2007年3月1日 恵比寿のリキッドルームでヴァシュティ・バニヤンのライブを見てきました。
2005年に35年ぶりの復活作「ルックアフタリング」を発表したバシュティ・バニヤン。
その「ルックアフタリング」発表後 海外では活発なライブ活動をしていたので
その内日本にも来るんじゃないか? いやこんなエキゾチック・ジャパンにまでは
来ないのではないか?・・・と誰もがやきもきしていたはずですが 遂にやって来た訳です。
ああ・・・生きている間にヴァシュティを生で見て聴く事ができるなんて
僕たちは何て幸せな時代に生きているのでしょう・・・もちろん全米が泣きました。



演奏はアコギを抱えたヴァシュティを真ん中に観客から見て右にギターのギャレス・ディクソン
左に ピアノ アコーディオン フルート カリンバと曲により楽器を持ち替えるジョー・マンゴーという
3人による演奏でした。 ヴァシュティの歌声はレコードで聴くのと変わりない儚く消え入りそうな声で
バックの演奏も決して出しゃばらず ヴァシュティの「うた」をしっとりと聴かせるナイス・アレンジでした。

ヴァシュティは各曲演奏前に その曲についてひとことコメントを言って曲目紹介をしていましたが
この喋りの声も消え入りそうなウイスパー・ヴォイスで なーる程 声を作って歌っているのではなくて
本当に彼女の声自体がこーゆー感じであの歌声になるという事がわかりました。

で 以下が演奏した曲目です。 隠し録りしました。
8 12 曲目はそれぞれサポートの2人のソロ演奏でしたが この時残りの2人はやる事が無いのに
ステージ上から去らずに じーっと微動だにせず置き物状態だったのは面白かったですねぇ。
 
 1 Hidden
 2 Lately
 3 Here Before
 4 Diamond Day
 5 Winter Is Blue
 6 Glow Worms
 7 Jog Along Bess
 8 Gareth Dickson/Two Trains
 9 Rose Hip November
10 Window Over The Bay
11 Where I Like To Stand
12 Jo Mango/My Lung
13 Against The Sky
14 I'd Like To Walk Around In Your Mind
15 Wayward
アンコール(1回目)
16 Diamond Day
17 Jog Along Bess
アンコール(2回目)
18 Here Before

 
VashtiBunyanJapanTour.jpg
今回の来日公演のチラシ
3曲目までは「ルックアフタリング」からの曲だったので 新作の「ルックアフタリング」からの曲を
中心に選曲するライブなのかなぁと思っていたら 4曲目に「Diamond Day」だああぁー!
「Diamond Day」始まった瞬間 ああ 僕はヴァシュティを生で見ているんだという
思いが込み上げてきて涙が溢れてしまいましたよ。 この瞬間最も全米が泣きました。
以後は「Just Another Diamond Day」からの曲を連発に次ぐ連発で確実に全米が泣きました。

「Just Another Diamond Day」を初めて聴いてから10年近く経ち すでに何百回も聴いた訳だけど
最初に入手したミスティック・ディーバという怪しげなレーベルのCDは平気で音飛びもしていたし
一部のマニアックな店しか取り扱っていなかったという状況で当時は「本当に一部のマニアにしか
知られていないであろう希少感」を感じながら聴いていました。 そこから考えるとヴァシュティが
来日公演をする日が訪れて 会場もほぼ満員になるという人気ぶりで もう一部のマニアだけの
ものでは無くなったんだなぁという感慨・・・いや 寂しさのようなものも感じましたよ。

寂しさ・・・いや それも違うかなぁ。 ここ2〜3年でヴァシュティを知った人が
まるでこの宝物は自分が探し当てたかのようにヴァシュティを語る事への悔しさかも知れない!
まあ それより更に前 オリジナルLPから聴いていた人(ほとんどいないはずだ!)からしてみたら
ミスティック・ディーバ盤CDから入った人に対しても ケッ!ってなモンでしょうけどね。

現在「Just Another Diamond Day」のCDはそこら辺でも平気で売っていて手軽に聴けるので
もう幻でも伝説でも無くなってしまったんだよなぁ。 ただ作品が多く流通するという事は
それだけ購入して聴いた人が多くなる訳で どう感じて どう語ろうが聴いた人の勝手ですものね。
そーなんです 色々な思いとはうらはらに作品は一人歩きして行くモノなのです。
ただヴァシュティの位置付けが伝説の人から人気アーティストに変わったとしても
やはり「Just Another Diamond Day」はこの世に存在するすべてのアルバムの中でも
最高峰の内の1枚だという認識は変わりません。 これからも僕は何度も聴き続けるでしょう。

でライブの話に戻ると4曲目の「Diamond Day」でホロリとして全米が泣いたものの
最後まで聴き終えた感想は「まあ こんなものか」というのが真実です。
「まあ こんなものか」と感じてしまったのはリキッドルームという会場もいけなかったのかも知れません。
どの場所でどの時間に聴くかというのも大事な要素で 2006年にアンプ無しの本当の生で行われた
ブリジット・セント・ジョンの茶室でのライブが死ぬほど良かったのをふっと思い出しました。
もしブリジット・セント・ジョンの茶室ライブに近い環境でヴァシュティのライブが行われていたら
僕は気絶して発狂して廃人になっていたでしょう。 ふぅー危ない危ない。 逆に良かったぜ。 

