はい どうも ささやき女将です。
わたくし ささやきデビューして まだ間もないもので
イギリスのウィスパー・ヴォーカルのハイカラなヤツを聴いて勉強中です。
 もちろん頭の中を真っ白にして聴いております。


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LYNSEY DE PAUL 「TASTE ME...DON'T WASTE ME」 (1975)
日 VIVID SOUND VSCD-062 (CD/1999)
1 My Man And Me
2 Moonrise
3 Taste Me
4 Let's Boogie
 5 Dancing On A Saturday Night
 6 Lying Again
 7 If Only
 8 Rainbow
  9 Nursery Rhyme
 10 When I'm Alone With You
 bonus track
 11 Ooh I Do

まあウィスパー・ヴォーカルというのはエロい訳ですが たいがいウィスパーの人は歌声だけでなく
ルックスもエロい場合が多くて このリンジー・ディ・ポールのルックスもエロい事になっていますねぇ。
半開きの口・・・口元のホクロ・・・金髪の巻き毛・・・と 男どもをメロメロにしてしまう要素がたっぷりの
エロいルックスに加えて可愛らしいウィスパー・ヴォーカルだもんなぁ。 こりゃーもう全員メロメロですね。

そんなんで彼女はエロさが売りの芸人かと思うと 作詞・作曲もして プロデュースも彼女自身だし
彼女はただのセクシー・ゲーノー人ではありません。 才能溢れるシンガー・ソングライターなのです。

出てくる音はムーディーな都市型ポップスになっていて1970年代中盤らしい音とも言えます。
割と落ち着いた音で 派手さもそれ程無いミディアム・テンポのおしゃれサウンドが大半で
エロい風貌とウィスパー・ヴォーカルにマッチしていて自分自身をプロデュースする能力も高いですねぇ。

そんな曲ばっかりなので聴いていて耳障りではないけれど BGM的に流し聴きしがちではあります。 
ただバックの音がどうであれ とにかく彼女のウィスパー・ヴォーカルが魅力的で もうたまらんのだよ!
可愛らしい少女のように響くかと思ったらセクシーな大人の女性のささやきに聴こえたりしてメロメロだぁ!

ボーナスの11曲目は1974年のシングル曲で 滅茶苦茶キャッチーな甘酸っぱいメロディーが炸裂!
アルバム本編が落ち着いた音なので 最後にこんなキャッチーな曲が飛び出すと盛り上がりますねぇ。
大滝詠一プロデュースでフィル・スペクターに作らせたかのようなスペクター・サウンド全開で
オーバー・プロデュース気味にブ厚く様々な楽器が被さり カスタネットが終始タカタン!
サビの「ウー・ウーアイドゥー・オーイエス・アイドゥー」のフレーズは一緒に歌わずにはいられない名曲!

ただこのボーナス曲は本編に比べるとやたらポップだしウィスパー度も低くなっているので
アルバム本編とは別の 本当にオマケで収録されたボーナス曲だと思って聴くのが正解ですね。
本編はムーディーでウィスパー度も高く統一感があり ウィスパー・ヴォーカルのアルバムを作る際は
ヒジョーに勉強になりますねぇ・・・さあ頭の中を真っ白にしてリンジー・ディ・ポールを聴きましょう。
 


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SAMANTHA JONES 「A GIRL NAMED SAM」 (1970)
日 エアー・メイル・レコーディングス AIRAC-1057 (CD/2004)
1 The Feeling That I Get
2 Until Tomorrow
3 Today (Without You)
4 Taking The Heart Out Of Love
5 I'll Never Fall In Love Again
6 I Go To Sleep
7 Do I Still Figure In Your Life
  8 In The Morning
  9 Come To Me Slowly
 10 Put A Little Love In Your Heart
 11 I'm Sorry But I Think I Love You
 12 You Make Me Feel Like A Natural Woman
 bonus track
 13 The T-C Theme 2 (Ford Leads Away version 2)

サマンサ・ジョーンズも肩を露出したジャケットがエロいぜ! またこの褐色の肌がたまらんよ!
欧陽菲菲から影響を受けたとおぼしき髪の毛の横方向への広がり具合は驚異的ですが欧陽菲菲も
かっこ良いババアなので全然問題ありません。 ピンクのリップもセクシーで・・・またまたメロメロだぁ!

