かつてあの凄い名盤を発表した英国フォーキーたちの復活が止まりません。
かつての名盤が続々とCD再発され その再発CDの反響や評価が
世界規模でリアル・タイムでわかるインターネット時代でこその復活劇でしょうか。
俺ガ昔出シタ作品大好評ジャネーカ。 俺ッテ人気アルナァ。 又アルバム出スカ・・・ってね。
ただ復活作はヴォーカルが老けてしまっていたり サウンドも以前の音の延長線上にあっても
やはりかつてのあの凄い名盤に届く事は 中々ありませんよね。
そう考えると復活したヴァシュティ・バニヤンはホント凄い! 1970年の1stも
35年ぶりに発表された2005年の2ndも 時代を超えて聴ける傑作でしたからねぇ。
まあ こーゆー復活作はあまり期待しないで楽しみながら聴くのがいいですよ。


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COLIN HARE 「FREE TOGETHER」 (2004)

日 エアー・メイル AIRNF-009 (CD/2008)
 
1 Free Together
2 Got It Inside
3 Just The Way You Love Me
4 Without Fear
 5 Never Know Me
 6 Drinkin & Stinkin
 7 Goddess In You
 8 Best Side Out
  9 Mercy
 10 Impossible
 11 Hooked On Me
 12 Time To Deal With You

1970年代初頭の英国シンガー・ソング・ライターの作品ってどれも良いのばっかりなのだけれど
その中でも上位ランキング入り確実な名作「March Hare」を1971年に出したコリン・ヘア。

そんな彼の復活作を日本盤紙ジャケにてリリースしたのは又もやエアー・メイル社さんで
紙ジャケリリースと共に彼を日本へ呼んでライブまでしてしまった! そのライブも見に行きましたが
復活後の曲は少々で ハニーバス時代のあの曲やあの曲 「March Hare」からのあの曲やあの曲
皆が聴きたかったあの曲もやるか! まさかあの曲まで! フォーキーなナイス・アンサンブルで
コリン・ヘアが目の前で歌っている! ああ生きていて良かった!級の感動をいただきました。

いや ライブを見る前に聴いたこの復活作「Free Together」と復活後の2作目「Like A River」は
「March Hare」から続くルーツ・ロック風味の作品ではあるのだけれど 何かダサい打ち込みも多いし
こりゃー今後あまり聴く事もなく放置プレイ作品になるだろうなぁと思っていました。
ところがライブを見た後にじっくり聴いたら 印象が変わってこれが良いんだ!
ダサい打ち込みがビシバシ入るフォーキー・ポップの2曲目なんかもホント楽しいし
彼の娘さんがメイン・ヴォーカルをとる1980年代風味のポップ・ソング10曲目も好きだなぁ。

何だろう アレンジがダサくても楽曲のメロディーの良さが こうも良いなぁと思わせる要因でしょうか。
ボブ・ディラン風のヴォーカルはオヤジ度アップしているけれど それ程声の変化は気にならないし
「March Hare」でも大活躍していたボブ・ディラン風ハーモニカも相変わらず活躍している事だし
これは放置プレイせずにこれからも時折聴きたくなるであろう素敵な響きのアルバムですね。

「March Hare」のパロディーのようなアコギに帽子のジャケットもあまり気張らずに楽しんで製作した
証拠でしょうね。 いやぁ素敵なロマンス・グレーぶりです。 またすぐにでもライブを見たいぞ!

「March Hare」のレヴュー・・・第72号 2003/7/21 ハニーバスと愉快な仲間たち
 


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SIMON FINN 「ACCIDENTAL LIFE」 (2007)

英 10 to 1 TTO 002 (CD)
 
1 Blood And Bone
2 Accidental Life
3 Snowman
4 Deeply Flawed
5 Feeling The Benefit
6 Neutered Air
7 Love On The Wing
8 Johnny Westward
  9 Rich Girl With No Trousers
 10 Myrmidons
 11 Silent City Creep
 12 Subjunctive Mood
 13 Friendship
 14 A Soldier's Brag
 15 The Other Side Of Rain
 16 Twinkle Twinkle Little Star

1970年にこれぞリアル・アシッド・フォーク!と言えるような 究極に危うさが炸裂する危険な大傑作
「Pass The Distance」を出して消えたサイモン・フィン。 2005年に「Magic Moments」で復活し
本作は復活後の2作目になります。 復活後早くも2作目で活動も順調なようでなによりです。

