レッツ・コミューン!という事でコミューンなアルバムを集めてみました。
集団行動が苦手な僕はこのようなコミューンの一員になりたくはないけれど
コミューン生活者を観察してあれこれ勝手な事を言うのは楽しいのです。
まあ観察というか どれもジャケットがそれっぽいというだけで
実際はコミューンなのか何なのか本当のところは知ったこっちゃないけどね!



Myrrh.jpg
ROBIN WILLIAMSON 「MYRRH」 (1972)
英 EDSEL EDCD 366 (CD/1994)
1 Strings In The Earth And Air
2 Rends-Moi Demain
3 The Dancing Of The Lord Of Weir
4 Will We Open The Heavens
5 Through The Horned Clouds
  6 Sandy Land
  7 Cold Harbour
  8 Dark Eyed Lady
  9
 Dark Dance
 10 I See Us All Get Home


これはインクレディルブル・ストリング・バンドのロビン・ウイリアムソンの1stソロ・アルバム。
モンゴルの大地を思わせる背景をバックにどこぞの民族衣装風な服を着た集団を
引き連れたロビン・ウイリアムソンが先頭でポーズをとるジャケットが怪しげですねぇ。
まあそれだけなら舞踏集団か何かで片付けられるのですがこの集団の中に犬が2匹いて
生活の中の一場面ではないのか?と思わせコミューン度が高いジャケットになっています。

1970年代前半のインクレはロック色が強まりインクレらしさから段々離れていきました。
この時期のインクレはもう一人の中心人物マイク・ヘロンが主導権を握っていたのかな?
マイク・ヘロンの1971年のソロ作は更にインクレらしさから遠ざかっていたからねぇ。

そんな時期のロビンの本作はインクレ本体で抑えられていた いかにものインクレな芸風の
俺自身がメロディーでリズムだ!文句あるか!なトローンとした勤労拒否推奨フォークが炸裂。
変な節回しで迫るヴォーカルも絶好調で・・・何度聴いてもどの曲も覚えられませーん。

ゲスト演奏者も少々参加していますが 多彩な楽器を操る事ができるロビンなので
ギター ピアノ マンドリン ブズーキ フルートにオーボエ ヴァイオリンにチェロ 他・・・
と演奏していてソロ・アルバムらしくやりたい放題になっていますよ。

唯一ドラムスが入るフォーク・ロックの6曲目は一瞬 おっ!これはCDに合わせて
一緒に歌えそうだぞ!と思わせるけれど甲高い声のロビンのヴォーカルが変な節回しで
暴れまくって結局メロディーがよくわからずこんなモン一緒に歌える訳ありません。

すーっと耳に心地良く入ってくる聴きやすい曲は1970年代らしいシンガー・ソング・ライター
風味を感じる2曲目と10曲目くらいです。 2曲目はペダル・スティール入りの穏やかな
フォークで凄く良いですねぇ。 でもこの曲も歌詞がフランス語で・・・一筋縄ではいきません。
ピアノを基調にした10曲目は途中で入るマンドリンが切ない雰囲気を盛り上げてくれますが
やっぱり変な節回しのヴォーカルが暴れて・・・一筋縄ではいきません。

うーん 本当に何度聴いても曲が覚えられないよ・・・さすがロビン・ウイリアムソン!
ジャケットもそんな芸風が炸裂した結果と考えれば誰もが納得のレッツ・コミューンです。

Robin Williamson & His Merry Band 「American Stonehenge」のレヴュー・・・第9号
 



Soundtrack&TheAsmotoRunningBand.jpg Soundtrack&TheAsmotoRunningBandInner.jpg
PRINCIPAL EDWARDS MAGIC THEATRE
「SOUNDTRACK/THE ASMOTO RUNNING BAND」 (1969/1971)

英 SEE FOR MILES SEECD 412 (CD/1994)
soundtrack
1 Enigmatic Insomniac Machine
2 Sacrifice
3 The Death Of Don Quixote
4 Third Sonnet To Sundry Notes Of Music
5 To A Broken Guitar
6 Pinky-A Mystery Circle
  the asmoto running band
  7 McAlpine's Dream
  8 McAlpine's Versus The Asmoto
  9
 The Asmoto Running Bnd
 10 Asmoto Celebration
 11 Further Asmoto Celebration
 12 Total Glycerol Esther
 13 Freef (R') All
 14 The Kettering Song
 15 Weirdsong Of Breaking Through At Last