彼女は抑え気味に歌うとウィスパー・ヴォーカルになる傾向があり 半分くらいの曲でウィスパーしています。 
残りの曲はけっこう元気にソウルフルに歌っていて これはちょっとハスキーなじゃじゃ馬声ですねぇ。
そんなんでこれはハーフ・ウィスパー・アルバムなので完全ウィスパーを目指すアナタには不向きかな?

ところで「じゃじゃ馬声」ってどんなんだ?というと 歌声だけ聴いていると可愛らしい声であんな事や
こんな事を想像してしまうけれど どんな人が歌っているんだ?と顔を見ると凄いババアが歌っていたという
オチがつくような声・・・と あくまでもそういうイメージで 実際にババアか歌っている訳じゃありませんけどね。
じゃじゃ馬声といえば米国のドリー・パートンが思い浮かぶんだけど・・・確かに顔は凄い事になっています。

アルバムのサウンドはポップでキャッチーな聴きやすい歌謡曲的な音で バカラック&デヴィッドの5曲目や
ジャッキー・デ・シャノンの10曲目 ゴフィン&キングの12曲目などなど どこかで聴いた事のある
有名曲を取り上げていてすんなり聴ける歌謡アルバムです。 プロデュースはマーク・ワーツがしています。

そして 4 7 曲目とピート・デロの名曲をやっています。 7曲目はハニーバス・ヴァージョンもありますね。
ピート・デロ・ヴァージョンでは両曲とも雰囲気のある穏やかな室内楽フォーキー・ポップといった趣ですが
サマンサ・ジョーンズは歌い上げてしまっていて特に7曲目はじゃじゃ馬声で元気に歌っています。
これじゃ楽曲の魅力も半減・・・なのか? というとまったくそんな事も無く この歌い上げぶりも凄く良い!
1970年という時期にピート・デロの曲を2曲も取り上げているというその姿勢がまた英国的じゃないですか。

マーゴ・ガーヤン作の9曲目あたりが最もウィスパーしていて 本来の歌声がじゃじゃ馬声でも
歌い方によってウィスパーになるという良い例で勉強になります。 さあ頭の中を真っ白にして聴きましょう。
 


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VASHTI BUNYAN
「SOME THINGS JUST STICK IN YOUR MIND : singles and demos 1964 to 1967」 (2007)
米 DICRISTINA/SPINNEY STEP11 (LP)
A1 Some Things Just Stick In Your Mind (decca single 1965)
 2 I Want To Be Alone (decca single 1965)
 3 Train Song (columbia single 1966)
 4 Love Song (columbia single 1966)
 5 Winter Is Blue (unreleased single for immediate 1966)
 6 Coldest Night Of The Year
   (unreleased single as "Twice As Much and Vashti" 1966)

B1 I'd Like To Walk Around In Your Mind
   (unreleased single for immediate 1966)

 2 Winter Is Blue (restored acetate demo 1966)
 3 Girl's Song In Winter (john bunyan's tape 1966)
 4 If In Winter (100 Lovers) (john bunyan's tape 1966)
 5 Wishwanderer (restored acetate demo 1967)
 6 Don't Believe (john bunyan's tape 1966)
 7 
17 Pink Sugar Elephants (john bunyan's tape 1966)
 1 Autumn Leaves (1964 tape)
  2 Leave Me (1964 tape)
  3 If In Winter (100 Lovers) (1964 tape)
  4 How Do I Know (1964 tape)
  5 Find My Heart Again (1964 tape)
  6 Go Before Dawn (1964 tape)
 D2 Girl's Song In Winter (1964 tape)
  3 I Don't Know What Love Is (1964 tape)
  4 Don't Believe What They Say (1964 tape)
  5 Love You Now (1964 tape)
  6 I Know (1964 tape)
  7 Someday (1964 tape)

