン・タイソンと
イメージが被ってしまい そのせいなのか英国臭はあまり感じられずアメリカンな雰囲気になっています。
いや イアン・タイソンもザ・バンドもカナダなのでカナディアンな雰囲気と言った方がいいかもね。

2ndアルバム「Rains/Reins Of Change」のレヴュー
第88号 2004/6/17 再発業界の末期症状作戦にすすんで騙されてみようぜ
 


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FOGGY 「SIMPLE GIFTS」 (1972)
日 VINYL JAPAN JASKCD179 (CD/2006)
1 Simple Gifts
2 Baby Day
3 She's Far Away
4 My Song
5 Let It Be
  6 Madelaine
  7 I Wasn't Born To Follow
  8 Kitty Starr

  9 Was It Only Yesterday
 10 How Come The Sun
 11 Nobody Knows
 12 The Very First Time
 13 Take Your Time
 14 Old Moot Hall
 15 
Simple Gifts

このフォギーがCD化されて話題にならないのはちょっと信じ難いですねぇ。 それくらい素晴らしいぃー!
いや本当は話題になったのかも知れないけれど 僕の計り知れない情報収集能力の低さのせいで
また話題に乗り遅れているのかも知れません・・・かといって積極的に情報収集する気も無いんだなぁ。

収録曲はカバー曲ばっかりで 基本路線はアコギやバンジョーやマンドリンの演奏と2人のハーモニーで
そこにベースとドラムスが乗っかったり 曲によってリコーダーやピアノやオルガンやペダル・スティールや
シタールなんかも入り そしてメロトロン入りの曲もあるというアコースティックな響きのフォーク・ロックです。

1曲目のアルバム・タイトル曲からリコーダーがメロディーを奏でるのどかなインスト曲で凄く良いぜ!
リコーダーとメロトロンが全編に入るという特殊サウンドを持ったフォーク・ロックの4曲目がまた最高!
それに続く5曲目はビートルズの「レット・イット・ビー」で こんなベタなカバーをやってしまうのかぁ・・・
何とも恥ずかし・・・しかーし! リコーダーの間奏が切り込んできてもう大興奮 鼻血ブーだぁ! 

シタールとタブラが入ってラーガ・フォークな3曲目。 バンジョー・ロールがブルーグラス風味の9曲目。
メアリ・ホプキン様も「Earth Song/Ocean Song」でやっていた10曲目は大らかなフォーク・ロックで聴かせ
13曲目はカントリー・ロックだし リコーダーとメロトロンが全編に入る可愛らしいフォークの14曲目があって
15曲目は今度はヴォーカルも入るヴァージョンのアルバム・タイトル曲で締めるという構成。

その他の曲もキャッチーなメロディーを持った曲が多くて全編に渡り聴きやすくて素晴らしいですねぇ。
そんなキャッチーなメロディーのせいなのか 多彩な楽器が使われているせいなのか ポップさもあるので
これは歌謡フォーク・ロックと言っちゃって良いけれど フォーク・デュオな佇まいも所々顔を覗かせるし
リコーダーやメロトロンといった楽器が入っている事によって放たれる英国臭ってゆーヤツもあります。

純粋なフォーク・デュオだと思って聴くと そのポップ度の高さに面食らうけれど 最初面食らっても
聴いている内にフォーク・デュオだろうが何だろうがどーでも良くなる歌謡フォークの傑作だあぁー!

また相変わらずコピー用紙の解説が封入されていて 相変わらず本人へのインタビューも載っていて
このインタビューはけっこう貴重なのではないでしょうか。 読み応え充分です。 
 


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JEREMY TAYLOR 「PIECE OF GROUND」 (1972)
日 VINYL JAPAN JASKCD169 (CD/2006)
1 Isle Of Wight
2 Red Velvet Streering Wheel Cover Driver
3 Pussy Pussy
 4 Nasty Spider
 5 Mr. And Mrs. Ferlinghetti-Smith
 6 Crossroads
 7 Love On The Sands
 8 Piece Of Ground
 9 Made In Holland

このジェレミー・テイラーのジャケットを開くとディスコグラフィーが載っていて 彼は1960年代初頭から
現在に至るまで20枚以上アルバムを出している大ベテランですよ。 しかし僕はこのCDを手にするまで
ジェレミー・テイラーという人を知りませんでした。 解説によると彼はミュージック・ホール系の人って事で
今まで日本ではまともに紹介された事も無いらしく ミュージック・ホール系ってどんなんだ?って感じだし
これはジェレミー・テイラーの知名度が低すぎて CD化されても話題にならないタイプでしょうかねぇ。

