いやぁ これは良いアルバムだねぇ。・・・えーっと ところで アンタ誰ですか?
いまどき メインストリームの音楽がどこにあるのかも定かでは無いし
インディーズ全盛で プロ セミプロ アマチュアの境目も定かでは無くなり
誰もが知っているバンドや芸人さんって中々いないですよねぇ。
おかげで名前を聞いても えーっと アンタ誰ですか? となってしまうのですが
そのテの業界では有名人だったり 実はけっこうなキャリアがあったりするのです。
それはわかっているので もう アンタ誰? なんて言ってるヤツは許しませんよ!
まあ それはそれとして・・・えーっと ところで アンタ誰ですか?


MotorMotelLoveSongs.jpg
JASON COLLETT
「MOTOR MOTEL LOVE SONGS」 (2003)

加 ARTS & CRAFTS A&C002 (CD)
1 Bitter Beauty
2 Little Clown
3 Tiny Ocean Of Tears
4 It Won't Be Long
5 Gabe
 6 Choke Cherry
 7 Honey I Don't Know
 8 Lucky Star

 9 All I've Ever Known
 10 Airport
 11 Blue Sky
 12 Stormy Woman Salty Girl
 13 Motor Motel Love Song

いやぁ これは良いアルバムだねぇ ジェイソン・コレット! ・・・えーっと ところでアンタ誰ですか?
この人はカナダのブロークン・ソーシャル・シーンというバンドのメンバーとしても活動するらしいです。
ブロークン・ソーシャル・シーンはカナダのイケてる人材が激しく出入りする有名バンドですが
僕はその音を聴いた事が無く ましてやその中のメンバーの1人の名前など知るもんか!
そんなんで このテの人は最新のヤングなロックをチェックしていないとアンタ誰?ってなりますねぇ。

これは彼の1stソロで ソロ作は計3枚出ています。 3枚のソロ作のジャケットは全部右側を向いた
横顔のジャケットになっていて ジェイソン・コレットは相当右側の横顔に自信があるようですねぇ。

サウンドはカントリー・ロック臭も漂う米国西海岸ロック風味のシンガー・ソングライター作品。
ギター ベース ドラムスのロック基本楽器による演奏にピアノやペダル・スティールが乗っかる他
女性コーラスやストリングスも入るけれど多彩な音が聴こえてくる感じは無く ヴォーカルも聴きやすくて
ヒジョーにオーソドックスなサウンドです。 俺の音はこれだ!といった際立った特徴はありませんよ。

こんな音だとアンタ誰?と言われている内に認知されずに いつの間にか埋もれてしまいそうですが
爽やかなカントリー・ロックでイーグルスやジェイホークスあたりを思わせる 1 5 曲目が心地良いし
サビで曲名を繰り返すモンで一緒に歌いたくなるキャッチーなロケンローの 3 6 曲目も良いなぁ。
プヒーってハーモニカが入って楽しい8曲目 夕暮れの寂しさを思わせる切ない12曲目も良いです。
その他の曲も何も特別な事は無いけれど シンプルな音で楽曲自体が良く好感が持てますよ。

最新のヤングでフレッシュなロックだと思って聴くと 古臭くてオーソドックスなロックでガックシだけど
この路線でどんどん良い曲を作っていければ あと10年後も生き残っていそうな人です。
つまり10年後も相変わらず ところでアンタ誰?って言われちゃいそうなタイプですけどね。
 


SuburbanSongbook.jpg
BOB EVANS
「SUBURBAN SONGBOOK」 (2006)
豪 EMI 0946 3 69330 2 3 (CD)
1 Don't You Think It's Time ?
2 Friend
3 Nowhere Without You
4 Sadness & Whiskey
5 Flame
6 Don't Walk Alone
  7 Rocks In My Head
  8 The Great Unknown
  9 Comin' Around
 10 Battle Of 2004
 11 Darlin' Won't You Come ?
 12 
Me & My Friend (hidden track)