英国ウィスパー・ヴォーカルを語る際 ヴァシュティ・バニヤンが登場しないなんて嘘だ!・・・という事で
また登場してしまいました。 彼女のアルバムは3枚しか無いのに果たして何度書けば気が済むのでしょう。
この発掘音源アルバムも以前CDのレヴューを書いたので2度目の登場ですが 今回はLPなので
収録されている楽曲が同じでもLPとCDはまったく別のモノだ!の法則にのっとって別モノなのです。

曲名の後に楽曲の出展と録音年代が書かれていますが A面のシングル盤用の曲などを聴いていると
1960年代のスインギン・ロンドンを感じさせる空気感がありますねぇ。 ジャケットに散りばめられた写真も
この時期のフォト・セッションなのでしょうね。 アイドル的な売り出し方をするつもりだったようなので
エロくは無いけれど ヒジョーに可愛らしいアイドルな写真で・・・当然メロメロ! 当たり前だ!

弾き語りデモ中心のB面はすでに 奇蹟としか思えない名盤「Just Another Diamond Day」に通ずる
儚く美しいウィスパー・フォークになっていて全員が驚愕して気絶しそうになったのではないでしょうか。

更に全員が驚愕した1964年(!)録音のC面とD面! 1964年という時期の弾き語り曲って何を聴いても
だいたい「どフォーク」になっているモンだけどヴァシュティは違う! もちろん音はギターと歌だけの
フォーク・スタイルのサウンドだけれども 耳元で優しく語りかけるかのようなウィスパー・ヴォーカルと
彼女の作る儚く美しいメロディーが重なる事によって ただのフォークとは言えない次元に達しています。
ああ・・・もうB面で気絶したので C面とD面では お漏らしくらいは平気でしておかないといけませんね。
 
しかしヴァシュティをウィスパー・ヴォーカルの括りで語った文章ってあまり見かけた事がありません。
他のウィスパー・ヴォーカルの人ってポップスの範疇で語りやすい音なのに対しヴァシュティの楽曲は
フォーキーな音だし 他のウィスパー・ヴォーカルと一緒に語ってはいけないような孤高感もあるしねぇ。
でも今回 他のウィスパー・ヴォーカルと一緒に語ってしまって・・・僕はこんな事でいいのでしょうか。
いや違う! 英国ウィスパー・ヴォーカルを語る際 ヴァシュティが登場しないなんてやっぱり嘘ですよ。
そうなんです。 嘘をついた後の言い訳は「頭が真っ白になって・・・」しかないですからね。
今こそ頭の中を真っ白にして英国ウィスパー・ヴォーカル ヴァシュティ・バニヤンを聴きましょう。

Vashti Bunyan 「Some Things Just Stick In Your Mind」のCDのレヴュー
第134号 2007/11/29 英国フォーク・レア音源の最終兵器にもう泣くしかない
その他ヴァシュティのレヴュー
第13号 2000/5/1 そそるジャケットに社会復帰不可能状態
第22号 2000/9/24 遂に出ましたヴァシュティ様の正規盤CD
第109号 2005/12/31 母さん!事件ですよ!ヴァシュティですよ!
第124号 2007/3/9 全米が泣いた!ヴァシュティ・バニヤン来日公演
 


