いつの時代も素晴らしきヤングなフォーキーって沢山いますよね。
もちろん現在も素晴らしきヤングなフォーキーはゴロゴロ転がっていますが
今はインディーズ全盛の時代なので宣伝もあまりなされていないという事で
自分から積極的に探していかないとその素晴らしきフォーキーに
出会えない確率は95パーセントとなっています。
そんなんで認知度の低いフォーキーばかりうじゃうじゃしている昨今なので
知れれざるヤングなフォーキーのワールドに突入する訳です。
でも僕が現在の音楽をよく知らない率も95パーセントなので
「知られざる」とか言って 実はかーなり有名で誰もが知っていたりするかもね!



KCRulesOK.jpg
KING CREOSOTE 「KC RULES OK」 (2005)
英 NAMES/679 IAMNAMES11 (LP)
A1 Not One Bit Ashamed
 2 You Are Could I ?
 3 The Vice-Like Gist Of It
 4 Bootprints
 5 Locked Together
 B1 Jump At The Cats
  2 Guess The Time
  3 My Favourite Girl
  4 I'll Fly By The Seat Of My Pants
  5 678
  6 Marguerita Red

キング・クレオソートはケニー・アンダーソンという人のソロ・プロジェクト色強い英国のバンド。
本作は「Kenny And Beths Musakal Boat Rides」(2003) 「Rocket D.I.Y.」(2005)に続く
3rdアルバムですが それ以前にも一般流通していないアルバムをCD−Rで20枚くらい
1990年代後半から大量に製作している宅録派のようです。 ・・・まあ詳しくは知りませんけど。

そして気付いたら本作の収録曲違いの別ヴァージョン・アルバムも発売されているという始末で
恐るべき創作意欲が溢れんがばかりの知られざるフォーキー率95パーセントになっています。

キング・クレオソートを知ったのは ウェールズのあまりにも素晴らしくて即死級のバンド
ゴーキーズ・ザイゴティック・マンキのライブの前座をしていたという情報があり
レコード屋で10インチの「Favourite Girl EP」というのを見かけたので思わず購入したのです。
その10インチがすっげー良かったので直後に出た本作「KC Rules OK」も即ゲットですよ。
そして面倒臭いから(?)直後に「Kenny And Beths・・・」「Rocket D.I.Y.」も入手しちゃった。

サウンドはゴーキーズの前座をしていたという事も納得なアコースティックな響きの美しい曲と
トボけた雰囲気のフォーク・ロック曲が同居する内容で素晴らしい事になっておりますねぇ。
トボけ風味は楽しげなサウンドもあるけれどヴォーカルが何かトボけ声なのも大きいですね。

アコギとピアノとヴィオラ(かな?)の絡みで哀しく迫るドラムレスの室内楽フォーク風味のA3。
シングル・カットもされたキーボードとホーンが印象的に響くすっとぼけポップスのA4も最高!
ハーモニカが活躍するロカビリー風のB1がまた楽しいし ゆったりと流れるB3〜B6は
夕焼け空を見上げたら一日が終わる哀しみを感じてしまい涙ホロリな夕焼け空フォーキー!
このB3〜B6の連続攻撃はホント素晴らしいよぉー。 ああぁー美しいです。 

このLPには表紙と裏表紙も入れると16ページもある豪華なブックレットが封入されていて
これが汚い手書き文字とイマイチな写真のコーラージュで構成され見所が全然無いんだな。
またレーベル面に45rpmって印刷されているけれど本当は33回転の間違いでこーゆー
ダメな所があると逆にLPで購入して良かった思ってしまいます・・・やっぱり僕ビョーキかなぁ。
 


FavouriteGirlEP.jpg
KING CREOSOTE 「FAVOURITE GIRL EP」 (2005)
英 NAMES/679 IAMNAMES10 (10")


A1 Jump At The Cats
 2 Favourite Girl
B1 So Forlorn (Again...)

前項で言及した10インチ・シングルがホントに素晴らしいのでついでに書いてしまいます。
A面の2曲は「KC Rules OK」にも絶賛収録中でアルバムの中でもキラリと輝く素敵な曲。
そしてB面の「So Forlorn (Again...)」がぁぁぁーーー! あまりにも素晴らしくて購入直後は
この曲ばかり1000万回リピート聴きするぞ!の勢いで聴きまくった率95パーセントの曲です。

でも実際は購入してから本日までたった30〜40回程度しか聴いていないので
僕に語る資格は無いのは言わずもがなですが  ゆったりと美しく哀しくアコースティックに響く
永遠系フォーク・ロックの「So Forlorn (Again...)」はホント素晴らし過ぎなのです。

