英国フォークのギターを聴いていると時々ああこんな風に弾けたらいいなぁと思う事があって
そんなギター演奏を主役に聴かせてくれるアルバムを集めてみましたよ。
ただ僕はいまだに「アルペジオができない」「Fのコードが押さえられない」
「チューニングができない」など とにかく基本的な事が色々できないという厳しい状態ですが
英国フォーク・ギターの凄いのを聴いておけばそれだけで勉強になるし
ガンガンしつこく聴きまくれば自分で弾いたかのような気にもなるので全く問題ありませんね。
うーん まあせいぜいFのコードくらい押さえられるようにならないと・・・。


TheGitarOfJohnRenbourn.jpg
JOHN RENBOURN 「THE GUITAR OF JOHN RENBOURN」 (1977)
ストレンジ・デイズ WAS-1062 (CD/2005)
1 Swallow Flight
2 Light Traveller
3 Reflections (1)
4 Reflections (2)
5 Freedom Road
6 Introspection
  7 Passing Time
  8 Portrait Of A Village
  9 Summer Song
 10 Glastonbury
 11 Little Hands
 12 Deserted Streets

これはジョン・レンボーンの正式なディスコグラフィーには登場しないライブラリー物です。
本作はCD化される数年前に ほんのさわりだけですが偶然にLPを耳にする機会があり
それがスンゴい良かったので この紙ジャケCDが発売された瞬間急いで買いに走りましたよ。
・・・と走ったけれど新品CDがあまりにも高額だったのでビビって購入できずその後暫くして中古で購入。
元々の定価が2940円なので中古でもそれなりの高額商品でしたけど気合いで購入しましたよ。

内容はタイトルどおりジョン・レンボーンのギターを中心にしたインスト作品になっていて
BGMとして使う事を目的としたライブラリー物なのでBGMとして流し聴きしてしまってもOKですが
そこはやはりジョン・レンボーン! こんなライブラリー物でも只では済まない素晴らしさがあります。

1曲目からアコギの伴奏にフルートがメインのメロディーを奏でるという必殺の英国庭園フォーク!
ジョン・レンボーンが在籍していたペンタングルの曲の中でもシンガー・ソング・ライター風味で
異色だけど男の哀愁が炸裂する大名曲「So Clear」に似た雰囲気の6曲目がまた泣けるぅー。
そしてジャッキー・マクシーと思われる美しい女性ヴォーカルのスキャットが入る8曲目と9曲目!
可愛らしくてのどかな11曲目とか・・・ホント素晴らしい曲がズラリと並んでいて凄いんです。

フルートやリコーダーは多くの曲に登場するので アコギ&笛という必殺パターンが沢山聴けて
この必殺パターンで必殺されてしまう人にはホント 高級寿司級のとんでもないごちそうアルバムだし
ジョン・レンボーンの凄いテクニックが炸裂するギターを聴きたいぞ!っていう人向けにも
上手いなぁ ヤバいなぁ という演奏は所々登場するので 高級寿司級のごちそうアルバムですね。

しかしこんなレアーでマニアックなアルバムが日本盤で発売されてしまうなんてCD時代恐るべしですよ。
いやもっと恐るべしなのはいまだにFのコードを押さえられない僕なのですけどね。
 


Hat.jpg
DAVY GRAHAM 「HAT」 (1969)
英 FLEDG'LING FLED 3051 (CD/2005)
1 Getting Better
2 Lotus Blossom
3 I'm Ready
4 Buhaina Chant
5 Homeward Bound
6 Love Is Pleasing
7 Hornpipe For Harpsichord Playd Upon Guitar
  8 Down Along The Cove
  9 Hoochie Coochie Man
 10 Stan's Guitar
 11 Pretty Polly
 12 Bulgarian Dance

 13 I Am A Rock
 14 Oliver

デイヴィ・グレアムは独自の変則チューニングを開発しバート・ヤンシュだとかジミー・ペイジだとか
いったギタリストに多大な影響を与えたという事で英国フォーク界で彼は大物扱いなのでしょうが
何かイマイチ パッとしないサウンドで 彼を興奮気味に語る人も少ないです・・・たぶん。