BalladeDeJohnnyJaneAndLolitaGoHome.jpg
JANE BIRKIN 「BALLADE DE JOHNNY-JANE〜LOLITA GO HOME」 (1992)
仏 PHILIPS 514 123-2 (CD)
1 My Chérie Jane
2 Bébé Gai
3 Lolita Go Home
4 What Is This Thing Called Love ?
5 Bébé Song
6 Where Or When
7 Si Ça Peut Te Consoler
8 Love For Sale
9 Just Me And You
 10 La Fille Aux Claquettes
 11 Rien Pour Rien
 12 French Graffiti
 13 There's A Small Hotel
 14 Ballade De Johnny-Jane
 15 Raccrochez C'est Une Horreur
 16 Yeaterday Yes A Day (ext. de la b.o.f. madame claude)
 17 Mister Iceberg (version anglaise)
 18 Ex-Fan Of The Sixties (version anglaise)

ジェーン・バーキンは活動の拠点がフランスだし 英語で歌う曲もありますがフランス語で歌うのが基本で
英国ウィスパーの仲間入りさせていいのかどうか悩みますが 面倒臭いので仲間入りさせてしまいました。

このジェーン・バーキンとクロディーヌ・ロンジェがウィスパー・ヴォーカル界の2大巨頭だと思うのですが
ジェーン・バーキンはイギリスからフランスに渡り たどたどしいフランス語でささやく芸風を確立。
クロディーヌ・ロンジェはフランスからアメリカに渡り たどたどしい英語でささやくという芸風を確立しました。
ウィスパー・ヴォーカルによる歌手活動の他 女優業もする美しき女性という点で類似点がある2人ですね。

しかし! スキャンダルを起こし ゲーノー界引退どころか すべてを失ってしまったクロディーヌ・ロンジェと
彼女の名がついたエルメス社の最高級バッグ「バーキン」というものまで作られているジェーン・バーキンの
この運命の違いに一体人生とは何なんだ!と考えてしまいます・・・って考えていないけどね。

で このCDは4枚組ボックス・セットをバラしたヤツで ジャケットの左下にAと印刷されているように
ボックス・セットの2枚目になります。 3〜13曲目が1975年のアルバム「ロリータ・ゴー・ホーム」からで
1 2 14 15 がシングル曲 16曲目はサントラ盤収録曲で 17 18 は未発表ヴァージョンです。

出ない声を無理矢理出した結果ウィスパーになってしまったかのような特徴的な歌声に誰もがメロメロな
ジェーン・バーキンの歌う曲の多くは セルジュ・ゲインズブールが絡んでいるので エロくて退廃的な
匂いもするのですが バックのサウンドは歌謡曲度高くて まあフツーに聴きやすいポップスではあります。
ただリズムによく乗っかる英語の響きに対して フランス語というのはメロディーによく乗っかる 乗っかる。 
おかげで素敵なメロディーが浮き上がってきて楽曲が覚えやすく 彼女の世界は入り込みやすいですね。

1曲目の可愛らしい表情のポップスから良いし ディスコっぽい3曲目 全曲中最もウィスパーが炸裂する
ムーディーな雰囲気の11曲目 郷愁を誘う14曲目 歌謡フォーク調の大名曲16曲目 と良い曲満載!

そして18曲目は1978年のアルバム「Ex-Fan Des Sixties」のアルバム・タイトル曲の英語ヴァージョン。
バーズ ドアーズ アニマルズ そしてビートルズなど1960年代のロック・ヒーロー達の名前が繰り返され
カーペンターズの「イエスタデイ・ワンス・モア」のような昔を懐かしむような曲です。 しかし曲のタイトルが
1960年代と言っているのに1970年代に活躍したT・レックスが出てくる詰めの甘さ・・・逆にそこが良い!

ところでクロディーヌ・ロンジェのスキャンダルですが・・・ショッキングな話なので僕の口からは言えません。
どうぞ調べてみてください・・・きっとその時クロディーヌは頭の中が真っ白になったんだろうなぁ。
とにかくクロディーヌ・ロンジェであろうがジェーン・バーキンであろうがウィスパー・ヴォーカルを聴く時は
頭の中を真っ白にしないといけません。 ささやき女将も言っていました 「頭が真っ白になって・・・」
 

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