「母ちゃん! 冬だよぉー 寒いよぉー 暖めてよぉー。」
「何言ってんだいアンタ! 抱いたらワタシの強烈なワキガ臭でアンタ死んじゃうよ!」
「ああ そうだった。 つい忘れてたよ。 母ちゃんのワキガ臭は世界一だもんなぁ。」
「アンタねぇ 寒い時はポップな英国シンガー・ソング・ライターものなんかを
連続して聴いて しみじみーとして心を暖めるモンなんだよ。」
「へぇ そんな防寒対策があるんだ。 そりゃいいや。 ねえ母ちゃん教えてよ。」
「じゃあ こっそりと教えてあげるから ワキガの事 誰にも言うんじゃないよ!」



Killigrew.jpg
JOHN KILLIGREW 「KILLIGREW」 (1971)
エアー・メイル AIRAC-1213 (CD/2006)
1 Just A Line
2 Brand New World
3 Nothing's Impossible
4 Hold On Baby
5 Yesterday And You
6 Roverman
  7 John Dupree
  8 Got Your Number
  9 You Don't Know What You've Got
 
10 Hey Mocking Bird

 11 Do I Love You
 12 Just The Way You Are

いつも目から鱗が落ちる素晴らしきCD再発をかましてくれるエアー・メイルさんですが
またやってしまいました。 ジョン・キリグリュー! うおおぉー素晴らしー!

本作のプロデュースはピート・デロで デロの1971年作「Into Your Ears」と
似た音づくりの ピアノやストリングスや管楽器を多用したフォーク・ロックになっています。
更にピート・デロが在籍していたハニーバスを思わせる曲や そのハニーバスのメンバーの
コリン・ヘアのソロ作に流れる土臭い雰囲気を持つ曲もあるし・・・ホント素晴らし過ぎです。

歌声は聴きようによってはゲロゲーロなカエル声にも聴こえてしまう ちょいハスキーさんで
キャット・スティーヴンスに似ていますね。 また多少音のこもった録音状態になっていて
これが良い雰囲気なんだよなぁ。 帯の文句に「英国の裏通り」ってフレーズがあるけれど
いやぁ ホント英国の裏通りの雰囲気を感じさせてくれる音になっているのです。

大らかなメロディーを持った永遠系ナンバー 1 3 9曲目はホント必殺で沁みますし
最後の12曲目のダサくてカッチョ良いロケンローの「トラ トーン トト トラ トーラト」の
何言ってるのかわからないフレーズはCDに合わせ歌って大盛り上がり! キャー楽しい!

全曲ジョン・キリグリュー作の楽曲のメロディーも素直で覚えやすく捨て曲も見当たらないし
多彩な楽器が登場しながらもアコースティクな響きも大事にしていて良いし
英国臭を放つ雰囲気もバツグンの名盤な訳ですが そんなアルバムを作っても
彼はこの1枚で消えていって・・・そしてライナーによると1978年に亡くなったそうです。

このアルバムは「ラビリンス」にも「英国ロックの深い森」にも載っていなかったので
店頭で見かけるまで全く知らなかったのですが こうやってCD化されて
全然知らなかった作品を聴く事ができるとは何と幸せな事なのだろうとつくづく感じます。
そんな僕のちっぽけなどーでもよい幸せとうらはらにジョン・キリグリューは故人なんだぁ
と思いながら聴いているとふっと泣きそうになりますよ・・・ああ ジョン・キリグリューに合掌。

「母ちゃん オイラ泣きそうだよ・・・」 「アンタ! 男は涙を見せちゃダメなんだよ!」
「じゃあどうするの?」 「酒を飲んで 飲まれて飲んで 飲み疲れて眠るまで飲むんだよ。」
「おっとー! 母ちゃん河島英五の影響受けてるねぇ。 かっこいぃー。」 「・・・だろう。」
 


 
NICK GARRIE 「THE NIGHTMARE OF J. B. STANISLAS」 (1969)
スペイン WAH WAH LPS301 (LP/2006)
A1 The Nightmare Of J. B. Stanislas
 2 Can I Stay With You
 3 Bungles Tours
 4 David'S Prayer
 5 Ink Pot Eyes
 bonus tracks
 6 Queen Of Spades
 7 Close Your Eyes
 B1 The Wanderer
  2 Stephanie City
  3 Little Bird
  4 Deeper Tones Of Blue
  5 Queen Of Queens
  6 Wheel Of Fortune
  7 Evening

当時フランスのみで発売されたという英シンガー・ソング・ライター ニック・ギャリーの再発LP。
この作品はレヴュー第103号で「Calling Out To You」を紹介した
21世紀の素晴らしいシンガー・ソング・ライター アリー・カーのページの掲示板で
アリー・カー自身の投稿で「今聴いているアルバム」として紹介されていたのです。
ジャケットも何かやりそうだったし気になったので試聴できるサイトを探して試聴しましたよ。

その試聴した曲がA2の「Can I Stay With You」で 聴いた瞬間 うおおおおおぉー!
すっげーよ! パワー・ハラスメントでドメスティック・バイオレンス級の名曲だぁー!
あれぇーLPも再発されているじゃない! よし買った!・・・と発作的に購入したのです。
なお英レブ・オラから出ているCDはこのスペイン盤LPよりもボーナス曲を多く収録しています。

試聴したA2が夢心地に漂うポップなフォーク・ロックだったので相当期待して聴きました。
A2と同様の路線の A4 B2 B6 あたりはもうたまりませーん。 彼のヴォーカルは
クセの無い聴きやすい声ですが 何だか虚ろさが漂って夢心地にさせてくれるんだよねぇ。

サウンドは全体的には多彩な楽器の登場するポップな歌謡フォーク・ロックなので
夢心地感が全編を貫いてとろけてしまうという事は無いですが 全曲シングル・ヒットしても
おかしくないレベルの粒揃いの曲のオン・パレードで・・・やっぱり素晴らしいじゃないですか!