それは1969年という革新性が求められる時代のアルバムの1曲目がいきなりビートルズのカバーで
5曲目と13曲目にサイモンとガーファンクルのヒット曲をやってしまうセンスにもあるのでしょうかねぇ。
またそのカバーが凄く良い!というならともかく 悪くはないけどまあフツーだねって感じなのですよ。
後はボブ・ディランのカバー8曲目や ブルース曲やトラッド曲 7曲目はクラッシク曲なのかしら?
・・・と何でもやってしまう器用貧乏ぶりが何かイマイチ パッとしない原因のようです。

本作のサウンドは彼のアコギの他 曲によってダニー・トンプソンのダブル・ベースが入り
ドラムスやパーカッションが入る曲もあるのでフォーク・ロック色も感じられる作品になっています。
ダニー・トンプソンのベースはペンタングルで聴かれるようなスリリングでカッチョ良いフレーズが
ブンブンうなって凄ぇ!という感じでは無く コード進行をなぞってリズムをとるような演奏なので
クレジットを見るまでこのダブル・ベースがダニー・トンプソンだとは思いませんでしたよ。

彼のヴォーカルはそこら辺のオヤジが歌っているようでもでもありますが 何度か聴いていると
艶があって中々魅力的な歌声に響いてきました。 でも良いのはヴォーカルの入らないインスト曲で
ヤバいギター・プレイが聴ける 4 7 10 12 14曲目のインストはどれも凄い事になっていますよ。

特に中東風の妖しげな響きがアシッド・フォーク臭を放つ10曲目と12曲目がキてますねぇ。
アルバム丸々この路線でやったら伝説的な危険なアルバムが出来上がったかも知れません。
いや彼のアルバムは他に1枚しか所有していないので すでにこの路線のアルバムがあるのかも。
これは全アルバム購入して確認しなといけません。 くっそー! また買わないといけないのかぁ。
 


RickHayward.jpg
RICK HAYWARD 「RICK HAYWARD」 (1971)
英 SUNBEAM SBRCD5032 (CD/2007)
1 Lament F'Yorke
2 Light In The Sky
3 His Imperial Highness Prince Chicken Rag
4 Can't See Any Sign
5 Neptune
6 Weasel
7 Dance Of The Sour Grape Fairy
8 Seeing Through
  9 Minuette
 10 Mongrel
 11 Find Yourself Sometime
 12 Wheels Within Wheels

 bonus tracks
 13 Tattered Rag
 14 Gwendolynne
 15 Morning After
 16 Fast Track
 17 Peregrination
 18 Ragtiming
 19 Greensleeves (Sort Of)
 20 Strolling Home
 21 Boogie Bill
 22 Breathing Space
 23 Bonnie Wee Fiing

このリック・ヘイワードという人については全く知らなかったのですが ジャケットでアコギを抱えているし
レコード会社が近年英国フォーク方面で危険な再発を連発している英サンビーム社だったし
もし凄い良かったらどうしよう ああどうしよう・・・とあたふたした挙句チャレンジ購入してみました。

ジャケ裏に印刷された英語の文章によると彼はセッション・ギタリストとして色々と活動していた人で
ソロ・アルバムとしてはこれが1stアルバムのようです。 ボーナス曲は未発表に終わった2nd用の
音源ですがボーナス曲で11曲もあるのでこのCD1枚でアルバム2枚分聴ける体制になっています。

いやぁしかしジャケットの感じから勝手に英国シンガー・ソング・ライターものだと思っていたのだけど
実際に聴いたらヴォーカル入りの曲が少なくてギターのインスト中心のアルバムでしたねぇ。 
・・・っつーかヴォーカルが入るのはたった4曲で ボーナス部分に至っては全曲インストになっています。

ヴォーカル入りの4曲は シタールも入って妖しげに迫る2曲目 スライド・ギターが入る3拍子の4曲目
哀しげなフォーク・ソングの8曲目 大らかにゆったりと展開するフォーク・ロックの11曲目となっていて
その4曲の歌のヘッタクソぶりったらリンゴ・スター級! このヨレヨレぶりは凄いよ! かっこいいよ!