そんな人の作品を日本盤でCD化してしまうというチャレンジが チャレンジ精神旺盛なチャレンジだし
解説でまたまた本人へインタビューをしていてヴィニール・ジャパン社のチャレンジを称えたいところだけど
やはりコピー用紙にコピーした解説の紙がさぁ。 どうもひっかかってしまい称えたく無くなるんだなぁ。

で 本作は本筋のミュージック・ホール系作品からすると異色なようで 1972年という時代の流行を取り込んだ
シンガー・ソングライター作品の趣きを持っています。 土臭いフォーク・ロック・サウンドの1曲目の印象が強く
アルバム全体が土臭いサウンドのイメージですが 動物の鳴きまね(なのかな?)の合いの手が
必要以上に入る3曲目を筆頭に 可愛らしい曲も多く入っていてそんなに土臭いアルバムではありませんね。

その3曲目や4曲目はスティーヴ・ティルストンを思わせるフォーキーな雰囲気を持っていて良いですねぇ。
・・・と思って聴いていると いやスティーヴ・ティルストンでは無くラルフ・マクテルかな? とも思ったりします。
クレジットを見るとバックを固める演奏陣に アンディ・ロバーツ ダニー・トンプソン アラン・デイヴィス
ニール・イネスなどの名前があります。 そう ダニー・トンプソンのダブル・ベース! これがプーンと英国臭を
香らすのに一役買っているし ラルフ・マクテル似かな? と思わせる要因でもありそうです。
ラルフ・マクテルの1970年代のアルバムには頻繁にダニー・トンプソンが参加していましたからねぇ。

そんなこの作品は英国シンガー・ソングライターの名盤!とまではいかないけれど 聴けば聴くほど
味わいが増すタイプで長く聴けそう・・・やはりヴィニール・ジャパン社のチャレンジを称えておきますかねぇ。
 


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BOB AND CAROLE PEGG 「HE CAME FROM THE MOUNTAINS」 (1971)
日 VINYL JAPAN JASKCD171 (CD/2006)
1 Rise Up Jack
2 The Scorpion Departs But Never Returns
3 Lord Of The Dance
4 He Come From The Mountains
 5 Love Song Number 2
 6 Jimmys Letters

 7 Angeline
 8 Susans Song

ヴィニール・ジャパン社はトラッド系の作品もCD化していて これは後にミスター・フォックスというバンドの
中心メンバーとして活動するペグ夫妻の ボブ&キャロル・ペグ名義では唯一のアルバムになります。

トラッド系といってもクレジットを見るとトラッドは1曲も無く8曲中6曲が自作曲で 後はフィル・オクス作の2曲目
シドニー・カーター作の3曲目となっています。 それでもトラッドを感じるのは楽曲の旋律がトラッド風だったり
フィドルやホイッスルといった楽器も登場してトラッドなフレーズを弾いてしまうからでしょうかねぇ。
またそれに加えてヴォーカルの節回しもクソ真面目なトラッド・シンガーの如くなので トラッド系作品なのです。

そんなトラッド色のある作品だけれども 体罰に近いディープなトラッドでも無く いやぁ 良いんだ これが。
「ヤツは山からやってきた」というアルバム・タイトルが象徴するように 終始のどかーな田舎サウンドですよ。
本作に関してはそんな田舎サウンドが話題にならない理由かもなぁ。 同じ田舎サウンドでもロック色のある
ロニー・レインなんかはファンが多いけど トラッド系のボブ&キャロル・ペグって!誰だそれ? てなモンです。

本作で特にトラッド色が強いのは 1 3 6 曲目で ドラムスが入る3曲目なんかはアシュリー・ハッチングスの
「モリス・オン」に入っていてもいいような曲です。  ホイッスルのみの伴奏でキャロル・ペグがひとりで歌う
6曲目などはホントに自作曲?と思ってしまう程のトラッド節で・・・実はトラッドを下敷きにした曲なのかもね。

その他 キャロル・ペグの歌声が可愛らしい4曲目は 男女ヴォーカルによるアメリカン・フォークみたいです。
5曲目はフォーク・ロックだし マンドリンが入る7曲目はアメリカンなマウンテン・ミュージック風味です。
淡々と曲が進行する最後の8曲目は 抑揚が無いので盛り上がりはしないけれど 聴いている内じわじわと
良いなぁと感じる じわじわシリーズです。 この曲 フルートが終始入っているのもポイント高いシリーズです。

そして問題の解説は またまたボブ・ペグ本人へインタビューしているけど やはりコピー用紙が最低だぁ!
そうそう それとこのコピーの解説 コピーなので画数が多い漢字などは文字が潰れて読みにくいですよ。
文字が潰れるくらいだから その文字はかなり小さくて・・・読む前から読む気が失せる事うけあいです。