サビの「ソファーロォー・サァームフォー」って印象的なフレーズにやられる事は間違い無しだし
途中で入る女性コーラスがモンゴルのホーミーを思わせてくれて(特殊体質の僕だけか?)
モンゴルの大平原の風景を想起させてくれるのですよ。 ・・・どーゆー曲を名曲と感じるかは
人によって違うだろうけど 僕の中では聴いて風景が思い浮かぶという曲はもう名曲入りです。
 
実際にその景色のある場所にいる訳でも無く 自分の部屋で音を聴いているだけなのに
風景を思い浮かばせてくれ旅をさせてくれるなんて そりゃー凄い事だと思いませんか?
So Forlorn (Again...)」は名曲入りだし殿堂入りでも良いくらいの必殺度無限大の名曲です。

なおこの曲はアルバム「Kenny And Beths Musakal Boat Rides」にも「So Forlorn」のタイトルで
雰囲気の全く違う変態アコースティック・ポップなアレンジの別ヴァージョンが入っています。
もちろん「Kenny And Beths・・・」の方が先なのでそっちがオリジナル・ヴァージョンですね。
 


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LUCKY LUKE 「PATRICK THE SURVIVOR」 (2005)
英 INVADA INV014 (CD)
1 Some Man's Son
2 To Know Is To Love
3 The River's Edge
 4 Burnt Men
 5 Apollo
 6 Fear Eats The Soul
 7 Silence But Waves
 8 Remember Me
 9 By Seaton

英国のラッキー・ルークというバンド。 たぶんこれが1stアルバムになります。
裏ジャケの演奏風景では4人写っていますが ブックレット内には8人写っていて
実際はメンバーが何人いるのかわかりません。 かといって相変わらず調査もしませんよ!

裏ジャケの演奏写真での4人は ギター マンドリン オートハープ フィドル を持ち
ブック内でクレジットされている楽器は ハーモニウム コンサーティーナ ブズーキ
メロディカ フルート サックス そしてドラムスとベース他・・・といった具合で どーですか!
この楽器構成を見ただけでも興奮する度95パーセントの素晴らしいグループです。

すべてオリジナル曲ですが楽曲のメロディーにはトラッド臭が漂い 妖しさも漂います。
決して美声では無いけれどもクセが無く聴きやすい女性ヴォーカルがメインに歌い
21世紀型アシッド・フォークを聴かせる米国のエスパーズをよりトラッド寄りにしたような
サウンドになっています。 ただエスパーズは全く隙を感じさせない完璧な音で
ラッキー・ルークはルーズさが全編に流れ隙だらけなので 雰囲気は違いますけどね。

妖しげな短いインストの1曲目から 妖しげにダラダラともたつく最後の9曲目まで
アルバム全体に統一感もあってよろしいです。 またエレキ・ギターとドラムスが
ほぼ全編に入るのでフォーキーと言うよりエレクトリック・トラッド風味と言った方がいいかも。

フィドルも大活躍ですがトラッド色の薄い演奏でフィドルというよりヴァイオリンですね。
そんなんでふっとトラッド色薄いリック・サンダースのヴァイオリン入りのアルビオン・バンドの
1978年の名作「Rise Up Like The Sun」に雰囲気が似ているなぁとも感じました。

ラッキー・ルークはもっと音が整理されたら大化けしそうなので次作が楽しみです。
近い将来 米国にエスパーズあり 英国にラッキー・ルークありと言われる日が来るかな?
 


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LINDA DRAPER 「ONE TWO THREE FOUR」 (2005)
米 PLANTING SEEDS PSRCD 033 (CD)
1 Super Zero
2 Big Blue Sky
3 Baby Inchworm
4 The Broken Muzzle
 5 Needlessly
 6 Jezebel
 7 Parasite
 8 Seven Black Crows
  9 Lifeboat
 
10 The Sleeping Giant

 11 Candle Opera
 12 One Two Three Four

リンダ・ドラッパーはアメリカの女性フォーキー。 確か活動拠点はニューヨークだったかなぁ。
以前調べてへぇーニューヨークなんだぁ・・・と思った記憶があるけど この記憶は不確かです。

本作は彼女の2〜3枚目のアルバムのはずだけど その記憶も不確かですねぇ。
本作が激しく激しく良いので この以前の作品も激しく聴いてみたいのだけど
「知られざるヤングなフォーキー」ゆえに日本国内に流通していない率95パーセントですよ。
ホントにどこにも売っていなくて聴けなくて哀しい思いをしているので誰か僕を慰めてください!