いやぁ これは良いアルバムだねぇ ボブ・エヴァンス! ・・・えーっと ところでアンタ誰ですか?
この人は1990年代からオーストラリアのジェベダイア(Jebediah)というバンドで活動している人。
ジェベダイア・・・よく知らないけれど アルバムも5〜6枚出していて けっこうキャリアがあるようです。
このソロ作が素晴らしいのでジェベダイアの音もこのソロと同路線であれば聴いてみたいですね。

これは彼の2ndソロで 前項のジェイソン・コレットとの共通項も多い カントリー・ロック風味を湛えた
シンガー・ソングライター作品になっています。 ジェイソン・コレットよりも更にキャッチーというか
どこかで聴いた事あるようなメロディーやフレーズが多く飛び出してくるモンでヒジョーに聴きやすく
耳にすんなりと入ってくるし 何度か聴くと全曲覚えちゃうという曲作りの上手さを感じます。

1曲目のドラムレスのフォーキーな曲に入るハーモニカはビリー・ジョエルの「ピアノ・マン」似だし
ストリングスやハンドクラップも入る3曲目はアイルランドのハルちゃん(Hal)みたいにポップです。
9曲目はギターやドラムスの入り方がティーンエイジ・ファンクラブのようなロック・ナンバーだし
10曲目もティーンエイジ・ファンクラブかのような素敵なメロディーが沁みるミディアム・テンポの曲。

このアルバムの色合いを決定付けているカントリー・ロック・サウンドな 2 4 7 曲目なんかも
覚えやすいメロディーと心地良く響くペダル・スティールで ヒジョーに聴きやすい事になっているし
ホーンが入って盛り上がる6曲目や ハルちゃんのような3曲目は上手いプロモーションをすれば
楽曲の良さだけでシングル・ヒットしてもおかしくない出来だし これは相当良いアルバムですよ。

少々かすれ気味のヴォーカルは米国オルタナ・ロック的な趣ですがオーストラリア産ならではの
英米ロックとは違う感覚も滲むし これだけ良い曲が並んでいたら もう何も文句はありません。
まあ良いアルバムを出しても ある程度売れて認知度が上がらないと相変わらず アンタ誰?
って言われちゃうんだけどね。 きっと彼はオーストラリアでは認知度バツグンなんだろうなぁ。
 


TimO'Reagan.jpg
TIM O'REAGAN
「TIM O'REAGAN」 (2006)
米 LOST HIGHWAY B0006401-02 (CD)
1 These Things
2 Black & Blue
3 River Bends
4 Highway Flowers
 5 Anybody's Only
 6 That's The Game
 7 Ivy
 8 Girl/World
  9 Ocaso Rosa
 10 Just Like You
 11 Plaything

いやぁ これは良いアルバムだねぇ ティム・オリーガン! ・・・えーっと ところでアンタ誰ですか?
おいおい それは無いよ。 アメリカン・ロックの素晴らしきバンド ジェイホークスのメンバーじゃないか!
・・・と言ってもジェイホークスで彼はドラムスを担当していて バンドの中心人物では無いので
名前だけ聞かされても アンタ誰ですか?ってなっちゃうのは仕方無いところではあります。

これは彼の初ソロ・アルバムだと思われますが ソロ作ならではのジェイホークスではできない事を
やりました的な部分もあるものの ジェイホークスもやりそうな3曲目のようなカントリー・ロックや
2 4 6 8 曲目のような大らかな青空フォーク・ロックなんかが基本路線になっています。
ただちょっと軽い音に バンド活動では無くソロ・アルバムです!という主張が感じられますね。 

サザーランド・ブラザーズの「セイリング」風に始まりハッとなる7曲目は中々のおしゃれポップ・ソングだし
南の島で過ごす何もしない休日の如くなのどかで気持ち良過ぎのインストの9曲目なんてのもありますが
一発でガツンと来るようなインパクトのある曲は入っていません。 ガツンと来なくても全曲高水準で
気合いの入っていないジョン・レノンのような歌声もまた心地良く アルファー波ヴォーカルの水準です。
この内容であれば もしバンドが解散しても ソロで充分集金できそうな素晴らしいアルバムです。