こちらはプリンシパル・エドワーズ・マジック・シアターの1stと2ndの合体CD。
彼らはグループ名に「シアター」が入っているし 実際に劇団的なグループだったようで
演奏をするメンバーの他ダンサーがいて照明や音響といった裏方もメンバー入りしています。
 
しかしこれだけメンバーがずらりと並んだ写真を見るとコミューン的に見えてしまうよなぁ。
何かやたらスタイリッシュなヒッピー集団という感じにも見えてきます。 でもヒッピーだとしても
スタイリッシュさが さすが英国です。 アメリカのヒッピーはもっと小汚くて臭そうだもんねぇ。

サウンドはアコースティックに迫る部分とエレクトリックでロックに迫る部分が半々くらいで
アコースティックな響きのある曲はプログレッシヴ・フォークと言ってしまっていい音ですね。
また全体からアンダーグラウンドな雰囲気もかほってきて その妖しい雰囲気も楽しめます。

リコーダーとヴァイオリンとポコポコ・パーカッションの登場頻度が高くて良い感じですが
1曲1曲が長くてその中で曲調が変わるってパターンのプログレ度高い曲が多いんだよなぁ。
せっかくフォーキーに美しかったのに何で急に曲調変わるんだ!良い雰囲気台無しだぜ!
・・・とプログレ嫌いな僕がアルバム2枚分最後まで聴き通すのはけっこうキツくもあります。

また男女のヴォーカルは女性が多くの曲で歌っていて この女性ヴォーカルは変なクセも無く
美声系の歌声で良いのですが それまでしっとりと歌っていたのに突然演劇的になったりして
これはいただけません。 「シアター」なバンド名に偽りなしといえばそうなのですが・・・。

そんな中バックでリコーダーが鳴り続ける陰影のある哀しいメロディーを持った1曲目が良くて
アコギの音もよく聴くと繊細なアルペジオが聴こえてきて ああ英国の哀愁を感じます。

まあ これは1960年代末から1970年代初頭のアングラ業界の雰囲気を味わうアルバムで
メンバーが並んだ写真を見てレッツ・コミューン!とか無理矢理思うアルバムなのです。

なおこのCDは収録時間の関係で2ndの「The Asmoto Running Band」の方から
「Autumn Lady Dancing」という曲がカットされてしまっています。
実はこのカットされた曲がそれ程プログレ度の高くないフォーキーな曲で良いのです。
このカットされた「Autumn Lady Dancing」を収録したダンデライオン・レーベルの編集盤CD
「...There Is Some Fun Going Forward...Plus」のレヴューは第54号で書いています。
 



OnTheRimOfTheNashvilleBasin.jpg OnTheRimOfTheNashvilleBasinBack.jpg
THE FARM BAND 「ON THE RIM OF THE NASHVILLE BASIN」 (1976)
伊AKARMA AK 295 (LP/2004)
A1 Wings On My Heart
 2 Tennessee Scrap Iron Man
 3 Cotton Eyed Joe
 4 
Keep It In Mind
 5 Everything's Gonna Be All Right
 B1 Baile De Los Changos
  2 Roncho Rondo
  3 Excusa M'wah


こちらは実際に「The Farm」というコミューンを作って自給自足に近い生活をしていたという
米国のリアル・ヒッピー集団によるファーム・バンドの3rdアルバム。 危険盤のLP再発では
他の追随を許さないイタリアのアカルマからの再発LPでの紹介で アカルマは1st(2枚組)と
2nd(ステファン&ファーム・バンド名義)もLPで出していてやっぱり危険なレーベルですね。

この「The Farm」という集団は2006年の現在も存在しているとの事で
いまだに一般世間と距離を置いたコミューン生活をしているかどうかはわかりませんが
かなりの勢いでレッツ・コミューンだし こーゆー団体って新興宗教的なかほりもありますねぇ。

アルバムの内容はA面がカントリー・ロックでB面にブルースやロケンロールな曲が並びます。
ヴォーカルは男女がヴォーカルをとりますが女性ヴォーカルが中心に歌っていてナイス!です。