そしてライブ終了後に行われた問題の(?)サイン会です。 このサイン会でも全米が泣いた!
購買部で販売されていたCDを購入した人にだけサインするとの事だったので
そんなすでに所有しているCDをもう1枚購入するなんてありえねーので僕はサイン会の列には
並ばず近くでヴァシュティを見ていました。 ライブ本編と同じくらい時間をかけて
じっくりとひとりひとりサインしているヴァシュティ。 終始笑顔で対応していて それが可愛いんだ!
もちろんヴァシュティはすでに還暦を過ぎ年金もらえる年のババアではあるけれど
とにかく可愛らしくて僕はヴァシュティの笑顔をずーっと見ていました。
そんな僕にヴァシュティは「アノ日本人キモチ悪イヨォ」と思っていたかも・・・実際気持ち悪いけどね。

サイン会の列にはスンゴイ人が並んだので途中で用意したCDは売り切れになってしまい
そこからは握手だけしますという事になりました。 でももう皆 そんなの関係ねー!状態で
握手だけですよー!と言うスタッフを無視して持参したCDやLPを差し出しサインをしてもらう始末で
スタッフと観客のプチ・バトルも勃発する中 僕も何かハプニングがあった時にあたふたしなため
持参した「Just Another Diamond Day」と「Lookaftering」のLPにサインをもらいました。
そしてヴァシュティと握手! お母さーん ヴァシュティの手が暖かいんだよー!
うぇーん 全米が・・・いや世界が泣きました。

という事でサインをしてもらった2枚のアルバムについて再度 語らせてください。
 


JustAnotherDiamondDay.jpg

Lookaftering.jpg
VASHTI BUNYAN
「JUST ANOTHER DIAMOND DAY」 (1970)

米 DiCristina STEP04 (LP/2005)
(with love from Vashti Bunyanのサイン入り!)
A1 Diamond Day
 2 Glow Worms
 3 Lily Pond
 4 Timothy Grub
 5 Where I Like To Stand
 6 Swallow Song
 7 Window Over The Bay
B1 Rose Hip November
 2 Come Wind Come Rain 
 3 Hebridean Sun
 4 Rainbow River
 5 Trawlerman's Song
 6 Jog Along Bess
 7 Iris's Song For Us

bonus 7"
A1 Love Song
 2 I'd Like To Walk Around In Your Mind
B1 Winter Is Blue
 2 Iris's Song (version two)
VASHTI BUNYAN
「LOOKAFTERING」 (2005)

米 DiCristina STEP06 (LP/2007)
(with love from Vashti Bunyanのサイン入り!)
A1 Lately
 2 Here Before
 3 Wayward
 4 Hidden

 5 Against The Sky
 6 Turning Backs
B1 If I Were
 2 Same But Different
 3 Brother
 4 Feet Of Clay
 5 Wayward Hum

1970年に発表された「Just Another Diamond Day」は死ぬほど名盤。 どーしよーもなく名盤。
またしつこく何度も言っちゃうけれど こんなアルバムがこの世に存在している事自体が奇蹟。
どれだけこの音を真似て作ったとしても ここに流れる雰囲気は再現不可能。
そして各曲ごとに僕をそれぞれの場所へ旅に連れて行ってくれる全曲が名曲。
これだけ聴いたというのに まだまだ聴ける。 永遠に聴き続けるであろう凄い1枚です。

2005年の「Lookaftering」は最初聴いた時は自分自身のパロディーのようだ!とも感じたけれど
リリースされてから暫く経って聴く「Lookaftering」は「Just Another Diamond Day」に続く
2ndアルバムという事を感じさせてくれる作品に響いてきました。
1stのように奇蹟的なアルバムだ!とはいきませんが こちらも全曲名曲で名盤です。

「Lookaftering」のLPは 英FAT CAT盤と 米DiCristina盤が出たのですが
僕は最初から米DiCristina盤を購入するつもりでした。 というのも「Just Another Diamond Day」の
米DiCristina盤LPのつくりが良かったので「Lookaftering」も良いつくりになるだろうと思ったのです。
で「Lookaftering」も見開きジャケで「Just Another Diamond Day」と似たつくりで良かったですよ。
そして価格も英FAT CAT盤よりもちょい安めで購入できたしね。
その英FAT CAT盤のつくりはどうだったのでしょうかねぇ。 最近レコード屋にあまり行っていなくて
価格調査はしたけれど英FAT CAT盤の実物は見た事が無いのです。

そしてCDで聴いていた時はこのウサギのジャケットがイマイチだよなぁと思っていたけど
LPのデカいジャケットで眺めていると凄くイイぜ! そして下にはヴァシュティのサインも入って
2nd「Lookaftering」が更に好きになりました。 「Just Another Diamond Day」同様
今後何度も何度もしつこく聴き続ける事になりそうです。
 
全米を泣かす過去のヴァシュティ・バニヤンのレヴュー

「Just Another Diamond Day」カナダMYSTIC DIVA盤CDのレヴュー
 第13号 2000/5/1 そそるジャケットに社会復帰不可能状態

「Just Another Diamond Day」英SPINNEY盤CDのレヴュー
 第22号 2000/9/24 遂に出ましたヴァシュティ様の正規盤CD

「Just Another Diamond Day」米DiCristina盤LPと「Lookaftering」米DiCristina盤CDのレヴュー
 第109号 2005/12/31 母さん!事件ですよ!ヴァシュティですよ!
 

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