ジェイホークス本体は 中心人物のゲイリー・ルーリスのソロ作「ヴァガボンズ」も2008年に出たし
只今ソロ活動の時期なのでしょうか。 名作「Rainy Day Music」が2003年に出てからけっこう経ったし
もうアンタ誰?なんて言わないので そろそろジェイホークスでも新作を出してくれないかなぁ。
その際はティム・オリーガンのアルファー波ヴォーカル曲もたっぷり入れて気持ち良ーく行きましょう。

The Jayhawksをたくさんレヴュー・・・第25号 2000/12/1 スコットランドの青空とミネアポリスの草の香り
The Jayhawks 「Rainy Day Music」・・・第80号 2004/1/11 流行語大賞とる勢いでフォロー沙汰
 


SoFar.jpg
ALAN TYLER 「SO FAR」 (2007)
英 HANKY PANKY HPR-010 (CD)
1 If I Needed You
2 Luckenbach Texas
3 Honky Tonkin
4 A Thing Called Love
5 Standing At The Doorstep Of Love

6 In The Pines
7 Gradually Learning
8 Everybody Lives With Us

9 I'm So Lonesome I Could Cry
 10 Sweet Dream Woman
 11 The Blue Man
 12 Scarborough Fair
 13 Roll On Forever
 14 Two Girls
 15 There's A Place In My Heart I Call Texas
 16 What You'll Do When I'm Gone
 17 Drifting
 18 In Tall Buildings

いやぁ これは良いアルバムだねぇ アラン・タイラー! ・・・えーっと ところでアンタ誰ですか?
1970年代からやっているブリティッシュ・フォークのアラン・テイラー(Allan Taylor)と間違えそうだけど
この人は素晴らしき1990年代英国カントリー・ロック・バンド ロッキンバーズの中心人物だった人です。

ロッキンバーズはアルバム2枚を出して解散しましたが 2枚ともホント素晴らしく感動的な名盤でした。
本作はソロになって3枚目のアルバムで サブタイトルの「Old Favourites & Country Covers」の通り
ロッキンバーズ時代の曲の再演やカントリー・ソングのカバーなどで構成されています。

今まで何回も歌ってきた得意曲をまた歌っているであろうアルバムなのでリラックスした雰囲気があり
バックのギターやバンジョーやフィドルやマンドリンやアコーディオンやダブル・ベースなどの楽器も
のどかにゆったりと響く田舎系カントリー作品に仕上がっています。 「どカントリー」までは行きませんが
ドラムスが入っていないのでロックっぽさが感じられず カントリー・ロック作品とも言えませんねぇ。

ハンク・ウリアムス・カバーの定番中の定番 3 9 曲目などは工夫が無いというか 素直というか
定番過ぎる!と ひとこと言いたくなる選曲ですが まあ彼はこれらの曲が好きなのでしょうね。

ロッキンバーズが大好きだった僕としてはロッキンバーズ時代の曲の再演にやられっぱなしで
ロッキンバーズ1stのオープニングを飾った名曲7曲目や 2ndのオープニングを飾った名曲13曲目。
1stに収録されていたジョン・ハートフォードの名曲カバーを再度カバーした18曲目とか! ああぁ・・・!
その他にもロッキンバーズ時代の再演がたくさん入っていて ああぁ・・・たまらん たまらん たまらんよ!

バックのサウンドや彼の渋いヴァリトン・ヴォイスを聴いているとアメリカン・カントリーかのように感じるけど
このアルバムを聴いた後に 本当のアメリカン・カントリーを聴くと やっぱり何か違うんだよね。
英国人のカントリーだから英国臭が香るって訳じゃ無いけれど 彼の歌にはどこか謙虚さがあります。
12曲目にギターとバンジョーで聴かせる「スカボロー・フェア」も入っている事だし・・・英国の作品です。

みんなで覚えよう アラン・タイラー。 もうアンタ誰?なんて言われないように頑張れアラン!

The Rockingbirds 「The Rockingbirds」のレヴュー・・・第5号 2000/2/11 男臭ーい英国バンドたち
 

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