曲調は英国的な陰影のあるフォーク風味から ブルース風味から マウンテン・ミュージック風味から
色々あるのですが アコギが哀しげに爪弾くタイプが多く フォーク・アルバムの印象が強いですね。
そして全体的に地味で暗さが漂い ボーナス部分も含めて統一感がありますよ。

アコギの他にもエレキ・ギター ベース ドラムス&パーカッション類 シタール マンドリン なども入り
クレジットを見るとすべての楽器を彼が演奏していて何でもこなしてしまうマルチ・プレイヤーですねぇ。
ただヴォーカルだけはホント ヨレヨレで インクレのロビン・ウイリアムソンもそうだけれど
真のマルチ・プレイヤーは歌う事は苦手・・・という結論にしちゃっていいですよね!

これだけインスト曲でギターを聴かせるアルバムなので 当然ヤバいギター演奏が炸裂してヤバい!
・・・かというとそうでもなく あまり登場しないヨレヨレのヴォーカルが最も印象的に炸裂してヤバいです。
これはヨレヨレ・ヴォーカルに過剰に反応してしまう僕だけかも知れませんけどね。
 


LifeByMisadventure.jpg
STEVE TILSTON 「LIFE BY MISADVENTURE」 (1987)
英 MARKET SQUARE MSMCD108 (CD/2001)
1 These Days
2 Nowhere To Hide
3 Here Comes The Night
4 I Call Your Name
5 Lazy Tango
6 Life By Misadventure
  7 Lovers And Dreamers
  8 Polonaise
  9 Tsetse Fly Shuffle
 10 Sometimes In This Life
 bonus track
 11 Rhapsody

これは1970年代前半から活動するスティーヴ・ティルストンの1987年作のアルバム。
ニューエイジ・ミュージックのアルバムか?と思わせてしまうジャケットがまったくそそらないのと
1987年というまったくそそらない時代の作品のせいもあって 中古盤の100円コーナーに
カス盤として放り込まれていてもまったく違和感の無いカス盤臭を放つ1枚になっています。

ところがこれはジャケットの放つカス盤臭に反して内容はヒジョーに良くて1980年代的なイヤーな
音処理も無いし とっても素敵な響きを持った室内楽風フォーク・アルバムになっているのです。

アコギとチェロとピアノによるアンサンブルにスティーヴ・ティルストンの渋いヴォーカルが乗っかる
というのが基本路線のサウンドで 歌物アルバムとしてもとても気持ち良く流れて行く作品ですが
聴いていると耳に飛び込んでくるのは何か凄いテクニックで弾いていそうなアコギの演奏で
英国フォークというよりもクラッシック風やスパニッシュ風のギターを感じ ヤバいです。 上手いです。

最初の「These Days」の柔らかくキラキラと輝くギターとチェロの絡みが心地良くてして1曲目から最高!
同路線の3曲目と10曲目もホント最高で ああこれは良いー。 良いったらありゃしないぜ。

そして4曲目にはフルートも入るし 可愛らしいインストの9曲目にも笛が入ってポイント・アップです。
なお 1 3 4 曲目は同タイトルの有名曲があるけどカバーでは無く全曲スティーヴ・ティルストン作で
更にポイント・アップでダブル・ポイントですね。 それにしても聴けば聴く程どんどん良く聴こえます。
英国フォークの傑作の内の1枚に入れても良いくらいのレベルなのでトリプル・ポイントを差し上げます。

23分もあるボーナス曲は1990年のアルバム「Swans At Coole」からのインスト曲で
イーリアン・パイプなども入ったケルティック・シンフォニー! 出だし暫くはおお!これは良い!
となるのだけれど23分もあると段々辛くなってきて・・・という体罰ボーナス曲になっています。

5曲目のスパニッシュ風インストとかも良いなぁ。 こーゆーの弾けたらいいなぁ。 弾きたいなぁ。
そうなってくると Fのコードを押さえる練習を指から血が出るまでやるか 新堀ギター教室に通うか
選択肢は2つしか無いですね・・・じゃあFのコードを血が出るまで押さえる方で!
 

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