関連作品レヴュー
Bob Pegg 「The Last Wolf」・・・第28号 2001/1/8 レコード屋のセールに騙されるな
Carolanne Pegg 「Carolanne Pegg」・・・第59号 2002/10/20 まだまだ期待してるぜ!ウーデン・ヒル・レーベル
 


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JEFFERSON 「I LOVE YOU THIS MUCH」 (1973)
日 VINYL JAPAN JASKCD178 (CD/2006)
1 Imagination
2 Dish It Out
3 I Love You This Much
4 Lovin' Is Good
5 Here Sit I
  6 Ordinary Girl
  7 Question Of Decision
  8 Patchwork
  9 Family Love Song

 10 If You Were Like Me/Epilogue

ジェファーソンは1969年のアルバム「The Colour Of My Love」が以前日本盤紙ジャケCDで出ていたし
ソフト・ロック業界では割と有名な人でしょうか。 その時代の彼は職業作家の楽曲を歌うシンガーであり
サウンドもバリバリ歌謡曲でしたが 1973年の本作になると自作曲をアコースティックな味付けで歌っていて
シンガー・ソングライター時代を意識した音づくりですよ。 そして内容も大変素晴らしいときたモンだ!

しかしこの素晴らしい内容でありながら話題になっていないというのは 世の中どうなっやっているんだ!
ソフト・ロック・ファンからしたらバカみたいに盛り上がる演奏やキャッチーなコーラスや不足しているし
シンガー・ソングライター作品として聴いたらその歌い上げぶりや ほんのり残る歌謡曲っぽさがダメなのかも。
しかし しかし 僕には このほのかに香る歌謡曲風味が丁度良い塩梅になっていてとても良く聴こえます。

ミディアム・テンポで歌い上げる永遠系ナンバーが多く どれも切ないメロディーを持っていて良いですねぇ。
アレンジもロック基本楽器にストリングスや管楽器やペダル・ステールなんかがほんのり被さる程度で丁度良く
感情豊かにしっかりと歌っているヴォーカルも 声にクセが無くて聴きやすい事になっています。
この素晴らしい内容で一体どこが悪いのか・・・本作が話題にならない理由を見つけるのが難しいですよ。

これは扱っている店が少ないヴィニール・ジャパン社製品だから話題にならないタイプかなぁ。
扱っていないとなるとCD化されている事自体が認知されずに話題にならないというのもありますよね。
果たしてどーして扱う店が少ないのか・・・何かと評判の悪いヴィニール・ジャパン社なので扱わない
というのもあるのかなぁ・・・と勘ぐってしまいますが そこら辺は良く知らないので事情通に聞いてみて下さい。
なお本作は何かと評判の悪いコピー用紙の解説の紙にジェファーソンへのインタビューは載っていません。
 


LoveAndPoetry.jpg
ANDWELLAS DREAM 「LOVE AND POETRY」 (1968)
日 VINYL JAPAN JASKCD-144P (CD/2004)
1 The Days Grew Longer For Love
2 Sunday
3 Lost A Number Found A King
4 Man Without A Name
5 Clockwork Man
 6 Cocaine
 7 Shades Of Grey
 8 High On A Mountain
 9 Andwella
 10 Midday Sun
 11 Take My Road
 12 Felix
 13 Goodbye

このアンドウェラズ・ドリームに関してはCD化された時話題になりました。 けっこう騒がれていました。
今回登場している他の作品は英国フォーク〜シンガー・ソングライターで語られる事が多いですが
本作はサイケ・ポップで語られる事が多いですしね。 サイケ需要は激しいので話題になりやすいです。 

あるいは他のヴィニール・ジャパン社のCDと違って紙ジャケ仕様だったから話題になったのでしょうか。
これがCD化された2004年当時は紙ジャケでのCD化がいちいち話題になり つくりが良いだ悪いだと
評論されていましたが 本作のつくりに関してはオリジナルLPの再現ジャケでは無かったので
何じゃこりゃ?って事になり 評判は悪かったですね。 そして今ではボーナス曲が入った輸入盤CDも
何種類か出ているので このヴィニール・ジャパン社製紙ジャケCDの価値も下がる一方でしょうか。

そうなんです。 ここまで書いてきて気付いたのですが深刻なボーナス曲不足は深刻です。
同じアルバムをLPで持っている人でも ボーナス曲目当てにCDを購入する場合があるじゃないですか。
深刻なボーナス曲不足により購入者が少なくて話題にならないというパターンも考えられます。
ただ本作のオリジナルLPは激レア盤なので LPで持っている人は ほぼいないのでしょうけどね。

で 本作はサイケ名盤と言われていて 確かにサイケな雰囲気が漂い エレキでロックな曲を中心に
オルガンでロックな曲 ちょっと可愛らしさもあるサイケ・ポップな曲 そしてフォーキーな曲も収録され
ヴォーカルのデイヴ・ルイスがソウルフルに歌い上げ 手数の多いドラムスが暴れるというサウンドです。