復活後に放たれた音は基本のアコギ弾き語りの上にバイオリンやらフルートやらエレキ・ギターやら
スペイシーな効果音やらが妖しげに乗っかって「Pass The Distance」と基本路線は一緒ですね。
また音程が不安定な綱渡りのような語り系ヴォーカルも健在で 元々ヨレヨレで歌っていたので
歳をとってヴォーカルがダメになったとかは感じません。 元々ヨレヨレだと有利シリーズですね。

ただサウンドが似ていてもやはり「Pass The Distance」にあった聴く者をグイグイと引き込む強烈さや
彼のワールドからもう抜け出せなくなってしまうような凄みを放ちまくる爆発力はここにはありません。
同じような音を真似て作っても同じ空気感は絶対出せないんだよね。 「Pass The Distance」が
いかに奇跡的な響きで孤高の存在だったか認識を強めるための復活劇になってしまっています。

バック・コーラスでダニエル・ダックスとローズ・マクドウォール(ストロベリー・スイッチブレイド)の
女性2人が参加していて 何か1980年代英国ゴスとの繋がりも強引に感じたりしています。
確かに楽曲がすべてマイナー調という事では無いのに 全体的に暗い雰囲気が漂ってゴスです。

最後の16曲目は「キラキラ星」の可愛らしいフレーズが入り これが次作に繋がるのかなぁ。
ヨレヨレの語り系フォークで可愛らしい曲をやったら面白そうなので 提案しておきますよ。
次も出たら積極的に購入する予定なので サイモン・フィンさん! このページ見ていたら是非!

「Pass The Distance」のレヴュー・・・第63号 2003/1/20 孤高の英国シンガー・ソング・ライター
 




MARK FRY 「SHOOTING THE MOON」 (2008)

英 BREDIDLEBABY IDLECD001 (CD)
 
1 Under The Milky Way
2 Ain't Got You
3 Big Silver Jet
4 Regrets
5 Sweet Nothings
  6 Walking In Paradise
  7 Satellite
  8 Leave It To Me
  9 You Make It Easy
 10 Hand On The Wheel
 11 Now And Then
 12 All My Life
 13 Crossed Lines
 14 Who Cares
 15 Shooting The Moon

アシッド臭を漂わせた麗しの美少年フォーク!とでも言うべき大傑作アルバム「Dreaming With Alice」を
1972年に出して消えたマーク・フライの復活作。 CD番号も凄いぞ! アイドルCD001だ! アイドル!

彼の復活は何かあまり話題になっていないような気もしますが この復活作 とても良いですねぇ。
基本はギターを弾いて歌い その他の楽器が適度に程よく入るという「Dreaming With Alice」と同様の
フォーキーな音ですが「Dreaming With Alice」に感じられたヨーロッパ的な美しさはあまり感じません。
ちょっとカントリー風味のある曲もあるし 全体的に大らかさがあってアメリカン。 優く美しいメロディーは
健在ですが アメリカン的なシンガー・ソング・ライター作品といった趣に仕上がっていますよ。

所々入るバイオリンやペダル・スティールも印象的ですが サックスが入る曲もまた印象に残ります。
ドラムス入りの曲もあって変化があるし 全15曲約53分とちょい長めですが最後まで飽きずに聴けます。
そして素直な展開で どこまでもどこまでも優しく美しい楽曲のメロディーが感動的なんだなぁ。

かつて今にも壊れてしまいそうだった繊細な歌声は オヤジ度を増し しゃがれて枯れ気味ですが
そんな歌声もこの大らかで優しげな曲調に合っていて 背中で泣く男の哀愁も感じられます。
ペダル・スティール入りの2曲目なんかホント 俺は寂しいよ 泣きたいよ と言っているかのような名曲!

いやぁ 彼は昔の自分の凄いアルバムのサウンドを真似ずに作って大正解です。
「Dreaming With Alice」という凄いアルバムを作った人の復活作だなんて情報を知らずに聴いても
この音であれば 誰だい? この新人芸人さんは? 良いじゃない・・・となるような作品ですね。
CD番号の「アイドルCD001」に納得! 次もあるのかなぁ。 次のアイドルCDもはやく聴きたいぞ!

「Dreaming With Alice」のレヴュー・・・第56号 2002/7/9 夏のクッサーい汗に幻想的なフォークで対抗せよ
 

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