A面のカントリー・ロックはロック基本楽器の他にフィドルも活躍するし楽曲もわかりやすく
疾走感&豪快さん&少々ルーズな雰囲気で気持ち良く聴かせてくれて良いですねぇ。

B面は1曲が長いし B1 B3はインストだし ドラム・ソロも飛び出す始末。
・・・となるとプログレ的ではありますが 米国のバンドらしくブルース色が強いので
プログレっぽさはというのは感じず グレイトフル・デッド風の音ですね。
このB面はあまり好きな音ではないけれど難解な事もないし決してイヤーな感じでもないので
体調が良くて気分が乗っている状態で聴いたら気持ち良くてハマってしまいまいました。

サウンドはA面とB面で違うけれども 両面とも自然の中のアメリカンなコミューン生活を
感じさせる開放感みたいなモノが漂っています。 こーゆーのを聴くとコミューン生活も
悪くはないなぁと思うのですが・・・やっぱりコミューンの一員にはなる気はないなぁ。
 



TogetherWereHeavy.jpg
THE POLYPHONIC SPREE
「TOGETHER WE'RE HEAVY」 (2004)

米 GOOD/HOLLYWOOD 2061-62423-1 (LP)

A1 Section 11 (A Long Day Continues/We Sound Amazed)
 2 Section 12 (Hold Me Now)

B1 Section 13 (Diamonds/Devotion To Majesty)
 2 Section 14 (Two Thousand Places)
 3 Section 15 (Ensure Your Reservation)

C1 Section 16 (One Man Show)
 2 Section 17 (Suitcase Calling)

D1 Section 18 (Everything Starts At The Seam)
 2 Section 19 (When The Fool Becomes A King)
 3 Section 20 (Together We're Heavy)

TogetherWereHeavyInner.jpg


時代がグッと飛んで21世紀の米国のグループ ポリフォニック・スプリーの2ndです。
CDは1枚物ですがこのLPは収録時間の問題で強引に2枚組みにした逆2in1です。
A面とC面は2曲しか入っていないけど長尺曲が多いので(10分超えの曲もあります)
僕はあまり違和感無くフツーに2枚組みLPとして聴いちゃっていますよ。

しかしこのグループもこれだけメンバーがいるとコミューン的なかほりがプンプンします。
列を作って砂漠を歩く集団のジャケットは宗教的〜儀式的なかほりがプンプンするし
この2ndでは皆さんカラフルな衣装で登場していますが1stでは白装束で登場していて
パナウェーブ研究所なかほりがプンプンして 電磁波を遮断していましたね。

メンバーの風貌は怪しい事になっているけど出てくる音はかーなり素晴らしいですねぇ。
アルバム全体からスケールのデカさが漂い きっと愛と平和とコミューンの事を
歌っているんだろうなぁ・・・と実際の歌詞は知らないけどそう思わせてしまう音なのです。

多彩な楽器を使用して大コーラスで盛り上がるポップなロックの連発になっていて
ペット・サウンズ期のビーチ・ボーイズが密室から屋外に飛び出したような音ですね。
特にサビの「ホーミナウ」ってコーラスで晴れ渡った青空へ突き抜けて行くような
高揚感をたっぷり味わえるA2が何だかわからないけれど幸せな気分にさせてくれます。

メインに歌う男性ヴォーカルは少々枯れ気味で渋さもあるくせにヨレて情けなさを漂わせ
このヴォーカルがまた良いんだろうなぁ。 こえだけスケールのデカさを感じる曲に
熱唱型ヴォーカルがシャウトとかすると聴いているだけで暑苦しくなってしまうものねぇ。

このLPのレーベルは「Good Records」と「Hollywood Records」が併記されていますが
更にバーコード横に「A Disneyland Record」ってゆーロゴも印刷されています。
「A Disneyland Record」のロゴはディズニー・アニメのLPにも印刷されているし
その名の通りディズニーランド内で売っている商品なのかも知れませんねぇ。
となるとポリフォニック・スプリーはディズニーランドのスタッフで構成されたグループかもね。
きっと普段はディズニーランド内で「シンデレラ城ミステリー・ツアー」のガイドをしたり
「キャプテンEO」の3Dメガネを配ったりして過ごしているに違いないです。
 


表紙へ戻る

inserted by FC2 system