ビートルズの影を感じる曲もあるし プレスリー風(なのでしょうか?)に歌う
カントリー・ロック風味のB5なんてのも入っていて 聴くたび色々発見できますねぇ。

なぜかA面の 6 7 曲目という変な位置に入っているボーナス曲は
1968年のシングルの曲。 このボーナス曲も本編と変わらないポップな曲でナイス!です。

そして顔面アップの裏ジャケを見るとこの人 眉毛が繋がっている眉毛芸人なのですよね。
・・・つまり顔面方面からもこのアルバムが素晴らしいという事がわかっていただけると思います。

「うーん 眉毛芸人といえば英国フォーク系でいくとロイ・ハーパーかなぁ。」
「アンタ! ロイ・ハーパーはそんなに聴いている人いないから彼の顔知っている人少ないよ。
もっと誰でも知っている有名人で 我修院達也こと若人あきらにしておきなさい!」
「母ちゃん 今時 若人あきらの名前を出してもウケないよぉ。 遅れてるなぁー。
今 最もナウいのは広岡瞬とか佐良直美だからね!」 「そうだった そうだった オマエも
成長したねぇ。 ・・・でも広岡瞬も佐良直美も眉毛芸人ではないんじゃないかい?」
「あっ いけねぇ 眉毛芸人の話だった。 じゃあ若人あきらで!」 「・・・だろう。」
 


SingerSongwriter.jpg
CLIFFORD T. WARD 「SINGER SONGWRITER...PLUS」 (1972)
英SEE FOR MILES SEECD 418 (CD/1995)
1 Coathanger
2 Sam
3 Leader
4 A Dream
5 Anticipation
  6 Rayne
  7 The Session Singer
  8 Carrie
  9 God Help Me

 10 The Cause Is Good
 11 Sympathy
 12 Circus Girl
 13 You Knock When You Should Come In
 bonus tarck
 14 Sidetrack

ポップな英国シンガー・ソング・ライターといえばやっぱりクリフォード・T・ウォードの1st。
何といってもアルバム・タイトルが「シンガー・ソングライター」だもんね!

ストリングスとコーラスが絡んでじわりと気持ち良く歌い上げる1曲目から良いんだよなぁ。
その後もシンプルなフォーク・ロックあり 歌い上げのちょっと大げさな曲あり
ピアノを基調にした曲ありと バラエティーに富んでいますが まあ けっこうフツーの
ポップなフォーク・ロック・アルバムでもあり それ程大騒ぎする事も無いのですが
どの曲も覚えやすいメロディーを持っていて 僕は何だか好きなアルバムなのです。

多くの曲のバックでアコギがガシャガシャやっていて心地良いのもポイント高いですねぇ。
でもクレジットを見るとクリフォード・T・ウォードはピアノ弾きのようでギターは弾いていません。
ピアノ系シンガー・ソング・ライターにしては曲の展開が素直でわかりやすくてナイスです。

ヴォーカルは声自体にはクセは無いですが 音程をとるのが上手いが故に節回しが
カントリー・シンガーの如く響く瞬間があり このヴォーカルに違和感を感じる人もいるかもね。

・・・とアルバム・タイトルどうり1972年というシンガー・ソング・ライターの時代らしい
フォーク・ロック作品な訳ですが オリジナルLPはジョン・ピールが主宰していた
ダンデライオン・レーベルから出ていて アングラ音楽の巣窟のようなダンデライオンから
こんなメジャー感もあるポップで聴きやすいアルバムが出ていたとは
レーベル・カラーからするとちょっと異色な作品ではないでしょうか。

「どうだいアンタ ポップな英国シンガー・ソング・ライターを3枚聴いたら暖まったかい?」
「うん! しみじみーと暖まったよ。 ねえ母ちゃん こーゆーのってまだ他にもあるのかい?」
「そりゃーいくらでもまだCD化されてないヤツがゴロゴロ転がっているんだろうよ。」
「ふーん そーゆーのもっと聴きたいなぁ。 どうすればいいの?」
「さりげなーくエアー・メイルさんにお願いしときなさい。」 「うん。 エアー・メイルさん!
アグネス・チャンの香港でのデビュー・アルバムのCD化お願いしまーす。」
「アンタ! それは英国シンガー・ソング・ライターじゃないしヴィヴィッドさんあたりに
お願いする事じゃないのかい。」 「あっ いっけねぇ。 間違えた! ヴィヴィッドさん!
アグネスの香港でのデビュー・アルバムのCD化お願いしまーす。」 「・・・よろしい。」
 

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