ただ名盤かというと・・・かっちょ良い系のロックな曲が多くてよぉ・・・うーん 僕が今15歳だったら
ロックで興奮していたのだろうけど ロックで興奮する気力も体力も無いほど老いと衰えが顕著なのです。
全曲楽曲を提供しているデイヴ・ルイスのソングライティングが冴えまくるソロ作「Songs Of David Lewis」を
先に聴いていて とても良かったので その路線を期待して聴いたのがいけなかったのかも知れません。
おかげでソロ作と同路線の最後の13曲目の子守唄のような素敵なフォーキーな曲が一番印象深いです。
4曲目と11曲目はそのソロ作にも(たぶん)同じヴァージョンで収録されています。

なお 本作の解説の紙はコピー用紙ではなく ちゃんと印刷されたものが入っています。
もちろん文字も潰れていなくて やった! これは凄い事だ!・・・ってそっちがフツーなんだけどね。

「Songs Of David Lewis」のレヴュー・・・第99号 2005/5/10 新品を買うか中古を買うか、さあ見極めろ!
 


HitAndRun.jpg
IAN MATTHEWS 「HIT AND RUN」 (1977)
日 VINYL JAPAN JASKCD188 (CD/2007)
1 The Frame
2 One Day Without You
3 Times
4 I Will Not Fade Away
5 Tigers Will Survive
6 Just One Look
7 Help To Guide Me (I Need Your Help)
8 Shuffle
9 Hit And Run
 bonus tracks
 10 Trouble In Paradise
 11 Tigers Will Survive
 12 Faith To Arise
 13 Hit And Run
 14 I Will Not Fade Away
 15 Just One Look
 16 It's A Wrap

最も最近入手したヴィニール・ジャパン社商品がこれ。 イアン・マシューズの1977年作「ヒット・アンド・ラン」。
CD化はしたものの誰も見向きもしない不人気盤のようで ディスク・ユニオン新宿中古センターのエサ箱に
新品未開封品が投入されていたので 税込み480円という価格で救出作業をしてきました。

イアン・マシューズの1977年作なんていうのは AORっぽい内容が想像できるビミョーな時代の作品で
定価の税込2709円では購入しないけど中古で安いのがあれば購入してもいいかなぁといったタイプです。
実際聴いたらサキソフォーンがむせび泣きまくるシティー・ポップになっていて やっぱりビミョーでしたねぇ。

元々マシューズの作品はカントリー色も強かったりするアメリカン志向なサウンドではあったのですが
バックの楽器の音やヴォーカルに程よい湿り気と陰影があって英国的な雰囲気も感じる事ができました。
ところが本作は ジャケットの風景の如くすべてがカラッと乾いた音に響くのですよ。
これはカラッとした気候の米国西海岸録音だからかなぁ。 そのような独自の空気感があるっていうのは
それはそれで凄い事だけれども この乾き具合いは僕の趣味とはちょっと違いますねぇ。

またヴォーカルもソウルフルな歌い回しをしたりして いつもの彼の控え目なヴォーカルの魅力も半減だし
日本盤の中古LPが売っていたら 100円コーナーに平気で入っていそうなカス盤臭も香るアルバムです。
確かにこの内容じゃCD化されても話題にならねぇよなぁ・・・と話題になっていない事に納得の1枚です。
これは今後めったに聴かなくなってしまいそうなアルバムだけど 聴いていて嘔吐してしまう程悪くは無いし
これで1970年代のマシューズのソロ作は全部手元に揃ったようなので 購入して まあ良かったのかな。

ボーナス曲7曲入りで前項のアンドウェラ・ドーリムで指摘した深刻なボーナス曲不足は解消されました。
このボーナス曲は音のこもったリハーサル・テイクで 本編と同様にサキソフォーンが活躍しています。
そして解説のコピー用紙にはまたまたマシューズ本人へのインタビューが潰れた文字で載っていますよー。

マシューズ関連作品レヴュー
「Matthews' Southern Comfot」・・・第6号 2000/2/21 遂に登場英国フォーク最重要バンド
「Scion」・・・第71号 2003/7/5 英国爽やかサウンドで涼しくなってみせるぜ
「If You Saw Thro' My Eyes」・・・第99号 2005/5/10 新品を買うか中古を買うか、さあ見極めろ!



さて ここまでヴィニール・ジャパン社のCDが話題にならない理由を考えて あまりにも的確な事を言っている
自分の分析力の高さに関心しています。 この高い分析力があるとヘッドハンティングされちゃうかも。
やべっ! 最高顧問として迎え入れられちゃうかも知れないなぁ。 心構えをしておかないと・・・ドキドキ。
 

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