音はリンダ・ドラッパーのヴォーカル&ギターにその他の楽器がほのかに被さる程度のサウンドで
全編淡々と流れて地味ですが ちょっと囁き系の優しく美しいヴォーカルと楽曲自体の魅力があり
デビュー当初の最も瑞々しさ溢れていたスザンヌ・ヴェガを思い起こさせてくれて素敵ですねぇ。

プロデュースは鬼才クレイマーでこの人が弾き語り&ほのかにその他の楽器が被さるという音を
作り上げたのでしょうね。 これが地味で隙間だらけだけど完璧じゃないですか! 凄いなぁ。
まあ「鬼才クレイマー」ってよく見かけるフレーズなので書いてしまったけど
はっきし言ってしまうとクレイマーって誰ですか? 僕は全然知らないのでした。

とにかくアルバム全体が良く捨て曲も見当たりませんが 淡々と同じような曲が流れて行くので
突出した必殺の名曲は無いです。 でも必殺の名曲が無くてもアルバム自体は必殺の名盤!
一度聴き始めたら途中でやめる事無く最後まで聴いてこそ しみじみ良いと思える作品です。

どーしても1曲だけとりあげるとしたらヴォーカルにラジオ・ヴォイスなエフェクトがかかって
最も変化があって耳につく6曲目かなぁ。 異色曲だけれどホント美しい! うぇーん良いなぁ。

しかしリンダ・ドラッパーはホント全然どこにも売っていないけれども もしこれからレコード屋で
売ろうと思ったら「ヴァシュティ リンダ・パーハックス ジュディ・シル のファンの方は是非!」とか
ポップに書かれちゃうんだろうなぁ。 最近美しく儚げな女性ヴォーカルものの作品には
そんな同じような解説ばっかり書かれていて芸が無いですよ! ねぇそこのレコード屋さん!
その解説に乗っかって購入したら全然解説と違ったりする度95パーセントだしね。
 


TheSevenSleepersDen.jpg
RICHARD JAMES 「THE SEVEN SLEEPERS DEN」 (2006)
英 BOODYTRAP BOOBREC18CD (CD)
1 Intro/Catedral
2 Tir A Môr
3 My Hearts On Fire
4 I Wait For Your Love
5 Space Instrumental
 6 Empty And Cold
 7 Wanna See You Die
 8 MorningbLight Pt.1
 9 MorningbLight Pt.2
 10 Headlong
 11 Sunday Girl
 12 Long, Long Time
 13 Outro/Catedral

ゴーキーズ・ザイゴディック・マンキのリチャード・ジェームスのソロ・アルバム。
本作と同時期にゴーキーズのエイロス・チャイルズのソロ作も出た訳ですが
レコファンの新譜コーナーにも輸入盤が平気で並び 日本盤CDも発売されちゃった
エイロスくんと比べるとリチャードのこの作品は全くといっていい程無視されている印象です。

・・・と無視されている感があるので「知られざるヤングなフォーキー」で登場させましたが
ゴーキーズは何枚もアルバムが出ていてキャリアも長いしもう彼はヤング芸人じゃないよなぁ。
またゴーキーズはけっこう認知度高いバンドだと思われるのでこのアルバムは今回の
「知られざるヤングなフォーキーのワールド」のテーマに沿っていない率95パーセントですね。

さて ゴーキーズにおいても1970年代の非トラッド系ブリティッシュ・フォークが放つ
「あの雰囲気」漂う曲を多く提供していたのはリチャード・ジェームスだった訳ですが
本作はそのブリティッシュ・フォークの雰囲気全開で もう傑作としか言いようがありません。

ただリチャード・ジェームスはヴォーカルの魅力がなぁ・・・クセが無く優しげで聴きやすいけど
逆にこれといった特徴が無く面白みが無いのですよ。 この音でヴォーカルが存在感のある
エイロスくんだったら大騒ぎしまくって鼻血ブーレベルのスーパー大傑作になるんだけどさぁ。
ああ ゴーキーズは思い入れが強すぎて こんな良い内容なのに文句を言ってしまって・・・
すまん!リチャード! 何だかんだ言って20〜30回は聴いているのでそんな僕を許してね。

基本路線は繊細なアコギの爪弾きを基調にしたフォーク〜フォーク・ロックになっていて
神秘の森に迷い込んだが如くなそれはそれは美しい楽曲の連発になっていますよ。
また スライド・ギターが印象的に入る躍動感のあるフォーク・ロックの3曲目と
アァー!って叫び声が入る変態系ポップスの7曲目といったリズミカルな曲も効いています。

うーんやっぱり良いアルバムだわぁ。 これを書くために聴き返していたら
2 4 6 8 10 12曲目あたりのフォーキーな曲が・・・もうどうしようもなく素晴らしい!
全体的にハーモニカの活躍も目立つねぇ。 うーんこーゆーのを聴いていると
知られざるヤングなフォーキーのワールドをもっと追求したくなってきますよ。
・・・あっいけねぇ! リチャード・ジェームスは「知られざる」でも「ヤング」でも無かったんだ。
 

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